ソードアート・オンライン~エグゼイド・クロニクル~   作:マイン

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話題の映画「レディプレイヤー1」を見てきましたけど…ただ一言、凄かったです!
スケールのデカいSAOみたいなものかと思っていたらそれ以上にストーリーが深く、何より登場する既存のキャラクターたちが見覚えのあるのが多数あって壮大なお祭り映画として楽しめましたね。
地味にキリトと茅場の中の人が吹き替えやってるのでSAOシリーズが好きな人も楽しめると思います。…というより、茅場や須郷を思わせる登場人物もいるので案外意識しているのでは…?と思ったり

ところで、映画のどこかに江ノ島が登場していると聞いて一通り探してみたんだけど…それっぽい人は見つけたけどハッキリとは分からなかったよ…。皆さん見つけました?


今回よりプログレッシブ編のストーリーが始まります。でもストーリーを手早く進めたいので二層はカットして三層からになります。ではどうぞ。


森の中の死闘

 デスゲーム開始から早一ヶ月…SAOの状況は慌ただしく変化していた。第一層フロアボス戦をクリアした翌日、プレイヤー達はその大半が第二層へと順次移動し、次なるボス戦に向け未知のフィールドを駆け巡っていた。その中にはアスナやエギル、グリドンといったフロアボス戦で活躍した実力者たちも居る。

 

 …しかし、その中にディアベルの姿は無かった。彼はボス戦の後、キリトへの疑念や彼の言動に対するフォローの中で、自分がβテスターであったことを打ち明けた。当然、プレイヤー達の多くから非難が殺到したが、今までその先頭に立っていた筈のキバオウがなんとディアベルを擁護する側に回ったことで混乱は中途半端な形で収束した。結果、ディアベルは攻略組から一線を退き、正体を黙っていたペナルティとして当面の間始まりの街で初心者プレイヤーたちの指導を担うという処分が下った。現在はオーナリーたちと共に元気でやっているらしい。

 その後、ディアベルに変わってキバオウと『リンド』というプレイヤーが攻略組のまとめ役となったが、この二人はどうにも反りが合わないらしくそれに釣られるようにプレイヤー達の多くも自然の2つの勢力に分かれ始め、それぞれキバオウ率いる『アインクラッド解放隊』とリンド率いる『ドラゴンナイツ』というギルドもどき(三層に入り次第正式なギルドにする予定らしい)として小競り合いをしつつも攻略を進めていた。ちなみにエギルやグリドンは付き合ってられないとばかりに少数のパーティを逐一組みながら攻略に参加している。

 

 そしてキリトはというと…ビーターの烙印を押されたことで必然的にソロでの攻略を進めていたが、ひょんなことからアスナとパーティを再結成。お互いにキリの良いところまで、という条件の下手を組んだ二人は様々なトラブルに巻き込まれつつも第二層のボスを撃破。そして今…彼らは第三層へと足を踏み入れたのである。

 

 

 

 

 

 

ギィンッ!

(…~ッ、堅ぁ…!)

「貴様ぁ…!」

 アスナの刺突をもろに喰らった筈の『フォレストエルフ』…色白で尖った耳の戦士が苛立たしげに顔を歪ませる。HPゲージが殆ど減っていないところから、どうやらただ怒らせただけに留まってしまったようだ。

 

「…隙ありッ!」

「うちのお姫様に…色目使ってんじゃねえよ!」

「ぬッ!?」

 フォレストエルフの注意がアスナへと向けられたその一瞬に、キリトともう一人…同じく尖った耳ながらも黒い肌の『ダークエルフ』の女戦士が上下から挟み込むように斬撃を刻み込む。

 

ザクザクッ!

「ぬおぁッ…!」

「ラストッ…決めろ、お二人さん!」

「「はぁぁぁぁッ!!」」

 

ズバァンッ!

「ぐあああああッ…!?」

 交錯するようにフォレストエルフの体を貫いたアスナとダークエルフの剣が振り抜かれ、断末魔の叫びと共にフォレストエルフのHPゲージが底を尽きた。

 

 

「…やるな、人族の『つがい』!」

「「つがいじゃないッ!!?」」

 

 

 事の始まりは三層へと上がった直後、主街地にも向かわず一目散に三層に広がる森の中へと入っていったキリトをアスナが追いかけると、その先では2人のエルフ…フォレストエルフとダークエルフが戦闘を行っていた。

 キリト曰く、これはSAO序盤における階層を跨いだ大型クエストの最初のクエストらしく、どちらか片方に肩入れすることでルートが固定されるという。アスナは女性であることから…もっと言えばダークエルフの女性を見るキリトの視線からキリトがβ時代にダークエルフ側についたことを確信し、事前情報があることからより安全な『ダークエルフルート』を選択。…しかし、システムの設定上ダークエルフを犠牲にしなければフォレストエルフを確実に倒せないというキリトの言葉にアスナは納得いかず、その熱意に折れたキリトと共にフォレストエルフを死ぬ気で攻め立て、どうにか紙一重のところでダークエルフを生かしたまま勝利をもぎ取ることができたのであった。

 

 

シュゥゥゥゥ…

「グ…オオ…」

 斬られた跡からポリゴンをまき散らしながら消滅していくフォレストエルフを、キリトとアスナはダークエルフと共に見送る。ダークエルフも含めHPゲージはまだ余裕であったが、明らかな格上の相手との戦いにアスナは元よりキリトも疲労で肩で息をしていた。

 

「ふー…さて、勢いで倒しちまったけど…こっから先はどうなるか俺にも分からないぞ。結局俺もβの時はこいつを倒したことは無かったからな…」

「分かってるわよ、そんなこと…!」

(…とはいえ、『こいつ』を使わずに済んだのはアスナのお陰だな。この先の展開が分からない以上、一日一回きりのこいつを温存できたのは大きい…さあ、どうなる?)

 ポケットの内側に潜ませた『奥の手』を握りながら様子を窺っていると、死に体だったフォレストエルフがこちらを憎々しげに睨みながら譫言のように呟く。

 

「アア…実に、無念だ…。貴様なんぞに、『功』を譲ることになるとは…」

 明らかにキリト達に向けてではないそんな言葉を呟きながら、フォレストエルフは何から草で出来た手のひらほどの大きさの『包み』を取り出す。

 

「それはッ…!?」

 それを見た瞬間殆ど反射で奪い掛かったダークエルフの手が届くよりも早く…

 

 

ビュゥゥゥ…ガッ!

「なッ…!?」

 上空より飛来した大きな鳥が包みを掴んで飛び上がり、いつの間にか木の上にいたもう一人のフォレストエルフの元へと運んでいった。

 

「ご苦労…脳筋の貴方にしては上々な仕事でしたよ。さて、あなた方ダークエルフの持つ『秘鍵』とやら、確かにワタシが預かりましたよ」

「アイツはッ…確か、フォレストエルフの『鷹使い』!さっきの奴と同じエリートモブのNPCだ!存在は知ってたけど俺も初めて見た…」

「そんなこと言ってる場合!?よく分からないけど、アイツも敵なんでしょ?だったら…

!?」

 新たなNPCの出現に身構えるキリトとアスナであったが、突如隣のダークエルフより感じた気迫…『殺気』に思わずたじろぐ。

 

「鷹使い…!そうか、貴様が…貴様かぁッ!!」

(ッ!?これは…殺気!?NPCの!?)

「…はて?どこかでお会いしたでしょうか?ダークエルフとは言え貴方ほどの美人を忘れる筈は…」

 と、指で髪をいじりながら考え込んでいた鷹使いの表情が妖しく歪む。

 

 

「そういえば…貴方方からこれを奪ったときに思わず殺してしまった薬使いと、よく似ていらしますねぇ…!」

「…ッ、貴様ァァァァァァッ!!」

 

ガサガサ…ガサッ!

「義姉さんッ!」

 ダークエルフの怒号を聞きつけたかのように、茂みを掻き分けて大きなオオカミをつれたダークエルフの男が現れる。

 

「こいつは…ダークエルフの『狼使い』!鷹使いと対を成すダークエルフ側のNPCだ!」

「ていうか、今ねえさんって…!?」

「来たか我が義弟よ…!こいつは…」

「分かっている!伝え聞いた情報通り…フォレストエルフの鷹使いッ!我が妻の仇…ここで討たせてもらうッ!!」

「…あ~あ~あ~。折角手早く済ませようとしていたところにイヌ臭いのが来ましたねぇ~…。正直、あなた方に構っている暇は無いのですが、これから付きまとわれるのも面倒なので…ここでまとめて始末させてもらいましょうか」

 

パチンッ!

 鷹使いが指を鳴らすと、木の上に潜んでいたフォレストエルフの伏兵たちが飛び降りてくる。その数は、キリト達のゆうに3倍ほどにもなった。

 

「チッ、雑魚が…貴様らに用は無い!我らが目的は貴様らに奪われし秘鍵…そして、貴様の首だ鷹使いッ!」

 

「え…ちょ、これどうなってるの…?」

 目の前で繰り広げられるどう見ても訳ありな展開について行けないアスナは身構えながらも混乱を隠せずにいた。

 

「さあな…分かってるのは、もう俺達は引き返せないところにまで来ちまったらしいってことだ。俺達は完全に巻き込まれちまったんだよ…彼らの『物語』に。その上で聞くけど…どうするアスナ?」

「どうって…そんなの、決まってるでしょ!」

 キリトの問いに、アスナは答えの代わりに細剣の切っ先を鷹使いに向ける。

 

「事情はよく分からないし、どっちが正しいのかは知らないけど…とりあえず、あのスケベ面が気に入らないわ!見たところあの包みも元はダークエルフさんの物らしいし、とっとと奪い返してシャワー浴びる!今はそれだけよ!」

「…了解。なら、それで行こうか…!」

「…協力してくれるのか?人族のつがい」

「つがいじゃないですって!…そっちの都合は知らないけど、私がアイツをぶちのめしたいだけです!」

「…ふん。なら精々、死なないように気をつけろ。…『今度こそ』、俺が守ってやるからな」

「…?」

 ダークエルフの二人に並び立つキリトとアスナに、鷹使いが憐れむような声をかける。

 

「おやおや…そんな連中に手を貸すなんて、人族はやはり醜い愚か者の集まりのようですねぇ~。ですが…敵対するというのなら、死んでもらうしかありませんねぇ…!」

「ハッ…!そううまくいくかな?確かにおたくらエルフに比べりゃ俺らは貧弱かもしれないけどな、人間にはそいつを補う『可能性』があるんだよ」

「可能性ねぇ…そんなものが人族なんかにあるとは思えませんが…」

「…なら、見せてやるよ。アンタらには決して真似できない俺達の『力』をな…!」

「?」

 怪訝そうに眉をひそめる鷹使いの前で、キリトはポケットからある物を取り出す。

 

「…なに、それ?」

「ふっ…俺のとっておき、さ」

 見慣れないアイテムに首を傾げるアスナにそう言って、キリトは『いつものように』それを起動させる。

 

 

 

 

 

 

『マイティアクションX!』

「大…変身!」

 キリトが手にした物の持ち手付近のスイッチを押すと、それから電子音が鳴り響く。そのまま両腕を大きく左から右へと振るい、かけ声と共にキリトは自身の腹部へとそれ…ガシャットを突き立てた。

 

『ガッチャーン!レベルアーップ! マイティジャンプ!マイティキック!マイティマイティアクションX!』

 キリトの身体に沈み込むように入り込んだガシャットからハイテンションなアナウンスが鳴り響き、同時にガシャットからパーツのようなものが飛び出すとそれらはキリトの肩や膝といった各部にまるで装甲のように装着される。

 

「……!?」

 唖然とするアスナ達の前で、キリトはそれまでの装備に加えて白とピンクを基調にした軽装甲…まるでエグゼイドのスーツの一部を纏ったような姿へと『変身』した。

 

 

 

「…は、はぁあああああああッ!!?ちょ…何よソレぇ!?」

「悪いけど説明は後だ。こいつを使った以上一秒だって惜しいんで…ねッ!」

 混乱するアスナを軽くあしらい、キリトは足に思い切り力を篭め…

 

 

…ドンッ…!

 瞬間、キリトの姿が掻き消える。

 

「ッ!?どこへ…」

 鷹使いが見失ったキリトを探そうとした瞬間

 

 

…ズババババッ!

「何ぃ!?」

 自分の前にいたフォレストエルフの部下達が一瞬の間に悉く切り裂かれていった。

 

「ば、馬鹿な…!」

「…少しは人族のことを見直してくれたか?フォレストエルフさんよ…!」

「!?」

 後ろから聞こえた声に振り返ると、そこにはキリトが自分が持っていたはずの秘鍵の包みをお手玉しながら見下ろしていた。

 

「き、貴様…秘鍵を!」

「こいつは返してもらったぜ。盗みを働くような連中に見下されたくないんでね…っと!」

 

ビュンッ!

 キリトが屈み込んだ次の瞬間、再びキリトの姿が掻き消え、キリトが立っていた木の枝が大きくしなる。

 

「また消えた…!?ど、どこに…」

「ほれ」

「ん…おおッ!?」

 視界の外から伸びた手に驚くダークエルフの女が横を見ると、いつの間にかそこに居たキリトが秘鍵の包みを差し出していた。

 

「大事な物なんだろ?とりあえず取り返してきたぜ」

「あ、ああ…感謝するぞ、人族!」

「…このッ、下等な人族如きが私をコケにしやがって…!」

「…人を虚仮にしておいて自分がされるのは嫌って、ちょっと器が小さいんじゃ無いの?フォレストエルフの鷹使いさん?」

「アスナ…」

「…聞きたいことは山ほどあるけど、とりあえずは置いておいてあげるわ。さっさとこいつらをぶっ飛ばすわよ!」

「…仰せのままに!」

「行くぞ義姉さん、人族の戦士…覚悟しろ、鷹使い!」

「…き、さ、ま、らッ…!全員、殺すッ!!」

「来いよ、ノーコンテニューでクリアしてやるぜ!」

 激昂する鷹使いと共に襲いかかってくるフォレストエルフ達とキリト達との乱戦が始まった。

 




SAO内でのガシャットの扱いですが、基本的にベルトを介さずガイアメモリの直差しのように身体に突き刺すことで使用することが出来ます。その場合フルスキンではなく装甲や武器の一部だけが展開され、半ばコスプレのような見た目になります。ベルトを使わないことによりいくつかの制約やデメリットがありますが、それは後々説明していきます
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