「ようするに、セキレイの告白大会なのですよ」
「なーる、秋津達が来る前にやっていたジャンケンはそう言うことだったんだね」
セキレイの告白大会である鶺鴒表明は、セキレイにとっての意思表示であるのである意味で神聖な儀式でもあるのだがセキレイと言えども個性豊かなのでそれぞれがやりたいことを伝えるのだ。
秋津と焔は俺のことを守ったり、道しるべになりたがっていた上に風花は心ゆくまで夜の営みをすることだった。
一方の松は、以下の鶺鴒表明をした。
「実験!!みったんでただれた実験を心ゆくまでしてみたい、とゆーこれにつきますですな。クフクフクフクフ」
「相変わらず、そう言ったことは一貫しているよな」
「ま、松は今後も変わりなく松らしくみったんを好きでいる―――と、そんだけのお話ですよ」
松が、いつもの笑い声と共に言ってきたので俺も慣れた感じでそう言った。
こいつは、俺と初めて会って鶺鴒基幹が反応した時からずっと一貫して、このことを言い続けているのだ。
そのため、長くいる俺としても「うん、知ってた」という表情になると松は話を進める。
「しかし、松はみったんの軍師ですゆえ、今はアレが気になって仕方ないのですよ」
「嵩天、だよな?」
「はいです」
嵩天とは、一組の葦牙とセキレイが最終的な目的地としている場所であるのと同時に、最終決戦の場所でもある。
あそこには、No.00が昇ってきたセキレイ達を選定する場所であるので必然的に、No.01である美哉があそこに立って待つことになるだろう。
健人は、そのことに対して猛反対するだろうが計画に長らく参加しなかった代償で、M.B.Iどころか美哉に対しても有効なカードを切れないと思う。
とは言え、生き残った葦牙達の誰かがあそこに行って勝利を掴んだらセキレイの命運や葦牙、そして全人類の命運が決まることになる。
そうするには、まだ人数が多いので嵩天に行けるセキレイと葦牙をふるい分ける意味で、神座島で生き残った葦牙達がしのぎを削ることになる。
そのため、神座島の動向に関して注視しつつもそこに行った時に、どうするかを松と一緒に考えていった。
「ん?おお、今度は鴉羽かい?」
「あぁ、ジャンケンで決まってしまってねぇ」
一旦、鴉羽と結女の鶺鴒表明を聞くために出雲荘内を歩いていると皆人の部屋で、くーちゃんが皆人に鶺鴒表明をしていてほんわかしていると鴉羽がやって来てそう言ってきた。
どうやら、最後に言えないのが残念そうだったがそれでも、鶺鴒表明をしてくれる鴉羽の行動がありがたかった。
俺が出会った当初は、彼女は本当に戦闘狂で婚ぐ時もただ単純に、パワーアップしたくてやったような感じを受けた。
しかし、今ではそんな彼女が鶺鴒表明でむくれ面になる方が当たり前になっている。
原作から大きく変わったなと思いつつ、彼女の表明を聞くために俺の部屋へと場所を移した。
「ふぅ、こうやって二人きりで話し合うのも久し振りな気がするよ」
「だなぁ、ここ最近は鶺鴒計画で忙しかったし」
俺がそう言うと、鴉羽はいつものように微笑んでいる表情から真剣な顔になって俺に聞いてきた。
「道人はさ、鶺鴒計画が終わったらどうしたい?」
「計画が終わったら?……うーん、そうだなぁ………参った、色々とやりたいこがあるからそう簡単には決められない」
「ふふっ、そう言うところは昔から変わらないよね」
「うるせーよ」
そう。昔から、その時に熱中していることが終わった後に次はどうするのかが決まらない、という癖がある。
もはや、習慣と言っても過言ではなくてその度にしばらく考えてから、次のことを決めてやるのが俺と鴉羽達の間で当たり前になっていた。
とは言え、いくつかは取っ掛かりやすいのですぐにやることはできるだろう。
「私はさ、戦うことが第一だった。それだけに生きるんだと思っていたんだ」
「あぁ、そうだったな」
「だけど道人に出会って、色んな奴と話して仲間になったりしてその考え方が大きく変わった」
「………」
「道人……私は今、君を守るセキレイとして刀を振るいたい。こんな私を受け入れてくれた君にこそ」
俺が彼女の目を見ると、決意に満ちた目をしていたので俺は微笑んでこう言った。
「いいよ、君が思うように刀を振るって欲しい。そのための葦牙とセキレイなんだから」
「………」
「そして、俺を選んでくれてありがとう。君がいたからこそ、ここまでやってこれたよ」
「ふふっ、君は昔と変わらずにそう言ってくれると思ったよ」
鴉羽がそう言って、顔を近づけてきたので俺も近づけると互いにキスをしてこう言い合った。
「幾久しく」
「こちらこそよろしくね」
さて、何だかんだで婚いでいるセキレイからの鶺鴒表明は受け付けたのだが、問題なのは婚げないセキレイである結女についてだ。
できることなら、縁のセキレイという肩書きはそのままに婚げるようにしたい。
既に、何通りかのプランは考えているのだが今は重要な時期なので、そう簡単に開始することができない。
計画が一段落して、帝都が安定したらプランを実行しようと思うけど今は、そんな彼女を裏庭で待っている状態だ。
どうやら、結と特訓していたようなので普段から着ている服装に着直しているとのこと。
そして、彼女が裏庭にやって来た。
「着直しは終わったかい?」
「はい!結さんは充分に強くなりました!」
「うん、鶺鴒表明。君で最後だ」
「あっ!ちょっと待ってください!少し緊張しちゃってますので」
彼女がそう言うと、深呼吸してから鶺鴒表明をした。
「道人さん!私はあなたに初めて会った時から大好きです!こんな私でも受け入れてくれました。羽ばたくことを知らない雛達を守ってくれました。計画の中でもセキレイのことを考えて行動してくれました」
「……」
「皆が婚いだ後も道人さんは私にも優しくしてくれて、そんな道人さんと一緒にいるのが嬉しくて私、ずーっとあなたに恋をしています。だからもう一度、言います!」
「幾久しく」
「これが私の鶺鴒表明です!」
……何でだろうな。自分の境遇を見返して、ひねくれてもおかしくないのに何でここまで真っ直ぐに俺を見つめて明るく言えるんだろうな。
それは多分、自分の役割をしっかりと分かったからここまで真っ直ぐにやれるんだろう。
それに対して、俺はどうだ。
転生する時にチートな能力を得て、この世界にやって来てからずっと研究に情熱を注いできた。
鶺鴒計画だって、自分の能力を発揮するための計画でしかなかったのに今では、彼女達がいないと寂しくて仕方ない。
これは多分、研究よりも彼女達のことが好きになったからだろう。
だから、俺は真っ直ぐに見つめてくる彼女を見てこう言った。
「結女、結達を攫いに来た奴らを追い払ってくれなかったら今こうしてここにはいなかった」
「……」
「皆と本気で笑ったり、泣いたりしながらも多くの人達と出会うこともなかった」
「……」
「だからありがとう、結女。俺のそばにいてくれて。本当にありがとう」
俺がそう言ったので、結女はうっとりとした表情で俺を見つめてきたが人の気配を感じて縁側を見ると鴉羽達から嫉妬の眼差しを受けていた。
そのため、俺は結女の手を握って鴉羽達に近づきながらこう言った。
「俺はな、結女。君や鴉羽達とずっと一緒にいたいんだ。だから最終段階、必ず勝とう!」
「…っ!はい!」
ということで、鶺鴒計画も最終局面に入っていきます。
鶺鴒表明で、結女を最後にしたのは彼女が婚げないからです。
婚いでいたら鴉羽を最後にしていました。えぇ、絶対に。