尺の都合上って奴です。
「…?…あれ?俺、どうしてここに?」
俺は目を開けると、目の前には破損してうち捨てられた戦車やヘリコプターがあって島の砂浜には、船体が大きく裂けた軍艦があった。
状況から察するに、第一次神座島侵攻の直後だと分かるのだが違和感を感じた。
何故なら、島を探索しても研究員は勿論だが初代懲罰部隊に参加していた美哉達や、調整中のセキレイすらいないからだ。
そのため、島を見渡せる場所に来てからここに至るまでのことを思い出すことにした。
「えぇっと確か、船の異常で島が沈没しそうになったから陸奥の力で隆起させようとしたんだったな。その結果、皆の協力もあって島は沈没を免れたがその直後、何故かは知らないけど意識が遠のいてここにいる訳だ」
俺がそう言って、頭を悩ませていると後ろから物音がしたので振り返ってみたら、随分と懐かしい顔があった。
「……あぁ、あんたか。また、転生かい?」
「それだったらどれだけ楽じゃったことやら」
そこには、俺をセキレイのいる世界に転生させた幼女(の格好をした)神がいた。
「誰が幼女神じゃ、誰が。お主がヘマをしたからこうやって来てやったんじゃぞ?感謝するのじゃ」
相変わらずの読心術だな。それに感謝を強要する神様に感謝したくねぇや。
「ほほぅ?となればこのまま、彼女達を悲しませるつもりかの?」
……鴉羽達か。
「そんな名前じゃったかの?まぁ、何はともあれ。彼女達の生死を大きく変えたのは評価しよう。じゃがこのまま、終わっても良いのかの?」
そいつは困る。少なくとも鶺鴒計画の終わりはちゃんと見たい。
「なら、やるべきコトは決まっておろう?お主にしか、できぬことが」
………。
鴉羽side
「おい!起きろ、道人!おい!」
「道人さん!」
「松、どうにか出来ないのか?」
「無理ですよ~、焔たん。葦牙の機能停止なんてそれこそ、みったんにしか」
「確かに健人を機能停止から救ったのは道人クンだけど、その本人が倒れちゃったらねぇ」
「マス、ター……イヤ……逝かないで……」
陸奥達が祝詞を発動した直後、道人を始めとした葦牙が急に倒れてしまったので神器を原因とする不具合が生じたのは分かるのだが、それ以上のこととなると船の中に入って制御室に行かないといけない。
しかし、葦牙が機能停止やそれと同等の状態になったらその葦牙と婚いだセキレイも、機能停止に陥ってしまうため、神座島に上陸して残されたセキレイ達のタイムリミットも残り少ない状態だ。
そんな現実を、知ったセキレイ達は絶望に覆い尽くされたが1羽だけ、諦めていないセキレイがいた。
「……鴉羽、みんな。私に魂を預けて頂けませんか?」
「結女?何を……っ!」
「結女たん、まさか……」
「はい!鶺鴒基幹と葦牙基幹を有している私なら、道人さんの葦牙基幹を守れると思います!」
「…?つまり、どういう事なんだ?」
「つまりはですね……」
突然の結女の発言に、鴉羽と松は何かを察したようだが焔や風花、秋津は状況をよくわかっていないようだ。
そのため、松はその3人に結女の特性を教えた。
結女は、鶺鴒基幹と葦牙基幹を併せ持っているのだがその構造は、葦牙基幹を鶺鴒基幹で覆って守っている状態だ。
つまり、道人が持っている葦牙基幹を直接的に守ってやれば神器が放つ毒性の影響を、道人は受けなくなると言うもの。
しかし、結女だけでは道人の魂を再起動するだけの力はないため、彼と婚いだセキレイである鴉羽を始めとする5羽のセキレイが協力して
その説明を受けた彼女達は、一縷の望みを見いだしたようだったがその瞬間、彼女達から力が抜ける感覚がした。
そのことから、鴉羽達が機能停止する時間が迫ってきているので迷っている暇はないので、鴉羽は結女にこう言った。
「結女ェ~、絶対に!絶対に道人を嵩天に連れて行って勝つんだぞ!じゃないと祟ってやる!」
「ふふっ、鴉羽って道人の正妻的な立場だったからねぇ」
「それでいて、皆のことも平等に接してくれたから嬉しかったわん」
「こうなったら結女たんにお願いするしかなさそうですね」
「マスターを…お願い…!」
彼女達は、結女にそう言ってから道人の周りに立って次々に声を掛けた。
「道人、私と最後まで付き合うと言いながら先に眠りやがって。目を覚まさなかったらあっちで散々、付き合ってもらうからね」
「私の
「道人クン、起きたら寝かせないわよん♡」
「みったんが停止中に
「マスター、起きたらデートして奢ってもらうからちゃんと起きてね」
「道人さん……!」
鴉羽達が、そう言ったのを確認してから結女が道人の魂に火を入れるために鶺鴒基幹で、道人を包むとその場にいた6羽のセキレイと道人が輝きだした。
道人side
「なら、やるべきコトは決まっておろう?お主にしか、できぬことが」
……。
………。
俺にしかできないこと。
そんなものは、既に決まっている。
それは―――。
「全てのセキレイの道しるべになること。そして、繋いだ手を絶対に離さない」
「………」
「俺は研究バカで葦牙でしかないが、そんな俺に手を差し出してきた彼女達を絶対に離したくないんだ」
「全くの欲張りさんだなぁ。そんな君が好きなんだけど」
俺がそう言うと、良く聞いた声が後ろから聞こえて後ろを振り返ると鴉羽達がそこにいた。
そのため、俺が驚いていると鴉羽達が精神感応で状況を教えてくれた上に、鴉羽が俺にキスをして来たので松と秋津から嫉妬のオーラが出たような気がした。
そのため、呆気にとられていると鴉羽がこう言ってきた。
「全ては
「鴉羽……」
「征け!道人!結女が待っているぞ!!」
「……おう!」
俺がそう言うと、その場は光に包まれた。