我には青春ラブコメは不要   作:もよぶ

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第四話

「由比ヶ浜殿を泣かせてしまった…」

体中の力が抜ける、もっと長く引きとめてておけばこんなことにはならなかったのでは?材木座は自分のふがいなさと無力さに罪悪感でいっぱいになる。

 

ちらばった原稿用紙を拾いに開きっぱなしになっている奉仕部の扉をくぐる

「あ、ああ材木座か」

「こんにちは、今日もラノベの添削かしら?」

 

あんなことがあった直後だからだか二人の表情は微妙にこわばっている、材木座はそれに返事もせず、原稿用紙を拾い集める

 

「材木座、手伝うよ」

「ええ、わたしも」

 

普段は絶対このようなことは言わないであろう言葉を発し二人が近づいてくる、気まずいのだろうか?

そんな二人にどんどんやり場のない怒りと先ほど収まったはずの黒い感情が湧いてくる

「それに手を触れるな!」

ビクッと二人の動きが止まる、言い過ぎたと思った時には遅かった

 

「いや、我がやるので…大丈夫でしゅ…」

若干かんで言いなおし一人で原稿を拾い上げる、一枚拾うごとにどんどん黒い感情が溜まってくる。

 

どうすればよかったのだろうか?

これでは由比ヶ浜があまりにもかわいそうではないか、二人とも裏切りに近いことをやっているようなものだ、いや一番悪いのは比企谷であろう、由比ヶ浜から向けられた好意を無視したのだからな。

 

やり場のない怒りからか思考がおかしくなっていく

 

「八幡!我らは同胞だが今日だけは敵だ!」

「なんだ?どうした?今日のお前は変だぞ?」

「八幡!雪ノ下殿に告白した貴様は間違っていない!しかし由比ヶ浜殿を泣かせたのは間違っている!」

自分でも支離滅裂だ、友人が好きな人に告白し受け入れられたのだ、こっちもうれしい

でも同時に常に最高の笑顔を向けてくれる由比ヶ浜を泣かせてるのだ、猛烈に許せなかった。

これは嫉妬なのだろうか

 

「貴様にはこの剣豪将軍の制裁が必要だ!」

「お、おい材木座なんで告白のこと知ってるんだ?つかやめろよ」

もう自分でも何言っているのかなにをしようとしているのかもよくわからない

 

八幡に殴り掛かるがさっと躱されてしまう、運動神経は八幡の方が圧倒的に高いのは体育の時に嫌というほど知っている

また殴り掛かるがまた躱される、

「おい、材木座やめろよ、おまえ本当におかしいぞ」

 

「うるさい!黙って制裁を受けろ!」

また殴り掛かるが、突然景色が一回転して床に叩きつけられる

「あなた、何考えてるの?」

 

冷ややかな声の主は雪ノ下だった、得意の合気道で投げ飛ばされた材木座は、床に組み伏せられがっちり拘束され体を動かすことができなくなっていた。

 

だんだん自分が情けなくなってきた

密かに想っていた由比ヶ浜を泣かせてしまうし、泣かせた元凶には何もできないし

しまいには這いつくばってる状態の自分に涙があふれてきた。

 

「くそっ、くそっ」

「材木座、おまえ本当にどうしたんだ?」

「うるさい!」

 

涙声で言う

 

「八幡!何故だ!何故泣かせた!由比ヶ浜殿の笑顔が常にお主に向けられているのに気がつかなかったとは言わせぬぞ!」

 

「それは…お前には関係ないだろ」

「そうこれはわたしたちの問題よ、それにあなたは由比ヶ浜さんのなんなのかしら?」

 

「我は!、我は!」

 

はっと気が付く、そうだ、端から見ると我はたまに自作のラノベを持ってきて酷評されるだけの存在だ。

無論由比ヶ浜に対する好意なんて相談できるわけもなく、奉仕部の人間関係においては全くの部外者でしかない。

 

少し冷静なって考えると自分のやっている行動の意味不明さに恥ずかしくなる。

おとなしくなったと思ったのかいつのまにか拘束はとかれている。

もうどうでもいいや

「ぬははは、八幡!実は貴様の意思の強さを試したのだ!」

ばっと立ち上がり腕を組んでそう叫ぶ。

 

二人は唖然とした目でこちらを見ている。

「貴様の強い意志はよくわかった!雪ノ下殿!八幡のことをよろしく頼んだ!」

 

「そんなの言われるまでもないわ、それより「ではまた会おう!サラダバー!」

原稿をつかんで逃げるようにして去る。

 

奉仕部の部室から逃げ出した後

「このラノベ見せる相手いなくなってしまったな」

原稿用紙の束を見てそうつぶやく、もうあそこに顔はだせない

「最も奉仕部に来るまで見せる相手がいなかったのだ、元に戻っただけであろう、気に病むことでもない、それに今はもっと人に見せられない物を書いてるしな」

フッと笑みがこぼれる、自分らが出ている小説なんてあの二人が見たら発狂ものだろう。

 

原稿用紙の束を鞄に突っ込帰ろうと昇降口に足を向けていたが

先ほど収まったと思ってた感情がまた込み上がってきた

「クククッ」

ダメだ感情が爆発しそうだ、人目につかないところに行かねば

そう思い走って屋上に行く、屋上に出るとそのまま一目散に屋上の端まで走った。

誰かいたような気がするが気にするものか

 

柵を両手でつかみ叫ぶ

「我はどうすればよかったのだ!泣かせてしまった!あの太陽のような笑顔を守りたかったのに!」

「関係ないだと!一目ぼれしたんだ!我が恋をしてもいいではないか!好きになってしまったんだ!我にも!我だけに!彼女の笑顔を向けてほしいのに!」

 

叫び終えて材木座はがっくりと膝をつく

「でも我が告白なぞすると拒絶されるのは目に見えている…告白したが最後気持ち悪いと言われ二度とあの笑顔を見ることがかなわなくなる…」

「それに我では彼女を笑顔にはできぬ…八幡のように気軽に女子との会話が出来ぬ、アニメやラノベやゲームぐらいしか詳しくはない我にどうやって彼女を笑顔にできようか…告白以前の問題だ、好きなのに想いが告げられぬ、由比ヶ浜殿…我はあなたのことが好きだ…この思いどうすれば…」

 

涙声になりながらつぶやく。

膝をついて泣いていると後ろから声をかけられた。

 

「どうしたの?中二」

 

ハッと気が付き振り向くと由比ヶ浜が立っていた

 

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