「……ん?」
「勝手に開きましたね」
「松はハッキングしている途中ですよ」
俺達は、神器の台座の近くにあった入り口っぽい丸い蓋を弄っていると、プロテクトや開こうとする力に抗っていた動力の力が消えてすぐに開いた。
すると、俺達を囲っていた光の壁にも変化が起きた。
「…!道人、光の壁が消えた!」
「勝手に消えたわん」
「消えた、不思議」
急に消えた光の壁に、鴉羽達も驚いているが光の壁を発生させていたのは船の力であるので。船に何かしらのアクシデントが起こったに違いない。
今まで、神座島が守られてきたのは船の力であるのでその船の機能が喪失したら、これから起こることは神座島侵攻が始まると言うことだ。
となれば、その情報を1人でも多く共有させた方が良いので改めて指示を出した。
「船の機能が喪失した以上、船に入るよりも地上を走った方が早い!すぐに移動するよ!」
「「「はい!」」」
俺がそういうと、鴉羽が俺を担ぎ上げて移動を開始した。
正直、俺が走るよりもセキレイの方が早いので彼女達に乗って移動するのが、当たり前になっているがだからって荷物のように担ぎ上げなくてもいいんじゃないかと思う。
とは言え、既に移動を開始しているのですぐには変えてくれないだろう。
そのため、ややみっともない格好で移動していると葦牙達が集まっている場所に来た。
「ん、おぉ皆人。無事だったか」
「道人さん!あの…!」
「すまんな、こっちも負けられないんで」
皆人が何かを言いたそうにしていたが、俺はそう言うと彼は押し黙って氷我の方を見た。
どうやら、ステージⅡにおいて皆人が戦うことになっていたのは彼ららしい。
彼のそばには、倒れているセキレイがいて動かないところから察するに、機能停止になっているのだろう。
そうこうしている内に、他の葦牙達も集まってきたので見回してみると、瀬尾がいないことに気が付いた。
「なぁ、皆人」
「なんです?」
「瀬尾達はどうした?」
「結ちゃん達が吹き飛ばしました。松さんの協力で」
「……松ェ」
「ち、違いますよ!瀬尾たん達には場外ノックアウトになってもらっただけです!」
俺が冷やかしの目で見ると、松がそう弁解してきたのでとやかく突っ込むのはやめにしてバトルロイヤルと化した戦場を見てみる。
懲罰部隊の2羽は、氷我と皆人のセキレイに当たっている状態で真田のセキレイがいつもとは違うセキレイになっている。
多分、隠し球だろうけどきつい性格をしているようで持て余し気味だったようだ。
その3羽は、No.14の千代、No.17
鴉羽は、鹿火との戦いで何かに思いふけているようで戦闘に参加しなかったが、それでも周囲を警戒してくれている。
「……?そう言えば、御子上の奴らがいないな」
「そう言えばそうですね、どこにいるんでしょう」
俺の言葉に、皆人が反応すると空気を着る音と共にヘリコプターがやって来た。
悪いことは立て続けに起きる、とはよく言ったもので船のトラブルで光の壁が喪失した以上、島を守っていた物がなくなったからには敵対している組織からすると格好のチャンスと言えよう。
しかも、この状況から察するに御中社長は不在と見える。
何故なら、彼のカリスマ性でそもそもこの状況を作らないからだ。
そうなれば、これから起きることと言えば神座島がまたも始まる訳で、機能停止して放置されているセキレイは拉致されるだろう。
そのため、とっととこの状況をなんとかしないといけないので俺は、持ってきた衛星通信ができる小型の無線機を持ってきているのですぐに展開して本社と通信を開始した。
「本社、本社!こちら武田、状況を教えてくれ!」
『道人かい!?こっちも攻撃を受けていたが、ドロップアウト組や隠れて過ごしていたセキレイ達が応戦してくれてなんとかなっている!』
「了解した。社長はどうしているか、分かるか?」
『そっちに向かったところまでは分かるんだがそれからはなんとも……』
通信を開始すると、出てきたのは高美さんで社長のことを聞くとこの島に来ているらしい。
いつの間に来たんだ、という疑問は脇に置いても社長までもが不在なら状況は最悪だが、幸いにもM.B.I本社を強襲した部隊に生き残っていてこの島に来なかったセキレイが、応戦してくれているのでまだマシと言えよう。
そこには鈿女や椎菜、久能が参加していて部隊は立ち往生している状況なので、当面の問題はこの島に来ている部隊だ。
遠目で見ると、ヘリコプターや軍艦が一定数の編成でやって来ているので、セキレイの技術を盗みに来たのだろうと松が予想した。
そのため、どう対処しようかという話になった時に神器が設置してあった台座から、悔しそうにしている御子上と陸奥が出てきた。
事情を聞くと、船のシステムをダウンさせたのは彼ららしくてやむを得ない状況だったとは言え、ゲームが台無しにされたことに本気で悔しそうだった。
そして、島の外に連絡がままならない状況下では謎の島でカリスマ的な社長が生死不明、という口実が生まれた以上は大金を払ってでも敵対する組織に襲わせているのが現状だ。
唯一の救いは、神座島侵攻を経験してきたメンバーの殆どが機能停止にならずに済んでいることなので、彼女達を中心に戦っていけばなんとかなるだろう。
そのため、葦牙同士のバトルは一時休戦で目の前の脅威を排除する為に敵味方関係なく、共同戦線を張って戦うことになる。
その最初の攻撃として、嵩天の能力を利用してヘリコプターを墜落させる。
風花がやっても良いのだが、効果を出すには範囲が広すぎるので使えるものはなんでも使う精神で嵩天のコントロールを一時的に奪って使うことにした。
その際、そう言えば
その後、松の能力をフルに引き出すために祝詞を使った。
「我が誓約の智、葦牙が世界 能く識らん!―――」
「……」
「―――さあ!!松の
そう言って、松がその島を指さすと何故か固まってしまった。
恐らく、脳内の情報処理のソースが嵩天のコントロールで一杯になってしまったと思われるので、俺は何も言わずに彼女の肩に触れると精神感応で会話をすることになった。
その結果、神座島上空を飛び回っているヘリコプターを意図的に墜落させるため、嵩天の力で払いのけようとしてビームが出た。
「……あ」
「何やってんだよ、松さん。出力が過剰すぎるだろ」
「ち、違いますよ~。コントロールが難しいんです~」
俺のツッコミに、松が慌てたが2回目では上手く風を巻き起こして大半のヘリコプターは落とせたが、その直後に嵩天のコントロールを奪い返されたので通常の意識に戻った。
落ちたヘリコプターから、上手く脱出できていることを祈りながら次に洋上を航行している軍艦を行動不能にするため、月海の祝詞でなんとかしてもらった。
え?M.B.Iの巡視船はどうしたかって?1回限り、他の葦牙に婚いだセキレイとリンクができるという薬を開発済みなので、それを無痛注射器で松に注射してやってもらったよ。
何だかんだで、原作の知識とセキレイと長く接しているからできた薬だな。
その直後、壱ノ宮から社長が生きているという情報を拡散して欲しいという願いを聞いたので、氷我の耳についている機器と俺の無線機を通して情報の拡散を行った。
こうすることで、武力攻勢の裏にいる勢力も侵攻をやめざるを得なくするためだ。
その情報が、氷我の会社とM.B.I本社から出回った直後にアナウンスが流れた。
『この島の葦牙に告ぐ!!諸君らの仲間を1人確保した!サナダという男だ!!』
後10話以内に本編が終了するつもりです(唐突)
理由は、荒削りながらも駆け足でやって来たためです。
原作が18巻ですので、本作ではその内の17巻目を書いている最中ですので、そう長くないうちに本編が終わってしまいます。
まぁ、番外編も含めればもう少し長くなりそうですが、それでも残り20話に届くかどうかです。
また、誤字報告をして下さった猿島様、栗原本昌様、N-N-N様。
本当にありがとうございます。
毎日、投稿しているとどうしても見落としが発生してしまいますので、報告して頂けるのは感謝の気持ちで一杯になります。
そのため、読んで下さる方々も含めて今後もこの作品が完結するまで、お付き合い頂けると幸いです
ではまた次回。