燃える翼の遊撃士(エレフセリア)   作:ChaffP

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今回から主人公の一人称視点が多くなります


第10話 「デート!?」

私、漆川 義切は只今街中の待ち合わせ場所によく使われる広場のベンチにて一人座ってる。

 

なんで座ってるかって?

待ち合わせの為に決まってるだろう。

 

待ち合わせの時間は11時、まだ一時間もある、9時からずっとこうやって座っている、なにを血迷って二時間前に出たんだろう俺・・・。

 

なぜ待ち合わせてるかって?

それを考えると溜め息が出る、いや別に嫌なことがあるんじゃなくて緊張と不安からくる溜め息だ、理由は少し長くなる。

 

「どうしてこうなった・・・」

 

 

 

それは試験が終わり、結果が返ってきた日のことだった。

木乃香から補習のお礼の電話がきたので電話越しに二人で話していた。

 

「義君、今回はホンマありがとな~。」

 

「いえいえ、大したことはしてませんよ、それより5人の成績はどうでしたか?」

 

「それがな~、5人とも赤点ではなかったんやけどノルマは達成できなかったみたいなん。」

 

「あー、そうですか。」

 

(そりゃそうだ、わざと高めに設定したからな。)

 

「あとせっちゃんはノルマ達成できたみたいやで~。」

 

ほんわかと結構重要なことを口にした木乃香、

 

「マジですか!?」

 

ノルマは決して取れないような点数ではないがそれでも高めに設定してあるのでかなり難易度は高い筈である、そのことから刹那の努力の程が伺える、

 

「あいつ、すごいな。」

 

ノルマを達成しないと剣術は教えないと言ったのは刹那に発破をかけるためについた嘘であるが、その嘘とバカホワイトの汚名返上という執念に素直に感心する義切に木乃香が話を続ける、

 

「ほんでな、ウチもノルマをクリアしたんやで~」

 

「えっ?」

 

ノルマはバカレンジャーにやる気を出させる為に言ったことであったが、確かに木乃香も補習に(刹那や明日菜の付き添いという形で)出ていた為ノルマの話は知ってた。

しかしそれはあくまでバカレンジャー基準で高めに設定したものなので、木乃香のような成績優秀者には普通位のランクになってしまう、まぁそれでもお願いを聞くのはネギであってこちらではないので、義切は会話を続けた、

 

「まぁ木乃香様には簡単だったでしょう。」

 

「せやけど、ウチはネギくんに頼みごとなんてないから義君にお願いしてもええかな?」

 

なんだか凄い嫌な予感がしてきたが、まぁ木乃香様なら無理難題は言わないだろうと思い了承した、

 

「・・・いいですよ、何ですか?」

 

すると木乃香が言ったお願いとは義切の予想外の内容だった。

 

 

 

「一緒に買い物に行こう・・・か。」

 

そう、木乃香様の言ったお願いとは一緒に買い物しようというものだった。

そんで俺は緊張しちゃって二時間も早く家出ちゃったわけだ。

 

ん?ちょっと待てよ、これってひょっとするとデートってやつなんじゃ?

そうなると木乃香様は・・・ん?んん??

 

「まさかなぁ。」

 

こんなどつぼにハマりそうなことを考え始めたら一回思考をリセットした方がいいな、自販機あるし飲み物でも買うか、

 

「オレンジがない・・・だと・・・?」

 

大体どの自販機にもオレンジジュースくらいあるだろ、○ァンタでもいいんだが・・・、

 

よく見るとその自販機には際物のような飲み物しか置いてなかった。

 

抹茶コーラとか何だよ、だれが飲むんだよ。

 

しかし『抹茶コーラ』、なんか開拓者魂をくすぐるネーミングだな、興味が湧いてきた、自販機にはもうお金は入ってる為ボタンを押せば『抹茶コーラ』が出てくる、

 

他に探せばオレンジジュースなんてすぐ見つかる筈だ、こんな所で冒険する必要なんて無い、探求心を満たす為に確実性を捨てるのか?

 

 

 

・・・・・・

 

 

 

ピッ、ガコン

 

 

 

 

「・・・以外といけるなコレ。」

 

結局抹茶コーラを買ってしまったが悪くなかった。

 

そんなことしてたら時間十分前、やばいな、また緊張してきた・・・

 

「あっ、義君~。」

 

なんと、十分前なのに木乃香様が現れた!

誘った相手を待たせない為に十分前に来るとは流石だ、

 

「待った~?」

 

「いや、今来たところですよ。」

 

そんなテンプレな会話をしつつ木乃香様を改めて見てみた。

 

見なきゃよかった、幼なじみの贔屓目抜きでも可愛いんだよ、また緊張してきた。

 

こんな可愛いなら女子校通ってたって男子がほっとかないだろ。

あ、そんな男子を刹那がほっとかないのか。

 

そんな俺の心中を知ってか知らずか、木乃香様は首を傾げた、

 

「どうしたん?」

 

「あ、いや、な、なんでもないですよ、木乃香様。」

 

やばい、顔が赤くなるのが自分でもわかる。

俺ってこんなヘタレだったか?平常心だ俺。

 

「む~、今日はその木乃香様~とか敬語とか禁止やで。」

 

珍しくむくれてみる木乃香様、やっぱり可愛いなぁ。

じゃなくて!今なんか重要なこと言ったな。

 

「えっ!?」

 

「だから、今日一緒にいる間は敬語は禁止や。」

 

「ゑっ!?」

 

予想外の言葉に声がうわずってしまった。

 

「ちっちゃい頃は普通に話してたやん。」

 

「しかしですね・・・」

 

「義君」

 

「う、わかり・・・、わかった。」

 

結構頑固なところあるんだなぁ、しかし喜ばしいことに更なる要望を言ってくれた、

 

「じゃあ名前で呼んでみて、様はなしやで。」

 

マジですか?様無しで呼ぶのなんていつぶりだろうか、

 

「早く、早く。」

 

そんな期待に満ちた目をされたら応えないわけにもいかないだろう、

 

「じ、じゃあ・・・・・・こ、このちゃん?」

 

「うん!行こう義君。」

 

あぁ、なんか目眩がするいい笑顔、てかこんなんじゃ刹那のこと言えねえな俺。

 

木乃香様、おっと今日はこのちゃん、が俺の手を引っ張る、それに引きずられ気味についていく俺だった。

ついて行く間『この娘って意外と腹が黒いんじゃないか?』とか思ったのは内緒だ。

 

 

 

・・・それからは何もなかった、普通に買い物してただけだし、例えば・・・

 

「見て見て義君、これ似合うかな~?」

 

「おぉ、似合う似合う。」

 

「じゃあこっちは?」

 

「う~ん、ん?こっちの帽子と合わせれば・・・」

 

 

 

とか、街に知ってる顔がいたから見つからないように変装したり・・・

 

「・・・!?」

 

「義君どうしたん?」

 

「いや、ちょっと待ってて。」

 

・・・・・・

 

「ありがとうございました~。」

 

「ふぅ、サングラス掛けてれば大丈夫だろう。」

 

「でも髪型とかも変えないとバレたりせーへん?」

 

「あっ・・・」

 

 

 

とか、ちょっと目を離したらこのちゃんが不良に絡まれるし・・・

 

「なぁいいだろぉ、彼女ぉ?」

 

「いやぁ、今日は人と来てるんで 」

 

「いいだろぉ、そんな奴ほっといて。」

 

「あんた何やってんだ?」

 

「あ?なんだてめぇ?」

 

「義君!」

 

「なに?この子のツレ?残念、彼氏がいるなら引くしかないわ。」

 

「・・・・・」

 

「・・・なんて言うわけねぇだろぉが!!」

 

ガッ!

 

「がはっ・・・」

 

「相手の実力も見れないで喧嘩するなんて下の下だな。」

 

「く、くそっ、覚えてやがれよ!」

 

ダッ!

 

「義君、ありがとう!」

 

「いやいや、当然のことをしたまでさ。」

 

 

 

その後その不良の悲鳴が聞こえた気がするが多分気のせいだろう。

一日中監視なんかされていてたまるか。

 

 

・・・あれ?何だかんだで満喫してんじゃん俺!?

 

てな感じで一日遊んだ俺たちは日も傾いてきた最初の待ち合わせ場所に戻って来た、

 

「あ~、今日は楽しかった~。」

 

「それは何より。」

 

 

今はベンチに二人で座ってる、やばいなさっきまで平気だったのにまた緊張してきやがった。

 

「あ、さっき義君にプレゼント買ったんや!」

 

「へ、俺に?」

 

「うん、気に入ってくれるといいんやけど・・・」

 

そう言いつつ長細い箱を渡された、開けていいかと目配せするとこのちゃんは頷いたので開けてみる、するとそこには派手すぎない銀色のネックレスが入っていた。

 

「これを、俺に?」

 

「うん、どうかな?」

 

なんか色々と言葉にならない、今すごく感動してる。

 

「ありがとう、大切にする。」

 

だから笑顔で返してあげた、

 

「よかった~。」

 

不意にこのちゃんが顔を近づけてきた、え?何、何すんの?

 

瞬間柔らかい何かが頬に当たった、それが唇だと理解するのにかなりの時間がかかった、そんな予想外のことに呆けている俺から顔を離したこのちゃんの顔は夕陽に照らされているからか赤かった。

 

「えへへ、それは今回のお礼、じゃあ義君、今日は楽しかったで!」

 

まくし立てる様に言うとこのちゃんは荷物を持って帰ってしまった。

 

俺はまだ状況が理解できず呆けていた。

 

 

 

 

この後、正気に戻って帰る頃には辺りは暗くなっていて、帰ったらレイに嵐の様に文句をいわれたが一切頭に入って来なかった。

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