それではどうぞ
「はぁ...」
俺はあの後最低限の装備のみを持ち、すぐに日本へ飛んだ。フユキに到着したあと郊外の洞穴を工房にし、サーヴァントの召喚の準備を終えた。しかし俺はある重大な問題に気付いてしまった。そう、令呪が無いのだ。第4次を例にすれば聖杯戦争まであと3週間余り。少し早すぎたかなと今更ながら後悔している。しかし、令呪が宿らないのでは?という事は全く問題視していない。聖杯はマスターを選ぶが、その時聖杯を望む人間に宿りやすい傾向にある。3週間も前から準備した俺には確実に宿る。それでも暇なものは暇だ。結界は完璧に張ったし罠もびっちり隙間もないほど仕掛けた。それこそ、アサシンのサーヴァントですらくぐり抜けられないという自信に満ちるほどだ。
暇つぶしにもう一度、聖遺物《アーティファクト》を見てみる。その昔錬金術師の友人に作ってもらった鍵穴のない、長方形の、指輪入れに似た箱のような金庫を開ける。友人が作った金庫は、登録した人間の魔力を流さないと開かない仕組みになっていて、俺の砲撃でも傷一つつかなかったので驚嘆とともにその固さに友人にもコレにも絶大な信頼を寄せている。それにしても、未だにこんなものが聖遺物とは思えない。何故ならその聖遺物とは、ただの古くも新しくもない白い布だからだ。それでも我が家では、何かあった時の為に家で保管されていた。両親に聖杯戦争に参加するからあの布をくれ、と言った時は親らしく両手で渡してきた。そして、
「頑張れよ」
とまで言われてしまった。今まで親らしい事は全くしなかったし、俺ほどまでは言わないが優秀な妹がいるので気にも留めないと思っていただけにその行動には驚かされた。その妹には行かないでと泣きつかれた。鬱陶しかった。
それにしても、この布の持ち主ーー今から召喚されるであろう英霊はどんなものなのだろう。両親も祖父母もこの白い布の持ち主を知らない。まさか無銘の英雄、代行者が出てくるのでは?と疑い始めている。まあ、代行者もとい抑止力として神霊が出てくるのもそれはそれでいいのかもしれない。上手く行けば神霊の圧倒的な力で勝利できるかもしれないのだから。もしかすると最優と謳われるセイバーも瞬殺できるかもしれない。しかし、バーサーカーだけは本当に勘弁して欲しい。バーサーカーの歴史は自爆の歴史と同義だ。自爆で聖杯戦争を敗退するだなんてたまったもんじゃあない。アインツベルンはよくあんなサーヴァントを従えていたものだ。まあそのアインツベルンも第三魔法の実現を諦めて聖杯戦争に参加しなくなったが。
「...地形を確認しておくか。」
戦闘において情報が多い方がなにかとやりやすい。俺の工房はフユキ郊外なので都市部を全く見ていない。そう思い立つと工房を出た。時刻は午前11時。1日はまだこれからの時間だ。その時、罠が発動した。凄まじい爆音が耳を劈く。罠の中には数秘紋を使った魔力製の鎖があり、工房に入った瞬間その鎖が捕らえ、テンカウントのレベルの魔方陣のビームが放たれる仕組みになっている。結界には生体反応はない。今頃消し炭だろう。
「さて、どんな馬鹿魔術師が引っかかったのかな」
見に行くと、黒い塊が入口にあった。瞬時にこれが使い魔だと判断する。そしてその近くに人影を確認した。
「誰だ!」
「待って待って待って!アタシアタシ!!」
「...お前」
「ゴメンゴメン!アンタが聖杯戦争に出るっていうから見に来ちゃった!お兄ちゃん!」
侵入者は破壊神にしてトラブルメーカーである俺の妹、ラウラ・スティーフだった。
「えー改めまして、お兄ちゃんの聖杯戦争をお手伝いしに来た貴方の妹、ラウラ・スティーフです!一緒に頑張ろうね、お兄ちゃん!」
俺は芝居がかった口調で自己紹介する妹を見て察した。
俺の聖杯戦争は終わったと。
どうでしょう、レイン陣営には妹が来ました。ぶっちゃけレイン陣営じゃなくてスティーフ陣営ですね笑
また、次の話では2人目のマスターを出します。妹ちゃんの詳しいことは後で出しますお許しください。
あとこう思いました。
あれ...この小説短すぎ...!?