セキレイがいる世界   作:八雲ネム

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第15話 もう1つの粛正

「……秋津、大丈夫かい?」

「問題ない。前々から打ち合わせていたから」

「皆人も無事?」

「えぇ、助かりました。まさか、ここまでやるなんて」

 

 ここは、帝都の高速道路ジャンクションなのだが作戦冒頭で結が場を混乱させるために、祝詞を使って熊拳を使ったのでスモークとは別の煙で視界がさらに悪くなった。

 とは言え、これで立体的に伸びていた高速道路が崩壊するのと同時に安全な場所に逃げれたが、これをした理由は数の上で互角だが脱出計画の時のように今の結では紅翼の相手にはならない。

 着実に、力をつけているとしても元々の素質が違うので実力の差がなかなか縮まらない。

 原作での結は、主人公補正ならぬヒロイン補正によって互角に戦えるようになっただけで、それがなければ脱出時に機能停止になっていたはずだ。

 そのため、今回は俺のセキレイ達が陽動として動いてもらって結達は、ヒット&アウェーで行動してもらっている。

 こうすれば、不用意な戦闘によって機能停止にされる危険性が減るというものだ。

 そんな俺達は今、秋津に周囲の警戒を任せて俺と皆人で一緒にいることで、自由に動けるセキレイを5羽にして対応している。そうすることで、相手側は混乱するだろうしな。

 

 

 

 

「この程度か、つまらん」

 

 私はそう言うと、刀に付いた血を振り払ってそれまで戦っていた相手に踵を返して歩き出した。

 ジャンクションを崩壊させた後、私達はバラバラに行動しているが白煙の中で遭遇したのは懲罰部隊の……えーっと、なんだけ?確か、来瀬という少女だったかな。

 懲罰部隊に、所属していて壱ノ宮と婚いだセキレイからの評価が軒並み下がっていて赤点どころか、マイナスにまで振り切れているので有無を言わさずに攻撃してきた。

 壱ノ宮のセキレイとはなるべく、戦闘を避けるようにと言われていたので話し合いに持っていこうとしても聞く耳を持たなかったので、やむなく機能停止させることにした。

 そうすると、道人はいい顔をしないんだがやられるよりかはマシだと思って移動を再開した。

 

 

 

 

「我が誓約の炎 葦牙が(ごう)、燃やし付くさん!!」

 

 私はそう言いつつ、迷子になっていたセキレイの鶺鴒紋に触れながら祝詞を唱えた。

 彼女は、皆人のセキレイでもなければ懲罰部隊にいたメンバーでもないので恐らく、氷我のところのセキレイだろう。

 本来であれば、戦いによって倒すべきなのだろうけど道人が考えた作戦は短期決戦を目的に、組み立てているのでこうするしかない。

 それだけ、懲罰部隊の実力が高いと言うことを示しているのだが皆は無事だろうか。

 私がそう思っていると、月海がやって来てこう言った。

 

「焔!無事か?」

「こっちは問題ない。まずは1羽目だね」

「あぁ」

 

 

 

 

「さすがに視界が悪くてよく見えませんねー」

「スモークを焚いているせいで視界不良。その上、瓦礫の山にした時の塵も混じっているから余計に見にくいから注意して」

「わかってますよ、葛城さん」

 

 私は、結さんと共に移動している最中だ。

 第三回戦では、懲罰部隊も参加していると言うことで道人さんが即興でこの方法を、考えてくれましたが前回の久能さんが脱出する時には皆人さんを守ることで精一杯だった。

 それだけ、懲罰部隊のセキレイは強くて結さんでも紅翼というセキレイには反撃できなかった。

 奇襲という形で、攻撃されたにしても多少の反撃ができてもおかしくないのにそれができなかったとすれば、今の私にとってすればマトモに戦っても勝ち目はないだろう。

 とすれば、可能な範囲で機能停止にならないで他の皆さんがいる場所まで連れて行くのが得策。

 結さんにも、そう伝えたのですが彼女は楽観視して軽快に動き回っているので、私は普段よりも意識しながら周囲を警戒していった。

 

 

 

 

 一定の時間が過ぎると、それぞれの場所で戦闘が始まったようで周囲を軽快しながら移動すると懲罰部隊の壱ノ宮と接触した。

 

「あららら、見つかっちゃった」

「全く、災難だねぇ。同業者なのに戦う羽目になるとか」

「仕方ないでしょう?脱出計画を立てたのはそちらなんだから」

「……言い返せねぇや」

 

 俺と壱ノ宮で、冗談を言い合っていると複数のセキレイが空から降ってきた。

 ものの比喩ではなく、実際に降ってきたのだからかなり白熱した戦いになっていたのが推測できるが、その中に俺のセキレイ達もいた。

 

「2人とも、大丈夫かい?」

「問題ないよー」

「私もだ」

 

 鴉羽達の状態を確認した後、着地に失敗した紅翼を追って皆人のセキレイもやって来たので氷我のセキレイを含めて、三つ巴の戦いになろうとした時に俺と壱ノ宮の携帯の電話が掛かってきた。

 そのため、俺と壱ノ宮が携帯を取って電話に応じると社長からの命令で第三回戦を、途中退場して脱走計画を立てようとした奴らの始末を頼まれた。

 まぁ、社長命令でもあるので皆人には悪いが後は彼らでなんとかしてもらうしかない。

 幸いにも、紅翼達も一緒に行くことになっているので問題はないだろう。

 問題があるとすれば、鴉羽が懲罰部隊の1人を機能停止させてしまったことぐらいなので汚れ仕事なら仕方ないから引き受けよう。

 そう思って、迎えにきたM.B.Iのヘリに移動することになった。

 原作でも、懲罰部隊のメンバーは途中退場して皆人達が氷我の捨て駒的セキレイを、機能停止させたので問題ないだろう。あるとすれば、紅翼と灰翅が俺達を物凄く睨んでいたぐらいだ。

 

 そんな訳で、ヘリで現場に向かってみると壮観だった。

 何故なら、20羽近くのセキレイが葦牙を引き連れて脱走を企てようとしているのだから。

 そのため、俺はヘリに乗りながら鴉羽達に指示を出した。

 

「手段は問わないからセキレイは必ず機能停止にして!葦牙はM.B.Iに任せるから動けなくする程度でお願いね!」

「わかったよ」

「……了解」

「………仕事だから仕方ないとは言え、つらいな」

 

 鴉羽達は、それぞれの想いを乗せてヘリから飛び降りた。

 鴉羽は楽しそうに、秋津は残念そうに、焔は悲しそうにしながらも帝都のエリア外に出ようとした奴らの足止めに専念することになる。

 それだけ、数が多いからつべこべ言っている暇がないのだが鴉羽からすれば、格好の的でしかないのでそれから数分間、鴉羽達による脱走組の虐殺じみた行為が繰り広げられた。

 

 

 

 

 

 朝 出雲荘近く

 

 

「結局、夜明けになっちまったな」

「大丈夫かい?道人」

「大丈夫な訳がないだろう?あれだけ、一方的すぎると悪夢になって出てきそうだ」

「それで鎮静剤を持ってきていたのね」

「汚れ仕事とは言え、今回のは来るものがあったね」

「道人、私にもくれないか?今日は眠れそうにない」

「オケオケ、後で渡すよ」

 

 俺達はそう言いつつ、徒歩で移動していたが今回の大量脱走では合計で18羽のセキレイを、機能停止にさせたので鴉羽を除いて気分的に落ち込んでいた。

 帰り道の途中、皆人が神器の1つを入手したメールが俺の元に届いたがそう簡単には浮かれる気分にはなれないぐらいに精神的に来るものがある。

 そのため、帰った後は皆人に睨まれながらも俺達は鎮静剤を飲んでから、部屋に戻って眠ることにした。

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