仮面つけてないライダー八幡。   作:kawasaki士

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ハーメルンでははじめまして。kawasaki士と申します。

以前pixivの方で連載していたシリーズを、加筆修正して投稿させて頂きます。

こちらは初めてなので至らぬところもありますが、宜しくお願いします。




「着いたぞ。」

 

「はあ…。」

 

~~~~~~~~~

三日前。

 

文化祭のヒキタニ君フィーバーも冷めやらぬ9月終わり、由比ヶ浜も雪ノ下も用事で欠席の為直帰出来ると思って教室を出た俺の首根っこを、アラサー女教師様がナイスタイミングとばかりにふん掴み、抵抗虚しくベストプレイスへ連れて行かれた。

因みに出る間際、教室内の由比ヶ浜が目を丸くしているのが見えていた。パチパチさせんなよ。可愛いから

 

「君に話がある。」

 

「…なんすか。賄賂は受け取りませんよ。」

 

マッカンを握り渡そうとする先生に対し、俺はそそくさと手を引っ込める。しかしアラサー様のシェルブリ「失礼な事を考えたな。」…お手手は力ずくで俺の手を開き、マッカンを握らせた。

 

「いいから受け取りたまえよ。」

 

うーん凄い悪代官顔だよう…まぁいいか。ちょうど糖分欲しかったし。

 

なぁなぁなまま賄賂を受け取り、グビッと一口飲んだ。

 

「…で、何か用ですか。今日は部活休みですけど。」

 

「部活の事ではない。比企谷、次の文化祭の代休の月曜、暇か。」

 

「いや予定ありまs「ゴロゴロする以外でだ」…。」

 

「うむ。沈黙は是という事だな。」

 

ふぇぇ…ゴロゴロだって立派な予定だよう…。

 

「あの小町と「妹の許可は取ってあるぞ」…えぇ…」

 

小町ェ…。あとこのメールの文面が重い先生と、良く連絡先交換したなと感心する。

 

「用がある。少し付き合いたまえ。」

 

「合コンの数合わせのサクラとかならやりませんよ。」

 

「そんな場所に未成年を連れていくか馬鹿者。場所は行ってのお楽しみだ。」

 

「お楽しみって…楽しそうな気がしないんですけど。」

 

「楽しいかどうかは楽しもうという気があるかどうかだよ。つまり君次第だ。」

 

夏キャンプの「上手くやれ」みたいな良いこと風な事言ってますけど、あの時と違って先生のハンドル加減で左右されちゃうじゃないですかー。それー。

 

「自分から誘っといて自己責任すか…。」

 

俺の大事な休みなのに…。

 

「大丈夫だ。保険は用意してある。」

 

「保険?」

 

「付き合ってくれたらぐうらーめんの本店をご馳走しよう。」

 

「!?」

 

ぐぅらーめん…だと!?

ぐぅらーめん…千葉のローカルラーメンの雄、竹岡式ラーメンの一種だが、竹岡式とは違い麺はしっかり生麺のラーメンだ。更に炭火で燻されたトロットロのチャーシューに、薬味の生玉葱が濃い真っ黒な醤油スープと交わる事で、絶妙な味わいとなる…いかん。マッカンで甘い物の胃になっているせいで反動が凄まじい…べーっしょやべーっしょ…っベーってこれは…すげぇ食いてぇ…。

 

「君は東金本店の味は知っているかね?」

 

「いえ…親父が酒々井のPAで買って来たお土産麺のみです…。」

 

あれもかなり旨いんだがな…自分で猛烈に玉葱みじん切りしちゃうレベル。

 

「そうか…なら本店のチャーシュー麺をご馳走しよう。」

 

「!?」

 

本店の…チャーシュー麺…だと!?いつか食○ログで見たあのチャーシュー大量の…ラーメンライスせずにはいられないという…。

 

「どうだ?」

 

「行き…ます…行かせて下さい…。」

 

実際遠出の足の無い高校生が東金まで行くのは出費が痛い。駅からもかなり遠いらしいしな。

 

「うむ。素直でよろしい。」

 

こうして俺は代休をラーメンに捧げた…。

 

~~~~~~~~~

 

「で、ここって…。」

 

「?見ての通り免許センターだぞ。」

 

冒頭に戻ろう。朝早くいきなりいつの間にか家の前に迎えに来た先生がほぼ拉致同然に俺を乗せ海浜幕張方面に車を出して20分弱、連れてこられたのは幕張にある。千葉県運転免許センターだった。

 

「何でここに…。」

 

「実は…免許の書き換えが今日まででな…。」

 

「いやそれなら一人で大丈夫でしょう。」

 

「だって…厳しそうな講習の後誰か待ってないと寂しいんだもん…。」

 

いきなり上目遣いの先生。いや俺より長身なのに無理矢理屈まれても…。

 

「結構直ぐ終わるもんじゃないんですか。」

「実は…違反者講習で…二時間程…この間速度超過でキップ切られちゃって…てへっ。」

えぇ…教師が何やってんの…あと痛い痛い。

 

「つか二時間って俺どうすりゃいいんすか。」

 

「一人での過ごし方なら君は得意だろう。」

 

「帰りますよ「ぐぅらーめん」ッ!…。」

 

おのれ…アラサーェ…しかし俺がラーメンに逆らえない身体なのを熟知してやがるッ…!!

 

「せっかくだし社会科見学だ。君も何れ免許が必要になるだろうし、予習しておきたまえ。」

 

「はあ…。」

 

こうして免許も持ってない俺が何故か免許センターに二時間も滞在する羽目になった。

 

 

 

とりあえず正面玄関から入った俺達だが、先生は書類の作成に入るので、俺自身は早速一人だ。何時もだけど。

という訳で、いきなり暇潰し方法を考えなければならない訳だが、外で待つのは残暑厳しい手前、仕方なく中でマッカンを飲み、先生を待つ事にした。

にしても…。

 

「人多っ…。」

 

デスティニーのアトラクションに負けず劣らずの長い長蛇の列が正面から右側、視力検査室の前に列を為している。それを職員であろう人達がてきぱきと捌き、整頓していた。それ故か列自体は割とスムーズに流れている。

まぁそれもそうだ。何せ千葉県中の人間がここへ来るんだもんな。現に老若男女、様々な人間が並んで、列を為している。その光景が学校という閉鎖的な空間に通っている俺からすると、やたら新鮮に見えた。

実際、舞浜のセレブラントも、千葉の兄妹も、果ては鴨川のジャージ部も、免許取るなら此処へ来るんだろうしな。もう一つ、流山市にもあるらしいが交通の便を考えると大体は此方だろう。

 

(先生は何してんだか…。)

 

うるさ過ぎて本も読めない手前、いきなり切り札「暇潰しに先生を探してみる」を切る。…どうやらまだ申請書類を書いている最中…ん?ペンが止まっている?

 

(あ、多分年齢の所だな…。)

 

するといきなり先生が此方を睨んだ。

 

「!(アラサーこえぇ…)。」

 

しかしそれでも必要事項は必要事項。渋々書いて先生は並んだ。視線こっち睨んだままだったけど。

 

因みに今日の先生の格好はスキニージーンズとかいうピッチリズボンに、紫のオサレなこれまたピッチリTシャツという、かなりスタイルが強調されて、先生の中身を知らない人間からしたら、十分グラマラスでエロいおねーさんに見える出で立ちである。

 

(が、しかし…。)

 

案の定並んでいる時に腕組み仁王立ちしているせいか、最初は良さげな目で見ていた男達も独神オーラに圧倒されて視線を次々と外していった。

 

(客観的に見るとやっぱ残念感凄いよなあ…。)

 

そんな事を思っていると先生の検査の番になり、そのまま奥に消えた。視力には自信あるのか意気揚々だった…子供かよ…。

 

 

 

 

 

 

――――

 

「…。」

 

あれだけの長蛇の列も無くなり、漸く本を読めると思ったのだが、図書館等と違い、此処は無駄に空間が広い為落ち着かない。そもそも本を読む為の場所ではないのだが。

 

(腹…減ったな。)

 

そういや俺朝飯食ってねぇや。ぐぅらーめんをガッツリ食う為にも何か軽く入れておきたい。お腹って完全に空腹じゃない方が一杯入るからね。

 

(あれ売店か…。)

 

 

 

 

 

正面玄関の向かい、曇りガラスの向こうにある売店で補給用マッカンとパンを買う。隣に食堂兼イートインがあるようなのでそこで食べる事にした。人もまばらだからぼっちでも大丈夫!

 

(…お。)

 

一番奥の窓ガラスに沿って、カウンターがある。景色が見られて、且つ人と目が合っちゃう事のないベストプレイスの様だ。勿論一番のベストプレイスは戸塚の練習風景が見れる保健室横だがな!

 

 

 

 

そして軽い朝食の後、本も読み終えてしまった俺。

 

(急いで適当に持ってきたのが読んだ事ある薄い短編集だからな…ふっ…ミスった…。)

 

仕方なく景色を眺める。が、案の定映るのは絶景でもなんでもなく、施設の建物だけだった。

 

(先ず左は…駐車場だな。)

 

先生の車を見つける。両隣が軽自動車なせいでやたら威圧感がある。

 

(んで警備員さんと…。)

 

ぞろぞろ入って来る車を誘導している。お疲れ様です。

 

(で…っ…二輪棟…か。)

 

二輪、事この免許センターにおける二輪といえば勿論自動二輪…バイクだろう。

 

実際の所俺は、バイク自体は嫌いじゃない。そこまで好きという訳でもないのだが、ニチアサ好きからしたら某仮面の自動二輪乗りを見ているので、バイク自体は普通にカッコいいもんと思っている。

逆に言えば、そんくらいにしか思っていないのではあるが。

 

 

「向こうも冷房効いてるだろうし…行ってみっか。」

 

残り1時間30分。暇潰し探しも一苦労だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…が。これから、俺の人生に影響を与える出会いがある事を、俺はまだ、知る由も無かった。

 

 

 

 

 

 

続く

 

 

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