身内で少々大変な事が起きていて、執筆するどころの話ではなかったので…
もしかしたら来年中、書けなくなるかもしれないので…
過去の話
転生してから十年。
両親を九つの時に亡くしてから俺は一人で生きてきた。
畑仕事は難しかったので、山に入って狩りをして生きてきた。
そして、時間が開いている時に自分で伐り出してきた木剣を振り続けた。
段々と木剣が軽くなるので、その度に太く重い木剣を伐り出して振っていた。
そんな生活になんの面白みもなく、村の人たちも最低限の接触以外をしないようになっていった。
村にいながら、仙人の様な暮らしをしていた俺に街から偉い人が訪ねてきた。
なんというかモブの様な顔の人だと思った。
「お前が、噂の…」
どんな噂か知らないが、近くの街の領主にまで噂が届いていたらしい。
「名はなんと言う」
「布…。布です」
「我が名は丁原。……面白い、これよりお前は呂、呂布を名乗るがいい。そして、私と共に来い。今日からお前は我が義息子、呂布だ」
そう言って、丁原、いや義父は俺の頭をポンポンと叩いた。
その日から俺は丁原の義理の息子、『呂布』となった。
字は引き取られてから数年後の成人の儀の際に付けられ、正式に俺は『呂布奉先』となったのだった。
それから十数年後、世が乱れ始め、黄色い布を身につけた民衆の反乱『黄巾の乱』が始まる。
そう、俺の、いや呂布が駆け抜けた三国時代の始まり。
俺は三国時代の終わりを見届けたいと願った。
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呂布(恋姫)と戦う話
下邳城における戦いで俺は劉備・曹操の連合軍に敗北した。
そして、何の因果かは知らないが、黄巾の乱が始まる数年前にタイムスリップしてしまった。
いや、正確には並行世界の大陸に戻ってきた…と言うべきだろう。
「世界は違えど、街並みは変わらんか」
首都『洛陽』。
董卓が長安に強制的に遷都させるまではここがこの国の首都だった。
まだ黄巾の乱が終わった後とは言え、いずれここも破壊されると思うと少し憂鬱になる。
(もし、この世界の董卓も暴虐を好む悪鬼の様な人間なら…)
民が笑い合っている光景を見ながら俺は、前の世界の様な過ちは起こさせないと固く決意した。
グゥ、と言う気の抜けた音が腹から聞こえて来て、我に返る。
「そう言えば、腹ごしらえに来たのだったな」
良い匂いのする場所を目指し、俺は歩を進めた。
「むぐ、むぐ、むぐ」
「おいおい、アレ、何人前だよ」
人だかりからそんな声が聞こえてくる。
気になった俺は、人だかりを掻き分け、見やすい位置に入る。
(ほう、良い食べっぷりだ)
紅髪で二本の触角の様なアホ毛の少女が更に山盛りになった饅頭を食べていた。
(……饅頭ってあったか…?いや、深くは考えないでおこう)
饅頭(まんとう)は一説によれば、蜀の軍師『諸葛亮』が考案したものだと言うのを前々世で聞きかじった事があるが、前世でもよく食べていたので深く考えてはいけないと俺は思った。
第一、 饅頭を食べて体力や傷が回復するなんておかしい事だと思う。
(それにしても、よく噛んでいるのにあれだけの速度で食べられるとは、すごいな)
気が付けば、彼女の目の前にあった饅頭の山は三分の一に減っていた。
それもすぐになくなった。
「…御馳走様でした」
そう言うと、少女は金を置くと、席を立った。
あれだけの量の飯、そしてそれの金額を払えるだけの財力。
どこかに仕えている人間なのだろうと予想した俺は、彼女を追いかけてみる事にした。
すると彼女はスイスイと人を避け、街の外れ、それも黄巾の乱の鎮圧に尽力した諸侯が陣取っている区画へと入って行った(俺たちは反対側の別の区画に陣を張っている)。
(予想は当たったが、どこに仕える将なのだろうか。……はっきり言えば、あの戦いの中で見たどの将よりも強い。見た目は……その、可憐だが)
この世界に来て思うのは将達は見目麗しい女性が多い事、そして、魅力的な肢体をしている事、その二つが俺の理性に攻撃を仕掛けてくるのだ。
露出は少なくとも、体型が出やすい服などを着ていたりと、男の俺としては目のやり場に困ることが多い。
そう考えながら、中に入るか入らないか迷う。
「…お前、何?」
考え込んでいたからか、後ろから声を掛けられる。
そこにはいつの間に回り込んだかは分からないが、俺が追いかけていた件の少女が居た。
「…お前、食堂からずっと追いかけてきていた。お前、…何?」
言葉を発する度に剣呑な空気を纏い始める少女。
その手には木剣が二振り握られていた。
「初めは食いっぷりが気になっただけだったが、貴殿の所作に強者の匂いを感じた…。と言うのではだめか?」
「…信用できない。だから、お前、私と戦え」
そう言って、彼女は木剣を俺に投げ渡す。
(事を荒立てる気はなかったが……明らかに不審な行動をとったのは俺だな。……この子の実力も知れる事だし、甘んじて受けるか)
木剣を受け取った俺は何度か木剣を振り、木剣をバットを振るイメージで構える(蜻蛉の型だったか?)。
「俺の名は李封。孫伯符の客将だ」
「……呂布。呂布、奉先」
予想はしていた。
孫策、周瑜が居て、更には劉備達もいれば流石の俺でも予想はつく。
だが、俺がこんな小動物系な訳が…(心中吐血)。
「…行く」
一足目で俺の首元を狙った突きが放たれる。
それを俺は首を逸らす事で回避する。
「っ!?(回避しきれなかった!)」
致命的なダメージは避けたが、皮一枚裂けた。
それを見た
(お返しだ!)
俺は地面を強く踏み込むと彼女の身体に肩をぶつける。
咄嗟に彼女は腕で防御し、後ろに飛ばされる。
(体格差で距離を離せたが…)
今のやり取りで分かった事がある。
(実力差は無い。同格だ)
愛用の方天画戟を握ってから感じた事のない高揚、これは紛れもなく強敵との戦いに俺の心が喜んでいる証拠だった。
木剣を握る手が自然と強まる。
明らかに自身の頬が上がるのを感じる。
「次はこちらから行かせてもらう!」
彼女がやったように一足で懐に飛び込み、横薙ぎに木剣を振るう。
「っ!」
彼女は自分の木剣と俺の木剣を滑らせるようにし、攻撃を回避する。
返す刀で上段に振りかぶり、振り下ろす。
それを俺はタイミングを合わせ、弾き、がら空きになった胴に突きを叩き込むが、その攻撃は踏みつけることで回避される。
「やるな」
「…そっちも」
顔を突き合わせ、獰猛に笑う呂布。
瞳に映る俺の表情も同じように獰猛な笑みを浮かべているのが見える。
「私とここまで出来たのはお前が初めて」
「俺もここまでやれたのはお前が始めてだ」
別世界の自分、普通なら嫌悪感を抱くのだろうが、俺は違った。
彼女が相手なら、本気を出しても問題ない、本気で打ちあえる敵、と言う何とも言えない感覚が俺の中を走り回っていた。
「仕切り直しと行こうじゃないか」
俺の言葉に軽く頷いた呂布は木剣から足を外し、トコトコと少し離れた場所に行く。
俺も木剣を地面から引き抜くと、土を払い、彼女と向き合った。
今度は俺も彼女も不意打ちは効かないと感覚的に理解している。
(となれば、正攻法だけだな)
走り、上段に振りかぶり、振り下ろす。
対する彼女は下からすくい上げる。
互いの勢いに弾かれ木剣は弾かれる。
弾かれた勢いを利用し、回転し、横薙ぎに剣を叩きつける。
同じように横薙ぎに振るわれた剣が同時に当たり、また弾かれる。
それを何回も繰り返す。
(ならば次は唐竹割だ)
弾かれた剣を無理矢理軌道修正して、上段に持って行き、勢いよく振り下ろす。
反応が遅れた彼女は弾く間もなく受け止める。
「っく!」
膝が一瞬ガクッと下がる。
このまま押し込もうと上から力を籠める。
抵抗する呂布は上手く力が入らず、押し返せないでいる。
(申し訳ないが、このまま押し切らせてもらう!)
だが、そう言う俺も上手く押し切れない。
それだけ彼女の力が強いと言う事なのだろう。
「ぬ、おおおおおお!」
「くっ、ああああああああ!」
俺の力と呂布の力が拮抗し、地面が砕ける。
その瞬間、俺達はバランスを崩した。
それを好機と見た呂布は俺の木剣を押し返した。
(くそっ!)
押し返された衝撃で地面を転がる俺に追撃を仕掛けてくる。
俺はその追撃を地面をさらに転がる事で回避する。
「逃がさない」
「だよなぁ!」
起き上がる隙を与えないように攻撃を繰り返す呂布に対し、俺は足払いを仕掛けることで攻撃の手を強制的に中断させる。
すぐさま起き上がった俺は再び彼女と向き合う。
(振りだしだな)
「両者、そこまで!」
互いに剣を振りかぶり、駆け出そうとした瞬間、鋭い声が場に響き渡った。
その声で呂布はぴたりと動きを止める。
俺自身も攻撃をやめ、声のした方を向く。
「これは何の騒ぎですか!」
そこには可憐な少女がその瞳に怒りの炎を燃やしながら立っていた。
「納得のいくご説明を求めます」
続く
ちょっと長くなって冗長になるので、次回に回します。
例によっていつ投稿できるかわからないですが、頑張って書きたいと思うので次回も呼んでいただければ嬉しいです。