我には青春ラブコメは不要   作:もよぶ

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最終話

数年後ある日の比企谷邸

「ふー社畜はつらいね、こんな深夜まで働くことになるとは」

今や普通のサラリーマンになっていた比企谷八幡は深夜残業を終えて帰宅していた。

「全く、高校の時の主夫希望はどこに行ったのやら、まあ明日は土曜で休みだしいいか、つか今日なんだけどね」

そう言って冷蔵庫に常備してあるMAXコーヒーを飲みながらソファーに腰を下ろす。

「疲れたときには甘いのが一番っと、さてテレビは何やってるかな?久々にアニメでも見てみるか」

そういってテレビを付け番組表からアニメを探す。

「ふーん姫と騎士の冒険?安直なネーミングだな、これ見てみるか」

とチャンネルを合わせる、すると

「ユキノ!お前のことが好きだ!」

「ハチマン!私も!」

 

「ブーッ」

 

口に含んでたMAXコーヒーを盛大に吹いてしまった。

なんだこれ?なんで俺たちの名前言ってるの?つかなんか顔も俺たちに似てるんですけど、え?なにこれユイ姫?騎士ヨシテルってなにこれ?

 

幸い比企谷邸のTVはタイムシフト機能付だ、初めから見直してみる

「これは一体?、おい!雪乃!起きろ!」

既に寝ている自分の妻を起こす

「何かしら?もう寝ている私を起こすなんていい度胸ね、せっかくパンさんがたくさんの空間に…」

「そんなことはどうでもいい、これを見ろ!」

さっきのアニメを見せる

「これは…」

雪乃は絶句する

「これがなんなのか調べる必要があるわね、とりあえず日が昇ったら考えましょう」

 

朝になり深夜のアニメの調査を開始する、なんとすでに一旦放送は終わっており、好評につき再放送しているものだとわかる、DVDも既に出ている為さっそく購入し視聴を開始する。

 

「これ、材木座くんのしわざね…」

「こいつまたやりやがったな、前と違って奉仕部にかかわってた人もほとんど出てたな、しかも今回はキャラの顔も性格もかなり俺たちにてるし、つか俺の顔ってあんなに目が腐りきってた?酷くない?」

「ええ、これは関係者一同集めて材木座くんの家に問いただしに行く必要があるようね…結婚式の時は親御さんの手前ぬるいやり方だったけど今回は徹底的にお仕置きする必要があるわね…あとあなたの目はそれはもう口に出すのがはばかれるぐらい酷かったわ」

さっそく関係者へ連絡を取る。事情を話すと本や映画の件もあって皆一様に集まることを承諾してくれた。

 

次の週、さっそく関係者を集め視聴を開始する

「せっかくのお休みの日にごめんなさい、これを見てほしいの」

そういって例のアニメを見せる。当然ながら皆騒然となっている

見終わった後雪乃は言う

「明日、日曜早朝に材木座邸へ強襲をかけます。全員協力するように」

 

そして次の日の日曜朝6時頃材木座邸

 

ピンポーン

 

「うーむ、こんな朝早くからお客か?はた迷惑な」

「うん、あたし出てくるね…」

「うむ、いやちょっとまて」

材木座は寝ぼけ眼になっている結衣を止める、なにしろ昨晩はメイド服を着せて楽しんでいたため恰好がそのままだったからだ。

「ん~大丈夫だよ、ちゃんと起きてるから」

そう言って結衣はその格好で玄関行ってしまった。

「まだ寝ぼけておるだろう、あの恰好見たらなんと言われるか…まーいいか夫婦なんだしいざとなったら我が出ればいいし」

と、また布団にもぐりこんでいたら

「中二!大変だ!」

結衣が寝室に走りこんでくる

「ゆきのん達がアニメのことでカンカンになってる!なんか家を包囲してるから逃げようとしても無駄だって!!」

「へ?アニメ?なんのこと?」

「ほら!中二があたしに書いてくれたラノベ!あれ前に監督さんに送ったじゃん!、あれ企画通ってアニメ化されてたんだよ!DVDも出てるみたい、ゆきのんがDVDを見せながら『これについての釈明をもとめるわ』だって!中二どうしよう、あ!あと『結衣さんのその恰好は何かしら?その恰好についても詳しく聞かないといけないようね』だって!」

 

材木座はがばっと起きて

「え?企画いつの間に通ってたの?なんの連絡も受けてないぞ?」

「あれ?言わなかったっけ?中二の留守中に監督さんが家にきて『企画通したいんだけどキャラクターのイメージがわかないから絵とかないかな?』って聞いてきたからみんなが写ってる高校の時の写真とか結婚式の写真とか渡したっていったじゃん、その後あたしは連絡受けてなかったけど」

 

「そうだっけ?そういえばなんか前かなりの締め切りラッシュで修羅場のときに監督からアニメ化がどうとか言われてこっちは今忙しいから好きにしろと言ったような?」

 

いまいち思い出せず首をかしげる

「中二!今そんなのんきに考えてる場合じゃないよ!なんかすごくいっぱい押しかけてるみたいだし!」

 

「もう逃げるしか無かろう、結衣着替えを…いやそんな暇はないな!、早くこの家から脱出しなくては!」

結衣の手を引きリビングへ、玄関のドアの向こうからは

 

「うぉーい、暗黒魔術師だぞー氷の女王もいるぞー出てこいよ騎士ヨシテルよ~(笑)」

比企谷の声がする、笑っているような声だが微妙に殺気を感じるのが怖い

 

リビングの窓から逃げようとカーテンを開けると

「ひさしぶり、えーっとエルフの剣士サイカだっけ?」

「死霊使いヒナだよー男のアンデッドしか扱わないってわかってるねー」

戸塚と海老名がひきつった笑顔で手を振っている。

 

カーテンを即座に綴じる

 

ここはだめだ、裏口だ、裏口のドアを開ける

「聖騎士?ハヤトです」

「獄炎の女王ってどういうことだし」

即座に閉じて鍵をかける

 

まずい本当に包囲されてる、トイレの窓はどうだ、少し小さいがなんとか出られるかも

顔だけ出すとそこには

「えーっとテンプ?テンプラ?術使いのいろはちゃんでーす」

「用心棒って…殴るよ?」

目が死んでいる一色と怖い顔で睨みつけてくる川崎がそこにいた

窓をスパーンと閉じる。

 

もうダメだ、材木座は青くなりリビングにいくと既に八幡と雪乃がそこにいた

「いつのまに?」

「結衣さんが入れてくれたわ」

「ごめん中二、せっかくゆきのんが来てくれてるのに外で待たせるのは忍びなくって…」

いや待たせるとかそういうのじゃないでしょう?アホなの?いやそういうところもかわいいんだけどね!

 

材木座が固まっているとドヤドヤと外で待機している人が全員入ってくる。

「おい貴様!独身アラサーの拳闘王ってどういうことだ!?あーん?」

平塚先生が襟をつかんで締め上げてくる。

「ヒー、いやあれを書いたのは高校の時で…いやその…」

 

「ちょっと静ちゃん、私も言いたいことあるんだ、魔王ってなにかなー?しかも暇を持て余した魔王とかこれって結構悪意入ってるよね?君にはどう映ってたかしらないけど私も相当忙しい中スケジュールやりくりして雪乃ちゃんへ会いに来てるんだよ?」

かなり怖い顔をした雪ノ下陽乃が材木座へ迫る。

「い、いやそれは八幡が陽乃殿のことを魔王と揶揄しておりまして…」

「あ!こいつきたねーな!俺を売りやがった!つか忙しかったなら来なきゃよかったでしょう…いつもどんだけ迷惑を…ブツブツ」

「ちょっと義弟君、聞こえてるよー迷惑ってどういうことかなー?あっちでじっくりお話したほうがよくないかな?」

「姉さん、今はそれどころじゃないでしょう…」

 

皆でワイワイ言っていって材木座へ詰め寄り収集がつかなくなりそうな中、今や葉山と苗字を変えた優美子が結衣へ近づき

「つーかさ結衣、その格好は何?」

「え?これ?かわいいでしょ?中二の趣味なんだよ、ほかにもウェイトレスとか看護婦とか、フリフリがたくさんついてるゴスロリとかなんかのアニメのとかたくさんあるんだ!この間は高校の時の制服も着たんだけど胸がちょっときつかったかな?中二すっごく喜ぶし、休日出かける用事がなかったらその格好で一日過ごすこともあるんだよ!」

ちなみに朝○奈さんのコスプレセットも当然揃えてある。

ワイワイ騒いでいたのが一気に静まり返る

 

「ちょっと結衣殿?そういうことは~ちょっと~」

「えへへー」

ちょっと照れてる場合じゃないでしょ、なんか周囲から猛烈に痛い視線が来るんですけど

 

「え?あの恰好で一日?」

「マジかーヤベーわー材木君憧れるわー」

「………変態」

「そうか、ああいう格好が男には受けるのか…」

「コスプレ?っていうの?マジウケる」

 

そんな中ゆっくりと八幡が近づきボソっと言う

「義輝、雪乃に着せるからおまえのコレクションをいくつか貸せ、もしくは売ってるところ教えろ、そしたらお前の味方になってやる」

「本当か?八幡!いくらでも貸すぞ!」

「当然だ!義輝!俺たち同胞じゃないか!」

二人でアハハハと笑い肩をたたきあう。

 

なんだか下種い取引がされたようね…こめかみを抑える雪乃

「とりあえず二人とも正座ね、今日一日はお説教だから覚悟しておいてね」

「おい雪乃なんで俺まで?」

「今下種な取引をしたでしょう、その段階で同罪よ、さて何故このアニメのストーリーが作られたのか、その経緯から教えてもらいましょうか」

 

この後材木座は結婚式では語られなかった自分の一目ぼれから始まったラノベの話、由比ヶ浜との密会、奉仕部活動記録を元にしていかにストーリーを構築していったかのすべてを話すことになる。

周りにいる皆は材木座が語るたび、「そういや…」とか「あーそんなことあったねー」等と思い出話に花を咲かせる。

語りながら材木座は思う、

 

我には青春ラブコメはなかったが最終的に手に入れたものは大きかった、高校の時はボッチだったが今ではこんなに友人知人がいるし、なにより初恋の人がそばにいてくれる。

やはり我には青春ラブコメは不要だったのだ。執筆に励んでいて正解だった。

語りながら材木座はそう思った。

 

 

 




終りです。
いつもぞんざいな扱いの材木座にも光を当てたいと思い、どうせならハッピーエンドを目指して書きました。
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