燃える翼の遊撃士(エレフセリア)   作:ChaffP

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第17話 「武道大会・予選編」

『それでは参加者及び見学者は境内にお入り下さい!』

 

その声と共に神社の門が開かれる、門前に群がっている恐らく参加者であろう人々とその一つ後ろの見学者達が大きな波となって境内に流れこむ、俺もその一部として前に進む。

 

境内に入るとそこには今俺たちが立っているところより一段高い大体30m四方の、この中で予選を行うのであろう、舞台が4つ用意されていた。

 

『これより出場者にクジを引いていただいて、引いたクジのアルファベット順に20人ずつ舞台の上で最後の2人になるまで闘ってもらいます!』

 

マイク片手にそう叫ぶのは3-Aの朝倉さんだ、あの人も超に協力していたのか、

20人ずつの予選だが只今出場者は200人いる、最後の2人と言っていたので本戦に進めるのは20人、するとトーナメントの性質上どこかでシードがあるだろう、そうなると200てのは随分半端な数だな、160か240ならシードなしできれいなトーナメントになるんだが・・・、まさか俺が出場することになったから急遽人数増やしたとか?

 

そんなことを考えてる内に自分がクジを引く番になったので引いてみるとクジにはJと書かれていた。

気になるのは誰と一緒になるかだな、知り合いが結構いるので誰かしら一緒になる気がする。

 

「義、どうだった?」

 

クジを引き終わったカズが聞いてくる、カズも誰と一緒か気になるんだろう。

 

「ん、俺は・・・Jだったぞ。」

 

「・・・俺もJなんだが。」

 

「マジかよ・・・」

 

よりにもよってカズと一緒とは、ここにもう一人でも加われば予選からとんでもない戦いになるな。

 

『それではクジにより20名そろった組から順次試合開始してください!』

 

その声と共にちらほらと舞台の上に人が集まっていく、Jはまだまだ集まっていない、今やっているのはABCDらしい、よく見ると刹那や神楽坂さん、広域指導にして魔法先生の高畑先生やエヴァの姿まで見える。

 

「高畑先生に闇の福音までいるのか・・・」

 

「あの二人とは当たりたくねぇな。」

 

「ああ、全くだ。」

 

刹那達はもちろん予選を通過した、というか武術や格闘技などを身につけているとはいえ普通の人間が魔法先生、魔法生徒に付け入る隙などない。

この予選、ある意味出来レースに近い感じがする、勿論魔法先生、魔法生徒が3人以上同じブロックで予選を行う場合は激戦になりそうだが、今までそんなケースはない、それがより出来レースっぽい雰囲気がする。

 

「義、始まるっぽいぞ。」

 

他の予選が終わり、舞台から人が降りた後、再び人が集まり始める、よく見るとカズの言うとうりJブロックの予選が始まろうとしてるようだ、

 

「そんじゃ、行こうか。」

 

「兄さん、頑張ってね!」

 

桜花の声援に軽く手を挙げて応えてカズと共に舞台へ上がる、周りにいる他の出場者達は皆ガタイが良い、なる程普通の武道大会ならば誰が予選突破するか正直わからないだろう、しかし彼等の不幸はこの大会は[普通]の武道大会ではなかったことだ。

彼等の中の一人が俺の肩を掴んできた、

 

「兄ちゃん、運がなかったなぁ、最初の脱落者になってもらうぜ!」

 

髭を生やした巨漢であった、まぁ普通の中学生だったら投げられるであろう、

 

「あんた、その台詞・・・」

 

「ぐぉ、こ、こいつ!」

 

肩に置かれたその手をつかみ返し、足を払って相手の体が一瞬浮いたところに相手の体の下に体の重心を持ってきて、掴んだ腕を思いっ切りひっぱる!

 

「ぬぉぉぉ!」

 

「負けフラグだぜ?」

 

所謂背負い投げによって叫びながら吹っ飛んだ巨漢は舞台の外に落ちた、まぁあの巨体だ、大した怪我はないだろう。

 

「・・・・・・」

 

「キャー、兄さ~ん!」

 

他の出場者は唖然としていて、カズは笑っている、場外からは桜花を含む見学者達の歓声が聞こえる、

 

「さて、残り17人、ちゃちゃっと片付けますか!」

 

それからはカズと二人で迫り来る連中を千切っては投げ、千切っては投げの大乱闘(かなり一方的であったが)だった、無論予選を通過したのは俺とカズだ、

 

「お疲れ様、兄さん。」

 

「ひたすらに他の出場者が可哀相だな。」

 

「まぁ仕方ないさ、運が悪かったってことだ。」

 

カズと一緒に舞台から降りる、隣の舞台はまだ予選が行われているらしく、人が集中していた、

 

「・・・ん?おい、義!」

 

「なんだ?」

 

ふとそちらを向いたカズが何かに気付いたらしく俺の肩を叩いてきたので俺も同じく隣の舞台の方を見た、

 

「・・・あいつ!?」

 

隣の舞台ではIブロックの予選が行われていたがそこに見知った顔を見つけた、

 

「ゆ、優人・・・。」

 

舞台の上には俺をライバル視している木刀を持っている優人の姿があった、只今戦闘真っ最中だ、優人にのされたのか周りには気絶した出場者達が伸びていた、

 

「弱いな・・・、まぁ普通の人間に俺と張り合う位の強さを求める方が酷か。」

 

舞台には優人の他に一人しか立っていないのでちょうど予選が終わったところなのだろう、優人は息一つ切らしておらず余裕の表情だった。

優人があんなに強いとは予想外だった、確かに運動神経がよくて頭も回るがせいぜいそこらへんの不良より強い程度だろうと思っていたが、実際は予想より大分強いみたいだ、

 

「おいおい、あいつも出るのかよ。」

 

「ご愁傷様だな。」

 

カズが笑いながら唖然としている俺の肩に手を置く、優人は絶対に俺を狙ってくるだろう、また苦労の種が増えたと思うと鬱になる。

まぁ俺の役割は大会を盛り上げることだ、盛り上げる材料が増えたと思えば少しは気が楽か。

 

『皆様お疲れ様です、本戦出場者20名が決定しました!』

 

最後のブロックが終了して、予選を突破20人が進行役の朝倉さんの下に集まる、

 

『本戦は明朝8時より、龍宮神社、特別会場にて行われます!』

 

出場者を見渡す、普通の人も混じってるが、殆どが魔法先生、生徒だ、これは面白くなりそうだな。

 

「・・・ん?」

 

その中の一人に目が留まった、ローブを被ったその人に他の人には無い確かな違和感を感じる、ただならぬ雰囲気から魔法使いであるだろうことはわかるがそれ以外にも何かある、はっきり何かとは言えないが強いて言うならば存在が曖昧とでも言おうか、一体・・・

 

『それではトーナメント表を発表しましょう!』

 

その声を聞いて我に返る、考えても判らない事は考えるだけ無駄だな、今は目の前のことに集中しよう。

はてさて、一体誰と戦うことになるのやら・・・

 

『こちらです!』

 

その声と共にトーナメント表が発表される。

 

「マジかよ・・・。」

 

俺の対戦相手は風原 一騎、今隣にいる親友の名前が書かれていた、しかも一番右上にかかれているので一回戦目だ。

 

「フフ、面白そうじゃないか。」

 

一方のカズはやる気満々だ、確かに面白そうではあるが初っぱなから重い相手だ、その後シードで準々決勝に行くことと、優人が違うブロックにいるってことが救いか。

後めぼしい所は、刹那は神楽坂さんと、ネギ先生は高畑先生とか大変だな、俺がさっき気になっていたクウネル・サウンダースって人は普通の人とか・・・、やはり対峙してみなければ謎は解けなさそうだ。

 

『これを持ちまして麻帆良武道大会、予選は終了とさせていただきます、出場希望者及び見学者の皆様、ありがとうごさいました!!』

 

その言葉を合図に本戦出場者と見学者はその場を離れていった、気付くとクウネル・サウンダースの姿は無かった。

周りをキョロキョロしている俺に桜花とカズが声を掛けてきた、

 

「どうしたの兄さん?」

 

「これから中夜祭があるんだ早く行くぞ。」

 

「ん、ああ、俺はちょっと用事があるから先に行っててくれ。」

 

「用事?」

 

俺の言葉を聞いて怪訝そうな顔をするカズ、

 

「ちょっと超について偵察してくる。」

 

と耳打ちすると頷いて桜花を連れて行った、

 

「すぐ来いよ。」

 

「待ってるからね。」

 

二人に手を降って見送る、

 

「・・・カズ、悪いな。」

 

周りの人の目に付かないように境内の奥に入っていく、

 

「ん?ここは・・・」

 

暫く進むとパソコンが多数置いてある部屋に着いた、電気も付いているしパソコンも一台電源が入っているので誰か居た筈だが・・・

 

「ヤッ。」

 

「うわっ!」

 

ビビッたぁ、いきなり後ろから声を掛けられたので飛び上がりそうになった、急いで振り返り、声の主と顔を合わせる、

 

「ビックリさせるなよ、超。」

 

「アハハ、悪かったネ。」

 

一応、謝ってはいるが悪びれた様子は無い、まったく質が悪いな、

 

「ところで義切クン、どうしてここに来たのカナ?」

 

さっきので超の雰囲気に飲まれたが、向こうが聞いてきたのでこちらから聞きやすくなった。

しかしやはり超 鈴音、こいつはただものじゃないな、さっきも只の悪戯に見せかけて完全に勢いを自分中心にしている。

 

「ああ、そうだな聞きたいことがあるんだ、教えてくれないか、君の正体を、なんでこんな事を考えるのか。」

 

「フフフ、私の正体カ、それは・・・」

 

「それは?」

 

「未来の火星から来た火星人ネ!」

 

「・・・・・・は?」

 

今なんと言った?

未来からきた・・・火星人?

 

「だから未来の火星から・・・」

 

「いやいやいや、それは今聞いたよ、ふざけてないでちゃんとした答えをだな・・・」

 

「ふざけてないヨ。」

 

そう語る超の眼は嘘はついていないようだ。

 

「そんなら、それはどうゆう意味なんだ?」

 

「それはそのうち判るネ。」

 

それならそれでもいいだろう、しかしもう一つの方はハッキリさせておかないといけない、

 

「じゃあもう一つの方、何故こんなことを考える?」

 

「何故カ・・・」

 

超は俺の横をすり抜けた、それを追うように振り向き、超の背中を見る形になる、

 

「義切クンには変えたい過去はあるカナ?」

 

「な・・・に・・・?」

 

超が振り向く、その顔は悲しみとも虚しさともつかない表情をしていた。

 

「もし嫌な過去を変えることが出来るとしたら・・・君はどうするカナ?」

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