燃える翼の遊撃士(エレフセリア)   作:ChaffP

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この話から麻帆良祭編に入ります


第13話 「麻帆良祭・準備編」

ある多数のパソコンが陳列された部屋、その部屋は暗く、明かりは一台のパソコンが点いているだけだった。

パソコンの前には一人の少女が座りキーボードを叩いている、それを見守るように少年が後ろに立っていた。

 

「本気でやるのか、超・・・」

 

超と呼ばれた少女は手を休めずに言葉を返す。

 

「無論ネ、そのためにこれまで準備してきたネ。」

 

「多くの人を・・・救うため・・・」

 

「そう、そのために君もこの時代に来たのではないのカネ?」

 

「それはそうだが・・・」

 

「やはり、協力はしてくれないカ?」

 

「すまないが協力は出来ない、しかし、妨害もしない。」

 

「見届け役、ということかネ?」

 

「そんなたいした役じゃない、ただの傍観者さ、どちらに転んでも結果は受け入れるつもりだ。」

 

「わかたネ、今まで協力してくれて感謝するヨ。」

 

少年は踵を返し超と背中を迎え会わせにする、

 

「同志だからな、いや、だった、か・・・」

 

「無条件で協力してくれるのが同志ではないヨ、君は今でも私の同志ネ。」

 

「そう言ってくれるとありがたい。」

 

少年は出口へ向かうが、何かを思い出したように立ち止まった、

 

「・・・それと、俺は君の考えには大いに賛同してる、ただやり方に同調できなかっただけだ・・・恐らく、あの人も同じだと思う、・・・じゃあ。」

 

そう言うと、少年は部屋から出て行った。

部屋には超が一人だけとなりキーを叩く音が響く、超は少年に言われたことを思い出し、ふと手を止めた。

 

-君の考えには大いに賛同してる、ただ、やり方に同調できなかっただけだ・・・恐らく、あの人も同じだと思う-

 

超が口の端を少し釣り上げる、

 

「それはどうかナ・・・・・・漆川クン?」

 

 

 

 

 

中間試験が終わると直ぐに麻帆良祭の準備に追われるようになり、学園内も比例して活気に溢れ出す。

我が3年C組も例に漏れず右に左にの大騒ぎだ、勿論、俺も馬車馬の様に働いていた。

 

「義切、これはどこにやればいい?」

 

「ああ、それはこっちだ。」

 

俺は主に厨房周りの班だ、パーラーの一番重要な所でもあるので一番忙しいが、男子だけのこのクラスで料理が得意な奴が少ない為、俺が配置された。

ちなみにカズは力仕事系の班で、テーブルや看板にする板などをせっせと運んでいた。

 

そんな俺とカズの二人は顔や腕などに傷跡や絆創膏が目立っていた、勿論この間イングラムにやられた傷だ、最初はクラスの皆も心配してか物珍しさか傷について触れてきたが、準備が始まるとそっちに集中して触れなくなった。

レイや刹那等、俺達の仕事を知ってる人達はまだ心配してくれるが、気にするなと言ってあるからやはり触れることは少なくなった。

しかしあの後帰ったときのレイの反応は面白かったな・・・

 

 

 

傷だらけの身体を必死に動かして我が家に着く。

そこまで酷い傷はないが身体中に傷を負っていたため、動くだけで結構響く。

 

やっと着いたと玄関を開けると同居人の怒号がお出迎えしてくれた。

 

「義!今までどこをほっつき歩いていた・・・んだ・・・?」

 

怒りを湛えた表情をしながら玄関で仁王立ちして小学生が夜まで遊んで帰ってきた時の母親みたいなことを言っているレイだったが、ボロボロの俺を見るとみるみる顔色が変わっていった。

 

「な、なにがあったんだ、傷だらけじゃないか!?」

 

「説明は後でする、それより疲れた。」

 

家に帰ってきた安心感か疲れがどっと出てきたのでリビングのソファの上に寝転がろうとするのを止められる、

 

「手当てをしてやるから寝るのはその後にしてくれ。」

 

とレイが傷の手当てしてくれるのだが、疲れが勝っている俺は寝ることしか考えていなかった。

 

「寝かせてくれ・・・」

 

 

 

なんてことがあった、さらにあの後傷だらけの理由を話すと必死に謝ってたな。

刹那や木乃香様には下手に心配させないように仕事でと告げてシャドウ・ミラーの名前を伏せたがそれでも必要以上に心配してくれた。

 

何だか思ってる以上に俺は幸せ者なんじゃないか?

などと考えているとクラスメイトが声を掛けてきた、

 

「義、食材はどうする?」

 

「ん、あぁ、食材なら必要な物をリストアップしといてくれ、後で俺が選んでくる。」

 

「わかった。」

 

まぁ何はともあれシャドウ・ミラーの事は遊撃士協会の日本支部に調査を依頼しておいたし、奴らは少数精鋭の組織みたいだから、イングラムを退けた事でしばらくは大人しくしていてくれるだろう、あまり楽観視はできないがな。

しかしあんまり気を張ってるのも疲れるから今は麻帆良祭の準備に集中しようか。

 

 

 

準備は滞りなく進み、遂に麻帆良祭前日となった、皆が効率よく動いてくれたお陰で内装、外装共に出来上がっているため、やり残したことはないかチェックしてる段階だ。

 

料理班は店で出す料理の仕込みという一番重要なところが残っている、しかし他の料理班の連中は部活などの出し物の方へ回ってしまい、実質俺一人でやってるようなものだった。

そこへ仕事が全て片付いたのかカズが入ってきた。

 

「義、学園長が呼んでいるぞ。」

 

「学園長が、なんで?」

 

厨房には俺達、所謂魔法生徒以外の生徒もいたためヒソヒソ話になるがほかの奴らは気にしてない様子だった、

 

「なんでも麻帆良祭中の注意事項があるから、魔法先生や魔法生徒を集めているらしい。」

 

「それは絶対行かなきゃ駄目か?」

 

「できるだけ来て欲しいと言っていたが・・・」

 

学園長の呼び出しなら重要な事を話すのだろうが、今ここを離れると仕込みが十分に出来なくって下手をすれば明日に支障が出るかもしれない、それは好ましくない、参加が自由なら今回は悪いがカズに行ってもらうか。

 

「・・・カズ、悪いんだが代わりに行ってきてもらえるか?」

 

「そう言うと思った、まぁ料理の仕込みがあるならしょうがないか。」

 

「悪いな、話の内容は後で教えてくれればいいから。」

 

「わかった。」

 

そう言うとカズは厨房が出て行った。

さて、俺は仕込みを頑張りますか。

 

まぁその後すぐに他の料理班が帰ってきたので行こうと思えば行けたのは秘密だ。

 

仕込みが終わったので休憩していると携帯電話にメールが入ってることに気付いた、カズか?レイか?

取り敢えず新着メールを見てみると、知らないアドレスからのメールだった、何かの手違いでこっちに来たのか?

しかし本文を見ると手違い等ではないことがわかった。

 

遊撃士協会遊撃士

漆川 義切殿

 

話があるので今夜6時に麻帆良祭実行委員会の飛行船に乗って頂きたい。

 

そう書いてあった、イタズラかと思ったが、学園内で俺が遊撃士であることを知っている人間は少ない。

次に罠かと疑ったが麻帆良祭実行委員会の飛行船と書かれていたから恐らく学園の関係者だろう。

 

ならば学園内で俺を遊撃士だと知ってる人間が俺の知らない所に居るってことだ、ならばそいつを確かめるという意味でも行った方がいいかも知れない、話というのも興味が出てきたしな。

そうと決まれば善は急げだ、クラスメイトを捕まえて用事ができたので少し居なくなると告げると家に戻り、万が一の為最低限の武器を持つと飛行船の発着場へ向かった。

飛行船に乗るってところでカズから電話が掛かってくる。

 

「義、今どこにいるんだ?」

 

「あー、ちょっと用事ができてな、外にいるんだ。」

 

「前夜祭が始まるぞ、早く帰ってこい。」

 

「あぁ、用事が終わったらすぐ戻る。」

 

「そうだ、さっきの会議の事をついでに話しておこう。」

 

「頼む。」

 

そしてカズから会議の内容を聞いた。

22年に一度、世界樹の魔力が高まり、願い事(特に告白など)が叶ってしまう為、魔法先生及び魔法生徒は麻帆良祭中の世界樹前他、六つの広場にて一般生徒の告白を阻止しなければならないこと。

 

「まためんどくさい事になってるな~。」

 

「まぁ指定エリア以外での告白は大丈夫らしいからどうにかしてエリアの外に誘導すればいいらしい。」

 

「ふーん。」

 

告白の阻止とか本当に面倒だなと思っているとカズが思い出したように話を付け加えてくる、

 

「ああ、それと女子中等部3-Aの超 鈴音という生徒は問題児生徒で良からぬ事を企んでるそうだから注意するようにとのことだ。」

 

「ん、わかった。」

 

「話はそれだけだ、早く終わらせて戻って来いよ。」

 

そう言うと電話は切れた、携帯電話をしまい、話について考える。

超 鈴音か・・・確か大学の機械工学部にも入ってる天才って話だが、良からぬ事ねぇ・・・

そんなことを考えていると後ろから誰かが近づいて来る、前夜祭をやっている今飛行船に乗っている人は少ない、それに気配が一般人のそれではない、ならば後ろにいるのが呼び出した人間で間違いないだろう。

 

「あんたが俺を呼び出したのかい?」

 

振り返らずに後ろの人に問う、

 

「フフフ、いかにもネ。」

 

特徴的な話し方が気になり振り向くとそこにいたのは・・・

 

「超・・・鈴音!」

 

そう、先程問題児生徒と言われていた超 鈴音であった。

 

「あんなメールでよく来てくれたネ、漆川 義切クン。」

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