憑依転生した俺は呂奉先   作:げんぶ

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遅くなりました。


呂布、天の御遣いと出会うの事

呂布、天の御遣いと出会うの事

 

 

 

 「そちらには妾の代わりに黄巾党本隊との決戦に出陣するのじゃ」

 「手柄は美羽様の物にする為、うちの兵隊さんたちを連れて行ってくださいね~」

 

 先代当主『孫堅』が行方不明になってから、袁術の庇護下にいた孫家は我儘な袁術の命令に奔走させられていた。

 

 「分かったわ」

 

 李封の存在は荊州防衛戦の折りに袁術たちに露見し、これまでの様に自由には動けなくなってしまっていた。

 だが、袁術も張勲も李封に興味が無かったのか、そのまま放置され、言及もされなかった。

 

 

~真相~

 

 「ななななななな、なんじゃ、ああああああ、あの大男は!」

 「孫策さんの配下にそんな人物がいるなんて聞いてないですよ!?」

 

 李封が暴れ始めた頃、暴れている姿を見た袁術と張勲の二人はその気迫に押され、恐れ戦いていた。

 そして、張勲は傍らに佇む給仕服姿の隠密に事の詳細を問うと、彼女は「聞かれませんでしたので」と答えた。

 

 (こんな張勲(おんな)の所よりもあの殿方の下に行きたいですね)

 

 そう心の中で呟いた女『李厳』は気の乗らない仕事ばかりを寄越す張勲に見切りをつけ、どうやって彼の勇将の配下になろうとかと考える。

 彼女自身、気が乗らない仕事もしっかりとやりとげるし、それに対しても文句を言わない使い勝手のいい隠密ではあるが、それも長く続けば辟易とするのは当然だろう。

 

 (最近は豪族共の弱味を握る為の仕事しかしてないですし、それはそれであの殿方の下に嫁いだ(・・・)先で使えるとは思いますが…。さて、どうしましょう)

 

懐に隠し持った孫家の疑惑の行動、これを彼女は自身の懐にとどめ、握りつぶしていた。

 理由はただ単純に『孫策の行く末を見てみたかった』と言うだけで深い理由は無い。

 李厳は恐ろしく気分屋で利己的な人間なのだった。

 そこを見誤った張勲は主と共に真綿で首を絞められている状態に陥っているが、全く気が付いていない。

 それに気が付くのは、彼女たちに叛逆されるその瞬間であった。

 

 「と、とにかく、か、彼の情報を集めていただけませんか」

 「かしこまりました」

 

 常に冷静な表情の李厳はその命令を嬉々として受諾。

 ますます李封に惚れて行くのだが、これは余談である。

 そして、彼女の報告(誇大)を受けた袁術と張勲は触らぬ神に祟りなしの言葉の通り、放置することに決定した。

 

 

~真相END~

 

 

 

 放置された李封は先日拾ってきた四人の子供の内、孫権と共に訓練(と言う名目)の為曹性と楊奉の二人を残し、魏続と高順を連れ、黄巾党の本拠へと出立した。

 勿論、曹性達二人は猛抗議したが、魏続との模擬戦で一回も彼女に攻撃を当てられなかった事から無理矢理納得させられ、お留守番と相成ったのである。

 

 

 黄巾党の本拠地、冀州・広宗を包囲した官軍の諸将は袁紹の本陣へと集結していた。

 名目は黄巾党をどう攻略するのかと言う軍議。

 だが、その実態は誰が総大将となり、乱鎮圧の恩恵を受けるのかと言う一点だった(ごく一部は違うが)。

 

 「皆々様方、お集まりいただきありがとうございます。面識のない方もいらっしゃいますので、自己紹介をお願いいたします」

 

 おかっぱ頭の女性『顔良』がそう告げる。

 

 「遅ればせながら、私は顔良。袁家に仕える者です」

 

 顔良、そう名乗った女性はニコリと笑って、左端に座る男に眼を向けた。

 眼を向けられた男は、表情を変えず立ち上がる。

 

 「俺は皇甫崇。俺は権力争いなどには興味はない。一日も早く天子様の治めるこの天下の安寧を願って集った」

 

 皇甫崇と名乗った男はそう言って、欲の皮の突っ張った将達を睥睨すると座り、目を閉じた。

 

 「は、ははは。彼、真面目なんです。お気になさらず」

 

 そう言って立ち上がった麗人。

 

 「私は朱儁って言います。一応、南陽の黄巾軍は私の軍が壊滅させました」

 

 そう言って、孫策へ微笑むと座った。

 朱儁の言葉の内容に周りの諸将は純粋な尊敬とどす黒い嫉妬の感情を交えた言葉を交わす。

 

 「某は魯植。一日も早い、乱の鎮圧を共に目指そうではないか」

 

 そう告げたのは坊主頭の大男『魯植』。

 

 史実では三国志の三英傑達も無しえなかった黄巾党壊滅に関わった英雄が一堂に会したことになる。

 

 「わ、私は劉玄徳と言います。この現状をなんとかしたくて義勇軍と共にやってきました」

 「俺は『天の御遣い・北郷一刀』。桃香……劉玄徳殿と志を同じくして此処にやってきた」

 

 この二人が自己紹介をした瞬間、空気が張りつめた物に変わる。

 『劉』と言う姓。

 これは皇帝の一族が代々名乗る姓である為、彼女が劉姓を自称しているのではないかと言う緊張感。

 それと北郷一刀が名乗った二つ名『天の御遣い』。

 彼ら漢王朝の禄を受けるものならばすぐに気が付く。

 彼らの『天』とは漢王朝の頂点、『霊帝』に他ならず、こんな奇妙な衣服を纏い、如何にも剣を握った事もなさそうな優男が名乗るモノではないからだ。

 

 「貴様、それが何を意味するのか分かっているのか」

 

 一番初めに声を出したのは皇甫崇。

 その眼は劉備よりもその隣で呆けた顔をしている北郷一刀に向けられていた。

 

 「え…っと何のこと?」

 「貴様が『天の御遣い』を名乗る意味だ」

 

 何を問われているのか、それを全く理解できなかった一刀は疑問を更に深める。

 無理もない、数か月前までは現代日本で平和な暮らしをしていた青年だ。

 突然、パラレルワールドとは言え、身分制度が息をしており、不敬をすれば切り捨てられても文句を言えない様な世界にやって来て、それも自分の周りには身分に頓着しない三人組が居た上に、その三人も占い師『管路』の言う“天から来たりし御遣い”と言う言葉に飛びついたのだからこの“天”と言う単語の持つ意味を説明することもしなかった。

 そのツケがここで支払われることになるとは劉備軍の誰も思わなかっただろう。

 

 「名乗って不味かったか?」

 「……フフ、ハハハハハハハ!」

 

 皇甫崇は一刀の言葉を聞くと額に手を当て、笑い始めた。

 

 「ハハハハハハハハハハハハ!………………ふざけるなよ、貴様」

 「は?」

 「貴様、天を名乗ると言う事は皇帝を名乗ると言う事。これほどの不敬があろうか!その不敬、今ここで、貴様と劉備を名乗る女、そしてその配下に至るまで五体をバラバラにされ、三族皆殺しにされても文句など言えるものか」

 

 皇甫崇の言葉に朱儁と魯植は静かに首肯する。

 

 「今ここでその二つ名を撤回し、この場から去るならば特別に許そう。だが、撤回しないと言うのであれば、劉備軍諸共、処刑してやろう」

 

 皇甫崇は眼光鋭く一刀、そしてその隣に座る劉備を睨みつける。

 

 「…………撤回は出来ない…。これは俺が、俺自身が今の世を良き物にと言う夢を抱いた劉玄徳へと共に天を背負うと言う覚悟で名乗った二つ名だ。いきなり他人に『“天”とは皇帝の事だ。すぐに撤回しろ』だなんて言われてはいと頷けるか!」

 

 一刀はそう言ってしまった(・・・・・・・)

 

 「ほう、いい度胸だ。……本初殿、この場をこの者達の血で穢すことをお許しください」

 

 上座でふんぞり返って事の趨勢を見守っている袁紹に向け、皇甫崇はそう許しを乞うた。

 

 「……いま、ここでそれはおやめなさい。今は天下の大事です。貴方を相手に啖呵を切ったその度胸、黄巾党本隊の前でも発揮できるか……楽しみですわね」

 「……はっ」

 

 袁紹の言葉に皇甫崇は渋々ながら頷いた。

 一命を取り留めた一刀は背中を滝のように流れる汗を気にしながら椅子に座りなおした。

 

 「私は曹操。私もこのバカげた反乱を平らげる為にここへ来たわ。……それと将来、宿敵になるかもしれない相手を見に来たわ」

 

 そう言った曹操は諸侯の顔を見る。

 

 (期待できそうなのは劉玄徳、孫伯符、そして皇甫崇、朱儁、魯植先生か。………孫策の後ろにいる三人も中々いいわね。特に橙色と青い髪の方…。寝台ではどんな声で鳴くのかしら)

 

 眼を付けた数名の内、魏続と高順は悪寒に身を震わせた。

 

 「やっと私の番ね。私は孫伯符。所用で此処に来られなかった袁術殿の名代よ」

 

 孫策の自己紹介に再びざわつく。

 孫策、そしてその母親『孫堅』の勇名は諸将も知るところであった。

 そして、諸将が気になるのは彼女の後ろに立つ偉丈夫の事だった。

 この世界では男の将は少ない。

 「氣を上手く扱えない」事が原因だと言われているが、氣が無ければ女性の将も男性の将とあまり変わらないので、氣で身体能力等をブーストしていると考えられる。

 もしくは氣を使える事で成長上限を上げているか…、いずれにせよ男性の将は少ないうえに見ただけで強いと感じるとなればその情報だけでも手に入れたいと思うのは当然の事だろう。

 

 「ああ、彼?挨拶なさい」

 「分かった。…俺の名は李封。孫策殿に拾われ、客将をしている」

 

 簡潔に自己紹介をし、目を閉じる。

 元の世界の頃から、自分の権力争いの為だけの顔見せは好きではなかった李封は不機嫌な雰囲気を醸し出していた。

 

 「では、最後に私が袁家の当主袁本初ですわ!それでは軍議を始めましょうか!」

 

 袁紹は傍らにつまらなさそうに立っている文醜に地図を持ってこさせると駒を次々と配置する。

 

 「皇甫崇様、朱儁様、魯植様の軍に追い立てられた黄巾党はこの広宗に立てこもっています。そして、我々が各門の前に陣取っていますわ。そこで私たちは一気に黄巾党を殲滅するべく、火計を用いることを提案いたします。……他に意見がある方はいらっしゃいますか?」

 

 袁紹配下の配下には優秀な軍師がいる。

 その軍師は今回領地内での黄巾党との戦いの為に残っている。

 

 「火計だけでは詰めが甘い。某は火計を用い、黄巾党を平野に釣り出す事を提案する」

 「流石魯植先生。では、火計の為に潜り込ませた隠密達に南門と北門を開けさせます。そして、北門には劉備軍を配置。彼らには南門に殺到する敵軍を受け止めてもらいます。いいですね、劉備さん」

 「え、あ、はい!お任せください!」

 

 不意に話を振られた劉備は話の内容について行けずに返事を返す。

 

 「良い返事ですね。では、劉備さんたちはすぐに北門へ布陣してくださいな」

 

 暗に邪魔だと言う事を匂わせて、天幕から追い出す。

 

 「では、南門には私の軍と皇甫崇様、朱儁様、魯植様の軍を中心に布陣。西と東の門に工作をし、開けられなくしましょう」

 

 そう告げると袁紹は「異論はありますか?」と問う。

 曹操としても似たような策になると思っていたこともあり、反論は出さずにうなずくだけにした。

 

 「少しいいかしら」

 「えっと、なんでしょうか孫策さん」

 「私も北門に行くわ。劉備軍だけだと抜かれるかもしれないし、逃げ出すかもしれないでしょう?」

 

 劉備軍麾下の関羽が聞けば怒り狂うであろうことをしれっと言う孫策。

 それに対し、袁紹も同じことを考えていたのか、すぐに「お願いしますわ」と答えを返すと、どの軍が受け皿になるのかの協議を始めた。

 

 

 

 

 天幕を出た孫策は周瑜に軍を北門に移動させるように頼むと、自分は李封を連れ、劉備軍の陣地に向け、脚を向けた。

 

 「伯符、良いのか?」

 「北門に布陣する件?それとも“天”を名乗る彼と劉姓を名乗る彼女の軍に協力する事?」

 「どちらもだ」

 

 李封が静かにそう問うと、彼女は眉をしかめながら少し考え、あっけらかんとした表情で「勘よ、勘」と答えた。

 

 「そうか、勘か」

 

 拾われてから数年と言う短い期間ではあるが、彼女の勘に従って失敗したことは無いと分かっているのであまりとやかくは言わないのだった。

 

 「それに私達の軍って、劉備んトコとあんまり変わらない位でしょ?受け皿なんかにされたら旧領を取り戻す前に戦力がズタボロになるわよ」

 「確かにな」

 「それに貴方の力を見せるのは少ない方が良い。敵以外には、ね」

 

 孫策はそう言うと、李封の手を取り、自分の頬に当てる。

 

 「貴方の事を知っているのは、私達孫呉の家族だけでいいのよ」

 

 彼女が小さく呟いた一言は李封の耳に届く前に風に流されていった。

 

 

 

 劉備軍陣地では陣地を転換するために関羽と張飛が陣頭指揮を執っていた。

 そして、本陣の天幕においては諸事情から軍議に参加できなかった諸葛亮と龐統の二人が劉備と北郷一刀に説教をしていた。

 

 「安易に引き受けないでくださいって私、言いましたよね!」

 「はい…」

 「ご主人様もその場にいながら、何故止めなかったのですか!……私達の200程度の兵数では狂乱化した敵兵を抑えきることはできません。例え、一騎当千の愛紗さんや鈴々ちゃんがいても大きな被害を受けるでしょう。今からでも遅くはありません、他の諸侯に頭を下げて兵を借りましょう」

 

 天幕の外から聞いていた孫策が好機とばかりに天幕に押し入る。

 

 「私達が兵を貸しましょうか?」

 「「「!?」」」

 

 突然入ってきた孫策とその後ろから呆れた表情の李封が入ってくると三人は警戒した表情を見せた。

 

 「どなたですか」

 

 諸葛亮がそう問う。

 だが、後ろの二人は先ほどの軍議でその顔を見ていたので誰なのか知っているので、すぐに「そ、孫策さん!?」と声を上げた。

 

 「はぁい♪」

 

 すぐに兵たちからの情報を受け、関羽と張飛が天幕に飛び込んできたことで場はさらに混沌とする事になった。

 

 

 

 「貴方たちが退出した後、私達も北門の守りを任されることになったのよ。だから、協力しましょって話よ」

 

 劉備と一刀の取り成しで激昂していた関羽と張飛は落ち着き、簡単にとは言え会談の準備が整った。

 まず口火を切ったのは孫策の方だった。

 

 「正確には“戦果”を得る事と“盾”にならない為に北門に布陣する事を決めたと言うわけだ。つまり、北門に布陣するお前達とはこの戦に限り同盟を組んで事にあたろうと言う事だ」

 

 孫策の言葉を補足するように李封がそう告げる。

 劉備と一刀はその言葉に喜ぶ。

 だが、諸葛亮はその言葉を聞き、裏を読み解く。

 軍師故の性だった。

 

 「そちらの利点が分かりません」

 「今李封が言ったじゃない。“戦果”。まあ、正確には“名”を上げる事ね」

 

 孫家は現在、旧臣たちはバラバラに配置されている。

 しかも連絡が取れない者も多い。

 それならば、孫家の当主たる孫策が名を上げて行けば、旧臣たちに勇気と与えられる。

 孫家再興の為に出来る事をしていくと考えていた。

 その本音を心の奥の奥に隠し、悟られないように劉備達と話を詰めていく。

 

 「では、策は考えておきますので、よろしくお願いします」

 

 諸葛亮はそう言うといつの間にかやって来ていた龐統に目配せをし、孫策たちを送り出す。

 

 (一筋縄じゃいかなさそうだね、朱里ちゃん)

 (……よく分からないんだけど…後で聞かせてね)

 

 諸葛亮と龐統が小声で話す中、劉備と一刀は「すごい人たちだね」とのんきな感想を漏らし、関羽と張飛の二人は「あの李封と言う男、強い」と感想を漏らしていた。

 

 (……なんの目的があるにせよ、私と雛里ちゃんの二人で考えれば大丈夫)

 

 諸葛亮はのんきな自陣営に頭痛を覚えながら、そう決意した。

 こうして劉備達と孫策たちの邂逅は無事に終わったのだった。

 

 

 

 

 

 

 




姓名;魏続
真名;奏
イメージ;『戦記絶唱シンフォギア』の天羽奏
使用武器;大槍(ガングニール似)

李封四天王のリーダー。
自由奔放で面倒見の良い姉御肌の女性。
天性の戦上手で、軍を率いるよりも単騎での戦いが得意。
もしくは高順とのコンビでの戦闘で真価を発揮する。


姓名;高順
真名;翼
イメージ;『戦記絶唱シンフォギア』の風鳴翼
使用武器;刀(天羽々斬似)

李封四天王のサブリーダー。
真面目な性格で、割と融通が利かない。
単騎、もしくは魏続とのコンビでの戦いで真価を発揮する。


姓名;曹性
真名;響
イメージ;『戦記絶唱シンフォギア』の立花響
使用武器;手甲(ガングニール似)

李封四天王の一人。
天真爛漫で人助けが好きな少女。
楊奉とコンビを組んで李封の護衛をする。


姓名;楊奉
真名;未来
イメージ;『戦記絶唱シンフォギア』の小日向未来
使用武器;扇子(神獣鏡)

李封四天王の一人。
戦闘が苦手な少女だが、護身程度なら出来る。
曹性と組んで李封の護衛を務める。
自称・李封と曹性の嫁。
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