「幼女の幻影が見えた?」
「うん、セキレイ計画を知っている道人さんなら何か、知っているかと思って聞いたんだけど」
「………お前、ついに変態の道を歩み始めたか」
「ち、違うよ!変な眼差しで見ないで!」
出雲荘に来た皆人から相談がある、と言われて話を聞いてみると出雲荘に来てから幼女の幻影を見始めたと言ったため、受験のストレスでそういう道に入り始めたのかと思った。
まぁ、彼の反応からそう言ったことは無縁の様だったので幼女の特徴を聞き出すと、俺は皆人をつれて1人のセキレイの元へと向かった。
「―――という訳で、松の力を借りたい」
「……みったんみったん」
「なんだい、松」
「松は変態さんの手伝いはしたくないのです」
「ちょっ!だから違いますって!」
俺と皆人で、松に話を聞きに行くと彼女は最初にそう言ったので、皆人は俺の発言と同じ反応を示したのだが見ての通り、皆人はヘタレな上に女性に弱いのでこう反応が面白い。
しかし、いつまでも弄っていると話が進まないので進むように促すと、松は自分のパソコン操作して該当すると思われるセキレイを画面に出してこう言った。
「みなたんが見たい幼女はこの子じゃないですか?」
「!そうです。この子です!」
皆人がそう言うと、俺達はため息をついて『やっぱり、変態じゃないか』と、異口同音で言うと彼は猛烈に否定した。
皆人の話によって、画面上に映し出されたセキレイはNo.108の草野だった。
そのため、俺達はあからさまに弄っている訳だがその直後、美哉から朝食の準備が出来たとの知らせが来たので一先ずは話し合いを中断した。
そして、朝食が終わったら結や俺のセキレイ達、鈿女や千穂を交えた作戦会議となったのだが鈿女達は偶然、今日は休みだったので楽しそうと言うことで参加することになった。
まぁ、流石に全員がパソコンで手狭な松の部屋に入れないため、皆人と結、俺と結女、千穂と鈿女が入ってその他のメンバーは通信機を搭載したアヒルちゃんを介して聞くことになった。
セキレイである草野がいるのは、異常繁殖した植物園なので作戦の内容は以下の通りだ。
まず、草野と会うチーム。
ここには、草野が反応しているであろう皆人とそのセキレイである結、結の支援メンバーである結女の3人で植物園へと潜入してもらう。
次に、植物園への道を封鎖しているM.B.I職員の排除と出入り口を確保するチーム。
出入り口を確保するに当たって、一対多の戦闘が予想されるので広範囲に攻撃ができる鴉羽と秋津が担当することになった。鴉羽はともかく、秋津は冷静の状況判断ができるしね。
最後に、出入り口に近寄ってくるセキレイを排除するチーム。
ここに俺と焔、風花とが入って想定外の状況に対処する遊撃隊の役目を果たすのだが松は、パソコンから広範囲を警戒してもらうことになる。
元々、松は戦闘を行うよりもパソコンや衛星などにハッキングをして情報収集するセキレイなので、肉体的な強さは普通の女性よりも少し頑丈な程度である。
そのため、基本的に戦闘には出ずに携帯などの端末で通信を行う程度である。
そう言うことで、話がまとまるとその直後にその場にいた葦牙の携帯のメールが来た。
それを見てみると、御中社長からのメールでこう書いてあった。
『
それを見て俺が思ったのは、「後であいつを5~6発、ぶん殴っておこう」と言うもので皆人は「セキレイをもの扱いするなんて…」と呟いていたし、千穂はメール内容を見て「サイテー」と言っていた。
そのため、俺達は昼過ぎに決行する予定を早めて午前中からにした。
それと、様子見を決めていた鈿女達も今回の件はさすがに見過ごせないと言うことで、鈿女は皆人達と共に行動して千穂は俺達の近くにいてもらうことにした。
何しろ、草野を求めて他の葦牙達が集まってくる可能性が高い上に、その下にいるセキレイが強ければ千穂の安全を守れないと言うことでこうなった。
そして、俺達は午前中にけりをつけるために行動を開始した。
植物園 潜入口近くの屋上
皆人は結や結女、鈿女と共に鴉羽達が突破口を開いた植物園の入り口から入っていったので、鴉羽と秋津は入り口前で待機してもらって俺達はその様子を見れる建物の屋外に陣取った。
予定通りに進めば、1時間もしないうちに皆人は草野を見つけ出して植物園から出てくるだろう。
予想外のことが起こっても、入り口は鴉羽達が守っている上に皆人と一緒にいるのは懲罰部隊の2代目筆頭の結女なのでそう簡単にはやられないだろうしな。
そんな訳で、俺達はのんびりと待ちながら気軽に話し合っていた。
「研究者は、研究結果を待つのが基本だからこう言うのに慣れているけど皆はどうだい?」
「僕もガーディアンの仕事をしているから問題ない」
「私も道人クンがいるから大丈夫かな~」
『こっちもちょっかいを出したセキレイがいれば戦っていいって言われているから問題ないさ』
『私も……大丈夫………』
『みったん達は楽かもしれないけど、松はPCを弄っているから大変なのですよ~』
「そこは感謝しているさ」
そんなことを、言い合っていると皆人から報告があった。
『道人さん、例の少女を発見しました。これから接触します』
「了解した。松、皆人達の無線をオフにしてくれ」
『あいあ~い、任せて下さい』
松がそう言うと、イヤホン越しに無線が切れる音がしたのでしばらくの間、皆人達の無線を聞けるのは松だけになった。
今回の作戦を、滞りなく進めるに当たって松が各自に対して1つずつヘッドセットが配られた。
これは、松が一元的に無線を扱ってその情報を元に俺が指示を出す形にしたからだ。
そのため、予想外なことが起これば状況報告などをして俺も柔軟に指示を出せるし、メンバーも状況も把握しやすくなる。
その結果、皆人達の無線が切れた後に早速、社長のメールにつられた葦牙が出てきた。
「おや?あれは陸奥じゃないか。それにあの黒塗りの車は一体?」
「陸奥ちゃんは元気そうね~」
「あれが初代懲罰部隊のメンバー」
「双眼鏡があるから分かるんですが、ここからだと誰が誰だか分かりませんね」
俺達がそう言い合っていると、鴉羽達のヘッドセット越しに御子上達の声が聞こえてきた。
『おや?陸奥じゃないか。久し振りだねぇ、最後に会ったのは第一次神座島侵攻後だったね』
鴉羽side
私は、対等に戦える敵を待っている。
この欲求は生まれ持った性なのか、自意識を持った時からずっとある欲求だ。
最初に、実戦に出たのは第一次神座島侵攻の時に上陸してきた敵兵を殺戮した時だった。
その時は、初めてと言うことで気分も高揚したが第二次、第三次と回数を重ねていくとその高揚感も薄れていって面白みがなくなっていった。
そんな私を、研究者達は戦闘狂だの何だのと言っていたが、その中でも特にこれと言って偏見を持たずに接してくれた研究者がいた。
そいつは、本来だったら小学校に行っているはずの年齢だったはずだが才能に恵まれたため、親に連れられてこの島に来たらしい。
そのため、子供らしい考え方で接しているのだろうと考えて特に気にしなかったがしばらく、彼と会話をしていると私が戦闘狂だと分かっても変わらずに接してくれていた。
彼の名前は、武田道人。
最初は、ただの子供としてみていたけどその体の中には確固たる意思を持つ少年は、セキレイ計画で怪我をしながらも気が付けば大人になった。
そんな彼は、今でも子供が夢を見るかのように研究を行っている姿と身を挺して、大切なものを守ろうとする精神力に惹かれて気が付けば婚いでいた。
彼が発案した今回の作戦で、出入り口の警護を任された訳だがそれを全うしている間に懐かしい顔が、目の前に停まった高級車から出てきたではないか。
「おや?陸奥じゃないか。久し振りだねぇ、最後に会ったのは第一次神座島侵攻後だったね」
「っ!鴉羽か。行方知らずだったらお前がまさか、こんな所でいるとはな。しかも、以前に比べて腕が格段に上がっているところを見ると羽化をしたようだな」
「まぁね、生活の方でも楽しくやっているよ」
「お前の口から戦闘以外で楽しいと聞くとはな………変わったんだな」
「そうかもしれないねぇ」
私達がそんなことを話し合っていると、高級車の窓が開いて如何にもお坊ちゃまといった少年が顔を出してき手こう言ってきた。
「ねぇ、陸奥?あのお姉さん、僕のタイプなんだけど?」
「……諦めろ、彼女は既に羽化している」
「だったらその後ろのセキレイは?廃棄ナンバーらしいんだけど」
「どうなんだ?鴉羽」
「彼女もダメだねぇ。心に決めた葦牙が既にいるよ」
私がそう言うと、お坊ちゃまは物を欲しがる子供のように駄々をこねた。
「だったら、数で畳み掛ければボク達の陣営に引き込めるんじゃない?」
「……と、彼は言っているんだがどうだ?お前の葦牙が了承すればこっちに来ないか?」
「うーん、どうだろうねぇ?彼はあまり、そう言ったのは好きじゃないから」
私はそう言いつつ、道人がいる建物の屋上に目をやった。
とまぁ、御子上を出してみました。
原作でも、収集癖があるようなので本作でも色んなセキレイを集めています。
鴉羽の判断は、そんな彼の性格を見て主人公よりもつまらないと判断しています。