ソードアート・オンライン~エグゼイド・クロニクル~ 作:マイン
ビルドちまちまと見てはいるけれど、ようやくエボルトに一泡吹かせられそうな展開が…!今まで掌の上で踊らされてきた分、スカッと圧倒して欲しいですね。…しかしブラックホールが明らかにエボルの最強フォームっぽいのに、次回で倒しちゃったらあと二ヶ月ちょいどうするんだろ。…ていうか現在4形態ってエボルって歴代悪役ライダーの中でもかなりフォームチェンジが多いですよね。
ではどうぞ
一方その頃、フォレストエルフの野営地では大きく事態が変化していた。
「…ってことは、何か?このエルフクエストが3層のフロアボス攻略に必須っていうのは…」
「全部デ・マ・ダ!というカ、攻略ガイドにはそんなこと書いてなかっただろウ。誰がそんなこと言ったんダ?」
「それは……ああ!思い出したで、あのモルテのアホンダラやないかい!!」
「つーことは…俺達、モルテの奴に良いように誘導されていたってのか?このクエストでプレイヤー同士で殺し合わせる為に…」
「…なんってことだッ!」
互いに罵り合い、今にも一触即発な雰囲気だったDKBとALSであったが、戦闘の最中に高レベルNPC同士の戦闘に紛れ込んでいるアスナに気がつき、その戦いの苛烈さに追い出されるように戦線から一時離脱。そこを見計らってちゃっかり指令書を回収したアルゴが両陣営に今回のクエストの実態を説明、全てが両ギルドを掛け持ちしていたモルテによる仕込みであったことを知ったリンドとキバオウは姿の見えないモルテに怒りを爆発させる。
「確かに、このクエストをクリアした暁にはレアアイテムが報酬をゲットできることは事実ダ…情報の出所は言えないけどナ。だけどナ、だからといってプレイヤー同士で命を奪い合ってまで手に入れなきゃならないモンなワケじゃなイ!…というか、どんな報酬であれプレイヤー同士が殺し合っていい筈がないだロ、このバカチン共!」
「な、なんだと…βテスターのくせに…」
「よせ。…彼女の言うことは尤もだ、俺達にどうこう言う資格はない。…彼女が嘘を言う理由もな」
「ぐぅ…」
「チッ…悪かったわ」
「…なら良し!じゃ、詫び代わりに一つ…これからのエルフクエの進行は全部、キリトとアスナのパーティに一任して欲しい。…そもそも、あの戦いに割って入れるプレイヤーなんてあの二人ぐらいしかいないだろうしナ」
アルゴが示した先では、鷹使いの相手をキズメルとアッシュに任せ、たった今アッシュの狼と共に鷹使いの操る鷹を仕留めたアスナが居る。
「…要するにや、アイツらがエルフクエ進めてる間ワイらは気兼ねなくメインクエスト進めていいってこっちゃろ?まあ、悪い話やないな」
「ああ…だが、その前に一つ聞かせてくれ。何故君たちは…一人足りないが、ああまでこのクエストに拘る?レアアイテムが手に入るとはいえ、余りにもリスクが高いようにしか思えないが…」
リンドの問いに、アルゴはにやりと笑って答える。
「…決まってんダロ。この世界が『ゲーム』だからサ」
「…?」
「茅場晶彦が最初に言った通リ、この世界はゲームであって遊びじゃない。死んだら終わり…現実と何も変わらない。でも、世界のルールは同じでもこの世界そのものは現実じゃない…モンスターがいて、エルフが居て、『物語』がある。そんな世界で攻略にばっかり必死になるのが悪いとは言わないけド…ちょっとぐらいは『物語』に熱中する心の余裕ぐらいないと、クリアまで持たないゼ?そんでオレっちは、そんなヒロインの活躍を特等席で見守ることが出来る…こんな役得、他には無いゼ?」
「……」
「さて、ガラでもなく説教みたいな事しちまったが、オレっちの出る幕はここまでダ。後は、アンタらが決めナ」
「決めるって…何をや?」
「今回オレっちがこうして動いたのは、モルテの行動を未然に察知できなかったことへの尻拭いもあるが、あの二人に頼まれたからダ。どんな事情であれ、プレイヤーが死ぬことは防ぎたいってな。…そういう意味では、アンタらはあの二人にでっかい『借り』ができたワケだ。SAO攻略組の二大ギルドともあろう者どもが、そんな借りを作ったまんまでいいのカナァ~?」
「……」
「…一つ、オレっちは情報屋としての立場に拘って、アンタらの暴走を止められなかっタ。二つ、モルテの企みを事前に見抜けなかっタ。三つ……そんな状況を忘れてアーちゃんの戦う姿に思わず見とれちまった、で良いカ。壮吉のおっちゃんや翔太郎みたいには決まらないもんダナ…」
「?」
唐突に脈絡もないことを言い出したアルゴに首を傾げる一同に、アルゴはウインクしながら問う。
「オレっちはオレっちの罪を数えたゼ。…おたくらはどうする?」
「…どうする、と聞かれてもな」
「そんなもん…決まっとるやろ!」
リンドとキバオウは目配せすると部下達と共に立ち上がり…
「自分の尻は!」
「自分で拭う!」
フォレストエルフとダークエルフ…『双方』の戦いへと割って入った。
「何…!?どういうつもりだリンド殿!」
「キバオウ殿まで…何故邪魔をする!?」
先ほどまで味方だった筈の人間達の突然の行動に両エルフたちが困惑する。
「悪いな、フォレストエルフの諸君。たった今から我々DKB…いや、SAO攻略組はダークエルフ…というより、そちらのお嬢さんがたの味方をすることになった!そのためにも、これ以上あなた方に争われると彼女たちの邪魔になってしまうのだよ」
「ワイらは白いのにも黒いのにも肩入れする気はあらへん!…ただ、あの嬢ちゃんたちのケリがつくまでおどれらには引っ込んどいて貰うで!それが嫌やってんなら…かかってこんかい!」
「き、貴様ら…これだから人族は何を考えているのか分からんのだ…!」
「…あーあ、なんて不器用な連中なんダ。まあいっか…そろそろこっちも決着がつきそうだしナ」
あまりにも強引に膠着状態を創り出したキバオウたちに呆れつつアルゴがアスナたちの方へと視線を向けると…その先では、既に大勢は決していた。
「ぐ…馬鹿、な…!この私が、ダークエルフの屑共風情に…」
「ならば貴様は、その屑以下の存在と言うことだ」
「貴様の『右腕』は貰った。前回は左腕だったな…その腕、どうやって治したのかは知らんが、そちらを残してやったのは情けだ。…貴様が侮った、ダークエルフ風情からのな」
「…ッ、糞がぁッ…!」
鷹使いは今度は右腕を切り飛ばされ、前回喰いちぎった筈の左手で傷口を押さえながら地に伏せさせられている。そんな鷹使いを、キズメルとアッシュは底冷えした目で見下していた。自分たちの愛する者を奪った張本人が、今こうして首筋を晒している。…もはや、やることは一つだけだ。
「キズメル、アッシュ…」
少し離れた場所では、アスナが心配そうにその光景を見守っている。と、そこに
タッタッタ…!
「…っとと、間に合ったっぽい感じ?」
「ああ、どうやらクライマックスにはな…」
「キー坊!Nっち!」
森の方から走ってきたキリトとNが合流する。
「…居ないと思ったら、どこへ行ってたんだお前達?」
「あー…まあ、野暮用?」
「なんやそれ…しっかしおどれら、どんだけイレギュラーなクエストやっとんねん。あないなリアリティのあるNPCなんて始めて見たで」
「俺だって想定外だよ。アスナが頑張った結果さ…ま、この際だ。最後まで見届けようぜ」
もう自分の出る幕はないと判断したキリトは遠巻きに結末を見守ろうとする。
「さあ、これで最後だ…!アッシュ、お前がやれ。お前があの子の仇を討つんだ!」
「…感謝します、義姉上!…鷹使い、我が妻の仇!貴様が踏みにじった全ての命に代わって、貴様に裁きを下してやる!」
「…ふ、くくくくくっ…!」
…しかし、事態は思わぬ方向へと動き出す。
「貴様…何がおかしい?」
「くくっ…可笑しい?違いますよ…我ながら、自分の情けなさに失望してしまいましてね。失笑という奴ですよ」
「ふん、今更しおらしくなったところで許すとでも…」
「勘違いしないでください。…私が情けないと思っているのはあなた方にコケにされたことではなく、人間風情の『力』を借りなければならない事に対してですよ…!」
「…何?」
怪訝そうな顔をするアッシュとキズメル。その二人に鷹使いはどこからか取り出したそれぞれ『紫・黄色・グレー』の色をした『三枚のメダル』を見せつける。
「なんだあれは…メダル?」
「貴様何を…!?」
「くひゃひゃひゃひゃ!さあ…いきますよぉーッ!!」
キズメルが制止する間もなく、鷹使いは三枚のメダルを…飲み込んだ。
ゴクン…!
「…ぐ、ぎッ!?ぎおお…あがぁぁッ…!」
「た、鷹使い殿!?」
「お、おいビーター!アイツ…どないなっとんねん!?」
「んなこと言われたって…俺だって知らねえよ!」
メダルを飲み込むや否や途端に苦しみだした鷹使いに戸惑う皆の前で、それは起きた。
「ぎ…あああああああああッ!!」
『ムカデ!ハチ!アリ!』
鷹使いの悲鳴に紛れてその身体から声が聞こえると同時に、鷹使いの肉体が大量のメダルに覆われるように変質していく。
その頭部はムカデの足を模した襞に覆われ、頭頂部にはムカデの顎のような二叉がそそり立つ。胴体は昆虫のように節くれ、左腕と再生した右腕の先端には蜂の針のような突起があり、背中には羽が生えている。下半身は細身でありながらも頑強で、自重の二倍の重さのものを運べるというアリのような脚をしている。
それはもはや、エルフの姿をしていなかった。そこに居たのは、かつてフォレストエルフの鷹使いであったはずの…欲望の怪物、『グリード』であった。
「ば…化け物ぉ!?」
「化け物…違う、私は…いいや、今の俺は『ダーマス』!散々コケにしてくれた礼、たっぷりと返させて貰うぞッ!!」
…同時刻、野営地から少し離れた丘の上からPohとモルテもこの事態を目にしていた。
「…おい、モルテ。なんだありゃ…?」
ゲームの知識に疎い自分であっても異常としか思えない鷹使いの変貌にPohがモルテに問いかける。
「…数年前、日本のある地方都市で起きた『街がメダルに変えられた事件』をご存じですか?」
「ああ?…ああ、そういやネットでそんな噂があったな。日本のどっかで謎の化け物が次々と現れて、最後には街の大部分がメダルに変えられたとかいう…まさか、それもテメエらの仕業だってのか?」
「とんでもない、その件に関しては我々は関与していません。…まあ、事態の中心にあった『鴻上ファウンデーション』には秘密裏に資金援助をしていたので無関係とは言い切れませんが。…その対価として、鴻上ファウンデーションが研究していた『オーメダル』というものに関する情報を入手したのですが、言ってしまえばその事件はそのオーメダルの力を利用した一人の科学者によるものだったのですよ」
「ほう…で、それがなんだってんだ?」
「財団はオーメダルを復元し、メダルに秘められた欲望によって生まれる怪物…グリードを手駒とする程度にしか研究を進めませんでした。…しかし、私はまだ研究価値があると判断しまして、鴻上ファウンデーションに秘密裏に協力を依頼し更に研究を重ねた結果、『新たなメダル』を生み出すことに成功したのです。…ですが、新たに生み出したメダルはまだ不安定でして、実際に使用するに至っては不確定要素が多かったのです。そこで、財団の技術力でメダルをデータ化しこのSAOに送り込み、この世界でメダルの性能実験をすることにしたのですよ」
「…で、それがあれってか。成る程…確かに、人間の欲望そのものみてーな醜いバケモンだ」
「全く。…しかし、実際に仮想空間でグリード化するとは予想外でした。しかもあの姿、メダルの元になった生物の性質が反映されている。グリード化による人格の変質も起きている辺り、SAOの『カーディナル』とやらは相当に優秀なようですね。そしてそれを作った茅場晶彦も…癪ではありますがね。さて、キリトさん…仮面ライダーになれない貴方は、あの怪物をどうやって倒すつもりですかね?」
「キィィィエェェェェェッ!!」
ドゴォンッ!!
「ぐうッ…!?」
グリードへと変貌した鷹使い…ダーマスが振り下ろした腕をアッシュとキズメルは間一髪で躱すが、地面を打ち据えた一撃は大地を砕き、飛び散った石や破片が二人を襲う。
「アッシュ!キズメル!」
「た、鷹使い殿!?そのお姿は一体…?」
「やかましぃぃぃぃッ!!」
豹変したダーマスに思わず駆け寄ってきたフォレストエルフに、ダーマスは苛立たしげに腕を振るい、腕についた針を突き刺した。
ドスッ!
「げはッ…!?」
針を突き刺されたフォレストエルフは悲鳴をあげる。…しかし、異常だったのはそこからだった。
ジワワワワ…
「が、ぎっ…ぎゃあああああああッ!!?」
針が突き刺さった部分からフォレストエルフの白い肌がみるみるうちに毒々しい暗紫色へと変わっていき、それと共に変色した部分がみるみる爛れ落ちていく。フォレストエルフはすさまじい絶叫を上げて藻掻くが、その動きには全く力が籠もっていなかった。
「がひょ…あ、ああ…」
やがて苦悶の叫びが小なっていき、ダーマスが飽きたとばかりに放り投げた頃には、フォレストエルフの身体はもはや元が人型であったかどうかすら分からないほどに腐り果て、地面に落ちると同時に塵のようにデータとなって霧散していった。
「な…なんだ、あれは!?」
「あの死に方…気をつけろ!あの針にはかなり強力な毒があるぞ!解毒ポッドを持ってない奴は下がれ!」
「毒やて!?…ええい、お前ら下手に近づくんやないで!」
死に様からすぐさまダーマスの特性に気づいたキリトがプレイヤー達を離れさせていると、両エルフの戦士達がダーマスへと向き合い出す。
「な…なんの真似ですか鷹使い殿!?いくら首都からの客将とはいえ、同胞を殺めるなど看過しがたい蛮行ですぞ!!」
「黙れ役立たず共がぁッ!…ああ、ずっと前から我慢ならなかったんですよ。私がどうしてこんな辺境の屑共を指揮しなければならないのかと…!私は、こんなところで終わっていい存在ではないのです!一刻も早くダークエルフ共から秘鍵を奪い、首都へと持ち帰って手柄とする!お前らは所詮そのための道具でしかないんですよ!だったら、屑なりに私の役に立つのが当然でしょうが!それができない屑以下など、死んで当然とは思いませんかねぇぇぇッ!!?」
「…狂っている、貴様はもはやエルフですらない…ただの化け物だ!」
「エンジュ騎士団の者どもよ。恥を忍んで頼みがある、共に鷹使い殿…いや、この化け物を退治してくれ。もはやこいつは、我らのどちらの利にもなりはしない。それどころか、生かしておけばいずれ我らの故郷を脅かしかねない。こいつは、ここで仕留めねばならない!」
「…ふん。癪ではあるが…我らもそう思う。いいだろう、ここは一時休戦だ…!」
「フカカカカカッ!屑同士が手を組んだところで、俺に敵うわけねーだろうがぁッ!」
「いくぞ!ウオオオオオ!」
あざ笑うダーマスに、黒と白のエルフ達が立ち向かっていく。その光景にプレイヤー達は驚きを隠せずにいた。βテスターでなくとも、このクエストを通してフォレストエルフとダークエルフが相容れない同士であることは全員の共通認識である。だが現実に、目の前ではその両者が足並みをそろえて怪物と戦っていたのである。
「お、おい!こらどうなっとんねん!?なんでさっきまで殺し合ってた連中が一緒になって戦ってんねん!?」
「…分からない。だが、一つだけ『仮説』がある」
「な、なんダ?」
「このエルフクエストの本筋自体はβテストの時に既に完成されている。製品化に伴って多少の変更はあっただろうけど、基本的な流れに関しては変わっていないはずだ。…だが、奴の存在はこのクエストそのものの流れを断ち切りかねない。つまり、あのダーマスとかいうのはSAOにとっても『想定外』な存在…謂わばバグのようなものの筈なんだ。だからおそらく、SAOのシステムがゲーム内のデータを使ってバグを排除しようとしているんじゃないか…身体の中に入った病原体を殺す、白血球の様に…!」
「つまり…奴らが共闘しているのは、SAOのシステムがそうさせているからだということか?」
「だと思う…多分な。でも…」
「ウォラァァァァ!」
ブンッ!
「ギャアアアア!」
エルフ達はダーマスを取り囲み絶え間なく攻撃を浴びせるが、ムカデのような頑強な外郭を持ったダーマスは全く堪えた様子がない。逆にダーマスが蹴りを放てば数人のエルフが吹っ飛ばされてそのまま消滅し、腕の毒針は皮鎧ごと彼らの身体を貫いた。
「あ、アカン…!まるで歯が立っとらんがな!」
「糞ッ…全員、一旦この場を退くぞ!今の俺達ではどうにもならない!」
「くっ…こんなことなら、ガシャット温存しとけば良かった…!」
「言ったってしょうがないだろ。今は退くぞ…アスナ、君も早く…」
「…待って、キリト君。もし、キリト君が言ったことが本当なら…アッシュとキズメルも…!」
「ッ!」
アスナ達が気づいたときには遅かった。システムからの命令によるものか、それとも姿は変われど愛する者の仇討ちの為か…既にアッシュとキズメルは再びダーマスへと斬りかかっていた。
「二人とも!無茶だ、下がれ!」
「悪いがキリト…その頼みだけはきけん!」
「我が妻の仇だけではない、我らエルフの存亡のためにも…こいつだけは生かしておく訳にはいかんのだ!」
「来ィたァなぁぁぁ!俺に恥を掻かせてくれたゴミ共が!今度こそあの小娘のところに叩き込んでヤロうぅぅぅ!」
上位NPCである二人の加入によりエルフ勢は若干持ち直したものの、それでもダーマスの力は圧倒的でありじりじりと押されつつあった。
「どうしたどうしたァァァ!エンジュ騎士団の精鋭の力はそんなものかぁぁぁぁ!?」
「糞ッ…行け!」
「ウォウッ!」
キズメルとアッシュがダーマスの両腕を防いだところに、アッシュの狼が喉笛めがけて襲いかかる、が
「しゃらくせぇ!」
ギャルルルル!ドゴッ!
ダーマスの後頭部が蠢いたかと思うと、背中を覆っていた甲殻が外れムカデの胴体のような蛇腹状へと変形し、それが鞭のようにしなって狼を打ち据える。
「キャイン!」
「何ッ!?」
「…温い、温い温い温いんだよォォォ!そんなもんで俺を倒せる訳ねぇだろうがぁ!」
「この…化け物め!」
「…だったら、これでどうかしら!」
「ッ!?」
後ろから聞こえた声に振り向くと、ダーマスのすぐ背後にアスナが迫ってきていた。
「アスナ!」
「貴様、いつの間に…!?」
「私だって…エンジュ騎士団の一員よ!これでも喰らいなさい!」
隙だらけの背中に放たれたアスナのソードスキルは、狼の迎撃のために分離していた甲殻の下の身体を切り裂き…
カツンッ…
「…?」
奇妙な手応えと共に、身体の中の『何か』を貫いた…直後
「ぎぃやぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!?」
ダーマスが狂ったように悲鳴をあげて暴れ出し、それにより抜けたアスナの剣先には貫かれたグレーのメダルが刺さっていた。
「これ…さっきアイツが飲み込んだメダル?もしかしてこれが弱点…」
「アスナッ!避けろぉッ!!」
「え…?」
ガツゥンッ!
「がッ…!?」
アスナがメダルに気をとられたその隙、キリトの呼びかけも間に合わずダーマスが振り回した甲殻がアスナをなぎ払い、傍の陣幕に叩きつけられる。
「あ、がッ…!?」
一撃でHPの半分を削られ、痛みとダメージで身動きのとれないアスナに怒り心頭のダーマスが迫る。
「…貴様ぁぁぁ!よくも私のコアを…この人族の雌風情がぁ!」
(痛った…!なんて威力よ…身体が、動かない…)
「アアア…その面を見ているとあのダークエルフを思い出す…!そもそも、あの糞女のせいでこんな面倒臭いことになったんだ!こいつらさえ居なければこんなことには…」
と、そこまで言ってダーマスは口元をにやりと歪める。
「…ああ、そうか。お前らがやたらとこいつを庇うのはあの女に似ているからかぁ…。なら、またこいつを殺せば、今度こそお前らのその誇りとやらをへし折れますかねぇ!?」
「ッ!」
「そんなこと…」
「させるかよッ!」
アスナへとターゲットを移したダーマスを阻むべくキリトとキズメル、アッシュが両側から斬りかかる。
「…邪魔だ、こいつらの相手でもしてろ」
それを一瞥したダーマスが身体からメダルをまき散らすと、メダルは膨張するように形を変え包帯に巻かれた人型モンスター…『屑ヤミー』となり、それらが壁を成して彼らを阻む。
『オオオオオォ~…』
「ぐっ!?なんだこいつらは…!」
「取り巻きまで生み出せるのかよ…!?糞!これじゃ間に合わねぇ…!」
「キリト!今援護する!」
「おい、キバオウ!リンド!」
「チッ…わかっとるがな!」
「総員、アスナを救助しろ!俺に続け!」
「き、救助ったって…畜生!」
キリトたちを援護すべくNやアルゴ、キバオウたちが屑ヤミーの排除に向かうが、やたらとタフな上に次から次へと湧いてくる屑ヤミーたちを押し切ることが出来ない。
「カス共が…そこで貴様らの仲間が死ぬのを見ていろ。すぐに後を追わせてやる」
「このっ…どけぇぇぇぇぇ!」
「アーちゃぁぁんッ!!」
「死ねぇ!!」
「…ッ!」
倒れ伏すアスナの心臓めがけ、ダーマスは毒針を振り下ろした。二度目となる迫り来る死の刹那に、アスナは思わず目を瞑る。
「…ガォウッ!!」
「…!友よ、感謝する!オオオオオオオオオッ!!」
ドスッ!
「…?」
鋭利なものが肉を食い破る嫌な音がする。…しかし一向に訪れない痛みにアスナが目を開けると
「なッ…き、貴様…!?」
「…がふッ…!」
「あ…アッシュ!?」
相棒にこじ開けられた道を抜け出したアッシュが、アスナに覆い被さるようにしてダーマスの凶刃に貫かれていた。
アルゴの設定がちょっと薄かったのであの街の出身ということにしちゃいました。情報屋やってるのもあの師弟やうさんくさいおっさん共繋がりだったりして…
そして鴻上会長がまたやってしまいました。オーズ本編では財団Xとの直接的な関わりは無かったんですが、あれだけ劇場版でグリードの複製が創られたあたり裏でこっそり繋がってたんじゃないかと思ったので。
次回でプログレッシブ編終了です。ではまた次回