これはゾンビですか? はい、ゾンビとスライムです。   作:三度の生より一度の我儘

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主「デレン!いきなりですが皆さん、問題です!タイトルのOSとは何の略でしょう!」

ユ『おじさん』

主「いや、うん、違うよ」

ハ「分かった!オーケーサイン!」

主「なんのだよ!」

セ「クソ虫」

主「も、もういいです。皆さんは分かりましたか?」



OS これはゾンビですか?そう、特別な話!
第1話 そう、ハメを外したいんです!


夏ももうすぐ終わる。

今は八月の半ば、そして今外は夜の夏祭りに向けて準備が行われており、少し騒がしい。

まあ、祭りと言っても商店街の小さなお祭りではあるが、テンションが上がらない訳ではない。

 

今回はユーもいるし、ハルナに、セラ、そして歩がいる。

このメンバーでお祭りに行って楽しくないはずがない!

・・・厄介事は多少ありそうだがな。

 

 

 

「まっつり♪まっつり〜♪」

 

「ハルナは楽しそうですね」

 

「当ったり前だろ!葉っぱの人は楽しみじゃないのか?」

 

「楽しみですが、歩と夏楓がいつもの変態っぷりに拍車をかけないか心配です」

 

『同感』

 

「そんな度胸がバエデ達にあるわけないだろ!」

 

「それもそうですね」

 

「てか早く帰ってこいよな!バエデ達は何してんだよ!」

 

現在、夏楓と歩は花火と女性陣の浴衣を買いに出かけている。

正直に話すと、帰りが遅いのはハルナ達の浴衣が原因だ。

 

「そう焦らずとも、まだ夕方ですから大丈夫ですよ」

 

「変な浴衣持ってきたらめっっちゃ目を潰してやる!」

 

「いえ、それでは足りません。あのクソ虫二人には花火になってもらいます。」

 

『汚い花火だ』

 

「根暗マンサーって、時々さり気ない毒吐くよな」

 

「た、ただいまぁ〜」

 

「夏楓、やっぱり少しくらい俺も持った方が良かったんじゃないか?」

 

「いや!これは勝負に負けた俺の仕事だ!男として二言はないぞ!」

 

玄関先で何やら話している二人。

この会話を聞く限り、おおよそは買い物が終わった後に、どちらが荷物を持つか勝負事をした結果、夏楓が負けて荷物を持たされたという所だろう。

 

「よい…しょと」

 

「おっそい!ハルナちゃんをあんまり待たせるなよな!」

 

「まあ、そう言ってやるなよハルナ。夏楓はハルナ達の浴衣を真剣に選んでたんぞ?」

 

「うっ、そ、それならしゃーなしだな」

 

「という事は、歩は私達の浴衣など眼中になかったという事でしょうか?」

 

『歩 ギルティ』

 

「ま、待て!眼中になかった訳じゃないぞ!?でも、代わりに物凄い花火を買ったから、期待しとけ」

 

「そうですか、ではその花火が大した事なければ、歩が空に散るという事で」

 

『許可♡』

 

「じ、じっくり選んで良かったぁ〜(小声)」

 

本音を言うと、丁度日陰だったから長居してただけなんだけどさ。

あ、ちゃんと選びはしましたよ?ホントに。

 

「日陰万歳」

 

「ん?バエデ今何か言ったか?」

 

「んや!何でもないよ!うん!」

 

買ってきた物をバックに詰めて、整理し終えた後、いつも通り座り込む。

すると、横からユーが服の袖を引っ張ってきた。

 

「ん?どうした?ユー」

 

『日陰万歳?』

 

「!?し、しぃ〜!頼むから今は見逃してくれ」

 

『貸し』

 

「わ、分かったよ」

 

そんなやりとりもありながら、俺達は夜を迎え、商店街に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

外はすっかり暗くなり、夏楓達が商店街に向かうと、商店街には既に多くの人で賑わっていた。

 

「ばゆむ!あの赤いやつ買って!」

 

「りんご飴か?別にいいぞ」

 

「私はあれが気になりますね」

 

「セラさんは…射的?ですか」

 

「一度、銃器を扱ってみたかったので」

 

『夏楓とあれやりたい』

 

「お?金魚すくいか。俺と勝負するか?ユー」

 

『望むところ』

 

ハルナは歩とりんご飴を買いに、俺とセラとユーは射的に向かい、各々が夏祭りを満喫しているようだった。

 

「らっしゃい!」

 

「あ、おっちゃん、射的一人分お願い」

 

「あいよ!」

 

セラさんがやりたがってた射的に着いた俺達は、屋台のおじさんにお金を渡し、一人分の弾を貰った。

 

「弾は六発ですか」

 

「おや?セラさん、もしかして自信ないとか?」

 

「生意気ですね…五発命中させます」

 

「へ?」

 

なに?今この人六発中五発命中させるって言った?

 

パンッ!・・・ポトッ

パンッ!・・・ポトッ

パンッ!・・・ポトッ

パンッ!・・・カス

パンッ!・・・ポトッ

 

おいおい、あと一発当てたら宣言通り五発当てちゃうよ!?しかも当てるだけじゃなくて、ちゃんと全部倒れてるし。

 

『あのぬいぐるみが欲しい』

 

「ヘルサイズ殿、承知しました」

 

ぬいぐるみって、あのどデカいヒヨコのぬいぐるみ?いやいや、流石に一発じゃ無理でs

パンッ!・・・バタン

 

カランカランッ

 

「嬢ちゃんすごいね!大当たりだ!」

 

「マジかよ…」

 

一発で倒すとか、運がいいのか?それとも気合いですか?

今度からは、銃を握りしめたセラさんをセラ13と呼ぼう。

 

「どうぞ、ヘルサイズ殿が欲しがっていたぬいぐるみです」

 

『ありがとう』

 

「セラさんマジかっけぇ」

 

銃なんか扱う機会は、まずないだろうが、セラさんに弟子入りしようかな。

 

クイクイッ

 

「ん?」

 

『早く 次』

 

「お?やるかぁ〜?ユー」

 

ユーも楽しそうで何よりだ。やっぱりお祭りは、こうでなくっちゃな!

 

 

 

 

 

 

 

 

一方その頃、歩とハルナはというと・・・

 

「お〜い、ハルナ〜!りんご飴買えたかぁ〜?」

 

「バッチリだ、ばゆむ!」

 

「いつの間にそんなに買い込んだんだ」

 

ハルナはりんご飴だけでなく、チョコバナナ、わたあめ、たこ焼きなど色々な物を両手で抱えていた。

頭には、赤鬼のような顔のお面を付けていた。

 

「いっぱい買うのはいいけど、転ぶなよ?」

 

「天才は転ばないの!」

 

「それならいいけど、夏楓達がさっき、金魚すくいの方に向かって行ったから俺達も合流しようぜ」

 

「なんだそれ!めっっちゃ楽しそうだな!私もやる!」

 

「分かったから、俺から離れんなよ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして金魚すくいに着いた夏楓達は、お金を払い終えて網を手にしていた。

 

「ユー、やり方は分かるか?」

 

『テレビで見た』

 

「じゃあ説明は不要だな」

 

『夏楓には負けない』

 

「それはこっちも同じだ。どうせなら何か賭けるか?」

 

『構わない』

 

「夏楓は本当に賭け事が好きですね」

 

「盛り上がってる時には尚更好きだな」

 

『何を賭けるの?』

 

「んー・・・」

 

「あっ!いたいた」

 

「ハルナちゃんにも人魚すくいやらせろよな!」

 

「歩にハルナ、そっちは終わったのか?てか人魚じゃなくて、金魚な」

 

「あぁ、寧ろ色々買いすぎた。で、金魚すくいなのに、金魚もすくわずに何話してたんだ?」

 

「何を賭けてユーと金魚すくい対決をするかって話だ!」

 

「また勝負事かよ」

 

「セラと同じような事言うなよ」

 

「クソ虫と同じにしないでください。それよりも早く何を賭けるか決めてください」

 

『魂』

 

「コインに封じ込めてコレクションしないし、そもそもそんなもの賭けません!」

 

『今日一日言う事を聞く』

 

「んー…分かった!それでいこう」

 

「ハルナちゃんもやるからな!」

 

こうして戦いの火蓋は切って落とされた。

 

シュッシュッ

 

カス・・・カス・・・

 

シュパッシュパッ

 

ユーは安定したすくい方を、ハルナは勢い任せではあるが、しっかり金魚をすくっていた。

一方、俺はというと…

 

カス・・・カス・・・

 

一匹もすくえないでいる。そして網は破れる始末。

 

シュッシュッ

 

シュパッシュパッ

 

結局、ユーとハルナの戦いになり、激戦の末に勝ったのは…

 

「ハルナ、二十一匹。ヘルサイズ殿、二十五匹。よってヘルサイズ殿の勝利です」

 

達人か何かですか?カメラはどこだ?ドッキリかなんかなんでしょ?・・・もう、こいつらに勝負事ふっかけるのはやめよう。

 

「あれ?海波に相川?」

 

そんな言葉をかけられた気がした。

嫌な予感がする。予想はしていたが、こうもあっさり…と言っても、これだけ金魚すくいで人集りができて目立ってたらそりゃ気づくか。

よし、退散!

 

「逃げるぞ歩!プランBだ!」

 

「了解した!ハルナ達も早く!」

 

「な、なんだよ!まだ見たい所が…」

 

「やれやれ、やはりこうなりますか」

 

『運命』

 

俺達は全力疾走してその場を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「このミンチ飴?とかいうのめっっちゃ美味いぞ!」

 

現在は近場の河川敷。

先程まで、まだ見たい屋台があったと拗ねていたハルナも、食べ物を食べて機嫌が良くなったみたいだ。

それよりミンチ飴ってなんだよ!?そんな物騒な食べ物なわけないだろ!

 

 

 

 

現在、ここには歩の姿はなく不在だ。

理由は、歩が買った花火を用意するべく、家に取りに行った。

 

「最後はドタバタしたけど、祭りはどうだった?」

 

『また行きたい』

 

「そっかそっか、それなら良かったよ」

 

『そういえば まだ聞いてない』

 

「何を?」

 

『浴衣 似合ってる?』

 

説明が遅れたが、ユーが着ている浴衣は紫を基調とし、白い蝶のシルエットが描かれている。ハルナの浴衣は、ピンクにオレンジ色の髑髏が描かれている。セラさんは、黄緑を基調としたデザインに、黄色のラインが入っている。

 

「あ、うん、似合ってるよ」

 

『ありがとう』

 

「私にも聞けよな!」

 

「ハルナも似合ってるよ」

 

「ふん!当ったり前だ!」

 

「夏楓にしては、いい物を選びましたね」

 

「おーい!持ってきたぞぉ!」

 

そうこう話していると、歩が花火とバケツを持ってこちらに向かってきた。

 

 

そこからは大変だった。

何が大変だったかと言うと、まずハルナが花火を持って四刀流をし始めた。そして、その火の粉が歩の服に引火しかけて川に飛び込んだり…そこで落ち着いたと思いきや、少しテンションが上がったセラが大きな花火で、秘剣ツバメ返しを披露して、その火の粉のせいで俺まで川に飛び込むハメになったりした。

 

で、やっと落ち着いて普通に花火をしているというわけだ。はぁ、念の為に替えの服を持ってきといて正解だった。でなきゃ、今頃びしょ濡れの服を着て風邪をひいていたところだ。

まあでも、普通に今はあいつらが花火を楽しそうにしてるし、それで良しとするか。

 

 

 

夏楓は川沿いに一人座り、夜空を見上げていた。

 

「こんな日がずっと続けば・・・こういう時、人間はいつか今日みたいな日を忘れてしまうと思うと、時間が過ぎていくのが少し怖いな」

 

ジャリ

 

「?なんだ、ユーか。いいのか?ハルナ達と遊んでなくて」

 

『貸しの話』

 

「げっ!覚えてたのかよ」

 

『一緒にこれをしたい』

 

「線香花火?そんなんでいいのか?」

 

『これがいい』

 

「あははは!分かったよ」

 

『何かおかしかった?』

 

「いやごめんごめん、ユーも案外子供っぽいなってさ。あ、いつもか、あははは」

 

『ハルナ呼んでこようか?』

 

「調子乗ってすみません、もう替えの服ないです」

 

そんな微笑ましいやりとりを終えると、二人は静かに線香花火に火をつけ始めた。

 

「・・・なあ、ユー」

 

「?」

 

「俺と二人だけの時さ、俺が帰ってくるまで寂しくなかったか?あの時…少し、心配だったんだ」

 

夏楓がそう聞くと、ユーは返答に困ったような顔をした。

 

「…やっぱり寂しかったんだろ?…ごめんな、嫌な思いをさせて」

 

その言葉にユーは首を横に振る。

 

「いいよ、本当の事言っても。結局あの時も、今でさえも、俺はユーに何も与えてやれなかった。この前は"ユーを守る為!"とか偉そうな事言ったけど、俺は守るどころか、ユーを心配させてばかりだったしな」

 

ユーはゆっくりと夏楓に近づき、自分の線香花火の親玉を、夏楓の線香花火にくっつける。

そしてユーはメモを取り出し、書き出す。

 

『夏楓からは 色々なものをいっぱいもらった』

 

「大したものは何一つあげられてないよ」

 

『そんな事ない』

 

ユーはメモを続ける。

 

『ご飯だって、暖かい布団だって、夏楓からはいっぱいもらった』

 

『おにぎりだって、この浴衣だって夏楓からもらった』

 

「そんなの別に」

 

『だから ありがとう』

 

ユーは笑顔で、"ありがとう"と書かれたメモを見せる。

 

「ユーの笑顔、何気に初めて見たかもな」

 

『私の心が揺らぐと 夏楓達を危険な事に巻き込むかもしれない』

 

「だから普段見せないのか?」

 

『そう だからこれが最初で最後』

 

「・・・フッ、じゃあ俺の今後の目標は、ユーの笑顔を増やすことかな。あはは」

 

『夏楓は分かってない』

 

「分かってるさ、ユーを守るって事」

 

『やっぱり分かってない』

 

「今はこれでいいんだよ。今はこれで、ね…」

 

ずっと、これからもずっと、忘れられない日々が続く事を祈りながら、彼女達の夏祭りは幕を閉じた。

 




主「はい、という事で特別編一話は終了です」

ユ『夏祭り楽しかった』

妄ユ「お祭りは、い〜っぱい屋台があって、ユー楽しかったぁ〜♪」

主「そっかそっかぁ〜、良かったねぇ」

ユ『花火も楽しかった』

妄ユ「花火ってすごい綺麗なんだよぉ〜♪今度はお兄ちゃんと二人っきりで、したいな♪」

主「うんうんそうだね、今度は二人っきr」

ユ『また夏楓と行きたい』

主「・・・」

ユ「お前も花火にしてやろうか」

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