ありがとうございます、どう考えても生物兵器です   作:アイソー

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デモンストレーション

「激流の如く暴虐……汝のカルマは何色か!(いきなり殴りかかるとか、何考えてやがる!)」

 

 平穏な我が家に厨二言葉をまき散らす、宙に浮かぶ生首が……。

 もう一度言うけど、何これ怖い。

 

 

 飛んでいる首は空也の目の前で抗議をし、体の方は怒っていると言わんばかりに腕を組んでいる。どうやら首が離れても体は動かせるようだ。

 

 

「だってお前こうでもしないと能力見せれないじゃん」

 

 そんな首に言い寄られても空也は特にビビる事なく、悪びれる事もない。

 

 まぁだが確かにこんな能力使いたくないよな。

 普通に怖い。今のなのはちゃんに見せたら気を失うんじゃないだろうか。

 

 

「また凄まじいインパクトの特典だな……これ何の能力?」

 

「東方の『頭を飛ばせる程度の能力』だってさ。こんなんでも普通に人間だって」

 

 ……ろくろ首じゃねぇか。正確には飛頭蛮って妖怪も混ざっているみたいだけど。

 なんで数ある東方の能力の中でもこれになっちゃたんだよ。

 

 しかしこれで人間って逆に可哀想だな。てかハーレム目指してる奴の能力構成にしては酷すぎる。

 

 

「我が運命は呪われている……(なんでこんな能力ばっか……)」

 

 本人も自覚があるようで、首を体に戻しながら涙を流していた。

 

 まぁ俺も構成の酷さでは人の事言えないが。

 

 

 

 

「汝の秘めし力は?(それで貴方の能力はなんですか?)」

 

 気を取り直したのか、神谷が俺に質問してきた。

 流石にこれは言いたい事が分かった。てかだんだん慣れてきたな。

 

 

「『ドクドクの実』、『オエコモバのスタンド能力』、『核融合を操る程度の能力』の三つだ。正直化物さ加減で言えば俺の方が上かもな」

 

 そんな自虐的なコメントに神谷は一瞬ポカンとしたが、すぐに俺の手を力強く握って来た。

 てか毒が危ないから急に触るのはやめて欲しいな。

 

「共に運命に抗おうぞ!(辛い能力ですけど、一緒に頑張りましょう!)」

 

 どうやら不憫な特典仲間だと認定されたようだ。

 まぁ間違いない。

 

 

 

 

「いやぁ、俺二人みたいな変な能力でなくて良かったわー」

 

 そんな俺達を見て空也は安心したように息を吐いた。

 

 まぁこいつは当たりの能力構成だろう。医療チートってことで原作にも介入しやすいし、こう言ってはなんだが、ヒロインの好感度も上げやすい。なんかなのはちゃん一回大怪我とかした気がするし。

 

 

「何故神は我らを平等に愛さない! 何故天は我を見放す!(お前運良すぎだろ! 俺が何をしたって言うんだよ!)」

 

 そんな空也に、神谷が食いついた。

 確かにハーレム目指してるこいつにとって、空也の能力は羨ましい限りだろう。

 

 

「まぁ運が悪かったって諦めな」

 

 空也は挑発するように笑う。

 安い挑発だが、神谷にはてき面のようだ。ギリギリと歯ぎしりをして、親の仇のような目で空也を見ている。

 

「貴様……」

 

「あと何をしたって言うけど、ハーレム目指すような思考してるからこんな能力にされたんじゃね?」

 

 あー、それあるかも。

 俺達三人の能力構成を見ていて、なんか一貫性を感じる。正直神が出る能力を弄ったんじゃないかと思う程に。

 

 

 

「断罪の時は来た! 我が闇の前に凍てつくがいい!」

 

「お、何だ? やる気か?」

 

 空也の発言にキレたのか神谷が首を飛ばし、臨戦態勢をとる。それを見て空也もクレイジー・ダイヤモンドを出して迎撃態勢に入る。

 

 そもそもクレイジー・ダイヤモンドがある空也はともかく、神谷は戦えるのか?

 まだ二人ともデバイスは貰っていないようだが。

 

 

 ……いや、というか家の中で暴れるなよ。

 

 

 

「我が言霊よ! 悪しき者を凍らせよ!」

 

「うおっ!」

 

 神谷が呪文? を唱えると同時に口から何かガスのようなものが発射された。

 空也はクレイジー・ダイヤモンドの右腕でガードしたが、右腕が凍り付いてしまった。どうやらあのガスは触れたものを瞬時に凍らせるようだ。

 

 その隙に、神谷の頭は素早い動きで空也の横に回り込む。

 

 

「凍てつき、凍えるがいい!」

 

 神谷の口から再び冷凍ガスが発射される。

 空也は今度は左手で防ぐが、左手も先ほど同様に凍らされてしまった。

 

 

 ……神谷のこれ、植木の法則の『自分の声を冷凍ガスに変える力』だな。懐かしい。

 『頭を飛ばす程度の能力』ってちょっと馬鹿にしてたけど、この組み合わせはかなり強いんじゃないか?

 

 

「なめんなよ!」

 

「ぬっ!」

 

 だが空也も負けじと凍った腕を床に叩きつけて氷を割る。これで勝負は振り出しだ。

 

 

「面白い……我が真の力を見せようぞ!」

 

「こっちもガンガン行くぜぇ!」

 

 

 

 

 

 

 

「まぁその辺りにしておけ。毒竜」

 

「「ぎょえええええ!!」」

 

 これ以上暴れられて家を壊されても困るので、体から毒で竜を作り出して二人を飲み込む。

 部屋が毒まみれになったが不可抗力だ。

 

 ちなみに毒竜の毒は原作では致死性のある毒だったが、これは効力を抑えている。せいぜい数時間体が痺れるくらいだ。二人もピクピクと痙攣しながら床に倒れているだけだ。

 

 

「全く……家壊した俺達お袋にぶち殺されるぞ。暴れるなら外でやれ」

 

「道のりは……一つにあらず……(いや、止める方法って他にも……)」

 

「これ……アニキの方が……家荒らしてない……?」

 

 なんかうだうだ言っているがスルー。

 それにこの毒は揮発性だから片付けるのも楽だ。すぐ空気になるし、毒素も殆どなくなる。

 

 

「じゃあそういう訳で外行くか。近所だとマズいし、別の世界でも行くか」

 

 アルトを起動し、転移魔法を発動する。

 とりあえずどこかの無人世界に行こう。

 

 

 

 

 

 

 とりあず無人世界の荒野に転移した。クレーターだらけで草木も生えていない。

 ここは魔法の修行の時に見つけた世界で知的生命体もいないし、管理局が来ないのも確認済みだ。

 

 転移してまず空也の懐から仙豆を取り出し、二人に食わせる。

 すると二人はすぐに毒の効果が切れて動けるようになった。そう簡単に解毒されない自信があったのだけど、やっぱり仙豆って凄ぇな。

 

 

「よし、ここならいくらでも暴れてもいいぞ」

 

「いやいやいやアニキ、やり過ぎでしょ。喧嘩のために世界を変えるとか、聞いた事ないから」

 

 喧嘩のおぜん立てをし終わったのだが、空也はもうあまりやる気がないようだ。

 神谷の方も驚いた顔で地面にヘタリと座りこんでいる。

 

 

 

 

「てかアニキ、いきなり毒とか酷くない?」

 

「劫火の如く苦しみ……(あれめちゃくちゃ痛かったんですけど……)」

 

 ん?

 なんか不穏な空気になってきたぞ?

 

 俺への敵意が出てきてない?

 

 

「あれでも最低まで加減したんだがな……」

 

「だとしても――」

 

 空也が不満は途中で遮られる事になった。

 何故なら空から獣の雄叫びが聞こえてきたからだ。

 

 

「あれ、ドラゴン!?」

 

 空にはビルの大きさくらいのドラゴンが空を飛び、火を噴きながらこちらに向かってきていた。

 

 しかも一頭ではない。空を覆うくらいの数のドラゴンがひしめき合っている。

 色も形もバラバラだが、共通して言える事は全部がこちら――もとい俺に殺意を持っている事だ。

 

 

「なんで一瞬でこんな数のドラゴンが……てか本当にいるんだ」

 

「あー……前この世界に来た時に、一体ドラゴン殺しちゃったんだけど、それ原因かも」

 

「因果の根源を見たり!(間違いなくそれが原因じゃないですか!)」

 

 いや、まさか一匹殺すだけでこんなになるとは……。

 地味に仲間思いの種族なんだろうか。

 

 

「ちょ、アニキこれ早く逃げない――」

 

「まぁすぐ終わるから待ってろ。アルト、セットアップ」

 

『Yes』

 

 アルトが応えると、俺のバリアジャケットが展開された。

 黒いマントに、黒い看守服。それと特徴的なのは、右足の鎧のような部分と右足の周囲で回る球体、それと右手に装着されたサイコガンみたいなデバイスだ。

 

 まぁぶっちゃけ霊烏路空の装備だ。

 

 

 セットアップが完了すると、右手のデバイスを空に向ける。

 すると一瞬だけデバイスが光る。これで魔力は溜まった。

 

 

 

 

『Mega Flare』

 

その一言だけで、極大サイズの砲撃が発射された。

 

 砲撃が出ている状態で手を軽く振り、竜達を薙ぎ払っていく。そのまま空を埋め尽くすほどの竜の半分を飲み込み跡形もなく消し去った。

 

 これで竜達も諦めてくれればいいのだが、そんな気配は欠片もない。

 それどころか仲間をまた殺された事に、より怒りを覚えたらしく、先程よりも早いスピードでこちらに突っ込んでくる。

 

 

『Poison Bomb』

 

今度は人の頭くらいのシューターを、300個ほど作り出す。

 普通あれだけの大技を使えば魔力が尽きるが、俺は核エネルギーを魔力に変換しているので魔力が尽きる事はない。

 

 300個のシューターは全て禍々しい紫色をしていて、全てに『オエコモバ』の部品(ピン)がついている。

 

 

『Shoot』

 

 シューターがドラゴン目掛けて一斉に発射される。

 

 シューター事態の威力は高くないが、シューターが当たった瞬間に部品(ピン)が抜け、大爆発が起きる。更に爆発の衝撃で中の毒が辺りに飛び散る。

 この毒は即効性の致死毒だ。固い鱗も溶かし、確実に敵の体内に侵入する。

 

 

 竜達は爆発で体が消し飛び、毒に侵され、次々と地面に落ちていく。

 まるで蚊取り線香で落ちる蚊みたいだ。

 

 

 シューターが全てなくなる頃には、竜は全て地に伏せていた。まだ毒に抗って痙攣しているのもいるが、まぁ時間の問題だろう。

 

 これならこの世界でもう襲われたりしないだろう。

 こういった無人世界は意外と貴重なので、これで心置きなく使える。

 

 

 

 

「さて、来たばっかりだが、お前らも喧嘩する気がないなら帰るか」

 

「「ア、ハイ」」

 

 余談だが、この光景は二人にとってかなりショッキングだったようで、暫くよそよそしかった。

 

 




能力まとめ

綱島 海斗
『ドクドクの実』
『オエコモバのスタンド能力』
『核融合を操る程度の能力』

綱島 空也
『クレイジー・ダイヤモンド』
『お医者さんカバン』
『仙豆生成』

神谷 零
『厨二病セット(熊本風)』
『首を飛ばす程度の能力』
『自分の声を冷凍ガスに変える力』


神谷は厨二言葉をまき散らす生首が書きたくてこんな能力になりました。冷凍ガスはおまけです。
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