東方魂愛想   作:ミズヤ

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 はい!どうもみなさん!ミズヤです



 それでは前回のあらすじ

 漠に刺されて倒れた裕太。

 それを見て(いか)る妖夢と彩。

 そして理華は謎の声の主の力を借りて最後の扉を開けることに成功。

 しかし、それによって裕太は昔と同じ考え方になってしまったと歩美と京哉は語る。

 しかし京哉と彩のお陰で少しは元に戻ることに成功した。

 果たして裕太は漠に勝てるのだろうか?

「お前は俺が裁く」



 それではどうぞ!


第73話 最後の一撃(ファイナルアタック)

side裕太

 

「そうか。いい意気込みだな」

 

 さっき急に色々な感情が流れ込んできて一時は人間不信になったが、京哉のお陰で目が覚めた。

 

 そしてその時にこの刀の使い方も分かった。

 

 これは名前の通り、空間を斬れる刀だ。

 

 空間を斬るとその空間を埋めようと周りの物を吸い込んで閉じる。

 それがこの刀の能力。

 

 これを見た漠ももうそう簡単に砂になることは出来ないだろう。

 砂になった瞬間、俺は砂を吸い込んで回復できなくしてやる。

 

 それを分かっているからこそ、今の奴になら……今の颯人になら攻撃が当たる。

「さぁて裕太……だったな?僕が砂になれないと何も出来ないと思うなよ?」

 ああ、分かっているさ。

 

 砂にならなくとも砂を操れる。

 

 全ての砂を吸い込みきることは不可能だからそっちを無効化することは出来ない。

 だが、さっきの手だったらもう対処法は分かっている。

 

「まず小手調べだな」

 そして刀を持って走る。

 

 そして颯人の目の前で刀を振る。

 しかしその刀は砂で出来た刀によって防がれてしまった。

「砂はな粒が小さい分、色々な形状に変形できるんだ」

 奴の砂の能力も俺の空間の能力と同じように便利な能力らしい。

 そんじゃ、勝負だ。俺の空間の能力と奴の砂を操る能力。どっちが強いかのな!

 

 そして俺は漠の背後に瞬間移動する。

 

 そして背後から斬りかかると頭上から無数の砂で出来た槍が降ってきてこれは防御しないと死ぬと直感し、俺は槍を刀で弾く。

 

 すると無防御になった胴体に思いっきり蹴りを入れられて10mほど吹っ飛んだところで地面に刀を刺して止まる。

 

 これは力もだが奴の戦略も相当だ。

 最近来た俺なんか及ばないほどの戦いの慣れっぷり。

 戦いの(れき)の違いで戦術の幅が全く違う。

 

 能力を使い慣れていやがる。俺なんかじゃ到底及ばないほど。

 敵ながらアッパレと言うのはこういう事を言うのだろうな。

 

「タイマンを申し込んだのお前だ。もう少し頑張ってくれよ?」

 と言って刀を杖替わりにして立っている俺の髪を掴んで頭を持ち上げる。 

 

「裕太。お前は弱」

 そして俺の目を見た瞬間、颯人がふらついて俺を離してしまう。

 チャンスは今しかない!

 

 そう思って俺は颯人に回し蹴りを加える。

 そして回し蹴りによって吹っ飛ばされた漠に霊力斬を放つ。

 

「こりゃまずいな」

 そう言って砂で手を作った。

 

 やっぱりあれは霊力斬も無効化してしまうのか。

 

「なら空間斬!」

 そう言って俺は空間を斬る。

 

 奴が空中に居る今なら吸い込みきれなくとも引き寄せることは出来るはずだ。

 そしたら予想通りこっちに飛んできた。

 

「サンドソード!」

 そして颯人は砂で刀を作り出して勢いを利用して斬りこんできた。

 それを刀で受け止めるが、勢いも相まって思い一撃となってどんどんと押されていく。

 

 このままじゃまずいと判断して咄嗟に横飛びをして颯人の斬撃を回避する。

 やっぱりあいつは戦いに慣れている。ここまで上手く相手の技を利用するとは

 

「お前と僕とじゃ経験が違うんだ」

 確かに凄い。だけど俺だって

「これまで何度も苦しい場面を乗り越えてきたんだ!」

 

 斬の時だって仲間が居たから俺は戦えた。狂の時も妖夢が居たから戦う勇気を得れた。

 路異怒だって京哉と忍冬が居たからこそ殺られずに済んだ。

 女郎蜘蛛の時だって忍冬が居なかったら俺はあのまま女郎蜘蛛の養分となっていただろう。

 そして薬と路異怒がいっぺんに攻めてきた時だってそうだ。

 俺はいつも仲間に支えられて戦ってきたんだ。

 

 一人で戦うには限界がある。

 

 いつも仲間に支えられてきたからこそ俺は仲間の大切さを知っている。

 だから

「今回も助けてもらうぞ。みんな!」

 そう言って刀に霊力を込める。

 

「所詮お前はタイマンなんか出来ない。仲間が居ないと何も出来ないんだ」

 そしてついに刀に霊力が充満し、刀身が虹色に光出した。

 

 そしてその霊力は外にも漏れだし、髪がふわっと浮いた。

「空頼君!目の色が金から銀に変わってる」

 そんな声が背後から聞こえるが俺にはなんて言ってるのかハッキリとは聞こえなかった。

 

 重要なのはこいつを倒せばみんなを救えるって事だ。

 

 みんなが俺をどう思ってようがどうでもいい。俺の事を心の中で(さげす)んでいたって別に構わない。

 俺はこいつらが大切だ。大切なのは俺がどう思っているかだ。

 その逆はどうだっていい。

 

 俺のみんなへの思いが俺自身を強くする。

『応援してるよ裕太君』

 理華がそう言ってくれる。

 応援してくれてるならやらなくちゃな。

 

「さぁてここからが本当の勝負だ」

 そう言って俺は走る。

 

 俺が走った後はスケートリンクになっていた。

「こ、これは!?」

 

「氷符《凍えるフィールド(スケートリンク)》」

 俺以外がこの氷の上に立ったら滑るが俺は滑らない。

 

「ふん。滑るならば砂を撒いてしまえばいい」

 そう言って砂を巻き上げる颯人。しかしそれを空間斬で全て吸い込む。

 俺が撒くのをただ見て黙ってると思っていたのか?

 

 確かに砂を巻けば滑り止めになる。だが、それをさせなければ良いだけの話だ。

「なら飛べば良い」

 そして飛び上がる颯人。

 

 飛べばいい。早計な判断だな。

「冷凍《アイシクルロード》」

 そして颯人に向けて一直線に凍らす。

 

「くそ!砂漠《デザートタイフーン》」

 すると颯人の腕から砂が渦を巻いてこっちに飛んできた。

 それと俺の技がぶつかり合って押し合う。

 

「俺のデザートタイフーンは破壊の技だ。幾ら凍らせても破壊してしまうぞ」

 確かにそれじゃ俺のアイシクルロードじゃ勝てないだろう。

 そしてこっちに意識を向けているから空間斬で砂を吸い込む暇すらもない。

 

「空頼君!」

 

[いけぇ!裕太(さん)(君)(お兄ちゃん)]

 みんなのエールが聞こえる。

 

 負けられねぇよな。

 

 そして出力を止めてバックステップで砂を回避したあと、ジャンプして颯人に向かっていく。

 

「最後の一撃に全てを込める!」

 そして虹色に光る刀で斬りかかる。

 

 それを颯人は砂の刀で受け止める。

「負けるものか。貴様みたいな小僧に」

 こいつ自身の力の強さもあるが、上から押さえつけられていることも相まって思い。

 こうなったら魔理沙見たいに霊力を逆噴射して勢いを付ける。

 

「ぐっ」

 奴もさっきのでだいぶ霊力を使ったのだろう。

 だがそう言う俺も結構ギリギリだったりする。

「俺は……全てを守るんだァァァっ!」

『行くよ!』

 すると俺の中に新たな霊力が流れ込んできた。

 

 そう。理華のだ。

 

 ったく……。俺は本当にいい仲間を持ったな。

 すると突然ミシミシと言うヒビが入る音が聞こえた。

 驚いて俺の刀を見てみるがなんともない。という事は

「な、なにぃぃッ!」

 その瞬間、颯人の刀が完全に折れて俺の刀は颯人の刀を突き抜けて奴の胴体を真っ二つに斬った。

「ぐぉぉっ!こ、これが……お前ら……の力……」

 そして力なく地面に落ちていった。

 

 その様子を俺は上空から見下ろす。

「テメェの敗因は俺達の力を甘く見た事だ。そして端から俺達を敵に回したことが間違えだ」

 言い終えたあと俺がフラフラと落ちると忍冬が支えてくれた。

「ありがとうな」

 

「お疲れ様。空頼君……いや、相棒『空頼 裕太』君」

 その時に忍冬が見せた笑顔は今までで一番の笑みだった。




 はい!第73話終了



 次回の東方魂愛想は?

 次回、最終回。

「本当にお疲れ様空頼君」

「俺は……勝ったんだ!」

「さあ、みんな!今日は宴会よ!」

「あなたは黒!有罪です」

「言葉なんか要らねぇよ」

「俺がそうしたいからした。それだけじゃダメなのか?」

「裕太君は今までで沢山の人を救ってきたよね?でもただ一人だけ救われてないよね」

「妖夢。俺と」

 次回、第最終話『未来(あす)へ』



 それでは!

 さようなら

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