突然だが、転生と聞くと何を思い浮かべるだろうか?
神様と自称する存在に、特定の能力をもらって圧倒的な能力で周囲を圧倒することだろうか?
それとも、自分が望んだ能力とは違う能力をもらって仕方なく、その能力を使って周囲を圧倒するだろうか?
経緯はともあれ、何かしらの能力をもらって活躍する方が物語にしやすいから、それが流行すると思っている上に流行しているのだから否定できない。
だが、俺の場合は圧倒的な知識と葦牙という能力、そして普通の人間よりも肉体が頑丈だという以外は何も貰っていない。
そして、なによりも主人公である佐橋皆人とは関係のない人間として生まれたからだ。
え?能力を持っている時点で充分、勝ち組だって?
よく考えて欲しい。葦牙だとしても、いいセキレイに出会えるかなんてわからないだろ?
もしも、俺の手の届かない所で物語が進むならしばらく引きこもるね。
そう、思っていた時期がありました。
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「みったん、待つのです~♪」
「来るんじゃねーよ!覗き魔!」
「どこに行こうとしてるのか知らん?」
「能力使うなし!この酔っ払いめ!」
「待つんだ、少年。お姉さんといいことしよう」
「如何わしいものじゃないよね!?それ!?」
俺は、2度目の人生の中で始めて身の危険を感じる鬼ごっこをしていた。
追いかけているのは、シングルナンバーの中でも初代懲罰部隊に属しているNo.02からNo.04までのお姉さん達。
松、風花、鴉羽の3人が神座島に来た俺と怪しい雰囲気で戯れようとしたので、逃走した俺との鬼ごっこを興じることになった。
元々のきっかけは、3歳ぐらいの時から様々な知識をスポンジのように吸収していく俺が、革新的な発明を紙に書き始めたことからだった。
当初は、母親も子供の思いつきだろうとスルーしていたがある日、研究で行き詰まった時に俺の思いつきをまとめたファイルをめくっているとあることに気がついた。
それは丁度、研究で行き詰まった部分の問題点と解決方法を書き記した内容があったため、母親は切羽詰まったように俺を呼び出して聞いて来た。
そのため、『こういう問題があったらこう解決したいなぁ』という如何にも子供らしい答えをすると、母親はどこかに電話をして出かけて行った。
置いてけぼりをくらった俺は、1人でお絵描きをするために部屋に戻ったが次の日には研究室に連れていかれた。
そこには、多数の大人の研究者がいたので戸惑っていると、母親から問題解決してみろというGOサインが来た。
そのため、研究対象の問題点をあぶり出して解決してみると、研究者達は感嘆の声と共に喜びを分かち合っていた。
そのため、後で母親に聞いてみたら解決した問題は長い間、研究者達を悩ませた問題だったようだ。
その結果、俺が小学2年になった頃に超大国である某A国の超一流の大学と契約して奨学金と援助されたお金で通うことになったため、俺の家族はその国に引っ越して11歳になる頃にその大学を卒業した。
そんな訳で、久し振りに新東帝都に戻ってきた俺は研究に没頭しようとして、今度は母親に連れられて神座島に到着した。
どうやら、俺が大学に行ったことで得られたお金で御中広人が会社を大きくするついでに、セキレイ達をちゃんとした施設で研究しようと言っていた。
研究と言っても、人体実験ではなくてセキレイの能力を調整して現代でも闘えるようにしているらしい。
俺も、大卒と言うことでその一員として参加することになったのだがその中でも、鶺鴒基幹が反応した3人が羽化しようとして迫って来ているのだ。
しかし、どんなに美人であってもおっかないお姉さんに追いかけられるのは悪夢だ。
そんな俺を、救ってくれたのが懲罰部隊の初代筆頭であるNo.01である美哉だった。
「わっ!ごめんなさい!今、急いでいますのでまた後むぐっ!」
「………何をやっているんですか?皆さん」
「あややや、なんでもないですよ。美哉たん」
「鬼ごっこをしているだけよ」
「相変わらず、おっかないなぁ。あんたは」
研究施設の曲がり角を曲がろうとして、初代筆頭の任務をやっている美哉とぶつかりそうになった。
そのため、俺は謝りながら逃げようとして状況を察した美哉が俺をかばいながら、追いかけてきた彼女達にそう言った。
すると、彼女達は焦りながらそう言ったのでリーダーとしての威厳を出しながら、彼女達を追い払ってくれた。
「ありがとうございます、美哉さん」
「全くですよ、道人くん。私の鶺鴒基幹が反応していたらどうするつもりですか?」
「その時は諦めるしか、手はなさそうです。貴女に勝てませんから」
彼女の質問に正直に答える。何故なら、美哉は浅間健人という同僚の研究者と婚ごうとしているのだから。
ただし、それは叶わぬ願いだ。
理由は結構、複雑だから説明は省くが健人は葦牙としての才能に恵まれなかったのだ。
葦牙でなければ、セキレイを制御できないので叶わぬ恋みたいになっている。
しかし、それでも健人は美哉をセキレイの束縛から解き放つために奔走しているため、俺がそれをやめさせようとしても聞き入れなかった。
それだけ、彼らの思いは確かなのを確認した結果だが原作を知っている俺としては、彼女が悲しむのをなんとしてでも避けたい。
そのため、俺は事件が発生するまでの間に問題となるものを全て解決するために、本社に戻ってから研究に勤しむのであった。