ここは学園都市麻帆良学園、幼稚園から大学まであるとても大きな学園である、学園の中心部には世界樹の木という樹齢何百歳の大木があり、さらに学校の他にもお店などが並ぶエリアがあり全体の大きさは正に都市である。
麻帆良学園は表向きは普通の学園だが魔法の存在を知り、使役できる教師や生徒(主に魔法先生、魔法生徒と呼ばれる)が在籍している現代世界でも有数の場所であり、それ故に魔法関係の不可解な事件が起こることがしばしばあった。
その麻帆良学園の中等部エリアにて最近事件が起こっていた。
ここ数日夜になると妖怪のようなものが出没すると言うのだ、しかし怪我人らしい怪我人は一切出ておらず目撃情報しかないため生徒の間ではこの事件はもうただの噂話と化していた。
だが、この事件をただ事ではないと見た学園側は二人の生徒にこの事件の解決を依頼した。
その二人の名は桜咲刹那、そして龍宮真名。
今二人は目撃情報のあった場所にいる。
「情報によれば出現時刻はきまって十時前後らしいが・・・。」
真名は時計を見る、時刻は九時五十分。
両手には対魔用の術が施された弾丸の装填された銃を持っている。
「しかし、本当に現れるのか?」
「出なかったら出なかったでそれが一番いいさ。」
「ああ。」
途端、刹那は刀に手を掛ける。
「・・・そういう訳にもいかないようだ。」
二人は構える、するとむこうから一つの影が歩いてきた。
「一体だけか?」
「さっさと終わらすぞ。」
二人は跳び刹那が刀を振るうがその攻撃は避けられた。
「何!」
「存外に速いようだ、だが!」
真名は狙いを定め銃の引き金を引く、弾丸が妖魔に向け数発飛んで行く、しかしそれも避けられた。
「ッ、避けるとは・・・。」
「上級の妖魔のようだ。」
「キサマラ、アノオトコノナカマカ?」
意外な妖魔の発言に二人は驚いた、
「あの男だと?」
「ドチラニセヨキサマラニハシンデモラオウカ。」
「ちぃ!」
真名が銃を撃つ、しかし避けられる。
「アタラヌワ!」
しかし即座に刹那が妖魔の後ろに回りこむ。
「!?」
「神鳴龍奥義!百花繚乱!」
「グォォォォォォ!」
妖魔は消え去り、跡形も残らなかった。
「ふぅ、手強かったな。」
刹那は刀を鞘に収める。
「それにしても、こいつが言っていた男とはいったい・・・。」
二人が帰ろうとしたときだった、複数の気配を察知し振り返る。
「まだ来るか!」
そこにはさっきの妖魔と同程度の気を放つ妖魔が四体いた。
「くっ、流石に四体はきついか・・・」
そのとき空から気の塊が落ちてきて妖魔を三体同時に消し去り、煙を巻き起こした。
「なっ!?」
煙が去った後その中にいたのは修学旅行のときにも現れた黒いローブを纏った男だった。
男は刀を持っており、刀が炎を纏ったかと思うと一瞬で妖魔の懐に入り込み、一刀で妖魔を両断した。
「お、お前は!?」
「フ・・・。」
男は目の前から消えた。
「ちょ!待っ!」
刹那が言った頃には男は居なかった。
「何だったんだ、あいつは・・・。」
真名が夜空を見上げていた。
次の日にも妖魔が出たと言う報告を受け刹那と真名は再び現場へ行った。
しかし二人がその場に着いたとき、いたのは昨日の男とそれを囲んでいる複数妖魔だけだった。
「アカイセンコウヨ、キョウコノバショガキサマノシニバショダ!」
赤い閃光と呼ばれた男に妖魔が襲い掛かる、男の持つ刀に炎が纏われる、
そこからはあっという間だった、男は凄まじい速さで次々と妖魔を斬り伏せていった、その速さは正に閃光と言っても差し支えなかった。
「バ、バケモノメ・・・!」
消えかかった妖魔が言った、それに対し男は笑い気味に言い返した、
「やれやれ、お前らに言われちゃ世話無いな。」
妖魔の体は燃えて消え去っていった。
そこに刹那達が到着する、二人に気づいた男は振り返り、
「よお、遅かったな、俺が全部やっちまったぜ。」
「なっ!?」
刹那は目を丸くしていたが、真名は冷静に男を見据えていた。
「貴様、変声魔法を使っているな?」
「ほう、流石だな、できるだけ気づかれないようにしてたつもりなんだがな。」
男は軽く笑ってみせた、
「まぁそんなことより、今日の目当てはこいつらではない。」
そう言った瞬間、男が一気に刹那との間合いを詰めて切りかかってきた、
「手合わせ願おうか!」
「何!?」
「ッ!?刹那!」
咄嗟に夕凪を抜き、男の攻撃を受ける刹那。
「クッ!」
「チィッ!」
真名が援護しようと銃を数発男に向けて撃つが、刀で弾かれた。
「うおっ、危ねっ!」
しかし弾を弾いた一瞬の隙に刹那が攻撃を仕掛ける、
「そこだ!」
「後ろか!?だがっ!」
予想外の反撃に攻撃を防いだものの刹那は吹っ飛ばされた。
「ぐっ!」
刹那は立ち上がろうとするが、男はそれを見ているだけで切りかかる気配はない。
「意外に早いな、危うく喰らうとこだったぜ。」
男は飄々としている、
「クッ!」
刹那は立ち上がり刀を構え直す。
「ま、まだまだ!」
刹那が切りかかる、
「それでこそだ。」
その後、攻防はしばらく続いた。
「どうした!それでも神鳴流の剣士か!?」
「なめるなっ!」
刹那が一撃を放つが受け流され、反撃がくる。
「くっ!」
ガードが弾かれ体勢が崩れる。
「これで終わりだ!」
男が刀を構える、
(今だ!)
刹那は崩れた体勢のまま刀を構え、奥義を放つ、
「神鳴流奥義・・・百烈桜華斬!」
「何だと!あの体勢からか!?」
男は刹那の予想外の対応に驚くが、すぐさま刀の構えを変え、
「仕方ない・・・」
技の名を口にする、
神鳴流の奥義の名を、
「百烈・・・桜華斬!」
「何!」
お互いの技がぶつかり合いとてつもない衝撃が双方を吹き飛ばす。
何とか着地するが膝をつく刹那。
「神鳴流の使い手だとは・・・。」
一方、男の方は軽やかに着地した、よく見るとフードの顔を覆っている辺りに切れ込みが入っている、
「ふ、ここまで出来るとは予想外だ。」
「芝居は止めたらどうだ、変声魔法が切れてるぞ?」
その言葉に男は反応する。
「えっ?あっ!本当だ!」
男はあたふたしている、その声に刹那が反応する、
「その声、まさか・・・。」
「まぁいいか、そろそろバラす予定だったし。」
男は頭を覆うフードに手を掛けて外す、フードを被っていたのは赤い髪をした15,6の少年だった。
その顔を見て刹那は驚愕した。
「よ、義切!?」
刹那が少年の名を叫ぶ。
「よぉ、久しぶりだな。」
意気揚揚と義切は刹那に言う、真名はそんな義切を見て大して驚いた様子もなく言う。
「漆川、何故ここにいる。」
すると義切は意外そうな顔をして、
「何故って、そりゃあ依頼に決まってるだろう。」
と言った、すると真名はもう一つ質問した、
「ならば、刹那を襲うのが今回の依頼か?」
義切は不満そうな顔をして答えた。
「そんなわけないだろ、刹那に勝負を挑んだのは、ちょっとした小手調べだよ。」
「ならば、今回の任務は・・・」
「あー、そいつは話すと長くなるからなぁ、明日学園長に依頼の中間報告しに行くから、詳しく聞きたかったらそん時な。」
そう言うと義切は手を軽く上げじゃあなと挨拶すると、飛んでいった。
真名は呆れていたが、刹那はいまだに唖然としたままであった