「第一試合お疲れ様ネ。」
「ああ。」
試合が終わってカズを医務室に送った後、俺は超と共に神社内のコンピュータールームにいた、わかっているであろうが一応報告の為にだ、
「場を暖める位にはなっただろう。」
「出だしとしては素晴しいものだったネ、やはり義切クンを仲間にできてヨカタヨ。」
そう、俺の役目は観客を沸かせることだ、勿論出たからには優勝するつもりだが、
「ともかくお客に火を付けることには成功したネ、次の試合までゆっくり休むといいネ。」
「ああ、そうさせてもらおう。」
そういって壁に寄り掛かり試合会場を見下ろした、
「選手席には戻らないのカナ?」
選手席もよく見える、そこにいるネギ先生達は何やら笑顔で楽しそうに会話していた、
「・・・ああ、ここからでもよく見えるからな。」
何故だかそこに俺は混ざってはいけないような気がした・・・
その後ネギ先生対高畑先生戦が終わった。
「まさか高畑先生を倒すとは・・・かなり腕を上げたみたいだなネギ先生。」
正直ネギ先生が勝つとは思っていなかった、高畑先生が多少なりとも手加減していたというのも差し引いてもネギ先生があそこまで伸びているとは、というより戦いの中で伸びたと言った方が正しいか。
高畑先生という強敵と魔法や技を全力で使えない(まぁ使えたとしたら秒殺されていたであろうが)とはいえ実戦に近い形で戦う中で普段ではできない事ができるようになり、普段は思いつかないことを思いついたのだろう。
確かに死地に立ったときなど、追い詰められた状況でいつも以上の力が出るのはよくあることだが、ネギ先生のそれは目覚しいものがある、やはり別格なのかもしれないな。
「だからこそ、追い着かれたくはないな。」
俺より強くなられると立つ瀬が無いからな、まぁこれからはそんなことさえ気にならなくなるかもしれないが、
そんな俺に後ろから超が声を掛けてきた、
「義切クン、ちょっと手伝って欲しいことがあるネ。」
「いいぜ、なんだ?」
「どうやらこちらの動きに感づいた人がいるみたいヨ。」
「いやー驚いたね、こんな大きな下水道が麻帆良の地下にあったとは僕も知らなかったなぁ。」
下水道の道をタカミチとちびせつなが進んでいる、超の偵察の為巨大な格納庫のような空間があるという報告を受けてである、
「やれやれ、こんな所まで来てしまったカ。」
その声にタカミチが振り返るとそこには超がいた、
「ネギ先生にもらったダメージは大丈夫ですか、高畑先生?」
タカミチを挟みこむ様に超の反対側には真名がいた、
不穏な空気を察知し瞬時に手をズボンのポケットに入れる、ネギ戦でも使っていた居合い拳をいつでも撃てるようにである。
「君達は・・・どうゆうことだい?」
(くっ、挟まれたか!)
手をポケットにしまったまま二人に問う、しかしその問いに対する回答は以外な方向からやってくる、
「学祭が終わるまでおとなしくしていて欲しいってことですよ。」
「!?」
「あ、あなたは!?」
タカミチ達が立っている道の下水を挟んだ反対側の道に義切が立っていた、
「義切君、君も超君と一緒だったとはね・・・」
(これは本格的にマズいな・・・)
「おとなしく捕まってください。」
「・・・もし抵抗すると言ったら?」
「あまり乗り気しませんが、少し手荒な方法になりますよ?」
タカミチの言葉に超と真名が身構えるが義切が目配せすると構えを解いた、
「俺がやる、いくら戦闘ランクAA+の高畑先生であろうと手負いの人に対して数人で掛かるのは気が乗らん。」
「大丈夫かネ?」
「無論だ。」
義切とタカミチが向き合う、
「・・・・・・」
「・・・・・・!」
タカミチは居合い拳を撃つがその一撃は空を切る、居合い拳が当たるより早く、義切が瞬動術で後ろに回りこんだのだ、
「なっ!?」
「この狭い場所ではそれの脅威は半減しますよ!!」
後ろに回りこんだ義切は手に溜めていた魔力をタカミチに放つ、放たれた魔力は無数の縄のようになりタカミチを拘束する、
「クッ!」
「少し強めの拘束魔法です、安心して下さい危害を加えるつもりはありません。」
続けてちびせつなにも軽い拘束魔法を掛ける、
「きゃあ!」
「さあ行きましょうか。」
三人はタカミチ達を連れて行く、下水道には煙草の箱が落ちていた・・・
「魔法使いの存在を世界に公表する?」
ここは境内とは違う塔の一室、そこで超は自分の野望を拘束されている高畑先生とちびせつなに打ち明けた。
俺はその様子を壁に寄り掛かりながら見ている、
「そんなことをして君に何の利益が?」
「フフ・・・、食事はウチの美味しいのを届けるネ、不自由な思いをさせてすまない。」
「義切クン次の試合もヨロシクネ。」
「あ、ああ了解した・・・」
高畑先生の質問を華麗にスルーして超は部屋を出て行った、俺は高畑先生に話しかける、
「すみません高畑先生、少し窮屈かと思いますが辛抱してください。」
「一つ聞いてもいいかい?」
「何でしょうか?」
「君は自分の意思で超君に加担しているのかい?」
「・・・ええ、自分の意志で決めたことです。」
「・・・そうか。」
ちびせつなの方に向き直り、話掛ける、
「久しぶりだな、ちっこいの、お前くらい愛嬌があれば本体の方も可愛いんだがな。」
「あ、あのっ!」
「ん?」
「どうして魔法を世界にばらそうと?」
「俺の望む物が手に入るからだ。」
「義切さんの望む物・・・」
そう言って俺は部屋から出て試合を観戦しに行くことにした、
俺の望むもの、それはあいつが誰の目も気にすることなく笑顔で生きられる世界。
そう、それを手にする為なら恨まれてもかまわない、それが俺が自身の意思で決めて俺自身が求めるものだ・・・