しかし戦闘描写は結構苦手なんですよねぇ・・・←
エヴァンジェリンが義切家に来た次の日、仕事の際にいつも着ている服装に着替え、懐にアクイラをしまい竹刀や木刀を入れるような袋に入れた朧火を持って準備完了だ。
「よし・・・。」
ズボンの腰部に鎖で繋がっている懐中時計を見る、この懐中時計は遊撃士に支給される物で遊撃士のエンブレムが刻まれている、さらに称号を持つ者の時計は特別仕様であり懐中時計の蓋の内側に称号の動物のエンブレムが彫ってあるという代物だ。
約束の時刻の一時間前、まだ早いと思い、リビングのソファに腰掛ける。
「今日は私も行くぞ、面白そうだしな。」
「あぁ、こっちもそのつもりだったからちょうどいい。」
後ろから話し掛けてきたレイに振り向きながら返す、レイも準備万端といった感じで笑っている、しかしやはりその笑顔に不安を拭い切れない義切であった。
約束の30分前になると二人は家を出た、エヴァンジェリン宅まで普通に歩いても20分くらいで着くので少し余裕を持っての行動だった。
エヴァンジェリン宅に着きインターホンを鳴らす、すると玄関が開かれ中から茶々丸が二人を出迎える、
「お待ちしておりました。」
中に通される義切とレイ、相変わらずリビングにはファンシーな人形が置いてある。
ふと義切はあることに気づく、静かなのだ、修行をしているなら多少なりとも騒がしい筈だ、ましてや魔法使いの修行なら静かな訳がない、
「修行をやってるのはここじゃないのか?」
「いえ、ここでやっています、・・・ですが厳密にはここではありません。」
「「・・・?」」
茶々丸の要領を得ない答えに首を傾げる二人、茶々丸に案内され家の地下室に入るとその部屋には大きなフラスコの様なものを横に置いたものがあり、その中には塔のミニチュアの様なものが入っていた、
「これは?」
「マスターの別荘です、この中で修行を行っています。」
「別荘って言ったってどこから入る・・・」
レイがそう言おうとした瞬間、三人が地下室から消える。
気づくと今まで見ていた筈の塔の端っこに立っていた、
「ほぅ、これはこれは。」
「は~、凄いなぁ。」
「こちらです。」
驚いている二人を誘導する茶々丸、促されるように塔の中央部に進んで行くと、段々と騒がしいのが分かるようになってくる。
中央部に着くとエヴァンジェリンとネギが修行を、刹那と明日菜が剣術の稽古をしており、それらを見ている木乃香がいた。
「お連れしました、マスター。」
「ご苦労茶々丸。」
義切を連れてきたことをエヴァンジェリンに報告する茶々丸、
「少し待っていろ義切、坊やの修行をきりの良いとこまで終わらせる。」
そう言って一旦止めていた修行を再開するエヴァンジェリン、義切は稽古をしている刹那達に近づいていった、
「よう、頑張ってるな。」
「あっ、義君や~。」
「義切?何故ここに?」
呑気に挨拶する木乃香、驚く刹那と明日菜にここに来るまでの経緯を説明する義切、そしてエヴァンジェリンの別荘の説明を聞く、
「ここでの1日が外での一時間ねぇ、まるで○神と時の部屋だな。」
「?」
「悲しきかなそのネタが判る人はいない様だがな。」
義切の後ろからレイが出てきて会話に加わる、レイを見て一同は驚いた顔をしている、
「よ、義切・・・その人は?」
「ん?ああ、初対面だったな。」
義切はレイの事を一通り説明した、
「神ってなんか話がなんか大きくなって・・・」
「神って言ってもそんな大したもんじゃないさ、魔力量の桁違いな妖精みたいなもんだと思ってくれればいい。」
そんな話をしているうちにネギの修行が一段落したのかエヴァンジェリンがやって来る、
「待たせたな義切。」
「ああ、で、俺は何を手伝えばいいんだ?」
「何だ、レイから聞いてないのか?貴様には私と戦ってもらう。」
「・・・は?」
その言葉を聴いたて義切は後ろを振り返る、そこではレイがしたり顔をしていた。
エヴァンジェリンそんな二人を尻目にネギに話しかける、
「坊や、今日は特別に実習はこれで終わりだが、見取り稽古も立派な修行だ。」
「はい、師匠(マスター)!」
「え?ちょっ、おまっ・・・」
どんどん前に進んでいく話に頭が追いつかない義切、レイがそんな義切の肩に手を置く、
「まぁ、そうゆうことだ、頑張れ。」
「レイ・・・お前・・・」
義切は絶望と憤怒が混ざった眼でレイを睨む、
「事前に言っていたらお前は断っていただろう?」
「当たり前だ!相手が相手だぞ!?」
そう、ただ戦うだけならば文句の一つは言うだろうが納得しただろう、しかし今回の相手はエヴァンジェリン、最凶の魔法使いとも呼ばれたことがあるトップクラスの猛者だ、
「私だっておもしろ半分でやったわけじゃない・・・、いやおもしろ半分か。」
「お前なぁ・・・」
「ま、まぁいい訓練だと思えばさ。」
「・・・わーったよ、やってやるさ。」
観念したといった様子で溜息を一つつくきレイに朧火を渡すと、覚悟を決めエヴァンジェリンの方に向き直り歩いていく、
「確かにいい訓練だと思えばこれ以上の相手は居ないな。」
(それに、こんな強いと解ってる相手で楽しみじゃないのは嘘だしな・・・!)
正面に立った義切をエヴァンジェリンは見据える、
(目つきが変わったか、こいつは手強いな。)
「よく見ておけ坊や、この中では確実に最強同士の戦いをな。」
エヴァンジェリンと義切は構え、ネギ、茶々丸、刹那、木乃香、明日菜はそんな二人を緊張した顔つきで見つめている、
「刀は使わんのか?」
「焦るなよ、ウォーミングアップだろ?」
「フ、そうゆうことならば・・・」
瞬間、エヴァンジェリンの姿が消えて目の前に現れる、
「うおっ!?」
「付き合ってやる!」
かろうじて攻撃を避けるが完全に後手に回ってしまったので防戦一方になってしまう義切、しかし大振りな攻撃が来るとしゃがんで攻撃を避ける。
下段の回し蹴りで足下を浮かせてそのまま追撃をかけようとするが体勢を立て直され追撃がいなされて反撃がくる、そんな調子で攻守が逆転することが暫く続く。
「す、凄い・・・」
エヴァンジェリンと義切の一進一退の激しい攻防にネギ達は驚きの声を漏らした。
不意に二人が同時に後ろに飛び退き、距離を開く、
「さて、そろそろウォーミングアップは終わりにするか。」
そう言って手で合図するとレイが持っていた朧火を投げる、義切はそれを受け取ると鞘から抜き、構える、
「さあ、行くぞ!」
義切が素早く踏み込み横なぎの一閃を放つが、エヴァンジェリンは大きく後方へ跳び、空中にて魔法の射手を撃ち出す、義切は咄嗟に懐からアクイラを抜き、安全装置のレバーを操作し魔法弾に設定した、
引き金を引くと義切の身体からアクイラへ魔力が流れ込み銃口の前に魔法陣が現れる、その周りに光の球が形成され、その光の球が魔力の弾となって撃ち出されて魔法の射手を相殺する。
義切は素早く飛び上がり間合いを詰めて切りかかるが、エヴァンジェリンは腕から魔力によって形成された光刃で攻撃を受け止める、更にエヴァンジェリンの蹴りが入り吹き飛ばされる義切、なんとか空中で受身を取り地面に叩きつけられるのを回避して着地する、
「どうした、その程度ではあるまい?」
「クッ、やはり強い!」
「義、出し惜しみしてる余裕は無いだろ、あれをやるぞ!」
戦いを見ていたレイの言葉に頷いて応えると義切は叫ぶ、
「よっしゃ!来い、レイ!!」
「何をするつもりかは知らんが隙だらけだぞ!」
レイが赤い光の球となり義切と重なる、構わずエヴァンジェリンは空中で魔法の射手を義切へ撃ち出す、しかし義切とレイが重なった瞬間、炎が義切を包み込み、壁となって魔法の射手を遮る、
「なん・・・だと!?」
「ハッ!!」
中にいた義切が腕を払い、炎を払う、払われた炎は背中に収束していき翼を形作っていく、
「翼が・・・!」
刹那が驚く、それもそのはず、本来義切は烏族と人間のハーフだが人間の血が濃く出た為翼を持たない、しかしレイと一体になった義切の背中には翼があった、本来のハーフが持つ白いそれではなく炎によって出来た真っ赤な翼が、
「「さあ、こっからは逸神同体(ダブル・アクション)だ!!」」
義切とレイの声が重なって聞こえる。
― 逸神同体 ―
義切の身体に霊態化したレイが憑依することによってこの状態となる、憑依すると言っても意識を乗っ取る訳ではなく、ちゃんと義切とレイの意識がそれぞれ存在し、
一種の二重人格だと言える、レイの魔力がそのままダイレクトに使用できるので戦闘力が著しく上昇する、更に元々烏族と人間のハーフである義切はこの状態になると身体から身体能力を上げる為魔力を発散させ、その副産物として背中にその魔力が収束し、翼を形成することが出来る。
「ククク、やはりお前らは面白い、そんな隠し技を持っていたとはな!」
「さあて、ハデにいくぜ!」
魔力を解き放った義切が消えてエヴァンジェリンの後ろに現れる、
「なっ!?」
防御する暇もなく攻撃を受け吹き飛ばさたエヴァンジェリン、
(とんでもない速さ、そしてバワーだ、これが奴の本気か!)
再び義切が消え、次はエヴァンジェリンの落下先に現れ飛んできたエヴァンジェリンに蹴りを見舞う、
「なん・・・だと・・・、ここまで速いとは!?」
「はぁぁぁぁぁ!!」
速さで翻弄しとめどなく攻撃を放ち反撃の隙を与えないように戦う義切、高速で動く事により炎の翼が赤い軌跡を描く、その様は正に『赤い閃光』であった、一方完璧に意表を突かれ何発か攻撃を食らってしまったエヴァンジェリンだが、義切が攻撃しようとしたところで腕を掴み、そのまま地面に向かい投げる、
「あまり調子に、乗るな!!」
地面に叩きつけられる瞬間に受身を取り素早く立ち上がる義切、追撃に備えようとエヴァンジェリンを見るが、エヴァンジェリンは魔法詠唱をしていた、
「リク・ラクラ・ラックライラック・・・」
「我が体を成す力よ、今開放する・・・」
義切も魔法詠唱をしてお互いに上位魔法を撃つ、
「これでどうだ、<闇の吹雪>!!!」
「行け、<憤怒する爆炎>!!!」
二人の魔法がぶつかり合いとてつもない衝撃が起きる、
「クッ、魔法もここまで使えるとはな、だがっ!」
「やはり魔法については相手に一日の長があるか!?」
(・・・まずい!義、右だ!!)
「!?」
急にエヴァンジェリンは魔法を放つのを止め、義切の右側に素早く移動する、魔法について少し押され気味だった反応出来なかった、気づいたらエヴァンジェリンの腕が目の前にあった。
エヴァンジェリンの攻撃が当たり、吹き飛ばされ、受身を取れずに壁に叩きつけられる、
「がっ!!」
口から少量の血を吐いてしまうが、すぐに思考を切り替え距離を詰めて朧火に魔力を込めて技を放つ、
「火群(ほむら)!!」
エヴァンジェリンは迫り来る朧火を受け止めようと光刃を構えるが、魔力の込められた朧火は光刃を叩き割り、そのままエヴァンジェリンを吹き飛ばした、今度はエヴァンジェリンが壁に叩きつけられる。
エヴァンジェリンは立ち上がり義切を見て笑う、
「フフ、次で最後だ義切。」
「望むところだ、レイ、魔力を全部回してくれ。」
「了解、ちゃんと決めろよ?」
再び魔法詠唱を始める二人だが、さっきと違い、お互いの最強の魔法を撃とうとしているのでとてつもない魔力が渦巻く、先ほどから勝負を観ているネギ達も固唾を飲んで勝負の行方を見守っていた。
「リク・ラクラ・ラックライラック・・・」
「我が体を成す力よ、今開放する・・・」
(レイ、限界まであとどれくらいだ?)
(・・・保って一分だな。)
逸神同体は本来一人の人間の体に収まる筈の無い神の魔力を無理やり詰め込み、その反動による爆発力と膨大な魔力量によって力を得ている。
しかしそれは当然体に負荷を掛けることであり、長時間その状態は維持できず負荷が危険域に入ると逸神同体は強制的に解除されてしまう。
(・・・わかった、魔力を少し残しておいてくれ。)
そして二人が渾身の魔法を放つ、
「これで最後だ、<死滅の大寒波>!!!」
「頼む、届いてくれ、<天駆ける鳳凰>!!!」
エヴァンジェリンの放った魔力は巨大な氷塊と寒波となって義切に迫る、一方義切の放った魔力は大きな炎の鳥、鳳凰となって熱風と共に氷塊と衝突する、最上位魔法がぶつかり合い先程より強い衝撃がエヴァンジェリンと義切、さらにはネギ達までにも襲いかかる、
「ひゃ~ん。」
「す、凄い衝撃、飛んでいっちゃいそう。」
騒いでいる明日菜達をよそに、魔法はまだぶつかり合っている心なしか義切が押している様に見える、
(クッ、氷と炎では相性が悪い。)
いや、実際義切が少し押していた、威力に関してはやはりエヴァンジェリンの方が高いのだが、相性が悪かった、氷属性の魔法は火属性の魔法に弱い、エヴァンジェリンもそれは計算づくだったが一つ予想外のことがあった、義切(レイ)の魔力量が桁外れだったのである、その魔力量の違いが押され気味という結果を導いた、
「だが、押し切ってやる!!」
しかし、エヴァンジェリンは魔力を継ぎ足し、魔法の威力を強化する、それによって今度は義切が押されてくる、だがそれは義切の思惑通りだった、
(よし、今だ!)
義切は魔法を放つのを止めてエヴァンジェリンの左側に回り込んだ、そう、自分がされた様に、
「本当にこれで最後だ、鳳閃火ぁ!!」
鳳閃火、義切が自分の技の中で一番得意な技である、炎を身体全体に纏い、突きを放ちながら相手に突撃する威力も最高クラスの技である、しかし・・・
「そう来ると思ったよ、義切!」
エヴァンジェリンにとっては想定の範囲内だった、魔力で出来た鳳凰を打ち破り、氷塊が義切に向かい迫り来る、義切は構わず氷塊に技を放つ、
「だったらその氷ごとぶち抜く!!」
朧火の先が氷塊とぶつかる、氷塊にヒビが入っていく、
「とんでもない底力だ、しかし!」
「いぃぃぃぃけぇぇぇぇ!!」
氷塊が割れて義切がエヴァンジェリンに突っ込む、
「な・・・に!?」
一閃が走り義切とエヴァンジェリンは地面に着地する、一定時間が経過したことによって逸神同体が解除され、体に残っていたレイの魔力が発散すると義切は脱力するようにその場に座り込んだ、
「あ~負けだ負けだ!くっそ~!」
悔しそうにそう言うと仰向けに寝転がった、そこにエヴァンジェリンが近寄る、
「くく、素晴らしい戦いだったぞ義切、引き分けと言っても良いくらいだ。」
そう言うエヴァンジェリンの右頬に切り傷があり血が出てきていた、
「いや、倒せなかったのなら俺の負けさ。」
起き上がりエヴァンジェリンに言葉を返す義切、そんな二人を見ながら観戦していたネギ達はまだ唖然としていた、
「・・・凄かったわね、ネギ・・・」
「・・・ハイ、明日菜さん・・・」
「凄い凄~い、義君強いな~。」
目を丸くして会話する明日菜とネギ、一人呑気に義切を誉める木乃香、なにか考え込む刹那、エヴァンジェリンと義切はまだ会話をしている、
「これで貴様に借りが2つできたな。」
「2つ?」
「今回と食事を食べさせてもらった件だ。」
「あ~、食事の事はいいさ、好きでやったことだ、今回のはそうだな、俺もここに出入りできるようにしてくれればいいや、それで貸し借り無しだろ?」
「それでいいのか、後悔するなよ?」
「しないさ、それに今回は俺も少し感謝したいくらいだからな。」
「そうか、立てるか?」
エヴァンジェリンが手を差し伸べる、義切はその手を取り立ち上がる、
「悪りぃな、・・・あれ、レイは?」
いつの間にか居なくなったレイを探して回りを見渡して捜す、すると何処からかレイの声が聞こえる、
「私は魔力を使いすぎて疲れたから先に休むぞ。」
どうやら霊態化していたようだ、義切はわかった、と返事すると朧火を鞘にしまい、ネギ達の元へ歩いていった。
「す、凄かったです、義切さん、師匠とあそこまで戦えるなんて!!」
「ホント凄かったわね。」
「義君、格好よかった~。」
「お見事でした、義切さん。」
「ハハ、いやいや、それ程でも無いですよ。」
ネギ達に誉められ照れているのか頭を掻いている、そこに刹那が話しかけてくる、
「あの・・・義切!」
「ん、なんだ刹那?」
「私に剣術を教えてくれ!」
「ゑっ?」
あまりに唐突なことで変な声が出てしまう義切、刹那は続けて話す、
「私はまだまだ未熟だ、だから少しでも強くなりたい、だから剣術を教えてくれないか?」
義切は少し考えた後こう言った、
「まぁ、教えるのは別にいいんだけどさ、もうすぐ中間試験だけどそっちはいいのか?」
「・・・・・え?」
「・・・・・あっ!?」
義切の言葉にその場にいた約二名が凍りついたのであった。