東方魂愛想   作:ミズヤ

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 はい!どうもみなさん!ミズヤです

 今回はどうしても今回で厄&賭編を終わらせたかったのでいつもより長いです。



 それでは前回のあらすじ

 京哉対賭

 なんと京哉は賭の能力に捕まってしまう!

 そして強制的にナイフと石を賭けた勝負をする事に

 そして裕太は一番目は敗北に終わり、絶望してたところ、なんと2回目で勝利を収めた。

 果たして裕太に勝利の女神が微笑んだのか?



 それではどうぞ!


第66話 勝敗

side京哉

 

「くそっ。まじで微動たりとも出来ねぇ」

 さっきからずっと手足を動かそうとしてるけど微動たりとも出来ない。

 

 辛うじて動かせるのは頭部のみ。他は動く事が出来ない。

「じゃあ賭けていこうか」

 

 今ので15本持ってきた内の10本取られた。え?少ないって?元々これしか持ってないんだよ。回収しながら戦ってんだよ。

 

「じゃあ勝負内容はこれだ」

 と言ってが取り出したのはトランプだった。

 

「トランプの数あてゲーム!」

 そう言うと何故か俺と賭の間にテーブルが出現してテーブルの真ん中に賭が取り出したトランプがテーブルの上に瞬間移動した。

 そしてトランプがグチャグチャに動きまくってしばらく動いたら積み重なった。

 

「トランプの数あてゲーム。より近い数字を言った方の勝ちだ。どちらかが服以外の賭けるものが無くなるまでやる。そう、命もな」

 しまったな。今手に持ってたナイフは全て賭けてしまったから後ナイフ5本しか賭けるものが無いぞ?

 そして最後命って言った?

 命懸けのギャンブルって事か?

 

「ちなみに僕はこの石しか持ってない。負けたら賭けたものは無くなる」

 1つしか賭けるもの無くてこんなのを仕掛けるって

 

「気をつけて時雨!そいつ運がチーター並に運が良くて当てる系の物は凄い得意だよ!」

 運がチーター並に……ねぇ……。

 

「実は俺も運が良いんだ」

 そう言ってトランプをマジマジと見る。

 傷はあるかないかは分からないけどこれだけ離れていれば傷も見えないからその心配は要らないだろう。

 

「さぁ、先攻どうぞ?」

 先攻を譲ってきたので俺から答える。

 さて、どうやって当てていくか。

 

 まぁ、裕太ならここで7って言うんだろう。だけど俺はあいつとは違う。

「2だ」

 そう言うと空気が凍った。

 

「ふふふ。かなり攻めたな」

 そして賭が指パッチンをするとトランプの1番上のカードがひっくり返った。

 するとテーブルの上にホログラム的なモニターが出現した。こいつの能力すげー。

 

 そしてそのホログラムに数字が表示された。

 数字は3だった。

「このモニターに映し出されているのはそのトランプの数字だ」

 と言うことはあのトランプは3。

 

 1違いか……。

 でもまぁいい所だと思う。

「次は僕だね」

 そう言って指パッチンするとまたトランプが元通りになって混ざっていく。そして積み重なる。

 

「うーん……これは1だね」

 そう言うとトランプの1番上がひっくり返った。

 

 そして同時に上にホログラムが表示される。

 するとホログラムは1を表示した。

「ビンゴ。という事で君のこのナイフ達は没収だ」

 賭がそう言うと腕が動けるようになった。

 

「次は君は何を賭ける?」

 次もナイフ。それも5本ある内の一本だけだ。

 

 ゆっくりと掛けていけば……この数だけじゃ物足りないけど無いよりはマシだ!

 そしてナイフを一本取り出すと

「まだ持ってるんだろ?」

 バレていた。

「男ならもっと強気に出ようぜぇ〜?」

 見え見えの煽り文句だった。

 

 俺は正直ムカッとした。

 俺は煽り耐性は無いのかもしれないな。

「ダメ!時雨。そいつの挑発にノっちゃダメ!」

 そんな声が聞こえたが俺の手はもう止まらなかった。

 

 そして俺は全てのナイフを取り出して投げ捨てた。

「これで全部だ。俺はこれを賭ける」

 

 俺は圧倒的にアホだ。どうしようもなく馬鹿だ。見え見えの挑発にノってしまうなんて……。

「でも……やってやるぜ男、時雨 京哉。いざ参る!」

 

 そう言うとナイフが全て瞬間移動した。

「それでいい」

 そして指パッチンをしてまたシャッフルする賭

 

「先攻どうぞ?」

 こいつは本当に強い。当てずっぽうで13分の1を当ててしまうのだから。

 だが、

「お前に勝つ!」

 


 

side裕太

 

 初勝利。それはたとえまぐれだったとしても俺の精神を落ち着かせるのに十分過ぎる材料だった。

 

 落ち着け俺。さっきまで俺は連敗続きでどうかしてたんだ。

 今考えてみれば自分の命を諦めるってどうかしてる。

 だから冷静になるんだ。冷静に……冷静に……。

 

 今、どうしてこいつは間違えたんだ?今まで合ってたと言うのに……。

 

 まるで物が変わったように……。変わった?

 

 もしかしてこいつだけが分かる目印なんかが使ってるうちに変わってしまったという事か?

 

 だけど見てみても何もおかしい事は何も無い。

「次だな」

 そうして俺はまたトランプ選びをする。

 

 まだ分からない。どういう目印なのか。

 トランプも新品みたいに綺麗だし……

 

 そしてトランプの側面を触ってみるとザラついた。

 他のやつも触ってみるとそれぞれザラつき方が違った。

 

 これが?いやいや、これは触ってみないと分からないんだぞ。それを目印になんて……。でも……もしもだ。こいつがミクロ単位の小ささのものをあの位置から見ることが出来るくらいの視力の持ち主だったとしたら……試してみる価値はありそうだな。

 

 そして俺はバレないように一枚のトランプの側面を爪で沿うように引っ掻いてみて手のひらに乗せて向ける。

「もうさっきみたいな事は起こらないぞ?」

 

 そしてマジマジとトランプを見る仮面の男。

 何時になく慎重に見ている。先程間違えたせいでこいつの慎重さに拍車がかかったようだ。

「そうか……分かったぞ。そのトランプの数字が」

 ゴクリと俺は生唾を飲む。

 額から冷や汗が頬を伝って顎まで到達し、そこから落ちる。

 その雫が床に落ちると同時に奴も声を発した。

「そいつぁ3だ」

 とトランプを指さしながら奴は言った。

 

 そして俺はなんの躊躇いもなく裏返してテーブルに置くとそのトランプは

「4だぜ」

 俺は胸をなで下ろした。

 

 そして仮面の男は表情が見えないから分かんないが恐らく苦虫を噛み潰したような表情をしている事だろう。

 

(この小僧。俺の領域にどんどん踏み込んできやがる。しかも二回もこの小僧は俺に外させた。……まさかこの小僧、あのトリックに気がついて……いや、あの安心したような表情はトリックを暴いた時の得意げな顔じゃない。まさか気づいてない?だが、何故……。そうか……カードを使ってる内に擦れて……まぁいい。この位の誤差なら許容範囲内。この小僧では当てることは出来んよ)

 

 次は奴がシャッフルする番だ。

 何とか外させることが出来たがかなりいい結果なのは確かだ。何とかしなければ

「さぁどうぞ」

 確かにいい結果なため奴も強気。これは難しいな。

 

 ここは強気に出るべきか……でも誤差が大きすぎたらそれこそダメだ。もう後が無いんだから。

 でも

「3だ」

 俺は戦う!みんなの期待に答えるために!

 

 そして仮面の男が裏返すと何と2だった。

 誤差1同士。同点だ。

「デュースだ。初めてだよ。4回目まで行ったのは」

 でもこれで……次で本当に最後の戦いになることだろう。

 

「じゃあ行くぞ」

 とシャッフルする仮面の男。

 

 差し出されたトランプを見る。

 

 俺はどのカードか分からない。だけど……

「Kだ!」

 俺は1番端の数字を選んだ。

 

「今までのお前らしからぬ強気さじゃないか」

 そして仮面の男はトランプを裏返した。

 

 そのトランプを見ると俺は絶句した。

「残念だったな。答えは……2だ」

 

 12も違うという過去最低の記録だ。

 流石にこれより下は出そうと思っても出ねぇだろ。

「な、なぁ、ひ、引き分けで」

「この有利な状況でそんな話、飲むわけねぇだろ」

 一蹴されてしまった。

 そりゃそうだ。俺だってこの状況で飲むわけがない。

 

「良いからさっさと選んで出せ!そして散れ!」

 

「良いんだな?本当に」

 揺さぶりかける作戦だ。

 

 だが、

「良いからさっさと出せ!」

 

 絶体絶命のピンチ。だが、今の裕太の背後に勝利の女神が立っているのは賭も彼自身も気がついていなかった。

 


 

side京哉

 

「5だ」

 俺は5を選んだ。

 

 そしてホログラムが映した数字は5だ。

「くっ。逆境に強いタイプか……」

 そしてまたトランプが混ざり、賭が選ぶ番になった。

「くぅ……これは……7だ」

 そしてホログラムが映し出したのは6だった。

 

 とりあえず一勝。

 

「ふっ。ここまでは想定内だ」

 そして胸を押さえる賭。

「俺は命を賭ける」

 命を賭けた賭。

 

 今までとは気迫が変わった。

「まずはお前からだ」

 と俺の方に手を指す。

 

 分かってるさ。これに勝てば勝てる。

 

 そう思うと上手く喋られなくなる。

 

 だが、

「5だ」

 また5を選んだ。

 

 そしてホログラムが映し出したのは1だった。

 

 しくった。

「この回は頂いた」

 そして賭の言う通りに

 

「4だ」

 ホログラムも4

 

 ドンピシャで当ててきてオーバーキルされた気分だぜ。

 

 そして俺はナイフも失ってあとはもちろん。

「俺も命をかけるぜ」

 カッコつけたが命をかけるのは正直怖いもので足が動くのなら震えるくらいだ。正直、裕太を尊敬する。

 

「最後だ」

 


 

side裕太

 

 俺は最後となる勝負のトランプを選ぶ。

 

 もう勝てないと分かっていても足掻いてみせる。俺の仲間ならみんなそう言うと思う。

 だから俺も足掻いてやる。

 

 そして俺が勝つにはAかKを出すしかないということは奴も分かってるはずだ。

 そして奴の癖としては恐らく3~J(ジャック)の間で選べば勝てるものをわざわざ圧倒的な力を見せつけて勝とうとする癖がある。

 

 だから奴が選ぶのはAかKだ。

 

 そして俺が次に出すのは……。

 そしてAとKを手に取ったその時、手を滑らせてカードを落としてしまった。

 

 それを慌てて取ろうとした時、カードを手で潰してしまった。

 それも2つとも同じ形にだ。

 

 この時から既に女神のイタズラが始まっていたのだろう。

 そしてそのカードから1枚選んで出す。

 

「折れてしまったか……まぁ、問題ない」

 そして仮面の男はカードをマジマジと見る。

 

 すると目を見開いて驚いた。

(ない!ない!ない!あの跡がない!どういうことだ。カードに付けた傷が……まさかあの小僧が落とした拍子に擦れてしまって跡が削れてなくなってしまったのか?こうなってしまってはもう単なる運ゲーでしか無い。ここで3~Jを出せば必ず勝てる。だけどそれは俺のポリシーに反する。ならここは)

 

「Aだ!」

 予想通りどちらかの片方を選んできた。

 

 俺は涙が込み上げてきた。

「な、なんだ。どうしたんだ」

 これは悔し涙ではない。

 

 そう。これは

「ありがとうございます!」

 そう言いながら裏返すと

「んな!」

 Kだった。

 

 そう。これは嬉し涙だった。

「お前の敗因はその欲だ。相手を精神的に追い込みたいという欲が今回の敗北を招いたんだぜ」

 この敗北はお前が招いたんだと言う現実を突きつけるように嬉しさを抑えて俺は重い口調で言う。

 

「お前は負けたのだ」

 そう言うと目の前の仮面の男は悲鳴を上げながら蒸発して行った。

 

 そして俺の視界も真っ黒になった。

 


 

side京哉

 

 俺が考えていると急に

「ぐっ」

 と賭が苦しみ出した。

 

「ふん。何故だか知らないが苦しそうだな賭」

 俺はさっきの事を根に持って煽るような口調で言う。

 

「もしかして空頼君。勝ったの?」

 

 そして俺は勝負師(嘘)として恥じない回答をしようと俺は選ぶ。

「Kだ」

 そう言うとホログラムが映し出したのは……。

「んな!?」

 賭が驚き、賭と最初戦ってた女の子は絶句していた。

 

 そして俺は無言で心の中でガッツポーズをした。

「そんなバぁカぁなぁァァっ!」

 Kだった。

 

「お前の負けだ賭。お前はもう賭けてるんだぜ。己の生命(いのち)というチップをな」

 俺は指を指しながら言った。

 

「あ、あぁぁぁっ!」

 

 だが、こいつが当てれば同点だ。

 

 しかし

「当たるわけねぇよ……そんな簡単に」

 なんぼ運が良くてもこれを当てるのは至難の業。だからさっき外したのだ。

 傷を付けても俺と奴の間は10m位開いているのだ。このど真ん中にあるトランプだった。見える訳ない。だからこそのこのホログラムなんだ。

 

「くっ。10……」

 賭が言うとホログラムが9を映し出した。

 

 その瞬間、賭の頭上に鉄骨が出現した。

 必死に足を動かそうとしてるようだが動かないようだ。

「お前は……」

 その瞬間、鉄骨が上を向いている彼の顔目掛けて落ちていく。

 

 そして

「負けたのだ」

 そして思いっきり顔に当たって仮面が割れた。

 

 そして素顔が見える状態になった後、留めを指すかのように次々と鉄骨が落ちてきた。

 そしてそれが次々に当たり、賭が見るも無残な姿になった。

 

「あばよ。賭よ」

 そして俺は戦いから開放されたという安心感からか死んだように倒れ込んだ。

 


 

「ほう……あの二人も倒したか……まぁいい。僕が叩き潰してやるよ。チームトワイライト最強の能力者、コードネーム『漠』がな」




 はい!第66話終了



 次回の東方魂愛想は?

「みんな無事で良かった……」

「安心してばかりも居られないよ。漠がいつ動き出すか分からないんだから」

「だな。もっと力を付けないと」

「その前に人員を確保しないと」
 人員確保の候補に上がった人達とは!?

 次回、第67話『人員確保 その1』



 それでは!

 さようなら

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