自分の創作物に名前をつけるって存外難しいものですね・・・
「うぉぉぉ!」
メタルジェノサイダーモードを解除したイングラムの銃撃を避けつつ、一騎が一気に接近する。
「近づいてしまえば!」
それに対してイングラムは別段焦った様子もなく、R-GUNの背中に装着された厚い羽の様なものに左手を伸ばす、すると羽は背中を離れ、腕の装甲に装着されて魔力の刃を形成した。
イングラムはカタールとなったそれで一騎の攻撃を受け止めた。
「何!?」
「R-GUNの闘いに距離は関係ない、ただ敵の屍が近いか遠いかの違いだけだ!」
次の瞬間、一騎のわき腹にイングラムの蹴りが直撃し、吹き飛ばされる。
ただの蹴りでも魔装機の装甲で必然的に威力も上がるので結構なダメージだろう。
「まだまだぁ!」
続いて義切が踏み込み、アーティファクトの盾を叩き付ける様に攻撃する、守る為の道具である盾による攻撃方法、俗に言うシールドバッシュである。
「くっ。」
シールドバッシュは打撃攻撃の為、魔装機ではなく、中のイングラムに多少なりともダメージを与えることに成功し、イングラムは少しよろけながら後ずさりする。
「よし!・・・って、あら?」
「フ、今のは少し効いたぞ、だが!」
しかし実際のダメージは大したこと無かったようで、直ぐに体勢を立て直し、切りかかってくるのを防御する義切。
「新作は随分と装甲が硬いようで。」
「当たり前だ、前回の戦闘データを考慮してある、刀は通さん。」
空いていた右手の銃で義切の頭を狙った銃口が目の前に来る、
「うおわっ!」
身を翻し、何とか銃撃を避けると間合いを取り、一騎と合流する義切、
「カズ、いけるか?」
「問題無い。」
「何度来ても同じことだ。」
「そいつは・・・」
「どうかな!」
まずはカズが仕掛ける、今回は倒すことが目的ではない為、少し鍔迫り合いをした後自分から飛び退く、
「何!?」
「義!」
前回の戦闘データを反映したから刀は通らないといったな、
「その攻撃は効かん!」
「ならこいつでぇ!」
イングラムはまたシールドバッシュが来ると思ったのか特に防御する気配は無い、俺は飛び上がり盾の持ち手を両手で持つとアーティファクトの力を発動した。
持ち手の根元は盾の上側に付いている、それは蝶番が開く様に展開し、完全に盾の上部まで来ると固定され、持ち手自体が伸びて柄となり、攻撃を受け止めていた逆五角形の本体は側面が鋭く敵を切り裂く刃になり、盾だったそれは一瞬で大剣になった。
俺のアーティファクト、名をアンスウェラー、その能力は盾と大剣の二形態に変形する。
「どおだぁ!」
「大剣に変形しただと!?・・・クッ。」
イングラムは咄嗟に攻撃をカタールで受けるが、俺の全体重を乗せた渾身の一撃はカタールを真っ二つにする、
「なんだと!?」
「カズ!」
追撃はせずに後ろに飛び退く、そこに間髪入れずに攻撃を仕掛けるカズ、その手には刀ではなく大剣が握られていた。
一騎は一回目の攻撃の後、飛び退き、義切が攻撃する間に一騎の持つ刀、計都流参式秘剣斬艦刀、の柄に付いている引き金を引きながら捻る、すると柄が伸び、鍔が真ん中から二つに分かれる様に展開する、そこから液体化した金属が流れ出して刀身を包み込む様に両刃の大剣を形作る。
2mはあろうかというその刀身を作っている液体金属を魔力で固着させ完成する、斬艦刀の真の姿、それが一騎が持っている大剣の正体であった。
「チェェストォォォ!」
カズの一閃がイングラムに入る、斬艦刀の強力な一撃にR-GUNの装甲も耐えられなかったらしく、一部が砕けて火花が散っている。
「ぐあぁ!」
カズの地面のコンクリートを砕く一撃はイングラムをぶっ飛ばした。
吹っ飛ばされたイングラムはすぐに体勢を立て直すと追撃しようとした俺達を迎撃しようと銃を撃つが、ダメージの影響で標準が定まらないのか大した脅威にはならない、
「クッ、ガン・スレイヴ!」
イングラムが叫んだ途端、イングラムから、正確にはR-GUNの腰部から六つの小さな鳥の様なものが飛び出した。
「何だ?」
ガン・スレイヴ、『従(銃)者』と呼ばれたそれは二人の近くまで飛んでくると魔力弾を撃ち出した。
「何!?」
間一髪で避ける俺達だがガン・スレイヴは細かく動き回りながら魔力弾を打ち出す。
「自律誘導兵器・・・ファン○ルか!?」
「隙だらけだ!」
ガン・スレイヴの攻撃を避けているところにイングラムからの銃撃が来る、それをアンスウェラーを盾形態にして防御するがその隙にガン・スレイヴが側面に回り込み直接魔力弾を撃ち込んでくる、
「ぐぁ!」
一撃は大したこと無いが数を当ててくるので俺もカズも少しずつ消耗していく。
「はぁ・・・はぁ。」
「クソッ、ちょこまかと!」
攻撃を受け続けて膝を着いてしまった俺達に見下すように笑うイングラム。
「貴様らの連撃には不覚を取ったが・・・ガン・スレイヴの前ではこの結果か。」
「くっ、この・・・!」
「感謝するよ、貴様達のお陰で最高のデータを採ることが出来た、並みの相手ならばこうはいかん、その力に敬意を表してこの一撃で葬ってやろう。」
そう言うとイングラムはメタルジェノサイダーを起動させてこちらに銃口を向けた、
あれは強力だが結構な隙ができる、なんとかピンチをチャンスに変えねぇとな、
頭をフル回転させて策を練ってなんとか策を絞り出すが成功するかはカズ次第だ・・・
「カズ、動けるか?」
「あぁ、少し辛いがな・・・」
「そんなら・・・」
カズに咄嗟に閃いた逆転策を耳打ちすると、カズは頷いて斬艦刀を握る手に力を込めた、
「わかった、その策に乗ろう。」
「よっしゃ、じゃあ頼むぜ!」
そういって俺はイングラムに向かって駆けだした、
「最後の悪あがきか、ガン・スレイヴ!」
ガン・スレイヴが向かってくるが予想通りである、
「"去れ"(アベアット)」
直ぐにアーティファクトを引っ込めて上着の内側からアクイラを取り出してなんとかガン・スレイヴを二機撃ち墜とせた。
「ぬ、銃を持っていたとはな、しかしガン・スレイヴはまだある!」
残りのガン・スレイヴが一斉にこちらを向くが、これも予想通りだ、
「ハァァ!」
こちらを向いてるうちにカズが攻撃し、一気に二機を墜とす、
「な・・・!?」
カズの攻撃に反応して残り二機がカズの方に向くが今度はまた俺が残りの二機を撃ち墜とした、
「ククク、大した奴らだ、しかしチャージには間に合わなかった様だな!」
しかしメタルジェノサイダーのチャージ完了までには間に合わず、充填された魔力が撃ち出されようとしていた。
さて、ここが正念場だ!
俺はイングラムに向かって走る、
「消え去れ、デッドエンド・シュート!!」
「"来たれ"(アデアット)!」
アンスウェラー盾形態でメタルジェノサイダーの一撃を至近距離で受け止める、
「その負傷した体で受けきることはできまい!」
確かにこいつはきついな、だけどこっちには最後の締めが残ってるんだ!持ってくれよ!
「うぉぉぉぉぉ!カズッ!!」
「応っ!!」
俺が攻撃を受けている影からカズが飛び出す。
「何、懐に!?」
これが策の締め、俺が囮になって攻撃を受ける、その隙にその後ろからカズが飛び出し必殺の一撃を叩き込む。
「斬艦刀!一刀!両断!」
カズが斬艦刀を振りかぶりありったけの気力を込めた一撃を放つ。
「チェェェストォォォ!!」
一閃、振り下ろされた斬艦刀はメタルジェノサイダーを真っ二つに破壊し、制御を失った魔力が爆発を起こした。
「うわっ!」
「ぐ、ぬぅ!」
爆風により三者は別々に吹き飛ばされる。
メタルジェノサイダーはカズが破壊した、R-GUNは、イングラムはどうした?
そうして周りを見回すとR-GUNがヨロヨロと立ち上がった。
「まさか・・・これほどとはな、アクセルが拘るのも頷ける。」
相手も相当なダメージなのか足下がおぼつかない様子だ、畳み掛けるなら今しかない!
足腰に気合を入れて立ち上がる、カズも同じ事を思ったのかイングラムを見据えている。
「想像以上の力だ、まさかここまで追い込まれるとはな・・・、お互い満身創痍、ここは退くとしよう、元々サンプルを採るだけのつもりだったからな。」
「クッ、待て!」
「逃がさん!」
「フフフ・・・ではまた会おう!」
そう言って転移札を使ったのかイングラムは光に包まれて消えた。
某所、シャドウ・ミラー拠点・・・
色々な機械が雑多に置かれてある研究室にて一人の女性、レモンが研究用の機材であろう端末を操作していた。
そこへ赤髪の男、アクセル・アルマーが入ってきた。
「レモン、イングラムから例のサンプルが届いたらしいな。」
「えぇ、今はまだ準備段階だけど、じきに試験できるようにはなるわ。」
「成功するのか?」
アクセルのその言葉に目は画面から一旦離してアクセルを見るレモン、
「あら、どうしたの、この計画には反対してたのに成否を心配するなんて。」
「フン、俺に決定を覆すことはできん、受け入れるだけだ、それに使える物は多いに越したことはない。」
「そうね、確率で言ったら75%位かしら、って何これ・・・」
「どうした?」
レモンの只ならぬ様子にアクセルも端末の画面を覗き込む、
「これを見て、こっちが風原一騎のDNA、それでこっちが漆川義切のDNAよ。」
映し出された二つの図には明らかな違いがあった、
「これは・・・」
「漆川義切のDNAは複雑過ぎるわ、DNAの複雑さは個体差があって、稀に複雑な人もいるけれど・・・こんなの見たことないわ。」
「これが奴の強さの秘密だとでも言うのか。」
「秘密の一つである事は間違いないでしょうね、ここまで複雑だと試験には使えないでしょうけど。」
「ならば片方だけでやればいいだろう?」
アクセルが背を向け研究室から出ようとするがレモンが声を掛ける、
「嬉しそうね。」
「当たり前だ、闘う相手は強いほど闘いがいがある。」
そう言うとアクセルは研究室を後にした。