楽しんでいただけたら幸いです。
では、どうぞ。
「終わった、か……」
祐一は一人静かに呟いた。視線の先には、なのはのスターライトブレイカーを受け、海中へと落ちたフェイトを助けているなのはの姿があった。
(まさか、集束砲撃魔法が最後の切り札とはな。なのはの才能には恐れ入ったものだ)
祐一はなのはの魔導師としての才能に驚嘆していた。魔力量AAAクラスはミッドチルダ、ひいては管理局内でも限られた人間しかいない。それに加え、集束魔法が使用可能な人間など、祐一が知っている限りでは数人しかいなかった。
祐一に見つめられていることなど知る由もないなのはは、疲労を滲ませた表情をしているものの、どこかその表情は晴々としているようであった。
そして、祐一は視線をなのはに肩を支えられているフェイトへと視線を移した。
(フェイトもよく頑張ったな)
そう心の中でフェイトを褒めながら、祐一は口元に笑みを浮かべる。
そんな二人を静かに見つめていた祐一に、念話で語りかけてくる人物が現れた。
『――祐一くん、そろそろ始めましょうか』
声を掛けてきた人物は、今回の件の首謀者であり、フェイトの母親でもあるプレシア・テスタロッサであった。
時の庭園から二人の戦いは見ていたようで、戦闘が終了したと同時に話しかけてきたということは、"今回の一件"を終わらせようと思っているのだろうと、祐一は思考した。
『わかりました。今からそちらに向かいます』
『ええ。後はよろしく頼むわね』
『了解です』
祐一は手短にプレシアとの話を終えると、すぐに念話を終了した。
そして、胸ポケットに仕舞っていた愛用のサングラスを取り出してそれを掛ける。
先ほどまで浮かべていた笑みを消し、いつもの無表情となった今の祐一からは何の感情も読み取れなかった。
「さぁ、今回の一件、そろそろ終わりにしよう。――これでフィナーレだ」
そう静かに呟くと、祐一はその場から姿を消した。
――祐一が姿を消してすぐに、なのはに抱えられていたフェイトは目を覚ました。
「……んっ……」
「あ、気付いた、フェイトちゃん。ごめんね、大丈夫……?」
フェイトを気遣うようになのはが質問する。
(そっか……わたし……)
フェイトはそう頭の中で考えながら、まだ痛む体に少しだけ顔を歪める。
――それが示す答えは、
「――わたしの、勝ちだね」
「……うん……そうだね」
フェイトはその結果を噛み締めるように、小さな声で呟いた。
(――ああ、わたし……この子に負けたんだ……)
不思議と悔しさは感じていなかった。いや、感じていないといったら嘘になるが、本気で戦って敗れたことに後悔はなかった。
(ごめん、母さん、祐一。わたし、負けちゃったよ……)
心の中で二人に謝罪しながら、フェイトは肩を貸してくれていたなのはからそっと静かに離れた。
戦って負けたことに悔いはなかったが、それでもやはり、プレシアのことが気掛かりだった。自分がこの勝負に負けたことにより、プレシアに迷惑を掛けてしまうと、そればかりを考えていた。
(わたしは、これからどうすればいいんだろう……)
フェイトがそう考えながら空を見上げた。
――そのとき、
「――っ!? くっ、あぁぁぁぁ!?」
フェイトの頭上――いや、正確には空からではないが、次元干渉の魔力攻撃がフェイトを含めた周囲へと放たれた。
「フェイトちゃんっ!?」
なのはが腕で顔を庇いながらも、フェイトの名を叫んだ。その表情には焦りの色を浮かべ、本気でフェイトを心配しているようであった。
フェイトはなのはの叫びを聞きながら、ああやっぱり、という思いであった。
先ほどの魔力攻撃は、紫色の雷撃――プレシアのものだと理解したのだ。
そのあまりの攻撃力に、自身のデバイスであるバルディッシュも砕けてしまった。
(……母、さん……)
フェイトは、プレシアのことを考えながら、またも意識を手放したのだった。
一方、なのはとフェイトの戦いを見届けたリンディ、クロノ、エイミィたち管理局メンバーは、先ほどの攻撃から一気に騒がしくなっていた。
「ビンゴッ! 尻尾掴んだ!」
「座標は?」
「もう割り出して送ってるよ!」
エイミィの言葉に、流石だなと思いながらクロノはもらったデータを見つめる。そこには、今回の事件の元凶であるプレシア・テスタロッサの居場所である《時の庭園》の座標が記されていた。
クロノは視線を自身の母親であり、上司でもあるリンディ・ハラオウンへと向ける。
リンディはクロノの視線に頷きを返し、声を上げる。
「武装局員、転送ポートから出動! 任務はプレシア・テスタロッサ、及び、黒沢祐一の身柄確保です!」
『はっ!!』
リンディの言葉を聞き、部下の局員達が時の庭園へと転移し、内部へと突入していった。
「第二小隊転送完了。続いて、第一小隊突入開始」
ブリッジ内、オペレータが現状を伝える声が響く。
(いよいよね……)
リンディがオペレータの報告を聞きながら、そう考えていると、ブリッジになのは、ユーノ、フェイト、アルフの四人が入ってきた。
なのははバリアジャケットから普段の制服へと着替え、フェイトはぼろぼろになったバリアジャケットから囚人が着るような真っ白な服を着ており、両腕には念のためにと手錠がされていた。
「お疲れ様。それからフェイトさん、初めまして」
「…………」
しかし、フェイトは待機状態へと戻ったバルディッシュを握り締め俯いたまま、何も答えない。
その反応にリンディは少しだけ悲しい表情をすると、映し出されているモニターを見ながらなのはへと念話を送る。
『流石に母親が逮捕されるところを見せるのは忍びないわ。なのはさん、どこか別室へフェイトさんを連れて行ってもらえるかしら?』
『あ、はい』
リンディの言葉に、なのはがフェイトを連れ出そうとしたが、タイミングが良くなかった。それとほぼ同時に、管理局員たちがプレシアのいるところに着いてしまったのだ。
「総員、玉座の間に進入! 目標を発見しました!」
なのはたちがブリッジから出て行く前にオペレータから報告があり、タイミングの悪さにリンディは僅かに表情を歪めるが、もうフェイトが出て行くことはないだろうと思い、モニターへと意識を集中させる。
「プレシア・テスタロッサ。時空管理法違反、及び、管理局艦船への攻撃容疑であなたを逮捕します!」
プレシアを捕縛に向かった管理局員の一人が、そう言い放った。だが、プレシアの表情に変化はなく、椅子に深く腰掛け管理局員たちを静かに見つめていた。
管理局員たちは、そんなプレシアの態度に警戒しながら辺りの捜索を行っていった。
そして、管理局員たちはある一室へと足を踏み入れると、そこには――
「こ、これは……!?」
"それ"を見つけた管理局員の一人が声を上げる。
――"それ"は、プレシアの今までの研究の成果。
――"それ"は、プレシアの夢。
――"それ"は、プレシアの宝。
皆、一様に"それ"を見て、驚愕していた。
そして、その中でも一番驚いている人物が声を上げる。
「……えっ? あれは……」
フェイトは驚きに目を見開き、モニター越しに映っている"自身と姿が瓜二つ"の少女を見つめる。全てにおいてフェイトと瓜二つである少女の違うところは、培養液に入っており、目を閉じ、眠っているかのようであった。
「ぐはっ!?」
フェイトが呆然とモニターを見つめている中、その培養液に触れようとした管理局員の一人が叫びとともに吹き飛ばされた。
「私のアリシアに近寄らないでっ!」
それは、先ほどまで黙っていたプレシア・テスタロッサ、その人だった。今までの表情が嘘であったかのように、管理局員たちを憎しみを込めた瞳で睨みつけていた。
そんなプレシアに、管理局員のリーダーが声を上げる。
「ちっ、まだ抵抗するのか。今の攻撃を敵対行為とみなし、少々荒っぽいが、魔法で気絶させて連れて行く!」
その声と同時に、他の管理局員たちがデバイスを一斉にプレシアの方へと向ける。
そして、魔力弾が一斉にプレシアへと放たれる――ことはなかった。
「がはっ!?」
「ぐはっ!?」
数名の管理局員が、"何者"かの一撃により昏倒させられたのだ。
「き、キサマはっ!?」
先ほど指示を出していた管理局員が驚きの声を上げ、それを実行した人物を睨みつける。他の管理局員たちも、プレシアから僅かに意識を逸らしながら、その人物を睨みつける。
管理局員たちの視線を一身に集めた人物――黒沢祐一は、いつもの漆黒のロングコートにサングラスを掛け、紫色の長剣を携えた姿で悠然と佇んでいた。
すると、佇んでいた祐一の姿がぶれた。
「――っ!? 危ないっ! 皆、防ぎなさいっ!」
いち早く異変を察知したリンディがモニター越しに叫ぶ。
だが、一人、また一人と管理局員たちは為すすべなく祐一の攻撃を受け、倒れていく。管理局員たちも魔力弾を祐一へと撃ち、抵抗を試みてはいるものの、それを祐一は事も無げに回避し、次の瞬間には相手を長剣で打ち倒していった。
「く、くそっ!」
そして、最後の一人となったリーダー格の管理局員のみとなってしまう。
最後の意地というのもあったのだろう。デバイスを祐一へと向け、果敢にも攻撃を仕掛けていく。リーダー格だけあって、一流並みの実力はあった。――だが、
「――寝てろ」
「か、はっ……」
それも祐一の前では無意味。少しぐらい実力が高くとも、祐一にとっては何の障害とはならなかった。
「…………」
祐一は周囲を見渡し全ての管理局員が倒れたことを確認すると、長剣型のデバイス《冥王六式》を鞘へと戻す。
そんな祐一の姿を、クロノは悔しげに拳を握り締めながら見つめていた。
そして、同じようにモニター越しに祐一を見つめていたなのはとフェイトが思わず、といったふうに呟く。
「祐一お兄さん……」
「祐一……」
そんな二人の声が届いたわけではないであろうが、祐一の視線がモニター越しに二人の方を向いていた。
「――エイミィ、すぐに局員達を戻してちょうだい」
「了解ですっ!」
局員たちが無残にやられてしまう光景を見て、リンディは僅かに表情を歪めたが、艦長として気丈に指示を出した。
エイミィはリンディの指示通り、すぐさま局員たちを転送し、アースラへと帰還させた。
すると、今まで黙っていたプレシアが培養液で眠っているようなアリシアを愛おしそうに見つめながら口を開く。
「――もう駄目ね、時間が無いわ。たった九つのジュエル・シードでアルハザードに辿り着けるかわからないけど……でも、もういいわ……」
淡々と、皆に聞かせるようにプレシアは話を続ける。
「――この娘を失ってからの暗鬱な時間も、そして……代わりの人形を娘扱いするのも……」
「っ!?」
プレシアの言葉を聞き、フェイトはびくりと体を震わせる。なのはもはっとした表情となり、プレシアの言葉を聞くフェイトを心配そうに見つめる。
(やめてよっ! それ以上は、やめて……っ!)
なのはは心の中で叫ぶが、それでプレシアが話を止めるはずもない。
「――聞いていて? あなたのことよ、フェイト。せっかくアリシアの記憶をあげたのに、そっくりなのは見た目だけ……」
プレシアの言葉に、フェイトは辛そうに顔を俯かせ、カタカタと震えていた。
(じゃあ、いったい……わたしは……わたしは、"だれ"……?)
目に涙を溜め、フェイトは思考の暗闇へと落ちていく。それでも、プレシアは話すのをやめない。
「――やはり駄目ね、結局上手くはいかなかった。……失ったものの代わりにはならなかった」
プレシアの言葉に、なのはの表情は悲しみに歪み、クロノの表情は隠し切れぬ怒りが浮かんでいた。
そして、なのははプレシアのこんな話を聞いても、黙して語らない祐一へと叫ぶ。
「祐一お兄さんっ! 聞いてるんでしょ! それ以上、言わせないでっ!」
なのはが叫ぶが、その声を聞いても祐一は動かない。表情を変えず、黙ったままであった。
「――だから、あなたはもういらないわ。どこへなりとも消えなさい」
「っ!?」
遂に堪えきれなくなったフェイトは、その瞳から涙を零した。その体は震え、顔色までも青くなっていっているように感じられた。
「っ!? お願い、もう、やめてよっ!」
フェイトが苦しんでいることが辛いのであろう、なのはも瞳に涙を浮かべながらプレシアへと叫びを上げる。
だが、プレシアは話すことをやめず、止めとなる言葉を紡いでいく。
「ふふふ、いいことを教えてあげるわ。フェイト、私は、あなたが――大嫌いだったのよ」
プレシアの言葉を聞き、フェイトは手に持っていた待機状態のバルディッシュを持っている力もなくなり、それを地面へと落としてしまう。
そして、その瞳からも力がなくなり、糸が切れた人形のようにその場へと膝を着いてしまった。
そんなフェイトへと、なのは、ユーノ、アルフが慌ててフェイトへと駆け寄っていく。
リンディは悲しい表情でそれを見届けると、モニターへと視線を戻す。
すると、そこには思わぬ表情となっているプレシアの姿があった。
(プレシア・テスタロッサの表情が、先ほどと違う……?)
一瞬、プレシアの表情が悲しそうに歪んだようにリンディは感じた。
(なぜ……?)
リンディは違和感が拭えなかったが、次に見たときにはプレシアの表情は元に戻っていた。
リンディがそんなプレシアの表情に首を傾げていると、エイミィが慌てて声を上げる。
「……っ!? 大変、大変! ちょっと見てくださいっ! 屋敷内に魔力反応多数っ!」
「っ!? 何が起こっているっ!」
エイミィの声を聞き、皆がモニターを見る。そこには、傀儡兵と呼ばれる人型機械が大量に召喚されている光景が映し出されていた。傀儡兵はランクによって強さも決まっており、高いものは魔導師のAランク級の強さを誇る。
そのような多くの傀儡兵の姿を見たリンディたち管理局員は戦慄していた。
「屋敷内に魔力反応多数っ! いずれもAランク相当っ! その数――六〇」
「プレシア・テスタロッサ! いったい何を考えているのっ!」
オペレータの焦った声を聞きながら、リンディは薄く笑みを浮かべているプレシアへと叫んだ。
その声を聞き、プレシアは両腕を広げながら声を上げる。
「私たちは旅立つのよっ! 忘れられし都《アルハザード》へ。そして取り戻すの……全てを!」
すると、プレシアの周囲を浮遊していたジュエル・シードが光を放ち、強烈な魔力が放出され始めた。
その余波はアースラまで届き、艦内を激しく振動される。
「ジュエル・シードの魔力暴走です! 次元震が起き始めています!」
「ディストーションシールドを張って、速度を維持しつつ影響の薄い空域に移動しなさいっ!」
局員の叫びに、リンディは的確な指示を出していく。
「……《アルハザード》、そんなものが本当にあるのかな?」
「馬鹿なことを……! 死んだ人間は甦らないっ! どんな魔法を使ったって、過去を取り戻すことなんかできやしないっ!」
エイミィの呟きにクロノが叫ぶ。
その叫びはプレシアへの怒りであり、その行いを手伝っている祐一への怒りであった。
「ゲート開いて! 僕が行って止めてくるっ!」
「わ、わかったっ!」
そう言うと同時にクロノはブリッジから走って出て行った。
一方、なのはは未だに意識を失っているフェイトを抱きしめたまま、モニターをジッと見つめていた。モニターには、フェイトの母親であるプレシア・テスタロッサが映し出され、その側にはなのはが憧れている人物――黒沢祐一の姿もあった。
祐一の姿を見つめながら、なのはは声を出さずにはいられなかった。
「祐一お兄さん、なんで……?」
なぜ、祐一はプレシアの味方となっているのか。それだけが、未だに謎のままであった。
じっとモニターを見つめていると、プレシアは祐一と何か話をすると、眠り続けているアリシアとともに、どこかへと行ってしまった。
そして、祐一もその場を去ろうとモニターに背を向ける。
「祐一お兄さんっ!」
「…………」
なのはがモニター越しに叫ぶと、祐一は足を止めた。
そして、ゆっくりとモニター越しになのはたちの方へと体を向ける。
「祐一お兄さん。なんで、どうして、フェイトちゃんのお母さんの味方をするの?」
なのはの言葉を聞き、今まで黙っていた祐一がゆっくりと口を開いた。
「――今から、プレシアさんは九つのジュエル・シードと《時の庭園》の駆動炉を暴走させて次元断層を作り出し、そこからアルハザードへと行くつもりだ」
「……っ!?」
祐一の言葉に、なのはを含めた管理局員たちは驚愕の表情を浮かべる。
それに構わず、祐一は話を続ける。
「――これを止めるためには、九つのジュエル・シードと駆動炉の暴走を止めなければならない」
祐一の行動に、リンディたち管理局員は何故、と頭を悩ませる。これは罠であるのか、まだ何か狙いがあるのではないかと思考を巡らせる。
リンディたちが黙っていると、なのはが口を開いた。
「祐一お兄さん……やっぱり……」
なのはの呟きには、やはり何か別の理由でプレシアのところにいるのだという、確信が含まれていた。
「――完全に暴走するまではまだ時間がある。止めたいのなら、早くするのだな。……なのは、お前はどうする?」
「黙って見てるなんて、わたしにはできない。だから、わたしにできることを精一杯するつもりだよ」
「……そうか」
祐一は頷くと、視線を別の人物へと移した。
「フェイト……」
「…………」
祐一の声にもフェイトは反応を見せない。
やはり、プレシアの言葉がフェイトの心を深く傷つけてしまったのだろう。そう思い、祐一は僅かに息を吐いた。
そして、祐一はフェイトに向かって告げる。
「お前の望んだことはなんだったんだ? お前はどうしたかったんだ――フェイト――」
その言葉に、フェイトはうっすらと瞳を開けるが、言葉はなかった。
少しの間、祐一はフェイトを見つめていたが、少し息を吐くと、用事は終わったとでもいうように、背を向ける。
それを見たリンディが、祐一の背を見つめながら声を掛ける。
「――あなたの目的は一体なに?」
祐一はその質問に、僅かに首を向けながら答える。
「俺の目的はプレシアさんの願いの成就。――だが、それだけだ」
祐一は、それだけ言うとその場から姿を消した。
祐一との話の後、アルフは別室へとフェイトを連れて移動し、なのはとユーノはクロノと合流した。
「――そうか。本当に黒沢祐一は何を考えてるんだ?」
先ほどのことをなのはたちに聞くと、クロノは思わず頭を掻きながらそう話した。
「正直、わたしもまだわからない。だけど、祐一お兄さんは道を示してくれた。わたしにできることは、もう決まってる」
「そうか。僕はこれから現地へ向かい元凶を叩く。君たちはどうする?」
「わたしも手伝うっ」
「僕もっ!」
「了解した。では、急ごう!」
クロノはそう言うと同時に走り出し、なのはとユーノも慌てて後ろをついていく。
そして、クロノ、なのは、ユーノの三人は転送ポートから《時の庭園》へと移動した。
クロノとなのははすでにバリアジャケットを着ており、戦闘の準備は整っていた。
そして今、なのはたちの目の前には、大量の傀儡兵の群れが門の前を固めていた。
「い、いっぱいいるね」
「まだ入り口だ。中にはもっとたくさんいるはずだ。……それに、黒沢祐一も」
「祐一お兄さんと、戦わないといけないのかな」
「いや、黒沢祐一の相手は僕がする。おそらく、プレシア・テスタロッサの近くにいるだろう。僕はそちらに向かう」
「……でも……」
「なのはには駆動炉の暴走を止めてほしい。あちらも傀儡兵が多くいるはずだから、かなり厳しい戦いになるだろう。……それに、黒沢祐一には借りがある。このまま負けたままじゃ嫌だしね」
クロノの言葉になのはは一瞬、ポカンとした表情となるがすぐに笑みを浮かべる。
「にゃはは、クロノくんも男の子なんだね」
「べ、別に奴に一度負けたのが悔しいわけではなくてだな。……客観的に見て、それが一番だと判断したまでだ」
「にゃはは、そういうことにしとくよ」
「じゃ、じゃあ、行くぞっ!」
「うん!」
「行こう!」
クロノの言葉に、なのはとユーノが元気よく返事をし、三人は魔力をチャージしながら傀儡兵に向かって突っ込んでいく。
――それぞれの想いを胸に秘め、最後の戦いが始まった――
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
誤字脱字などありましたら、指摘をよろしくお願いします。