セキレイがいる世界   作:八雲ネム

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第8話 羽化

「ねぇ~マスター……ねぇってばぁ~……早く起きてよぉ~」

「ぐぬぬ……後、5分………」

 

 秋津が、俺を起こしに来たが昨日は夜遅くまで研究していたんだ。だからとても眠い。

 そんなに、ゆっさゆっさしながら起こそうとしても無駄だ。眠気には勝てない。

 

「いくら寝落ちしても研究室で寝ると、風邪引くよ~?」

「何を…言っている……?ここは出雲荘だろ………?」

 

 そんな秋津のツッコミに、俺はそう言いながら目をこすりながら開けてみるとM.B.I本社にある俺の研究室だった。

 どうやら、研究過程で寝落ちしてしまったらしい。

 そして、パソコンには研究成果をまとめたレポートが未保存で置かれていたので、パソコンが壊れたら一からやり直しになる羽目だった。

 そのため、レポートを保存しながら時計を見ると朝の10時だったので完全に寝過ごしたようだ。

 

「どうやら完全に寝落ちだな。秋津、なんか持ってきてるか?」

「一応、ご飯と着替え、それに歯磨きセットを持ってきている」

「オケオケ、着替えるから部屋から出てくれるか?」

「イヤ」

 

 俺がそう言うと、秋津が首を横に振りながらそう言ってきたので理由を聞いてみた。

 すると最近、俺と接する機会が少なかったので可能な範囲で一緒にいたいという望みだったし、何よりも彼女の愚痴を聞くという約束がまだだった。

 そのため、まずは秋津が見ている中で着替えてから歯磨きをして遅めの朝食を摂ることにした。

 

「うん、このご飯はうまいな。誰が作ったんだ?」

「………私」

「秋津が?そうか、ありがとな。美味しいご飯を作ってくれて」

「いい、マスターの笑顔が見れるから」

 

 秋津ちゃん、マジ天使と思えるぐらいの微笑みだったのでほっこりしていると急に、彼女がモジモジし始めたので俺は聞いてみた。

 

「あ~、そのなんだ。手洗いだったらドアを右に行けば………」

「違うの。なんだか、胸がドキドキしてマスターと一緒になりたいの」

「………お前」

 

 顔を真っ赤にして、涙目になった秋津の予想外の発言に俺は戸惑っていると廃棄ナンバーを示す額の鳥のマークが光り始め、一定の時間で綺麗になくなってしまった。

 恐らく、鴉羽達となんやかんやで一緒にいたことや俺が小さい頃から彼女と顔を合わせていることが、彼女の中でのコンプレックスを解消して廃棄ナンバーから羽化が可能なシングルナンバーへと変化したのだろう。

 彼女は、調整に失敗したのは自分のせいで失敗したら捨てられると思い込んでいた。

 しかし、調整中でも顔を合わせていた俺や他のセキレイ達と生活しているうちに、その思い込みは解れていって自分のダメな所あったり、失敗しても捨てられないと気付いたと思う。

 そのため、彼女の鶺鴒基幹が俺に反応して体が火照り始めたのだろうと考えていると、秋津はおずおずと俺に近づいてきてこう言った。

 

「ます、ター……秋津と、婚いでくれる?」

「勿論。偶に喧嘩もしちゃうだろうけど、それでも一緒にいてくれるかな?」

「ん、マスターと一緒が良い」

 

 俺達は、そう言い合ってから互いの顔を近づけて1つになった。

 

 その瞬間、彼女の背中から雪をイメージした羽が光り出して羽化が成功したらしい。

 そして、彼女の首の下に鶺鴒紋が浮かび上がると満面の笑みを浮かべたので、これで秋津は俺のセキレイとなった。

 

「……ん、マスター」

「なんだい?」

「幾久しく」

「おぅ。こっちこそ、よろしくな」

 

 俺達は、そう言い合うと互いに笑いあってから仕事をすぐに終わらせて出雲荘に帰った。

 

 

 

「えぇーー!?今まで婚いでなかったの!?」

「そう言えば、鶺鴒紋を確認してなかったです」

「互い、長く生活していたのに婚いでいなかったのには少なからず、疑問に思っていたぞ」

「そう言えば、廃棄ナンバーは婚げないと聞いたことがある」

「あーちゃん、くないだの?」

 

 俺達が、婚いだことを報告すると皆人と結達が驚いていたが、逆に鴉羽達からはやっとかといった感じで話しかけてきた。

 

「ようやく、婚いだんだねぇ」

「えぇ、やっとですね」

「なんだかんだで1番、手間の掛かるセキレイでしたね」

「それだけ、可愛く思えるものよん」

「また、ライバルが増えた。うれしくなくなくなく………」

「すまんすまん、俺もそうだが彼女との距離がなかなか縮まらなかったんでね」

 

 第一段階以前から、彼女達と付き合っている中で第二段階で婚いだ秋津がシングルナンバーの中でも1番、遅くなった訳だがこれによって全員が祝詞を使える状態になった。

 祝詞と言うには、セキレイに1人1人が持っているセキレイ専用の必殺技みたいなもので焔だったら炎だし、風花だったら風、松だったらハッキング、と言うようなものである。

 これを行うには、葦牙と婚いだセキレイがキスをすることによって発動できる。

 秋津の場合、氷を使ってその場の任意の範囲を強制的に凍らせることができるようになるので、かなり心強くなったと言えよう。

 それに、秋津は調整に失敗して羽化できないと言われていたのに俺とできるようになったから、彼女を含めた皆で彼女にあったわだかまりを取り除いた結果だと思う。

 

 

 そんな訳で、秋津の羽化を祝って夕食はパーティになった。

 

 

 

 数日後

 

 

「んで、なーんで俺のところに来るのかねぇ」

「ははは、すみません」

「………」

「………(ぷるぷる」

 

 秋津の羽化後、第二段階が開始してからしばらくして葦牙にとって帝都が封鎖されていく中で、皆人が偶然にも知り合った同士の浪人生とそのセキレイを連れてきた。

 彼らの名前は(しぎ)ハルカとNo.95の久能だった。

 鷸は皆人と同じく、帝東大を受験して2浪中の浪人生で久能は原作でも出てきたように、大声しか使えない最弱のセキレイだ。

 第二段階以降、セキレイ同士の戦いが激化する中で偶然にも皆人が以前、借りていたアパートに鷸が住んでいたことによって意気投合して皆人に脱走計画を話したらしい。

 そのため、多くのセキレイを抱えて信頼できる葦牙である俺の元へ来たとのことだった。

 なんて言うか、段々と皆人がトラブルメーカーに見えてきたような気がするが、原作では結が覚醒するきっかけとなっていた以上はそういうイベントなんだろうなと考えることにした。

 

 という訳で、皆人と鷸に改めて現状を説明する。

 

「まず、予備知識として今の帝都がどうなっているか、分かる奴はいる?」

 

 俺がそう言うと、皆人や鷸と彼らのセキレイは首を横に振ったので帝都の地図を取り出して、太めのマーカーで線を引いてこう言った。

 

「現在、帝都はマーカーで引いたラインを元に4つのエリアに分かれている。葦牙の中で、暗黙の了解みたいに知られているのは東西南北のエリアでそれぞれに1人の葦牙が縄張りを張っている」

「てことは、出雲荘がある北のエリアにもいるってことですか?」

「そうなるな」

 

 皆人の疑問に答えつつ、俺は話を進めていく。

 第二段階が始まってから、M.B.Iはセキレイ達が脱走するのを警戒して警備を強化しているのが、懲罰部隊からの情報で分かっている。

 まぁ、植物園にいたような常設部隊程度だったらセキレイの力でなんとでもなるんだが、問題なのが懲罰部隊に参加しているセキレイ達だ。

 原作では、鴉羽と共に紅翼と灰翅のトリオで構成されていたがこの世界では、紅翼と灰翅のコンビの他に習志野と来瀬(くるせ)が壱ノ宮のセキレイになった。

 そのため、4人組のカルテットになってしまったのでマトモに戦えば脱走どころか、逆に機能停止にさせられる。

 俺がそのことを伝えると、結はかなりやる気を出したみたいだ。

 

 そのため、俺達は詳細な計画を立てていった。




このまま、原作に沿っていくべきか、それとも原作から外れて進めていくべきかで悩んでいます。
他の作品が失踪しているか、エタっているので参考にできるものがなくて困っています。

まぁ、基本的に原作沿いにするつもりなんですがね。
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