ちまちま削っても、回復していくと言う、あの絶望感は忘れられません。
憑依転生した俺は呂奉先
「……ッグ!きさ、まぁ!」
「……」
天子を自身の意のままに操り、酒池肉林を願った暴君『董仲頴』は自身が義息子と呼んだ男『呂奉先』の方天戟に心臓を穿たれ、断末魔の叫びを上げながら息絶えた。
戟を董卓の身体から抜くと、血を刃から振り払い、その場に崩れ落ちる姿を見ることなく屋敷から出ていく。
途中、こちらを心配そうに見る美女『貂蝉』の姿があった。
彼は彼女を一瞥するとそのまま門を潜ろうとする。
貂蝉は何も言わず出て行こうとする呂布の腕に縋り付いた。
「奉先様…」
「貂蝉、俺は行く。俺は……俺の夢を追い求める」
「私も……私も連れて行ってください!」
「駄目だ」
「何故ですか!何故…………連れて行ってくださらないのですか…」
涙を流し、強く引き止める貂蝉に呂布はため息を吐いた。
「貂蝉。俺はお前を死なせたくはない。だから、置いて行くのだ」
「奉先様……」
呂布は貂蝉の手を外し、彼女を引き寄せると軽く抱きしめ、そう言った。
抱きしめられた貂蝉は頬を赤らめ、ただ一言呟くだけだった。
そして、呂布が彼女を離すと「あ…」と少々残念そうな声を上げた。
「……では、達者でな」
呂布はそう言うと、貂蝉の下から離れ、門を潜り、姿を消した。
貂蝉はその後ろ姿をただジッと見送るだけだった。
「奉先様…」
唐突だが、俺は『三國無双』シリーズの最強武将『呂奉先』に憑依転生した男だ。
崖から足を滑らせ、気が付いたら、呂布の身体に乗り移っていた。
呂布の死に様を知っていた俺はああならないように全力で死亡フラグを回避してきた。
だが、一番の死亡フラグである董卓からの誘いは断りきれなかったが、養父の丁原を殺さずに済んだのでそこら辺は自分的には満足している。
また、軍師や部下の忠言にはよく耳を傾けたことが功を奏し、原典の呂布に比べれば、部下からの信頼も厚いように感じた。
(自分なりにそう模索してきたつもりだったけど…、結局駄目だったか…)
出る杭は打たれる。
諺にあった通り、あまりにも強すぎた呂布の力は危険視され、曹孟徳を中心とした連合軍に攻められ、原典の呂布が死んだ場所と同じ下邳で戦った。
死力を尽くして戦ったが、多勢に無勢、力及ばず敗退、俺は部下を逃がす為に殿を務め、多くの将兵を討ち取ったが、結局捕えられてしまった。
「何か、言い残すことはあるか」
鋭い眼光を俺に向ける曹孟徳。
「……獅子身中の虫には気を付けるんだな」
「ふん、忠告感謝しよう。だが、この曹孟徳、その程度飲み込めずして何が乱世の奸雄か!」
「く、は。ははははははははははははははははは!いいだろう、地獄の底からお前たちの治世を見守っていてやる!」
俺はそう言って、後ろで刀を構えていた夏候元襄に斬られた。
前のめりに倒れると、自分の背中から血が流れ出るのを感じる。
(案外、痛みは感じないもんだな…)
意識が遠のく。
まだまだ未練はある。
今生でも恋人は出来ず、ただ……養子にしたあの娘、『呂玲綺』がどう成長していくのか、あの後『貂蝉』は幸せに暮らしたのかどうか。
ああ、もっと生きたかった。
そんな思考を最後に俺の意識は昏い沼の底へ引きずり込まれていった。
その日、一人の男が逝った。
姓を呂、名を布、字を奉先。
後に出てくる『司馬仲達』をして、「後にも先にも呂布を超す武将は出て来ないだろう」と息子たちにそう語ったと言う。
「………殿!………殿!どこへ行かれるのですか!」
「ん~、なんかこっちに行けば、良い予感がするのよ」
「また“勘”ですか」
「私の勘が外れたこと、無いでしょ?」
「確かにそうじゃが」
「いいから、付いてきなさいってば!」
二人の女が夜の荒野を歩いている。
桃色の髪の女は『孫伯符』、もう片方の女は『黄公覆』と言った。
両者ともに少々過激な服を着ていた。
「策殿!人が倒れておりますぞ!」
「ええ」
二人の視線の先には鎧を着、前のめりになって倒れている男が居た。
彼の脇には一振りの得物。
「生きて、いるようね。じゃあ、連れて帰りましょうか」
「はぁ!!?いや、ここで見捨てるのは気が咎めると言うか、なんと言うか…。ですが、あやつがなんというか…」
「いざとなれば、私の勘を根拠にすればいいと思うわ」
「……まあ、それはいいでしょう。それよりも、どっちがどっちを持ちますかな?」
「……」
「……」
それが江東の小覇王『孫伯符』と呂布の出会いだった。
三国無双シリーズで好きな男性武将は張遼、徐晃、関平です。
好きな女性武将は星彩、蔡文姫、王異、王元姫です。
戦国無双シリーズだと伊達政宗、片倉小十郎、真田幸村、織田信長、本田忠勝、井伊直虎、立花誾千代ですかね。