「ギャンか、それともゲルググか、それが問題だ」次期主力MS選定レポート   作:ダイスケ@異世界コンサル(株)

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ジオン軍が舞台の組織の内実を中心にした内政ものです。
ギャンとゲルググの次期主力MS選定試験に、ジオン軍内部はてんやわんや。
人も死んでいます。そこへ巻き込まれた不運な主人公の奮闘と意思決定の手腕にご注目ください。
新型MSは出ませんが、有名人はちょくちょく出ます。


第1話 呼び戻された男

宇宙歴0078年

 

人類が宇宙を生活の場とするようになってから一世紀が経とうとしていた。

増えすぎた人類の経済活動により地球は環境汚染が進み、人類はその生存の場所を宇宙へと移すことになる。

 

成長した子供の手足が入りきらないように、人類はその歴史の舞台を地球から宇宙へと飛躍する時代が来た、とも言える。

 

とはいえ母なる故郷を離れ人類社会を挙げての集団移民には、多くの軋轢があった。悲劇があった。そして矛盾があった。

 

人類の富の多くを握るごく少数の「超富裕層〈エスタブリッシュメント〉」は安楽な地上を離れることを由とせず、地球環境安定化の管理者と称し持たざる者達が追放された豊かな大地を独占した。

 

また、地球連邦政府も同じ理由で立法、行政、司法の機能とそれを支える多くの高級官僚達を地球上に残したことは、後世に至るまで「少数の選ばれし地球市民と棄てられた宇宙移民」の構造を作り出したものとして批難を免れないであろう。

 

宇宙移民初期の莫大な投資と開発の狂騒の夢が覚めると、そこには1%の地上に残った貴族達と99%の暗黒の宇宙に捨てられた奴隷という現実が誰の目にも見えるようになっていた。

 

莫大な開発投資は高額なコロニー税となり移民達に降りかかってくる。

宇宙という過酷な環境では、ただ生きていくだけでも金がかかる。

 

水資源は貴重であり浄化して再使用される。すると浄化に税がかかる。

大地にあたるコロニーの外壁は宇宙線とデブリで痛むため補修が欠かせない。

なので外壁修理の税がかかる。

 

空気も宇宙では限られた資源だ。複雑に張り巡らされた巨大なエアコントロールシステムがコロニー内の空気をかき回し、回収し、浄化する。また税がかかる。

つまりは、息をするだけでも税金がかかるのだ。

 

こうした資本家達の「正当な投資の回収」という名目で生存そのものにかけられた税の数々は宇宙移民の怒りを買った。

 

少し経済状態が悪くなれば、その日の空気にもこと欠くようになった宇宙市民たちが恨みと憎しみの目で青く豊かな地球を独占する貴族達をみるようになるまでに時間はかからなかった。

 

時代の空気は宇宙移民の貧困と怒りを糧に、その内圧を高めつつあった・・・。

 

◇ ◇ ◇ ◇

 

「・・・ねえ、聞いてるの?アランったら?」

 

「あ、ああ聞いているとも、ビクトリア。すまない、少し通信が乱れてたみたいだ」

 

アランは映像電話に映る豪奢な赤い髪の女性に、とっさに思い付いた言い訳をした。

とはいえ、映像が遅延しているのは事実でもある。

 

ビクトリアが話しているロンドンと、アランが滞在するサイド3のホテルとは数十万kmの距離がある。

優先特権で遠距離通信回線に割り込めるとはいえ、光の速さを変えることは例えザビ家でもできない相談だ。

 

「本当に、お仕事は断れないの?あなたにはロンドンの方が似合ってるのに」

 

「そのことは何度も話し合ったろう?とにかく大きな話で会社の上層部も断れなかったんだ。数日もすれば戻れるさ」

 

婚約者と話している最中だというのに気に障る信号音が映像電話への小さな画像の割り込みを知らせてくる。

 

「ああ、行かないと。愛してるよ、ビクトリア」

 

「私もよ、アラン。あなたの癖っ毛が恋しいわ」

 

アランが苦笑しながら映像を切り替えると、オリーブ色の制服を着た男性の姿が大写しになった。

 

「参謀本部よりお迎えに参りました、アラン様」

 

「ああ」

 

細身のきっちりとしたスーツに身を包んだアランは迎えに返事をすると、ゆっくりとネクタイを直しながら腰をソファーから立ち上がった。

 

◇ ◇ ◇ ◇

 

アランが滞在する高級ホテルから、この国の政治・経済の中心までは直線距離でたかだか10数分に過ぎない。たかが数キロの距離を完全防弾の高級車で移動する、という滑稽さにアランは口の端を皮肉げに歪めた。

 

地球ならジョギングで走る距離だな、と不躾な感想をいだくアランを乗せた黒い高級電気自動車<エレカ>はサイド3ズム・シティのメインストリートを誰にも邪魔されることなく静かに走り抜けた。

 

正面入り口から、目的の人物に会うまでに5回の検問と3回の身体検査があった。

それがアランの現在の身分であり、問題の人物からの信頼度を端的に示していた。

 

こちらです、と示された巨大な執務室には、ズム・シティを一望できる巨大な防弾ガラスが壁一面に嵌め込まれ、その外光を遮るように細身のシルエットを黒い軍服に身を包み灰色の髪をした姿勢の良い若い男が立っていた

 

「よく来たな、アラン」

 

IQ200を越える天才。サイド3を中心とする宇宙移民達の若き指導者。

そして戦乱へと向かう時代の空気の体現者。

実質的な宇宙の最高権力者、ギレン・ザビである。

 

「久しぶりだね、義兄さん」

 

アランは表情を変えないよう苦労しつつ応えた。




というわけで、書きはじめました。
なろうでは内政ものを書いて市販もされています。
でもね、思い付いたから商売にはならないけどガンダムが書きたかったんです・・・
感想をいただけると嬉しいです

79年→78年に修正
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