東方魂愛想   作:ミズヤ

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 はい!どうもみなさん!ミズヤです

 ついにこの小説も最終回ですね。

 最終回という事で今日は二本立てです。

 午後7時にはエピローグを投稿しますのでお楽しみに



 それでは前回のあらすじ

 みんなへの思いを力に変えてさらにパワーアップした裕太。

 そして皆からのエールに後押しされてついに颯人を撃破した裕太。

 さあ、ついに最終回が始まる!



 それではどうぞ!


第最終話 未来(あす)

side裕太

 

 ついに決着が着いた。

 

 颯人を……漠をついに倒したんだ。

 

 そして忍冬に支えられながら地上に降り立つ。

「本当にお疲れ様空頼君」

 もう何度目か分からない労いの言葉を投げかけてくる忍冬。

 

 そういう事に慣れていなくて俺は照れてしまう。

 

 さっきまでアドレナリンが大量に出てた為、痛みが感じなかったが、冷静に考えられる状況になると体のあちこちが痛い。

 

「ねぇ空頼君」

 ふと忍冬に呼ばれた。

 

「なんだ?」

 

「ありがとう」

 その言葉に俺は何も言わない。

 言葉なんか要らないと、そう感じたからだ。

 

「お兄ちゃん!」

 みんなの所に行くと真っ先に歩美が抱きついてきた。

 そしてその歩美を優しく撫でる。

 

「やっと終わったんだな」

 

「ああ、」

 京哉と固い握手を交わして妖夢を探す。

「あれ?妖夢は?」

 と聞くと霊夢に支えられて出てきた。

 

 ボロボロになっていた。

 気を失う前はそんなにボロボロになってなかったはずなのに……。

「空頼君の為に一番怒ったのは魂魄なんだよ。いやー。愛されてるね空頼君」

 そうか。

 

「ありがとな。妖夢」

 そして俺は下手くそな笑みを浮かべる。

 

 笑う事を忘れてしまってもう暫く笑っていなかったから久々の笑いだった。

「ぷっ。何その笑い」

 横で吹き出してる奴がいる。

 だが、自分でも下手くそだとわかっているため何も言わない。

 

「はい!でも本当にあなたは無茶をし過ぎです。結局私との約束は最後まで守ってくれませんでしたね」

 妖夢との約束、無茶はしないと言う約束は守らなかった。

 無茶をするなと言われても無理な話だ。

 

 俺にはみんなが大切で宝物だからな。

『裕太君。ついにやったね』

 先程まで一言も話さなかった理華が突然口を開いた。

 

 でも勝てたのは理華のお陰だ。

「俺は……勝ったんだ!」

 そして改めて勝利宣言をする。

 

 誰か一人でも途中で欠けたら()しえなかった事だ。

「さあ、みんな!今日は宴会よ!」

 と大声で俺たちに向かって言う霊夢。

 

 宴会か……。面白そうだな。

 

「よし、やるか宴会!博麗神社で」

 宴会をすると言って居るが俺は疲れた。

 今にも瞼が閉じそうだ。

 

 俺の霊力が底を尽きてさらに理華から霊力を受け取って勝てた。

 つまり貧霊力という訳だな。

 

「裕太さん。疲れてるとは思いますが一緒に飲みませんか?」

「いや、俺は未成ね……なんでもありません」

 俺が未成年と言いかけた時、みんなが不思議そうな顔をしているのを見て法が無いことを思い出した。

 

 まぁいいか。付き合ってやろう。

 

「よし!行くか」

 そして博麗神社に向かった。

 


 

side三人称

 

 幻想郷の奥深く。

 

 そこは地獄と呼ばれている場所だった。

 

 そこに一人の男がやってきた。

「ここは……どこだ?」

 男は辺りを見回してそう呟く。

 

 するとそこに足音が近づいてきて男は警戒する。

 

「やっと来ましたね」

 緑髪で王冠っぽい形の帽子を被ってる女の子だった。

 

「貴様は誰だ」

 

「私は閻魔をしています。四季(しき) 映姫(えいき)と申します。ようこそ出威瀬(でいらい) 颯人(はやと)さん」

 閻魔という事を聞いて驚く颯人。

 

「ていう事はここは地獄か」

 そして颯人はくくくと笑った。

「それで、何しに来た」

 

「私はあなたに判決を下しに来ました」

 映姫の能力は『白黒つける程度の能力』。判決を下すのは造作もない事だった。

「あなたは黒!有罪です」

 

「そうか……ならお前を倒してこの地獄をしは……い」

 なんと颯人の足に亡霊の手がしがみついて颯人を引きずり込もうとした。

「くそ!離せ!」

 

「それがあなたの罪の証拠。さぁ、大人しく地獄に行きなさい!」

 

「チクショォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ」

 そして颯人は完全に引きずり込まれてしまった。

 

「空頼……裕太。本当によく頑張ってくれました」

 そして映姫は名簿を1ページ捲る。

「忍冬 彩……。あなたも何人も殺しました」

 そして死亡リストに名前を書こうとすると腕が止まった。

 そして何も書かないでそのまま死亡リストと名簿を閉じた。

 

「あとはあなた次第ですよ。空頼 裕太」

 


 

side裕太

 

 俺達は博麗神社に来て宴会をしていた。

 

 抵抗の能力でアルコールが効かないことは予測済みだったため予想が的中。

 

「ねぇ、ゆうらしゃーん」

 だが俺の隣の白髪剣士は完全に出来上がってしまっている。

「わらひたちのどっひをとるろー」

 そして反対側にいるバーカーサーも完全に出来上がってしまってめんどくさい事になっている。

 

「裕太。モテモテだな」

 うるせぇ。

 

 俺の膝の上で寝ている金髪吸血鬼のせいで両手に花でも気を抜けない状況になっている。

 なぜならお姉様の方が真後ろでグングニルを構えているからだ。

「そもそもゆうらひゃんは可愛い女の子のフラグを立てすぎなんでひゅよー」

 フラグを立てた覚えは無いがこの状況で言っても説得力が無いだろうな。

 

 そんな感じで俺達の宴会は膜を閉じた。

 

 被害は俺の頬を少しだけグングニルがかすっただけで済んだ。

 


 

 そして夜中。

 

 俺達は会場内で雑魚寝をしていた。

 

 左右にフランと妖夢が居て俺の頭上にグングニルが刺さっていた。

 あと少しズレていたら俺に直撃だった事を想像してゾッとする。

 

 そして周りを見てみると忍冬が居ないことに気がついた。

「忍冬の奴……一体どこに?」

 その時、俺の脳裏に一つの言葉が浮かんだ。

『それが私の罪滅ぼしだから』

 まさか別れも言わず行っちまったのか?

 

 そんなの許さねぇぞ。

 どちらにせよ俺は許さん。

 

 そして直ぐにマイスペースを極限まで広げて忍冬の霊力を探す。

 だけどどこにも忍冬の霊力は感じなかった。

 

「もしかしてもう忍冬は……」

 だけど俺は諦めない。

 

「待ってろよ忍冬」

 小声でそう呟いてから瞬間移動をする。

 

 そして瞬間移動をした先でまたマイスペースを極限まで広げて忍冬の霊力を探す。

 見つからなかったらまた瞬間の繰り返しをした。

 

 そしてついに

「はぁ……はぁ……見つけたぞ忍冬」

 ついに忍冬を見つけた。

 

 その場所は博麗神社からかなり離れた山の崖だった。

 

「良く探し出せたね。ここ、君のマイスペースの限界直径の3倍位の距離なんだけど?」

 

「この世界に召喚された勇者様を甘く見るんじゃない」

 そう堂々と言い放った。

「で、何しに来たの?」

 

「それはこっちのセリフだ。何故こんな所にいる。まさか一人で寂しく逝く気だったとかじゃないよな」

 すると忍冬は俯いてしまった。

 

 やはりな。

「忍冬。戻ってこい。こっちに」

 しかし帰ってきたのは「ダメだよ」と言う俺が妖夢に言い放った言葉と同じ言葉だった。

 それだけで忍冬の強い意志を感じる。

 

「じゃあね。勇者君♪」

 そう言って後ろを向いたまま飛び降りた。

 あいつ、飛ぶ気ゼロだ。

 

 このままだと落下死する。

 そん考えている間に、体は勝手に動いて居た。

 

 そして俺も崖から飛び降りる。

 

 だが、それだけでは忍冬に追いつけない。

 

 だから俺は更に霊力を放って加速する。

「何やってるの!?」

 

「何やってるの!?だと?それはこっちの台詞だ!」

 そして俺は忍冬の手を取ってお姫様抱っこの形で抱き抱える。

「離せ離せ!」

 と胸を叩いてくる忍冬だが全然力が籠ってなくて痛くない。

 

「《瞬間移動》」

 そして崖上に瞬間移動する。

「なんで……どうして」

 

「言葉なんか要らねぇよ」

 俺がそう言うと忍冬は頭に?を浮かべた。

 

「俺がそうしたいからした。それだけじゃダメなのか?」

 そう言うと俺の胸を叩く手が止まった。

「死ねば罪滅ぼしになると考えるならそれは間違えだ」

 そして諭すような口調で続ける。

「もし、今までで殺してきた人達に少しでも罪を感じるならその人達の分まで生きろ。死ぬのは逃げだ。生きて生きて生きまくって、そんでもって困っている人が居たりしたら助ける。これがお前に課せられた罪滅ぼしだと、俺はそう思うんだ」

 

 少しの間が空いた。

 

 そして(やが)て忍冬は口を開いた。

「生きてても……良いの?」

「ああ」

 俺はその問いに即答した。

 

「はぁ……もう死ぬ気も失せちゃった」

 その言葉を聞いて安心して地面に立たせる。

 

「裕太君には叶わないや」

 

「え?なんで急に名前呼びになったの?」

 

「そんなことどうでもいいでしょ?」

 いや、俺的にはすごく気になります。

 

「裕太君は今までで沢山の人を救ってきたよね?でもただ一人だけ救われてないよね」

 そう言って俺から数歩進んだ先で止まって振り返ってきた。

「いつも皆の事を救ってばかりで裕太君は自分を犠牲にする」

 そして手を引いてきた。

 

「戻ろう?みんなの所へ」

 救われたい……のか?俺は、この呪縛から逃れたいのか。

 

 そして博麗神社に着く頃にはもう日が登っていた。

 


 

side妖夢

 

 う、うーん……。ここは?

 

 そうか……博麗神社で寝て……

 

 そして起き上がってみると二人ほど見当たらなかった。

 裕太さんと彩さんだった。

 

 そして起き上がって外を見てみると二人が手を繋いで飛んできているのが見えた。

 

 もしかして二人って……。と言う考えが頭を()ぎる。

 

「おーい!妖夢!」

 ふと裕太さんが私を呼んできました。

 

「なんですか?」

 

「ただいま」

 と微笑みかけてきました。

「お、帰りなさい……」

 私は振られたんだ。もう。だから良い。裕太さんが誰とどんな関係になろうと

 

「よし。んじゃ紹介するよ」

 そう言って彩さんを前に出す裕太。

 もしかして彼女紹介?

「こいつが正式に仲間になった忍冬 彩だ」

 

 え?

 彼女紹介じゃないの?

「いやー。本当は死ぬつもりだったんだけど裕太君に捕まっちゃって」

 裕太君(・・・)!?

 凄い親しくなってる!?

 

「それじゃ、頑張ってね」

 と言って彩さんは神社の中に入っていった。

「いや!まだはや……ってもう居ないし……」

 そして裕太さんは「やれやれ」と言って

「んじゃちょっと話をしないか?ちょっと日差し強いからそこの木の下で」

 そう言われて着いて行った。

 

「なぁ妖夢。ありがとな」

 またお礼を言ってきました。

「そんな……お礼なんて」

「でも俺は嬉しかったんだ」

 間髪入れずにそう言ってきました。

 

「俺は妖夢に好きって言われた時も嬉しかったんだ」

 そんな事を言われて顔が熱くなる。

「でもあの時は自分を犠牲にしてでも戦う気だったから返事を言えなかったんだ」

 あのダメだってそういう意味を持っていたんだ……。

 

「だけど戦ってるうちに気が変わった。どうしても勝ちたいって気持ちが強くなった」

 そして裕太さんは私の方を向き直ってこう言いました。

 

「俺が踏みとどまったのは妖夢のお陰でもある」

 そして拳を握りしめて裕太さんは続けた。

「まだ俺は人を信じていいのか。そう言う疑心暗鬼感はある。だけど、もし俺の事が本当に好きならば」

 そして照れくさそうにして一瞬顔を背けましたが直ぐにこちらを向き直ってこう言いました。

「俺と……じゃ釣り合わないかもしれないが……それでもいいと言うなら俺と付き合ってくれ」

 と手を差し出してきました。

 

 自然と涙が溢れて止まりません。

「お、おい。や、やっぱ嫌だったか?」

 不安そうに聞いてくるけど私は直ぐに首を振ってこう言いました。

「こちらこそ喜んで」

 

 この日、また一組のカップルが誕生した。

 

 この後、紫様が帰るかどうかと聞きましたが裕太さんはハッキリとこう言いました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「俺は帰らないし帰りたいとも思わない。もう何も信用出来ないからな……この世界以外は(・・・・・・・)




 はい!第最終話終了

 ついに最終話迎えましたね。

 なんて言うか、まだ裕太の闇は解決してないんですが裕太がそれでいいならいいことにしましょう。

 最近は週一投稿で約1年と5ヶ月かかりました。

 次はエピローグです。

 今日の夜7時に投稿されるのでお楽しみに!

 それでは!

 さようなら

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