ありがとうございます、どう考えても生物兵器です 作:アイソー
どうも、転生者の綱島海斗です。
冒頭からまたとんでもない事を言ってるなと思っているだろうが、もう一言とんでもない事を言わせてくれ。
弟も転生者だった。
「――つまりお前は神様から能力を三つ貰った転生者で、前世の記憶を持っていると。それでさっきマグカップを直したのもその能力を使ったのか」
「その通りです……」
で、そんな弟を現在俺の部屋でいろいろと尋問している。
俺の場合と転生の仕方がどう違うのかを確認したかったわけだが、どうやら俺の時とたいして変わらないようだ。能力も三つだし。
「……それでアニキ。僕は一体どうなるの? やっぱ家を追い出されるの?」
一応聞きたい事を全て聞き終えて一人思案していると、弟――空也が心配そうに尋ねてきた。
……気持ち悪がられるとか考えてるのか? 仮に気持ち悪がっても、九才の俺にそんな権限ないって少し考えれば分かる筈なのに。
第一俺も転生者で――そういえば俺の正体まだ明かしてなかったな。
「そんな事しねぇよ。そもそも俺もお前と同じ立場だ」
「な?!」
そういって俺はオエコモバのスタンド能力を発動させ、自身のスタンドを見せる。面倒なので、この無名のスタンドはこれからオエコモバと呼ぶことにしよう。
ちなみにこのスタンドの外見は黒いカラスのような頭に、ぼろぼろの黒いマントを羽織っている。なおこのスタンド自体に戦闘能力はない。
普通の人間には通常スタンドは見えないのだが、空也もスタンド使いなので見えているだろう。実際オエコモバを見て絶句してるし。
しかしこれは後から分かるのだが、魔力がそれなりにある奴にはスタンドが見えるらしい。この世界なりの仕様だろう。
「――つまるところ、アニキも転生者で俺と同じように神から能力三つ貰ってるわけか。良かったー、能力見られた身内がアニキで」
こんどは俺の事を話すと、空也は安心したようにホッとため息をついた。
正直、身内とはいえ転生者は油断してはならない相手だが、この弟に関しては大丈夫な気がする。今の会話と普段の行動からなんか臭うし。
「もしお父さんやお母さんに見られてたら、ハンドパワー! とか言って誤魔化すしかなかったからなー」
アホの子の臭いが。
「そういえばアニキってどんな能力持ってるの? いっこは爆弾のスタンドって分かったけど、他には? やっぱ王の財宝とか一方通行みたいな王道でチートな感じ?」
何故だか空也は目を輝かして俺の能力について聞いてくる。
まぁ、こいつもそういった系の能力をもってないから興味があるのだろう。
ちなみにこいつの能力は、『クレイジー・ダイヤモンド』、『お医者さんカバン』、『仙豆の生成』の三つだ。
お医者さんカバンに関しては能力というよりその物を貰ったらしいが、ともかくとんでもない医療チートだ。多分死者以外ならどうにでも対処できるだろう。
それに比べて俺は――。
「爆弾以外にはドクドクの実と核融合を操る程度の能力だ。なんとも危なっかしい能力だろう?」
戦う事しかできやしない。
応用すればまだいろいろ出来そうだが、それを見つけ出すのはなかなか難しいだろう。
「うわー、アニキえげつねー。俺絶対アニキと事を構えないようにするわ」
いまいち危険度を理解してないのか、空也の返事は軽い。
しかし言った後に空也は非常に顔を険しくした。
「アニキって原作介入するつもりある?」
「基本はない。俺の能力で介入しても良い方向には転ばせられないだろうし、むしろ悪化させそうだからな」
主に怪我人とか死者とか大量に発生させそうで。
しかし、こういう事を聞くという事はこいつには原作に介入するつもりがあるのだろう。
「なら良かった。僕はなのはの味方として介入するつもり満々だからさ、アニキがもしフェイト側につくなんて言ったらどうしようかと思ったよ」
空也はそっと胸をなでおろす。
それにしても原作介入する気あるのか。そこらへんは個人の自由だから何か言うつもりはないが、踏み台みたいにはならないで欲しいな。俺まで被害くらいそうだし。
「それなら『なのはは俺の嫁!』みたいな事を言ったりするなよ。そんな事をしたら介入どころか友達にもなれないぞ」
「言わないよそんなの。言う度胸もないし」
空也はそう言って苦笑する。まぁ確かにあんな事を平然と言えるのはかなりの度胸がいるのかもしれない。
「まぁとりあえず、僕ちょっと出かけてくるね。もうそろそろ公園でのイベントが起こるだろうし」
そういえば五歳の頃になのはが父の入院が原因で公園で一人寂しくしてるってのがあったな。
「じゃあ行ってくんね」
「あ、おい――」
そう言うやいなや、空也は俺の部屋を飛び出して行った。
……あいつ、公園の場所分かってるのか?
結果を先に言うと、空也は高町なのはを見つけ出す事ができた。何でもローラー作戦でしらみ潰しに探したらしい。
しかもそれどころか、空也は彼女を家に招待するまでしたのだ。
そのため俺の目の前には五歳の高町なのはがいる。見た感じは普通の女の子だ。
「ふ、ふぇ……」
そしてそんな主人公は今怯えたような目つきをしていた。いや、ようなではなく、完全に怯えているだろう。
「なぁお前ら、いい加減にいがみ合うのはやめろ。一体いつまでそうしているつもりなんだ」
彼女の目の前でにらみ合いをしている弟と、銀髪の少年の剣幕が原因で。