ローブの男が放った光に義切達は目を瞑った。
次に目を開けるといつの間にか見知らぬ扉が2つある大きなホールの様な場所にいた。
「これは・・・強制転移か!?」
義切は周りを見渡した、
すると一つの扉が開き、中から人型の機械が数体出てきた、
「機械人形(オーバーマペット)!?」
「オーバーマペットってあれのことですか?」
「はい、戦闘用の機兵のことです、気を付けて下さい、戦闘能力は結構高いですから。」
四人は背を向け合いながらそれぞれ武器を構える。
「ここは私とネギに任せて、二人は行って!」
明日菜が言った
「え?だ、だけど・・・。」
「こんな奴等二人もいれば十分よ、それにあの赤いワカメみたいのも倒さなきゃいけないんでしょ?」
「ワカメって・・・、本当に任せて大丈夫か?」
「はい、ですから二人は早く木乃香さんを!」
それを聞いた義切と刹那は頷きもう一つの扉に向かい走った、
それを機械人形は阻もうとするが、
「邪魔だ!」
義切が機械人形を一刀両断して、扉に向かい走る、
「機械人形は魔力で機械を動かしているからハマノツルギなら楽に倒せるぞ!」
助言を残して義切が扉を開けて二人は通路を走りぬける。
通路を抜けるとそこは先程のホールと同じ位の開けた場所に出た、
「向こうも待ってたみたいだな。」
義切の視線の先には先程アクセルと呼ばれた男がいた。
「フ・・・、やはりこちらに来たか。」
刹那と義切はアクセルを睨み武器を構えようとするがアクセルが口を開く、
「いい事を教えてやろう、お前らのお姫様はそっちの扉の奥の部屋にいる、早く助けに行ってやった方がいいんじゃないのか?」
アクセルは一つの扉を指差した、
「・・・刹那、お前が行け。」
「しかし・・・。」
義切はアクセルを睨んだまま言うが、刹那は動かない、下手に背中を見せれば、やられかねない。
「俺が奴を抑える、早くいけ!」
義切が強く促すと刹那は頷き扉へと走りホールを出た、その途中アクセルは義切を見たまま動かなかった。
「アクセルとか言ったな、何もしないで通してやるとは、どうゆうことだ?」
「俺の標的はお前一人だ、他の者については指示を受けてはいない、これがな。」
「そいつはまた随分な理由だな、もう一人の奴への言い訳か?」
「いや、奴は俺がこうするだろうと知っている、それにお互い邪魔が入らないほうがやりやすいだろう?」
二人はお互いに構えて気を高める、
(奴は徒手か、しかし俺を知っていて呼び出したということは只者ではないな・・・)
「フッ、お前の膨大な気が伝わってくるぞ、噂以上にできそうじゃないか!」
するとアクセルは両腕を前に突き出して叫ぶ、
「来い、ソウルゲイン!」
するとアクセルの両腕が青い鋼の装甲に覆われた。
「それは・・・魔装機(パーソナルアーマー)だと!?さっきの機械人形といい、とんでもない連中だな。」
「行くぞ!」
アクセルが踏み込み、右アッパーを打ちソウルゲインの肘部分に付いた刃で攻撃する、
「っ、早い!」
体をずらして避ける、するとアクセルは左拳を上から落としもう一度刃で切り掛かる、
後ろに跳びその一撃も避ける、
アクセルの攻撃は空振りしたが石で出来ているホールの床には刃の跡がくっきり残っていた。
義切も朧火を抜き戦闘体勢に入る。
朧火で切りかかるが肘の刃で受けられる、次に回し蹴りを打つが足で止められる、
「チッ、そっちもかなりできるじゃないか、ならば!」
義切は懐より銃を取り出しアクセルへ向け、数発撃つが全てソウルゲインにより弾かれた、
「そんなもの!」
そしてアクセルは一気に踏み込み銃を刃で真っ二つにする、
「クソッ!」
「フン、まだまだぁ!」
アクセルが踏み込んでくる、
(正面からまともにやっても受けられるだけか・・・)
アクセルの二連撃を避け、がら空きの脇腹を狙う、
「もらったぁ!」
朧火を振り下ろす、しかしその瞬間、
「甘い!」
アクセルの膝蹴りが義切の腹に直撃し体が宙に浮く、それをアクセルは思い切り殴り飛ばし激しく壁に叩き付けた、
「がっ!」
義切は床に崩れ落ちた。
義切がアクセルと闘っている時、刹那は木乃香がいると言われた部屋に通じる廊下を走っていた、そして廊下が終わりを迎えた、出た先は先程のホールより一回り小さい部屋に出た、その部屋の奥には・・・
「お嬢様!」
木乃香が台の上に寝かされていてその台の前には青髪の男が立っていた。
その男が声から先ほどのローブの男だとわかった。
「やはり一人来たか、気が利くのか利かんのか分からんな。」
「貴様、お嬢様に何をした!」
青髪の男は刹那を睨むと少し笑い答えた、
「なに、別に眠らせてあるだけで何もしてはいない、すこし彼女の魔力を分けて貰っただけだ、」
「なに?」
「この空間を作っている魔力も機械人形を動かしている魔力も全て彼女のものだ、しかしこれほどの魔力を使ってもなお彼女は内に秘めた魔力を半分も使っていない、まったく大した魔力量だ。」
「くっ、貴様、お嬢様を返してもらう!」
「いいだろう、もともと貴様等を誘き出すついでだったのだからな、しかし・・・」
青髪の男が光に包まれた、
「その前に戦闘データを取らせてもらう!」
青髪の男もアクセルの様に装甲に包まれていた、
「なっ、何!?」
刹那は初めて見る魔装機に驚いた、
「剣士の作法というものに付き合ってやろう。」
そう言うと青髪の男が構えを取る、
「イングラム・ブリスケン、ビルドシュバイン、いくぞ、準備はいいか?」
イングラムがそう言うと左腕に付いている円形状の装備が魔力を収束して、魔力の刃を作る。
刹那は夕凪を抜刀し構える、イングラムは空中に跳び左腕を振り落とす、刹那は危険を察知し回避する、すると刹那がいた所の床が粉々になっていた、
「くっ、なんて威力だ。」
イングラムは避けられたのが分かると蹴りを打ってくる、刹那はそれを受けそのまま夕凪を振り下ろす、しかし、
「何っ、刃が通らない!?」
「伊達で付けている魔装機ではない!」
もう一発飛んでくる蹴りをガードするが、後退してしまう。
「つ、強い。」
その一方・・・
崩れ落ちた義切を見てアクセルが言った、
「フン、その程度か?買い被りすぎたか。」
「油断したぜ、こんなにできると思ってなかった。」
義切が立ち上がるのをアクセルは睨んでいる、
「ただの強がりか?」
「さあな、だが、これで俺も本気を出さないといけないことが分かった。」
義切は朧火を鞘に納め後ろに投げ、構えた、
「お前みたいな早くて懐に入りこむ奴に野太刀では戦いにくい、俺も徒手でいかせてもらう。」
「ククク、いいだろう、面白くなりそうだ!」
アクセルは手に気を溜めて両手で球を包むような形を作り右腰に持ってきて、左肩を前にだす、所謂かめはめ波の溜めのポーズである、
「受けろ!青龍鱗!」
かめはめ波の要領で開きながら突き出されたアクセルの手のひらから発射された気の塊は義切へ飛んでゆく、
「なんだとっ!」
間一髪で避けた義切、よけられた青龍鱗はホールの壁の一部を吹き飛ばす、アクセルは余裕の笑みを浮かべていた、
「あれを避けるとは、見事だ。」
「くっ!」
義切は腕に気を溜めてアクセルに突っ込む、アクセルも腕に気を溜める、そしてお互いラッシュが始まる。お互いに相手の拳を拳で相殺し、二人の技がぶつかり合う、
「双気掌!」
「白虎咬!」
拳の先より放出された気がぶつかり合い衝撃が走る、二人は後方に跳び間合いを取り合う、今度はお互いに右手に気を溜め、パンチの様に前に突き出す、
「飛燕掌!」
「玄武剛弾!」
すると収束された気が弾丸の如き勢いで飛び相手の気とぶつかる。
義切はアクセルの目の前から消え一瞬で懐まで踏み込んでいた、
「何っ!」
「さっきの返しだ、食らえ!」
アクセルの腹に紅蓮拳を打ち込む、アクセルは勢いよく後ろに吹き飛び炎に包まれるがそれを振り払う、すると目の前に義切はいなかった、
「っ、上かっ!?」
気配を感じ、視界を上に移す、すると今正に義切が蹴りを放つ瞬間だった、
「食らえっ、雷迅脚!」
義切の脚に魔力が回り雷を纏う、アクセルは即座に腕を組み防御の体勢を取る、
「クッ!」
ギリギリ防御が間に合い蹴りは防げたが、魔力により多少のダメージは入る、しかしアクセルは嬉々としている、
「ククク、こうこなくてはな、少し出力を上げさせてもらう!」
アクセルは気を溜めてソウルゲインの出力を上げようとする、ソウルゲインは装着者の気を動力源とし、気が高まると腕部にある半球状のクリスタルが輝く、しかしソウルゲインのクリスタルは輝く様子はない、そして・・・
「ぬっ、何だ!?」
ソウルゲインの出力は上がるどころか逆に落ちていき、付いている球の光が消え火花が散り始めた、
「ショートした!?こんな時にだと!」
義切は何が起こったのか分からなかったが、アクセルは酷く焦っていた、しかししばらくすると名残惜しそうな顔で義切の方を向いた、
「まぁいい、戦闘データは取れた、惜しいが引くとしよう、」
アクセルは懐から転移魔法符を出した、
「おい!貴様逃げる気か!?」
「その言葉を聞いて黙ってはいられんがこちらの目的は達した、ソウルゲインもこの調子だ、焦る必要はない、貴様との決着は必ず着ける、これがな。」
義切は止めようとするが間に合わずアクセルは光に包まれた、
「また会おう!」
そしてアクセルは光と共に消えていった。
(アクセル・・・、魔装機を使いさらに拳法もあれほどとは・・・。)
「俺ももっと強くなんねえとな。」
義切は朧火を回収し、刹那が入っていった扉に向かう、
「無事でいろよ!」
義切は急いでホールの扉を開け走った、
その頃・・・
「どうした、先程から防戦一方だが?」
「くっ。」
サークルザンバーの威力により迂闊に近寄れず、魔装機の装甲により生半可な攻撃が効かないので刹那は先程から防戦するしかなかった、
(くっ、どうする、どうすればいい?速さで勝っていてもあの鎧を通せないなら意味はない。)
刹那はイングラムの攻撃を避けながら必死に打開策を考えるが、浮かんでこない、仕方ないといった様子で覚悟を決める刹那、
(ならば・・・!)
刹那は一度大きく距離を取り夕凪を構えた、
「ほう、単純に威力で勝負か、いいだろうその姿勢に敬意を評しこちらも出力全開でいかせてもらう、サークルザンバー、出力全開!」
イングラムはサークルザンバーの出力を全開にすると構えた、刹那も構え深呼吸し心を落ち着かせる、
(落ち着け、勝負は一瞬、この一撃にすべての力を注ぐ!)
刀身にありったけの気を込める、
「いくぞ!」
二人は同時に踏み込む、
「フフフ・・・、デッド・エンドだ!」
「はあああああっ、雷鳴剣!」
出力全開のサークルザンバーと渾身の力を込めた雷鳴剣がぶつかり合う、
そして、一閃、軌跡が走った。
刹那は肩に切り傷が走り血が垂る、しかし平然とした顔でいる、
一方のイングラムも平然とした顔である、しかし・・・
次の瞬間サークルザンバーと肩の装甲の一部にヒビが入り音を立てて割れる、そしてイングラムは笑いはじめた、
「ククク・・・ハハハハ!よもやこれほどとはな、このビルトシュバインの装甲を割るとは、素晴らしい、良い戦闘データがとれる!」
その部屋に義切が入ってくる、
「刹那、無事か!?」
「ああ、なんとか。」
イングラムと義切は睨み合う、
「ここに来たということはアクセルは引いたか、ならば私も引かせてもらおう。」
イングラムの足元から光が発生する、
「貴様も逃げるか!」
「フッ、もともと貴様等を殺しに来たのではない、戦闘データを取りに来ただけだ、漆川義切、貴様との戦闘データが取れなかったのが残念だが、それでも良質なものが取ることが出来た。」
イングラムが光に包まれる、
「私がいなくなればこの空間は消えて先程の並木道に戻るだろう、機械人形も機能を停止し、この空間と共に消える。」
「待て!貴様等は何なんだ!?」
「影を映す鏡、シャドウミラーと言っておこう、ではさらばだ!」
イングラムが消える、するとイングラムが言ったようにホールも消えて並木道に戻っていた、明日菜とネギも近くにいた、
「あれ?戻った?」
「お嬢様!」
刹那は一目散に木乃香に駆け寄る、木乃香はそっと目を開けた、
「せっちゃん、助けに来てくれたん?」
すると刹那は泣いて謝り始めた、
「あぁ、無事でよかった、すみませんお嬢様、私が不甲斐無いばかりにお嬢様にこの様な危険にさらしてしまいました。」
「ええよ、こうして助けに来てくれたんやし、ありがとうな。」
「お嬢様・・・。」
それを見た義切は安心し、肩の力を抜いた、
「一件落着だな。」
木乃香は義切にも礼を言う、
「義君も助けてくれてありがとう。」
「いえ、当然のことをしたまでですから。」
「そうよ、友達を助けるのは当然よ。」
「はい。」
「明日菜とネギ君もホンマにありがとう。」
それを見て義切は帰路に着こうとする、
「じゃあ帰るとするか。」
四人に背を向け歩き出す義切にネギが改めて礼を言う、
「義切さん、有り難うございました。」
義切は歩きながら手を軽く振り、それに応えた。
(シャドウミラーか、調べてみる必要があるな・・・。)
その頃某所・・・
そこにはアクセルとイングラム、そして赤髪の女性と緑の髪をした男がいた、
「ヴィンデル、今戻った。」
アクセルが帰還の報告をする、するとヴィンデルと呼ばれた緑髪の男はそれに応えた、
「うむ、ご苦労だったアクセル、首尾はどうだ?」
「上々だ、俺もイングラムもいいデータを取れた。」
「ふむ、それは何よりだ、漆川義切・・・奴はどうだ?」
「予想以上だな最大の障害になるかもしれん。」
「障害になるかどうかは奴次第だがな。」
するとアクセルは不服そうな顔をした、
「不満か?」
ヴィンデルはアクセルの顔を見て言う、
「あいつとは俺の手で決着を着けたい、奴と同じくな・・・。」
「奴か。」
「奴のお陰で計画がここまで遅れた、それに個人的に借りも返さなくてはならん。」
「あまり拘りすぎるな、身を滅ぼすぞ。」
「フッ、覚えておこう。」
アクセルがそう言うとその場は解散となった。
廊下にてアクセルは赤髪の女性と話していた、
「レモン、ソウルゲインが途中ショートしたんだが、どういうことだ?」
「あなた、途中で出力を上げたでしょう?」
「ああ、それがどうかしたか?」
「今のソウルゲインの完成度はだいたい20%ぐらいなの、それで下手に出力を上げると未完成の回路が耐え切れなくなってショートしちゃったのよ。」
「何故それを言わなかった?」
それを聞いたレモンは呆れ声で言った
「言ったわよ、そしたらあなた気を付けるって言っていたじゃない。」
「・・・・・。」
アクセルは黙ってしまった、
「まあいい、次の計画までに完成度を上げといてくれ。」
「そうね、次の計画までだと大体50%前後ってところかしら?」
「構わん、奴らと闘うわけではない。」
アクセルは任せたぞと言うと、研究室を出る。
謎の組織・・・シャドーミラー、彼らの計画が水面下にて進んでいくのであった・・・