セキレイがいる世界   作:八雲ネム

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第2話 懲罰部隊

 休日なのに、システムエラーで半日が潰れたがその数日後にまたもや社長に呼ばれて、婚いだセキレイ達と共に社長室に入ると佐橋高美主任もいたので何か、ヘマでも起こしたかなと思っていると社長からこんなことを言われた。

 

武田道人(たけだ みちひと)くん、君のセキレイで懲罰部隊をやってみないかね?」

「………新たに編成したと聞きましたが?」

「壱ノ宮くんと彼のセキレイは、すでに懲罰部隊の主力メンバーとして加わってもらっている。君たちにはその補佐をしてもらいたい」

「拒否権はあるんですか?」

「勿論、あるとも」

 

 御中社長は、自信を持ってそう言い切ったのでセキレイ達と話し合った。

 

「簡単に信じられないんだが………」

「寧ろ、信じた方がおかしいと思うよ」

「社長って意地悪な性格ですから」

「道人、ここは断った方がいい」

「私はどっちでもいいわ~、道人くんがいいと思った方で」

「マスターの思った方を行けばいいと思う」

 

 俺が、目頭を押さえながらそう言うと鴉羽や結女、風花がいつものことだと言わんばかりにそう言って、焔は反対の意思を示したが秋津は俺の意思を尊重する構えを示した。

 すると、俺の携帯がメールの着信を知らせる振動がして見てみると、松からのメールで『何をされるか、わからないからやめておいた方がいい』と言う内容が書いてあった。

 そのため、かなり悩んだが結論を出した。

 

「社長、引き受ける条件があるのですがいいですか?」

「いいとも」

「彼女達が嫌がるような任務は引き受けない、というのを条件に入れていいですよね?それがなければお断りさせていただきます」

「勿論、大丈夫だとも。帝都を崩壊させなければ自由なのだから」

「……では引き受けさせていただきます」

 

 俺はそう言うと、セキレイ達と一緒に社長室を出た。

 元々、M.B.Iで働いている以上は御中社長がトップなので社長命令が出されてしまえば、簡単には断ることができない。

 どうしても断りたいなら、他の会社に行くしかないのだが帝都からセキレイが離れられない以上は、帝都内にある大きめの会社に限られてくること考えると、帝都内で今と同等の生活を維持できるかは疑問だ。

 となれば、海外に行くと言う手もあるがそうするとセキレイを知りたがっている組織が、海外には多すぎるので今度は彼女達の身柄が危ない。

 最悪の場合、神座島侵攻以上の戦力が集まって来るかもしれないから、おいそれと言って逃げ出すこともできない。

 

 つまり、懲罰部隊の任務を引き受けるしかないのだ。

 

 幸いなことに、懲罰部隊の経験者は4人もいるので戦い方に関しては問題ないが、彼女達自身が懲罰部隊として戦うことを良しとするかだ。

 特に、ガーディアンの仕事をしている焔は高美に頼まれたために守ってきた羽化前のセキレイを、自らの手で機能停止にしないといけないからだ。

 と言っても、婚いだセキレイの場合は鶺鴒紋に指を当てて祝詞を唱えればいいから、戦って無理やり停止させるよりかは大分マシだ。

 そのため、焔に聞いてみるとこう返ってきた。

 

「道人が決めたことだろう?ならばやれることをやるまでだ」

「そう、ならいいんだ」

 

 俺はそう言うと、懲罰部隊の主力メンバーとの顔合わせのために指定された部屋に行ってみると、そこには優男と2羽のセキレイがいた。

 

「始めまして、壱ノ宮 夏朗(いちのみや なつお)です。よろしくね」

「始めまして、武田道人だ。社員証から考えると製薬部門の平社員ってところか」

「ふふっ、さすがは天才様だ。なんでも知っているんだねぇ」

「何でもじゃない。現に俺と君とでは初対面だし、君の名前も初めて知った」

 

 俺達は、そんなことを言い合っているとセキレイ同士での挨拶もそこそこに、サイドテールの少女が鴉羽に喧嘩を売っていた。

 

「ちょっと!懲罰部隊の主力はボク達なんだかね!そこのところをちゃんと覚えてなさい!」

「新参者が調子に乗っているね。まずはここで懲らしめておくかな?」

 

 確か、ボクっ娘のセキレイはNo.105の紅翼だったはずで気の短い彼女は、戦闘向きの能力を持っているのだが向かうところ敵無しの状態らしいのでかなりのイケイケな性格になっていた。

 そのため、鴉羽は良い獲物を見つけたような顔になったので俺と壱ノ宮で、それぞれのセキレイを止めに入った。

 

「おやめ、紅翼。彼女は元懲罰部隊のメンバーさ」

「鴉羽も今はやめておこう。いずれは戦うことになるし」

 

 そう、セキレイとセキレイと出会った葦牙は嵩天(こうてん)に向けて、終わりのない戦いに身を投じる必要がある。

 それがセキレイの使命であり、彼女らと出会った葦牙が最終目標としている場所でもある。

 そんなことがあるから、今はまだ戦うことをやめておくように伝えたのだった。

 とは言え、懲罰部隊としての戦闘実績のある鴉羽からすれば、紅翼は取るに取らない存在ではあるのだが。

 そんな訳で、互いのセキレイについて紹介していくと俺のセキレイが、シングルナンバーで構成していることが分かる。

 

 No.02の松、No.03の風花、No.04の鴉羽、No.06の焔、No.08の結女、廃棄ナンバーでありながらNo.07の秋津とシングルナンバーだけで構成されているなんて、奇跡的すぎると改めて実感した。

 一方、壱ノ宮の方はNo.104の灰翅とNo.105の紅翼だけであり、戦力的には少し物足りないと感じてしまった。

 転生した俺がこの世界に来たからこそ、こうなってしまった訳だが彼には申し訳ないことをしたなぁと裏でそう思った。

 

 その後、壱ノ宮と話し合った結果は彼女達が戦闘を行うことが基本となるが大規模な脱走など、人手が足りない場合は俺の方で戦う意思があるセキレイが出動することになった。

 そのため、俺達は日常生活の中でルール違反を起こしたセキレイの機能停止をさせることが、中心となっていくだろう。

 じゃないと、何のための懲罰部隊なのかが分からなくなるからだ。

 そんなことを、彼らと話し合っていたらいつの間にか、日が暮れて外は雨が降り始めていた。

 

 そんな様子を見て、俺は美哉に『雨が降り始めたので帰り道で濡れるかも。タオルを用意してくれると助かります』とメールを打って送信した。

 そうすると、『了解しました♪』と言う返信が帰ってきたので適度に話を切り上げて、俺達は出雲荘に帰ることにした。

 元々、午後から話があると社長に呼ばれていた上に顔合わせもしておけ、という高美からの指示もあったので今日は重要な仕事をしないようにしていた。

 そのため、俺達は一足先に帰ることができたのだった。

 

 

 

「あっちゃ~、かなり降っているなぁ」

「普通に歩けばベしょ濡れだねぇ」

「だったら飛んでいきましょう!」

「さらに濡れそうな気がするんだが?」

「雨程度なら私の能力で来ないようにできるわ~」

「最悪、氷の天井を作るから大丈夫」

 

 俺が憂鬱そうにそう言うと、鴉羽達がそう言ってきたので考え方や発想が普通に人とは違うんだよなぁと改めて思った。

 普通だったら近くのコンビニで傘を買ったり、折りたたみ傘を鞄に入れておくなどの準備をするのだが彼女達はセキレイだ。

 建物から建物へ、飛び移るフリーランニングはお手の物だ。

 そんな俺も、フリーランニングはできるのだが雨で濡れた屋根に飛び移るのはあまり好きじゃない。

 滑るかもしれないし、それで転倒して地面に転落したら笑い話ではないので、鴉羽達に背負ってもらってからフリーランニングとしゃれ込んだ。

 

 元々の基本スペックは彼女達の方が圧倒的に上なので、雨で屋根が濡れていても俺よりかは遙かに安定して飛んでいける。

 その結果、俺としてはやや恥ずかしい格好になったが彼女達に背負わされる形で移動していると、町中で異常気象が発生した。

 それは、竜巻が起きるほどの風がないのに竜巻が発生したので、俺達はやや唖然としながらも風花に確認すると彼女じゃないらしい。

 それから考えられるのは、きっと愉快なセキレイと出会った葦牙が空を飛ぼうとしたからだと言うことになった。

 

 その後、俺達は偶然の出会いに驚くことになるとは露とも知らずに。




・ちょっとした補足

 主人公が懲罰部隊に、条件付きで参入したのは経済事情もあるのですが懲罰部隊に参入していた方が、行動の選択肢が多く取りやすいと思ったからです。
 しかし、懲罰部隊に囚われたくはないという気持ちもあったため、セキレイ達が参加したくなければ参加しない方針にしました。
 あくまで、行動可能な範囲を広げるためですから(なお、M.B.Iの上限額なしのマネーカードの存在を忘れていた模様)。

 そのため、懲罰部隊とフリーのセキレイの活動を行ったり来たりしていきます。
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