燃える翼の遊撃士(エレフセリア)   作:ChaffP

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第11話 「死の射手」

パチン、パチン・・・

 

静かな室内に碁石がに碁盤上に置かれる音が響く、

碁を打っている片方の小柄で金髪の少女、エヴァンジェリンが口を開く

 

「で、今日はなんだ?」

 

その言葉に向かいに座っている赤髪の少年、義切は答える

 

「なんだって何が?」

 

「なにか用があったから来たのではないのか?」

 

すると義切は何か思い出したかのように頷く、

 

「あぁ、用事ね、・・・暇だったから来ただけだ・・・」

 

「貴様・・・」

 

エヴァンジェリンの視線が鋭くなる、

 

「いいじゃないか、こうやってこの前の続きを打てるだからさ。」

 

「まぁ貴様はいい、しかし・・・」

 

エヴァンジェリンは義切の後ろに立っている少年、風原 一騎に視線を移す、それに気付く義切、

 

「こいつは俺の親友の風原 一騎だ。」

 

そういうと一騎は一礼する、

 

「そういうことを聞いているんじゃない、何故そいつがいるのかと聞いているんだ。」

 

「ここに来る途中で会ったから連れてきたんだ、こいつは囲碁上手いしな。」

 

パチン、・・・パチン・・・

 

会話をしながらも手は休めない二人、そして・・・

 

「ぬっ、これは・・・」

 

その局の決着が着く、結果は義切の負けだった。

 

「ハハ、これで2勝1敗で私の勝ち越しだな。」

 

「ありゃ~、どこを間違えたかね。」

 

「三手前だな、あそこはな・・・・・・」

 

勝利し、笑っているエヴァンジェリンと対象的に悔しがっている義切に助言を与える一騎、

 

「貴様、風原 一騎と言ったな、一局どうだ、上手いんだろう?」

 

「嗜む程度には・・・。」

 

義切に勝って上機嫌なエヴァンジェリンは一騎に勝負を挑み、一騎も承諾する。

義切は席を立ち、一騎がそこに座りエヴァンジェリンと対局する。

 

 

 

・・・・・・

 

 

 

「ありがとうございました。」

 

「なん・・・だと・・・」

 

一騎の圧勝であった結果にエヴァンジェリンは愕然としている、

 

「相変わらず強いな。」

 

感心する義切がふとエヴァンジェリンを見ると歯軋りしていた、

 

「クッ、もう一回だ!」

 

「わかりました。」

 

「おいおい、俺にもやらせてくれよ。」

 

 

 

 

 

「もうこんな時間か。」

 

「結局一度も勝てなかった・・・だと・・・」

 

義切が時計を見ると、もう6時を回る頃だった。

あの後相手を変えながら対戦していた結果、一騎は全勝、義切とエヴァンジェリンは同じくらいの成績であった、

 

「ん、帰るのか。」

 

帰り支度をしている義切と一騎、

 

「あぁ、夕飯の支度しなきゃならないしな。」

 

「そうか、また来い、暇な時は囲碁くらい付き合ってやる。」

 

「機会があれば。」

 

「またお越しください。」

 

茶々丸に見送られ、エヴァンジェリン宅を後にする二人。

 

 

義切と一騎が帰った後、エヴァンジェリン宅・・・

 

ピクリ・・・

 

「ん?」

 

「どうしました、マスター?」

 

何かを感知したエヴァンジェリン、

 

「侵入者か・・・、まぁあいつらに任せておけば大丈夫だろう。」

 

そんなことはつゆ知らず義切と一騎は帰路を急いでいた。

 

 

 

 

結構遅くなってしまったようだ、あたりはもうだいぶ暗くなってきてる。

時計を見てみるともうすぐ7時を回ろうかという時間だ、早く帰って夕飯作らないとレイのやつ五月蝿いからな。

 

「カズ、買い物していくか?」

 

「あぁ。」

 

「それなら、そこまで一緒だな。」

 

カズに確認を取ると、進路をスーパーへ向ける、暫く走っていると少しの違和感を感じた、

急ぎ足の足音に混じって金属が何かに当たる音が聞こえる。

あたりを少し見回して違和感の元凶を見つけると直接聞いてみることにした、

 

「なぁカズ、ちょっといいか?」

 

「なんだ?」

 

「剣道部だから竹刀入れを持ってるのはわかるんだが、なんで竹刀と一緒に真剣まで持ち歩いてるんだ?」

 

「あぁ、それはな・・・」

 

そこで新たな違和感を感じる、周りに人が見当たらない、いくら買い物時から外れているにしてもまばらに人が通る道だ、全く人が居ないとなると可能性が絞られる。

カズも不審に思ったのか二人で背中を向けあい周りを警戒する。

 

「・・・こういう事があるからだ。」

 

「なるほど。」

 

しくじったな、人払いの結界が張ってあるのに二人して気付かないとはな、カズと違って俺は何も持ってないから雑魚なら問題ないが・・・

そんなことを考えているといつの間にか囲まれていた、しかも囲んでいるのは見覚えのある人型の機械、

 

「こいつらは!?」

 

「知っているのか?」

 

「シャドー・・・ミラー」

 

「こいつらが・・・」

 

木乃香様誘拐事件の後、カズにはシャドーミラーについては話していたのですぐに話が通じた。

シャドーミラーとなると朧火を持っていないのは非常にまずいな、通じるかどうかわからないがレイに連絡して持ってきてもらうか。携帯を取り出してレイの携帯へ電話を掛ける、

 

prrrrr・・・

 

よし、つながった!

後はレイが出てくれればいい、電話を掛けている途中も周りへの警戒は怠らない。

 

prrrrr・・・

 

なかなか繋がらないな、まさか・・・

 

 

 

その頃、義切家・・・

 

prrrrr・・・

 

レイの携帯電話の着信音が鳴り響き義切からの着信を知らせるが、当の持ち主は・・・

 

「Zzz・・・」

 

熟睡していた。

そのうち携帯の着信音が止るが、それに気づく様子もなくレイはまだ夢の中だった・・・

 

 

 

携帯を掛けるのを止め、握りしめる、

 

「駄目だったか。」

 

大体察したカズが淡白に言う、

 

「レイのやつ、寝てやがるな 」

 

仕方ない、今日はカズもいるし何とかなるだろう。

覚悟を決めて徒手空拳で構えると同時にカズも竹刀入れから刀を取り出して鞘から抜いて構える。

 

「雑魚だけっていうのは考えにくい、どっか近くから様子を観てるはずだ、用心しろよ。」

 

「フ、徒手のお前こそな。」

 

そう言うと二人で別方向の機械人形へ攻撃を仕掛ける。

機械人形の主な攻撃方法は腕から発射される魔力砲が主だ、格闘も行うことができるが魔力砲に比べると脅威は大分下がる、よって一気に近づいて必殺の一撃を叩き込むのが一番手っ取り早い。

 

接近するのを阻止しようと打ち出された魔力弾を避けながら至近距離まで踏み込み、練った気力を集中させた右手を叩き付ける!

 

「念動集中、破っ!」

 

ガッ!

 

拳が命中し、攻撃の衝撃は機械人形の装甲を貫いた。

 

「・・・なーんてな。」

 

数m吹き飛んだ機械人形は地面に叩きつけられて動かなくなった。

 

「はぁっ!」

 

カズが刀を一閃すると機械人形は真っ二つになる、向こうはまぁ心配無いな。

などと少し余所見していると残りの機械人形が攻撃してきたので、それを避けてカウンター攻撃で仕留める。

 

 

 

「てりゃ!」

 

「ふんっ!」

 

お互いに最後の一機を撃破し、周りを確認するが増援が出てくる気配はない。

 

「終わったか・・・っ!?」

 

そう言って近づいてくるカズだったが、何かを察知して足が止まる、俺も感じたその気配、気配の方へ視線を移すと、そこには青髪の男が立っていた。

 

「フフフ・・・」

 

「貴様・・・イングラム!?」

 

カズと俺は咄嗟に構え直す、イングラムは不敵に笑っていた。

 

「上出来だ、遊撃士が二人、良いサンプルが手に入りそうだ。」

 

「貴様、何を言って・・・何!?」

 

気付くと二人の足元に魔法陣が描かれていた、抜け出そうとした時にはもう足が動かなくなっていた。

 

「くそっ、拘束魔法か!?」

 

「気づかぬとは、不覚!」

 

くそっ、こんな所でアクセルなんかが出てきたら・・・

その焦りが伝わったのかイングラムは笑う、

 

「安心しろ、今日は私一人だ、しかし・・・」

 

イングラムが指を鳴らすと後ろから機械人形が出現し二人の首筋に針の様なものを刺してきた。

 

「っ!?何をするつもりだ!」

 

「なに、貴様等の血を少し分けてもらうだけだ。」

 

暫くした後、針が抜かれ、イングラムが再び指を鳴らすと跳躍魔法でも使ったのか、機械人形は消えた。

 

「何をするつもりだ!?」

 

「死にゆく人間が知る必要は無い。」

 

イングラムはそう言って手を前方にかざした。

 

「出でよ、R-GUN!」

 

「あ、あれは!?」

 

光に包まれたイングラムを見て驚くカズ、俺は見たことある光、あれは・・・魔装機だ!

光が収まるとそこには白と紫色の装甲を着けたイングラムがいた。

 

「フフフ・・・」

 

「くっ、絶体絶命か?」

 

動けない上に相手は魔装機、なんとか切り抜けようと拘束魔法の魔法陣を破壊できないかとカズに目で言うが渋い顔をされる。

 

(魔法陣を破壊するには暫くかかる、それまでに奴が攻撃しないはずがない。)

 

カズの目がそう言っていた、そうしているとイングラムが右手に持った銃をこちらにむけた。

 

「アクセルには悪いが貴様等にはここで消えてもらおう。」

 

すると、R-GUNの両肩の装甲の一部が外れた、空中で一つに合わさり大きな銃のバレルの様になったそれらはイングラムの持っている銃と合体した。

 

「高濃度圧縮魔力殲滅砲(メタルジェノサイダー)モード起動・・・」

 

メタルジェノサイダーと呼ばれた大型銃の銃口は確実に俺を捉えている。

肌がピリピリするほどの量の魔力がアレに集まっているのがわかる、あんなもの食らったら塵も残らねぇ!

何か、何かないのか!?

 

「フフフ・・・、デッドエンド・シュート!」

 

打開策を必死に捻り出しているとポケットにあるものがあったのを思い出した、もう引き金は引かれている、向かってくる膨大な魔力を前に俺はそれを取り出して叫ぶ。

 

「"来たれ"(アデアット)!!」

 

間に合え!

発射された魔力が義切に衝突し、爆発を巻き起こす、

 

「義!!」

 

一騎が叫ぶが爆発による煙で視界が悪く現状を把握出来なかった。

 

「・・・何!?」

 

勝利を確信したイングラム、だが徐々に煙が晴れて、何もないはずの義切のいた場所には大きな盾の様なものがあった。

実際あの高濃度圧縮された魔力を受けきった時点でそれはまさしく盾であった。

 

「危ねぇ危ねぇ、間に合って良かったぜ。」

 

盾の陰から義切が現れる、

 

「心配を掛けさせてくれる!」

 

一騎は安堵の表情をしたが直ぐに真剣な顔に戻った。

 

「カズ、魔法陣を!」

 

「はぁぁっ!」

 

一騎が溜めていた気を足から一気に放出し、魔法陣と地面を崩した、足が動くようになった二人は各々の武器を構え、改めてイングラムと対峙する

 

「大盾、それが貴様のアーティファクトか、それが見られただけでも収穫だが、R-GUNの戦闘データも取らせてもらう。」

 

「おし、こっから反撃だ、行くぜカズ!」

 

「応!!」

 

そう言って二人はイングラムへ向かっていった。




観覧ありがとうございます。

戦闘パートって書いてると必然的に長くなるので今回は前後編と分ける形になりました。

実は囲碁のことはさっぱり解らなかったりします(笑)
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