燃える翼の遊撃士(エレフセリア)   作:ChaffP

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第14話 「葛藤」

「・・・ただいま。」

 

「おかえりぃ。」

 

玄関から家に上がり帰宅を報告すると、気のない返事が返ってくる。

いつもならばここでレイと少し話してから部屋に戻るのだが、今はそんな気さえ起きなかった。

俺のいつもと違う様子を心配したのかレイが声を掛けてくる、

 

「義、どうかしたのか・・・?」

 

「・・・あ、いや、少し疲れただけだ。」

 

咄嗟に嘘をついてしまった、確かに少しは疲れているがそれが原因ではない。

部屋に戻り、机の脇に鞄を置いて椅子に座り込む、あの時、超 鈴音の話を聞いた後からたった一つのことしか頭に浮かばなくなっていた。

 

 

 

「あんなメールでよく来てくれたネ、漆川 義切クン。」

 

超 鈴音の様子から敵意は感じられない、だからこそ警戒を強めた、なんせ学園側から問題児なんて言われてる生徒だ、腹の底でなに考えてるかわかったもんじゃない。

 

「まぁ話ってのが気になったし・・・」

 

「なぜ遊撃士のことを知ってるのか・・・カ?」

 

「ああ。」

 

遊撃士は魔法世界が主な活動場所であり、こちらの世界では表立って動くことはない、勿論ここ、麻帆良学園のように魔法に関係する場所ならば活動する場合があるがあくまで秘密裏であり、やはり一般人て知っている人はほとんど居ないだろう。

 

「なに、チョット調べたら出てきたネ。」

 

「そのチョットが普通の人のチョットじゃないんだよなぁ。」

 

目を細め超を睨む様に見る、だが超の様子は変わらない、

 

「簡単な話ネ、私が魔法を知っている、それで説明にならないカナ?」

 

「なんだと?」

 

仕事の関係上俺は学園長から全魔法先生・生徒のデータをもらってるし、頭に入ってる、その中に超 鈴音の名前はなかった、しかし遊撃士・魔法、この二つの単語を知ってるならば超の話は事実である可能性が高いな。

さらに魔法を知ってる、又は使える生徒が何やら企んでいるならば問題児視されるのも頷ける、

 

「その話が真実だとしよう、それで話っていうのはそれに関連したことか?」

 

「疑わないのカネ?」

 

「どうも事実みたいだからな。」

 

「話が早くて助かるネ。」

 

それでもまだ警戒を解くことはできない。

超は笑顔を崩すことなく話を続けた、

 

「私の計画に協力して欲しいネ。」

 

やはり何か企んでいたらしい、その計画とやらの内容如何によってはここで捕らえるべきか?

 

「計画だと?おいおい、俺はあんたから見れば対立するべき相手だぜ、そんな相手に協力を申し込むっていうのか?」

 

「重々承知してるネ、むしろ相手だからこそネ。」

 

そう言う超の目は本気だ、面白い、どうやって俺を引き込もうとするのか聞くのも悪くない、

 

「それに内容や理由を聞かずに協力する気にはなれないな。」

 

「内容くらいは教えてもイイネ、それは・・・魔法の存在を世界中にバラすことネ。」

 

「なに?」

 

何を言い出すかと思ったらとんでもないことを言い出した。

魔法の存在を世界中にバラすだと?

確かにとんでもない企みをしていたようだが、あまりに現実味のないことなので呆気に取られた。

もし仮に本気で魔法をバラすつもりでも、世の魔法使い達もバカじゃない、それに対する対策なんていくつもある、

 

「何を言い出すかと思えば魔法をバラすなんて、そんなことできるわけ・・・」

 

そこでカズからの電話の内容を思い出す、22年に一度、世界樹に魔力が満ちて外に放出される、その魔力によって願い事、特に告白の成功率が100%になるから告白を阻止するように言われたんだっけか。

 

願い事は即物的なものは駄目らしい、ならば告白によって好きでもない人を好きだと思わせるのは、強制認識系の魔法だと考えられる、超が何かしらの手段を講じて世界樹の魔力、魔法を拡散できるとすれば・・・

 

「まさか・・・!?」

 

超は笑っていた、俺の考えが当たっているようだ、

 

「フフフ、本当に話が早くて助かるネ。」

 

「まったく、とんでもねぇことを考えるな。」

 

例えば只の一般人が一人だけ魔法は実在すると本気で信じていたとしても、その意見は少数意見として多数意見に握りつぶされる。

またある程度の規模までならば魔法使いも対応できる、しかし世界中の人々全員が一斉に魔法は実在する、いや世界中ならば実在するかもと思わせるだけでも人々は真相に辿り着くだろう、しかし

 

「だが、そんなことをすれば世界中が混乱するぞ。」

 

そう、魔法が認知されることにより世界中が混乱することは必至、更に魔法を使える人、使えない人の間にも軋轢が生まれるだろう、そのことからも魔法をおいそれとバラさせる訳には行かない。

 

「それに対する対策もちゃんと考えてあるヨ。」

 

計算に計算を重ねた計画なのだろう、たしかにその場しのぎの嘘って感じではない、ならば根本的な部分を聞こう、

 

「それに、何故そんなことを企む?」

 

今までに魔法を公表しようとした人は少ない、理由は前述したことと何より魔法を使えるという自分の持つ秘密のステータスからくる優越感があるからだ。

超が何故魔法を公表しようとするのか、それが一番気になるところだ。

するて超はこれまでで一番真面目な表情を作った、

 

「それは・・・多くの人々を救うためネ。」

 

「多くの人々を救うためだと?」

 

「そうネ、遊撃士の義切君ならわかると思うネ、魔法を使えることによってより多くの人々が救えるダロウ。」

 

「っ、それは!?」

 

遊撃士は基本的に魔法世界が活動場所だが、こちらの世界でも秘密裏に活動はしている、なぜ秘密裏かというと遊撃士達は基本魔法使いや魔法を知っている者達であり依頼も必然的に魔法関連なものが殆どだ、そのため魔法の情報が悪戯に漏洩しないように秘密裏という形を取っている。

しかしごく稀に一般人の生活圏内での依頼も入ってくる、そうなると魔法を使えない以上常人としての範囲で依頼をこなさなければならない。

しかし魔法が世界中に認知されればこちらの世界でも遊撃士達は表立って動けるようになり、常人では救えない者も魔法を使えれば救えるようになる、もしかしたら今現在世界で起こっている紛争や内乱を鎮めることだって出来るかも知れない。

そう考えると超の計画は間違ってはいないんじゃないか?認められる気がする。

その考えが頭の中に出てくるが、それでも超に賛同しきれないのはやはり前述した世界中の混乱が懸念されるからだ。

 

「・・・・・・。」

 

「それに、魔法が認知されるということハ、それに準ずる魔族も認知されるということネ。」

 

「な・・・に!?」

 

「それは君自身、そして君の大切な人を護ることにはならないカネ?」

 

「それは・・・。」

 

魔族が認知されるってことは、少なからず魔族と人間のハーフだって認知されるってことだ、もしそれによってハーフが魔族、人間の両方に認められるなんてことになれば・・・・・・

 

「少し・・・考える時間をくれ・・・。」

 

「フフ、麻帆良祭中に答えを出してくれれば構わぬネ。」

 

 

 

 

そして今に至る。

超の言葉に揺さぶられ、その場答えを出すことが出来なかった俺がしたことは先送りであった。

確かに考える時間は欲しかったし、頭の中を整理する必要もあった、しかしそれでも答えは出なかった。

魔法をバラすべきだという意見と隠すべきだという意見、どちらも正しいが故に間違っているとも言える、それに魔族の話もある、俺なんかはいいが刹那は少なからずハーフであることについてコンプレックスを抱いている、神楽坂さんやネギ先生、それに木乃香様に打ち明け、認められたから随分マシになったみたいだが根本的な部分はそう簡単に払拭できるものじゃない、そこで魔族が認められるようになればコンプレックスを気にしなくてもよくなるんじゃないかという考えが頭の中にある、だから答えが出せずに時間が過ぎていった。

 

そんな時俺の携帯電話の着信音が部屋に鳴り響く、携帯を手に取り、通話ボタンをおした、

 

「もしもし、兄さん?」

 

携帯電話の向こうから聞こえてきた声の主は、よく知る女の子だった。

 

「ああ、桜花か。」

 

漆川 桜花、名前の通り俺の一つ下の妹だ、血は繋がってないが。

 

「明日から麻帆良祭でしょ?私明日行くからね。」

 

「おう、今年も来るのか。」

 

桜花は去年も一昨年も麻帆良祭の俺のクラスに来る、来てくれる分には嬉しいし構わないんだがクラスの奴らが茶化してくるんだよなぁ。

 

「うん、・・・兄さん?」

 

「ん、なんだ?」

 

「なにか悩み事でもあるの?」

 

電話越しの声の調子で判断したのだろうか、桜花は俺の現状を言い当てた、少し怖くなる、

 

「お前は相変わらずそういうところに鋭いな、ちょっとな・・・。」

 

「仕事のこと?」

 

「・・・まぁな。」

 

「あのね、兄さんが私を助けてくれたのは今思うととっても感謝してるんだよ?」

 

桜花は俺が仕事中に見つけて保護した身よりの見つからない子だった、その時の桜花は何があったのか誰とも口はきかなかったが、保護したからか俺から離れようとしなかった(そんな俺でも必要以上の事は話してくれなかった)。

そこで気を使ってくれた詠春さんが手を回して桜花を俺の家族ということにして迎えてくれた。

その後段々周りの人とも会話するようになり、性格も明るくなっていった(ただ、それに比例するかのように俺への懐き具合も上がっていって少し困るくらい懐いているが)。

 

「あの時兄さんは打算で私を助けたの?」

 

「んなわけねぇだろ。」

 

「でしょ、なら悩んだ時は・・・兄さんのやりたいことをやればいいと思うよ。」

 

桜花のその一言を聞いた瞬間何か胸のつっかえが取れたかのように頭の中がクリアになった。

俺のやりたいこと・・・か、ならば俺のやることは決まっている。

 

「そうか・・・そうだな、桜花。」

 

「ん、何?」

 

「ありがとうな、あと特別に明日は麻帆良祭一緒に回ろうか。」

 

今までクラスの出し物の仕事が忙しくて桜花と一緒に回ったことがなかった、今回のパーラーならある程度仕込みを終えれば時間も取れるだろう、アドバイスしてくれた我が妹へささやかなお礼をしてやろう、

 

「え、本当!?」

 

「ああ。」

 

はしゃぐ桜花をよそに決意を固める、

俺のやりたいこと、そうだ、やりたいことをやればいい・・・。

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