「ギャンか、それともゲルググか、それが問題だ」次期主力MS選定レポート   作:ダイスケ@異世界コンサル(株)

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短いですがキリが良いので。ギレンの演説はオリジナルです


第27話 地球侵攻作戦発動

我が忠勇なるジオン公国の兵士諸君!

我々は勝利した!

 

ルウムにおいて地球連邦の艦隊を打ち破り、歴史上初めて宇宙はスペースノイドの元に回帰したのだ!

 

我々ジオン公国は国力において地球連邦政府に対し国力では圧倒的に劣勢にある。いや、あった。

なぜなら、地球に残る者共は100年に渡り我々スペースノイドの生き血を啜り、肥え太ってきたからだ!

 

だが我々は勝利した!それは何故か!

それは我々スペースノイドに正義があり、アースノイドは悪だからだ!

 

にも関わらず連邦のモグラ共は潔く敗北を認めようとせず

未だ重力の井戸の底で地面に潜り、戦争を継続しようと嘯いている!

 

であれば!現実の見えない旧弊なアースノイドに対し

さらなる勝利をもって我々スペースノイドの勝利という現実を奴らに突きつけねばならない!

 

私、ギレン=ザビはここに地球侵攻作戦の本格発動を宣言する!

 

忠勇なる我がジオン公国軍将兵達よ!

 

連邦に死を!ジオン公国に勝利を!

 

ジーク・ジオン!ジーク・ジオン!!

 

宇宙歴0079年2月7日 ギレン=ザビ演説「地球侵攻作戦発動宣言」より

 

◇ ◇ ◇

 

「・・・茶番だな」

 

アランは義理の兄が大衆を効果的に扇動する様子を見ていられず、モニターの電源を消した。

だが、そうしてスピーカーからの音声を絶ったとしても、ホテルの窓から入ってくるメインストリートを埋め尽くす人々が「ジーク・ジオン!」と熱狂した歓声を上げるのまでは止められない。

 

ジオン公国の国民たちは初戦の大勝利をもたらした鉄の巨人達が、再びジオンに勝利をもたらすことを露ほども疑っていないのだろう。

もし多少の疑いを持つ者達がいても「ジーク・ジオン!」という狂熱の元ではその声はかき消されてしまっている。

 

「勝利というのは、怖ろしいな・・・」

 

100年に渡るスペースノイドの鬱屈を晴らした歴史的な軍事的勝利がサイド3の市民達を強く酩酊させているのだ。

アランは少しだけ彼らの単純さを羨ましく感じた。

 

結局、ジオン公国は地球侵攻の方針を決定後、たったの7日間で作戦を発動した。

驚異的という他ないスピードであり、迅速を通り越して無謀ですらある。

 

「本当は最初から地球侵攻の予定だったのか?君は何か知っているか?」

 

アランは傍らの秘書に問いかけたが、彼女は首を左右に振った。

 

「では、どこに降下する予定かも・・・知るはずがないよな」

 

「存じません」

 

今頃、作戦局のエリート達は徹夜で情報を評価しながらギリギリまで作戦計画を立てているのだろう。

兵力に劣るジオン軍地球降下部隊の数少ない強みは、まさに降下点を自由に選べることにある。

降下点については最高度の機密に決まっているし、その情報が漏れてときたしたら欺瞞情報として扱うべきだろう。

 

「・・・結局、レポートは間に合わなかったな」

 

「いえ。アラン様が暫定報告として提出された”地球環境でのモビルスーツ運用に関する一般注意”は広く軍内でも共有されている、と聞いております」

 

「あんな素人仕事が役に立つと言われるのも、いいのか悪いのか・・・」

 

アランは地球降下作戦の実施が近いことを察すると、40時間ほど徹夜して次期主力モビルスーツ選定レポートの代わりに、地球でのモビルスーツ運用に如何に困難が伴うか注意を喚起したレポートを突貫で作成して提出していた。

 

参考データについては、投資銀行時代の技術評価の経験を生かして地球企業の電気自動車や建設機械、船舶の極限環境におけるテストデータから適宜抜き出して添付した、文字通り切り貼りしただけの代物である。

 

その程度の代物であるが、ザビ家の名で出された報告書ということで軍内部でも回覧されたらしい。

 

「総帥府からも、レポートの続報を出すように、との要請が来ております」

 

「続報ねえ・・・」

 

アランは睡眠不足で目の下にできたクマを指でさすりつつ秘書に応じた。

 

「続報を出すならもう少し正直に書くよ。地球侵攻作戦は無謀です、とね」

 

「そのレポートは受理されないでしょう」

 

「冗談だよ」

 

「総帥は冗談を好みません」

 

生真面目な秘書に軽口を叩きつつも、アランの脳内には”ある無謀な計画”が形作られようとしていた。




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