【仮面】さん日記 作:復帰アークス
物語的には、Ep2の『果てしなき跋扈の終わり』となります。
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「ぐっ……はあっ……はあっ……。力が削り取られている……。これは……あのアークスの力なのか……?」
シオンを手に入れられず、ダークファルスとしての本性を現してなお、アークス達に敗れ去ったルーサーは、息も絶え絶えの状態でマザーシップの中心部から立ち去ろうとしていた。
自分が残れば全知への道は閉ざされない。その執念だけで体を漸く動かしている。
「ふふ……だがまだだ! 僕が! 僕さえ残っていれば、全知への道は閉ざされない!」
この場に一人だけで高らかに宣言するルーサーだったが、それを真っ向から否定する声が彼の後ろから響いていた。
「……いいや、ルーサー。お前の道はここで行き止る」
それはルーサーにとっても、馴染みのある声だった。そう、彼の六芒均衡の『一』、初代三英雄で唯一生き残っている生きる伝説。それに応える様に、彼の方を振り向き……。
「レギア……だ、誰だ!? お前は……確か……」
ルーサーの予想とは違っていたものの、彼の顔には見覚えがあった。そう、それは……。
「アイテムラボの店員風情が何の用だ? 君が僕をどうにかできると?」
ルーサーからすれば、たががショップの店員如き、力が削り取られていようとどうとでもなる。とはいえ、ここでは出来るだけ消耗を抑えたいのもまた事実。目の前の男性を素通りしようとしていた。しかし――
「ふむ……。私が何の意味も無く……、君の前に現れたとでも?」
目の前の中年男性は、鋭い目つきでルーサーを睨みついていた。この場から逃がすつもりはないとの意思表示だろう。ふと、彼の左手に携える武器が目に入ったルーサーだった。
「まさか……、そんなカタナで僕と戦おうというのか? レギアスのヨノハテならともかく、そんな物で僕が倒せるはずは無いだろう?」
ルーサーと対峙している男性が持っているのは、ただのカタナ。アークスで正式採用されているといえ、そんな武器で自分と一戦交えようなど、自殺行為にしか過ぎない。ここまで来ると、むしろ滑稽で笑いが込み上げて来そうなルーサーだったが……。
「……これを、ただのカタナと思ったのかね?」
男性の問いかけに、自嘲気味な雰囲気で、
「カタナ以外の何だと言うんだい? ああ……、中々面白い物を見せて貰ったからね。この場は見逃してあげよう」
ショップ店員の気まぐれには付き合えないとばかりのルーサーは、その場を立ち去ろうとしていた。だが、カタナを握る漢は目を見開き、裂帛の気合でもって。
「このカタナは……、アークス達の総力を結集して造られた珠玉の逸品! この刃は貴様を葬る物だ!!」
「な……、なんだと……!?」
ただのカタナが珠玉の逸品など、ありえないと……。そう否定したいルーサーだった。しかし、目の前の男の言葉からは無視できない何かを感じ取っていた。
「このカタナは武装エクステンドExLv100。そして、装備条件緩和で私でも扱え、しかも属性値は光200なのだよ」
「な、なにい!?」
彼から発せられたのは信じられない言葉だった。
「このカタナはアークス達がアイテムラボに通った結果の……、貴様に対する血と汗と涙と怒りとメセタの結晶!」
「つまり……金の力でそこまでの武器を無理矢理造り上げた……だと!?」
そんな武器を造るには、それこそ創世器に匹敵する資金と技術が必要だ。それとは他にルーサーは先ほどの言葉に反論しなければならなかった。
「い……いや……、血と汗と涙はともかく、怒りとメセタは僕のせいじゃ――」
「黙れっ!」
一喝され、ビクッと体を震わせてしまったルーサーだったが、カタナを構える男性は申し訳なさそうに。
「モニカにも辛い思いをさせてしまった……。あの気の弱い娘の働きに応える為にも……、お前を討つ!」
規格外のカタナを持つ男性は静かに居合の構えを取り……。
「一閃せよ……。『
その一撃はダークファルス【敗者】を一刀の下に斬り伏せ絶命させた。そして、刀身は無茶な改造をしたせいか、粉々に砕け散っていた。
「……ただのカタナに無理をさせた結果のようだ。今度は対【若人】用に違う武器を――」
つまりは、【敗者】を倒しても、まだまだアークス達からメセタをむしり取るのを止めるつもりはないらしい。
そんな両者のやり取りを隠れて覗っていた人影があった。
……な、なんだ!? 色々試して歴史を変えてみようと来てみれば……、ドゥドゥがルーサーを倒している!? ここはレギアスがヨノハテで倒すはず……。私は何かを間違ったのか!? ともかく、今の私はダークファルス。この場を離れた方が良い。
全身を駆け巡る震えを抑えながら、【仮面】は足早にその場を立ち去ろうとしていた……が、ガシッと肩を掴まれ……。
――素晴らしく運が無いな、君は。
その一言と共に彼の意識は彼方へと消え、気が付いた時にはナベリウス森林エリア、かつての自分が初めてダーカーと戦った時の時軸で目を覚ましていた。