Sword Art Online:Early Break 作:Happy-snow
「お、やっと見つけたゾ。キー坊」
クリームを乗せた黒パンを噴水の縁に座って頬張る俺たちの目の前に立ったのは、小柄な薄茶色のフードをして頬にヒゲをつけた少女だった。その姿からは到底想像できないが、この少女が《鼠》と呼ばれる凄腕の情報屋である。鼠と話すといつの間にか100コル分の情報を抜かれている。なんて話があるあたり、見た目と能力は比例しないことが窺える。
「アルゴさ「もしかしてアルゴか?」
「女の子の口を抑えるだなんて、いつのまにキー坊ほそんなにプレイボーイになったんダ?」
「あははは……これには深い訳があってだな……」
「フーン、何か金に成りそうな情報がありそうだナ。お嬢ちゃん名前ハ?」
「あ、アスナです。初めまして」
「ベータでは聞かなかった名前だナ。キー坊、この子はニュービーなのカ?」
「いや、ベータでは別の名前でプレイしていたらしい。間違いなく凄腕だよ」
「フーン……キー坊、何かオレっちに隠してないか?」
どうしてこうも女性ってのは勘が鋭いのだろうか。
「な、何も隠してなんかないぞ?」
「ムム……今日はやけにキー坊のガードが堅いナ。ならアーちゃん、アンタはその秘密を売る気はないカ?」
俺に秘密があることは知れても、その中身を知ることはできないと判断したらしく、標的をアスナへと定めたらしい。
「うーん、それに関しては私にも関わってくることだから私にも売ることはできないかな~」
「ホウホウ、二人ともに関する秘密で絶対に売れないと来たカ。ひょっとしてカレシカノジョの関係だったりするのカ?」
「な、違っ、いや、違くないけど……」
「キリトくん、情報抜かれてるよ……」
「ホホウ……なるほどなア、これはナカナカの値段で売れそうだナ。あのクライン氏にでも売りつけてみるかナ、ニシシ」
やられた、意表を突かれたとはいえ割と重要な情報をタダで鼠にばらしてしまうなんて。悪戯っぽく笑う顔が今だけは憎い。
「まあ安心しろよ、キー坊。疑惑が出るまでは秘密にしといてやるゼ?秘密にするなら千コルだからナ!」
そう言うと、
「ねえ、やっぱりアルゴさんにだけは相談した方がいいんじゃないかしら?そうすれば今後の攻略情報だって何も気にせず公開できるじゃない?」
確かに、今後の敵情を公開することによって発生する攻略速度の向上と死者の減少は魅力的だ。しかし、所詮は俺たちの事情だ。関係のないアルゴを巻き込んで良いのだろうか?
そもそもそんな滑稽な話、信用してもらえるのかという問題もある。情報屋というのは信用が命だ。彼女はそれに人一倍忠実だ。そんな彼女にこんな話を信じろというのは少し無理があるかもしれない。
「キリトくん、また一人で考え込んでる。私、その癖を治そうって言ったよね?」
「ハ、ハイ、イイマシタネ」
「はあ……それで?何を悩んでたのよ?どうせキリトくんのことだからアルゴさんを巻き込んでしまうかもとか、こんなこと信じてもらえるのかとかでしようけど」
そんなに俺の考えていることは顔に出やすいだろうか?
「うん、まあ、そんな感じだけど……」
「あのねえ。その情報を知らなかったら危険な目に会うのはアルゴさんも含めた攻略組全員なんだし、信じてもらうもらわないに関わらず言わなきゃ伝わらないでしょ」
「ああ、そうだな……すまん、次会うときに伝えてみるよ」
「なら良し!それと、次こそちゃんと相談すること!いい?」
「いや、でも全部相談ってのは流石に「い・い・わ・ね!」ハイ、相談サセテイタダキマス」
筆者は割とツンツンしてるアスナの方が好きなので多分本作はアスナのお姉さんチックな側面が多く出てくると思います。
補足ですがアスナがいきなりアルゴにアーちゃん呼びされて何も言ってないのは呼ばれ慣れているからですが、このときアルゴはアスナのことをあだ名呼びに抵抗のないノリのいい子だと思ってます。
作者のモチベに繋がりますので感想、評価等よろしければひとことでいいのでよろしくお願いします。