塩見周子の幼馴染   作:(TADA)

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これは作者がiTunesで全曲(5859曲)をランダム再生しながらデジモンハッカーズメモリーをやっていたらTulipからの青の一番星という周子ちゃんコンボが発生し、これを周子からの「続きを書いてもええんやで」というお告げと勘違いした作者の脳内シナプスが超新星爆発したネタ小説です。

作者のモバマス知識はデレスレのコミュ(流し読み多発)、wiki、二次創作です。一人称とか呼び方とかの間違いは太平洋のように広い心で許してください。

それと今回はとあるアイドルの扱いが酷いというか、かわいそうなことになっています。具体的に言うと幸子Pは注意


周子が投げるもの

周子は346プロダクションの中にある喫茶店でコーヒーを飲んでいた。周子をここに誘ったのは346プロのトップアイドルである高垣楓だった。

周子がアイドルデビューした時にはすでトップアイドルだった楓だったが、不思議と周子と気があった。

気があったというより周子は妙に楓に気に入られていた。

詳しく話しをしてみると、楓は『チャレンジシリーズ』のファンだったらしく、周子のことも知っていたらしい。

幼馴染を筆頭にした周子の同級生達は基本的に傍迷惑な存在で、日頃から「なんでこいつらは逮捕されないんだろう」と思っていたが、初めて周子の役に立ち、少しだけ感謝した。30秒後にはその感謝の心も投げ捨てたが。

ちなみに現在、周子が1人なのは楓がお花を摘みに行っているからである。

 「あ、周子さん」

 「お〜、幸子ちゃんやん」

楓があまりにも帰ってこないので、周子が所属するLiPPSメンバーで、一番の苦労人である城ヶ崎美嘉でも揶揄って遊ぼうかと思っていたら、ちょうど良いタイミングで346プロが誇るバラエティアイドルである輿水幸子が周子が座っていた席にやってきた。

周子は幸子ちゃんに同情している。何せ頭がおかしいと自信を持って言える周子の同級生達に気に入れられているのだ。その気に入られっぷりは楽屋で待機していた幸子ちゃんに、担当プロデューサーがアイマスクを付けさせて『チャレンジシリーズ』のメンバーに引き渡され、芸能人として初めて(強制的に)『チャレンジシリーズ』へ出演を果たしている。

ちなみに周子は芸能人でありながら『チャレンジシリーズ』初期メンバーなので同級生達からは芸能人扱いされていない。今更、芸能人扱いされたら裏があると疑うが。

ちなみに強制的に『チャレンジシリーズ』に出演を果たした時の扱いから、幸子ちゃんは『チャレンジシリーズスタッフ(周子の同級生達)』に対して怒りと恐怖を覚えており、しょっちゅう常識人である周子に愚痴を零しにくるのだ。

 「どうしたん? そんな怒ってどないしたん?」

 「どないしたんじゃないですよ!! 新しいチャレンジシリーズを見ましたけど、可愛いボクの扱いひどくないですか!?」

 「……あぁ、『走れ、ヘラクレさん! ユーラシア大陸大横断〜憧れのオーケアノスを目指して〜』のことやね。でも、あれに幸子ちゃん出てへんかったやろ」

 「出てませんよ!! むしろ出なくて良かったですよ!! なんでゴール地点のポルトガルについたと思ったら、そのまま『アフリカ縦断チャレンジ』に入るんですか!?」

 「時間が余ったからやね」

仕方がない。幼馴染が平均速度150kmで走ってしまったので大幅に時間が余ったのだ。なので周子が言った「このままアフリカ大陸も行けるんとちゃう?」という発言に全員が乗っかったのだ。ちなみに最終的にゴールしたが、帰国予定日は完全にオーバーしたので、周子は美城専務にマジ説教を食らった。どこで隠し撮りしたのかは知らないが、その説教シーンをエンディングに使った映像担当者達には大量のスパムメールを送っておいた。大量と言っても大した数ではない。たったの2000通だ。他の同級生達が平然と行う犯罪スレスレ(たまにアウト)の行為に比べたら可愛いものである。

 「いや! ボクが言いたいことはそこじゃありません!! なんで地中海を見た時の周子さんの第一声が『幸子ちゃんを投げ込みたいなぁ』なんですか!! しかも実況の人も『今回は拉致に失敗したからなぁ……幸子ちゃん投げるのは次の機会やな』なんて言ってますし!! ボクの扱い酷くないですか!?」

 「そんなん言われても、あのメンバーで集まったら幸子ちゃんが投げられるのは当然やん? むしろ税金と一緒でやらないかんやろ」

 「ボクを投げるのは義務なんですか!?」

当然である。

 「いや、それ以前になんでボクはあの人たちに気に入られてるんですか!?」

 「あ〜、聞きたい?」

 「え? 何ですかその反応。聞いたらすごい後悔する感じじゃないですか」

 「仕方ないなぁ! 私は気が進まないけど、幸子ちゃんが是非聞きたいって言うとるもんなぁ!!」

 「言ってません!! 発言の捏造ですよ!!」

軽く揶揄うとすぐにムキになる幸子ちゃんを周子も気に入っている。何せ同級生達にやると、いつの間にか犯罪スレスレ(頻繁にアウト)の騒ぎに発展するのだ。警察を気にせずに揶揄うことができる存在は大事なのだ。

 「まぁ、結論から言うと幸子ちゃんの発言のせいやね」

 「……へ? 何のことですか?」

不思議そうに首をかしげる幸子ちゃん。

 「ほら、幸子ちゃん動物番組に出た時に『猛獣だってボクの可愛さにメロメロになりますよ』って言ったやん? それをヘラクレが『それは是非とも実証しなければ!!』ってことになってなぁ」

ちなみにヘラクレさんとは幼馴染がいつの間にか呼ばれるようになったアダ名である。起源はきっとギリシャの大英雄ヘラクレスからだと周子は認識している。

 「え? ちょっと待ってください? ボクはそんな軽いノリでアラスカまで強制連行された上に10m超えの化物グリズリーに対峙させられたんですか!?」

 「猛獣やん?」

 「ガチでバカなんですか!? なんで動物園とかで安全性が高い場所でやらないんですか!?」

 「『飼い馴らされた猛獣なんて猛獣やない』って発言したリーダーのせいやね」

周子の発言にortる幸子ちゃん。流石に可哀想なので周子もフォローしておく。

 「最初の予定ではヘラクレに頼んで野生のライオンを大量に捕まえて、飢えさせた後に幸子ちゃんを放り込む予定やったんやで? それを私が『素人にそのレベルは早い』って言うてアラスカで超有名やった化物グリズリーに変えたんやで?」

 「それをやるくらいなら止めてくださいよ!! グリズリーが右腕一本で直径3mはある大木をヘシ折ったのを見た時は本気で死ぬかと思いましたよ!!」

 「まぁまぁ。でもあの『チャレンジシリーズ番外編〜幸子ちゃんの可愛いは猛獣に通用するか〜』のおかげで仕事は増えたやろ?」

 「おかげさまで体を張る仕事はたくさん増えましたよ!! むしろ化物グリズリー見てマジ泣きしてるボクを見て爆笑してた貴方達は頭がおかしい!!」

 「失礼な話やなぁ。襲われそうになったところでヘラクレがきちんとワンパンで沈めて助けたやん」

 「その直後に『幸子ちゃんの可愛いが猛獣に通用せんかったから、幸子ちゃんは罰ゲームな』とか言われて北極海に放り投げられたんですけど!?」

 「きちんと命綱はつけたやん」

 「タコ糸を命綱と言いますか周子さんは!?」

 「わかった。次からはタコ糸二重にしたるから」

 「そういう問題じゃないですから!! 可愛いボクを投げるなんて人類の損失なんですよ!? 理解してます!?」

 「わかっとる、わかっとる。幸子ちゃんは可愛いからなぁ」

 「ま、まあ。わかってくれればいいんですよ」

周子が適当に褒めればすぐにドヤ顔をかます幸子ちゃん。面白いから今度企画している『幸子ちゃん投げ選手権〜琵琶湖動乱編〜』の準備が整っていることは黙っておこう。幸子ちゃんが仕事で京都か滋賀に行ったその日に開催されることになるだろう。

周子は幸子ちゃんから見えない位置でスマホで高速フリック入力して幸子ちゃんの予定をリーダー(チャレンジシリーズ司令役)に送る。これだけやっておけばあとは勝手に話が進むだろう。

ヒートアップしていた幸子ちゃんを宥めるために自称17歳ウサミン星アイドルにココアを頼み、周子もお代わりのコーヒーを貰う。

幸子ちゃんも一息つくようにココアを一口飲み、そして勢いよく噴き出した。

まぁ、その気持ちはわからなくもない。なにせ喫茶店内にチャレンジシリーズにおいて(無許可で)メインテーマに使っているターミネーターのテーマが流れ始めたのだ。

 「し、しししし周子さん!? まさかあの人達が346プロに来てるんですか!?」

 「まぁ、この音楽が流れとるってことは来とるんやろなぁ」

周子の言葉に正解を示すように、周子の幼馴染のヘラクレ。実況役でガチの詐欺師になった同級生(前科持ち)。そして最初期からカメラマンと編集をこなしていたらプロカメラマンになった同級生が入ってくる。

何故かスーツ姿で。

おかしい。周子が知っている同級生達はチャレンジジリーズの時は学ランを常に着ていたはずだ。それは周子が「初心を忘れたらあかんよね」という発言を幼馴染がいつも通りにアルティメット勘違いをしたせいだ。そのせいで周子もチャレンジシリーズに出る時はセーラー服だ。

だが、その連中がスーツを着ている。

周子の嫌な予感が加速する。

そして周子や幸子ちゃんに気づいていないかのように実況役の同級生が口を開く。

 「いつも『チャレンジシリーズ』をお楽しみにしている皆さん。まずは皆さんに謝らなければいけないことがあります」

むしろ謝らないといけないことだらけだろう。

 「先日投稿した『走れ、ヘラクレさん! ユーラシア大陸大横断〜憧れのオーケアノスを目指して〜』には重大なミスがありました」

君らの人生はミスだらけやろ、という周子のツッコミは言葉になることはなかった。

 「我々は平均速度150kmでユーラシア大陸を駆け抜けたヘラクレさんを見て、そのままアフリカ大陸縦断に挑戦しました。事件はそこで起こったのです」

周子もアフリカでの出来事を思い出すが、いつも通りのメンバーがいつも通りの奇行をしていただけだ。

 「アフリカ大陸縦断中。我々は悩んでいました。そう! ヘラクレさんの次なるチャレンジについてです。ヘラクレさんは『高校生チャレンジ〜海底都市イハ=ントレイ発見を目指して〜』にて素潜りで太平洋の海底に辿り着き、実に3日間という長期間を海の中で過ごせることを証明しました。これは海を制覇したと言えるでしょう」

周子も覚えている。高校時代にそのニュースを見て「あ、潜る方はやってへんんかったな」と思ったからだ。

 「我々も甘く考えていました。なにせまだ陸と空が残っていると思っていたからです。しかし、ヘラクレさんの進化は止まりませんでした。ユーラシア大陸の端から端まで走り抜けて陸を制覇すると、アフリカ大陸で襲われた軍用ヘリを空中多段ジャンプで撃墜するという快挙を成し遂げ、人類は自力で飛べないという常識を打ち破って見せたのです」

軍用ヘリに襲われたのもマジだし、それを幼馴染が空中殺法で撃墜したのも事実だった。なにせ帰国直後にそのまま外務省に連れて行かれて、外務大臣から説教を食らったからよく覚えている。

 「みなさんがリーダーと呼ぶ司令と一緒に我々スタッフ一同は悩みました。そして出された結論が『あとは宇宙しかない』という結論でした」

今考えても頭がおかしい結論である。

 「しかし、我々も気がつけば19歳。宇宙に行くことが簡単ではないとよく知っています。しかし……我々は期待してしまったのです!! 『それでもヘラクレさんならどうにかしてくれる』と!!」

口調にも強弱が入って聞いている人を存分に惹きつける実況者。流石は現役の詐欺師は格が違う。

 「そして我々はヘラクレさんにヘッドマイクを取り付け、空中多段ジャンプで飛び立ってもらったのです……!!」

 「おぉ!!」

三人が入ってきた瞬間に逃げ出そうとして周子に捕まっていた幸子ちゃんも思わず聞き入っている。

 「ヘラクレさんは我々の期待に応えてくれました!! 雲を超え! 対流圏も突破してくれました!! しかし……しかし!! ヘラクレさんの奮闘もあと少しで成層圏も突破というところで力尽き、ついには太陽に近づきすぎたイカロスのように落下してしまったのです!!」

リアル成層圏から地上へダイブである。

 「もちろん成層圏から落下したヘラクレさんも無事では済みません。物心つく前からのヘラクレさんと付き合いがあるアイドル塩見周子すらも見たことがない、ヒザに擦り傷という大怪我をヘラクレさんは負ってしまいました」

周子が幼馴染から流れ出る血を見たのはそれが2回目である。ちなみに1回目は小学校低学年の時に2人で故郷にあるお菓子屋さん中からチョコレートをパクった結果に食べすぎて鼻血を出した時である。

 「しかし! ヘラクレさんはそんな大怪我を負いながらもアフリカ大陸を駆け抜けました!! ヒザに絆創膏という手当てだけでです!! メールやコメントで追及のあったヘラクレさんのヒザに絆創膏はそんな大怪我だったのです!! 機関砲を食らった? ICBMを受け止めた? ヘラクレさんがその程度で怪我を負う筈がないのです!! 成層圏から地上へダイブが正解です!! ヘラクレさんに怪我を負わせたいのならアメリカ発案の宇宙兵器である神の杖でも持ってきなさい!!」

それは下手したら戦争の引き金になるやつである。

 「アフリカから帰国後、いつものように外務大臣のお説教を右から左へ聞き流し、映像の編集に入ってから問題が浮上しました」

長い前振りが終わってようやく本題のようだ。

 「それはヘラクレさんの成層圏から地上へダイブし、あまつさえ大怪我を負ってしまった映像を入れるか否かでした。議論は紛糾しました。『入れるべきだ』という一派。『入れるべきではない』という一派。そして『ちくわ大明神』のヘラクレさん。議論は平行線を辿り、決着が尽きませんでした。そして塩見の一言で決着が尽きました。塩見は議論の果てに疲れ切った我々に『今回はユーラシア大陸横断とアフリカ縦断だけでええんやない? 最初はそれが目的やったんやから』と言ったのです。議論に疲れ切った我々はついその言葉を受け入れてしまいました」

嘘つけ。「めんどいからそれでええか」って納得していたのはお前らだぞ。

 「しかし、映像を投稿した後にリーダーは気がつきました。『これは映像だけを流して失敗映像を隠すという大人のやり口ではないのか』と」

心底悔しそうな表情と声を出す実況役。その演技で警察を騙し切れれば前科がつくこともなかっただろうに。

 「我々は愕然としました。『心はいつでも中学生』をモットーとしてやってきていたのに、我々もいつの間にか大人の階段を登っていたのです!! これでは長く続いた『チャレンジシリーズ』を続けることはできません。ですので『中学生チャレンジ』から始まった『大チャレンジシリーズ』は前回の投稿で最後となります」

 「本当ですか!? やったね幸子ちゃん大勝利!!!」

周子の隣で大喜びする幸子ちゃんを尻目に、周子の嫌な予感が加速する。こいつらは真性である。その程度で諦める筈がない。

 「それでは最後に我々の司令であり、みなさんからリーダーと呼ばれている男からの挨拶です」

実況役の言葉に流れている音楽が変わる。ビースト達がウォーズする3DアニメのOPだ。確かに幼馴染がいれば争いはSTOPするだろうが、なぜにその選曲。

そして喫茶店に入ってきた司令はヘルメットにサングラス、そして防塵マスクをつけていた。首相官邸でキャンプファイヤーした時の格好だ。

 「みなさん。まずはこれまで我々の『大チャレンジシリーズ』を応援してくださってありがとうございます。今覚えばこの動画投稿を始めたのも『子供の心を忘れてはいけない』という気持ちからでした」

完全な思いつきで琵琶湖縦断をやらかした連中の取りまとめ役とは思えない発言である。政治家でもここまで堂々と嘘をつけないだろう。

 「しかし、私達も気がつけば成人を目前に控え、いつの間にか大人の判断を自然と下せるようになってしまいました」

司令の後ろで幼馴染と実況役、司令を撮影しているカメラマンが悔しそうな表情で泣いているが、驚くほどの信憑性のなさである。

 「私達もこのシリーズを終わらせてしまうのは悲しい!! しかし、しかしです!! 『子供の心を忘れてはいけない』という初心を忘れてしまっては続けることはできません。私達の仲間であり、ヘラクレさんの幼馴染である塩見は言いました。『初心を忘れてはいけない』と。だから仕方ないのです。子供の心を忘れてしまった私達にこのシリーズを撮る資格はないのです……」

司令の言葉に幼馴染、実況役、カメラマンの三人が声を出して泣き始めた。まさしく悔し泣きと言った感じである。

 「そのために私達は『大チャレンジシリーズ』を卒業し、新たなステージへと進みます!!」

司令の言葉に悔し泣きを辞めて驚愕の表情を浮かべる幼馴染と実況役。幼馴染の演技が上達していることにちょっと驚く周子。周子的に予想通りの展開である。とりあえず幼馴染にやらせることがなくなったから別の映像を撮ろうという魂胆であろう。

 「今まではヘラクレさん『が』挑戦してきました。次のステージではヘラクレさん『に』挑戦してもらおうと思います!!」

 「ちょい待ち!!」

司令の言葉に周子は思わず大声を挙げる。あの馬鹿は何か恐ろしいことを言わなかっただろうか。幼馴染に挑戦する? それは新手の自殺ではないだろうか。

周子の言葉を無視するように司令は言葉を続ける。

 「塩見の心配もわかります。何せ挑戦相手は『神話世界の住人』と言われるヘラクレさんです。凡人では相手になりません。そこで私達も議論を交わして2人まで絞り込みました」

「ちょい待ち、その議論に私が呼ばれてへんで」

周子の言葉はまたも流される。

 「1人目は『大チャレンジシリーズ』終盤に登場して人気が出て『自称かわいいアイドル』『腹パンしたいアイドル』で有名になった輿水幸子ちゃん!! 私達のシリーズでは水場があるとヘラクレさんに投げ込まれることで大人気の輿水幸子ちゃんです!!」

 「……ヒィ!!!」

周子の隣で幸子ちゃんがアイドルとは思えないガチ悲鳴を挙げた。

 「しかし、ここで常識人なヘラクレさんが言いました。『まだ中学生。しかも女の子に危ないことをやらせてもいいものか』と」

中学どころか幼稚園時代から周子を振り回して危険なことをやりまくった人間の発言ではない。

 「これが『大チャレンジシリーズ』だったら私達も容赦なくやらせます。しかし私達は大人になったのです。ですから輿水幸子ちゃん案は却下となりました」

周子の隣で幸子ちゃんが安堵のあまり腰を抜かしているが、周子は気にすることができない。何せ非常に嫌な流れだ。これは中学時代に何回か経験した周子が不幸になる流れだ。

 「私達は議論に戻り考えました。ヘラクレさんについていけて、なおかつ一般人ではなく有名人。そんな都合の良い相手がいるはずがありません。そう! 私達は見落としていたのです!! 『チャレンジシリーズ』のスタッフでありながらアイドルでもある塩見しゅ逃すな!! 捕まえろ!!」

周子は自分の苗字が出た瞬間に逃げ出そうとしたが周囲にいた喫茶店の客によって取り押さえられた。

 「って!! あんたら全員同級生やん!? そんなガチの変装してまで何やっとんねん!?」

 「とりあえず塩見、これからの流れは理解したな」

叫ぶ周子にやってくる司令。

 「できれば理解したくないやけど」

 「このシリーズのコンセプトは『一般人が英雄に至る道』や」

周子の言葉を無視して話を続ける司令。カメラマンと実況役のニヤケ顔がムカつくので後でシャイニングウィザードを叩きこむとしよう。

 「とりあえず英雄は苦難とか試練を突破したら得られる称号っぽいから俺達は時間とか仕事とか一切気にせずに塩見に無茶振りするで。それで塩見はどんな手段使ってもええから突破してや」

 「……はぁ。それで最初の試練はなんや? これだけ手を込んだドッキリ仕掛けたんや。というかどうやって私がここに来るように仕向けたん? 今日は予定じゃなくて、楓さんから誘われたからここに来たんやけど」

 「あれ? 周子に俺と楓姉さんが従姉弟って教えてへんかったか?」

まさかの新事実である。入り口付近で幼馴染と一緒に「ねぇ〜」とか言ってるオッドアイ美人に脱力してしまう。気があうはずだ。物心つく前からの付き合いである幼馴染の血縁者である。ノリが近くても不思議ではなかった。

 「とりあえず記念すべき最初の試練は『ヘラクレさんから逃げ切って346プロダクションから脱出せよ!!』や。先に言った通りに何をやってもええよ」

 「346プロにちゃんと許可取っとるの?」

 「塩見はおかしなことを聞く奴やな。俺らがそんな面倒なことするわけないやん」

 「『大チャレンジシリーズ』を終わらせた理由を思い出せや」

舌の根も乾かない内に熱い手のひら返しである。大人への第一歩であるはずの『関係者に許可をとる』という行動ができていない。

まぁ、今更なので周子も気にしない。

 「何をやってもええんやな?」

 「ええで」

 「何を武器にしてもええんやな?」

 「構わんで。普通の武器であれ止められないのは塩見がよくわかっとるやろ」

司令の言葉に幼馴染は笑顔を見せるとマッスルポーズをとる。すると着ていたスーツが弾け飛んだ。相変わらずのぶっ飛び具合である。

 「それじゃあ塩見、準備はええか?」

 「……あぁ、ええで」

とりあえず現状を把握しきれずに呆然としている武器を掴む。

司令が実況役に合図を出すと、実況役もマイクを片手に声を張り上げる。

 「それでは新シリーズ『塩見周子英雄ロード〜この建物からの脱走編〜』スタァァァァァァァァァァット!!!!!」

その言葉と同時に周子に向かってくる幼馴染。周子も用意していた武器を投擲する。

これは周子の未来を左右する第1投……!!

 「必殺! 幸子ちゃんミサイル!!」

 「周子さぁあぁぁあ!?」

周子は幸子の悲鳴を聞き終わる前に喫茶店からの脱出を始めるのであった。

 

 

 

司令の言葉通りに『塩見周子英雄ロードシリーズ』は時間とか場所とか関係なく行われた。テレビ、ラジオ、音楽番組、バラエティ番組、ワイドショーやオフの時などガチでゲリラ的に行われた。生放送に乱入した挙句に放送スケジュールをぶち壊したことでとあるテレビ局のお偉いさんにマジ切れされて同級生達が出禁になる結果となったのは当然である。

 

出禁になっても関係なくそのテレビ局への乱入は続けられたが。

 




塩見周子
バカをやっている面々を一歩引いた位置で指差して嘲笑っていたら、英雄ロード(周子同級生達プロデュース)を歩むことになった。ちなみにラスボスは幼馴染。異性の幼馴染がラスボスとか漫画とかゲームの主人公みたいですね!!

ヘラクレさん
周子の幼馴染。やったね名前がついたよ!!(本名はまだない)海を制覇し、陸を走破し、空も飛べるようになった結果宇宙を目指した。宇宙に辿り着けなかったことが悔しくて修行をした結果、1週間後には生身で宇宙ステーションに生身でお邪魔しますをするヘラクレさんの姿が!!

輿水幸子
なんか『腹パンしたいアイドル』という評判を見たので『投擲したいアイドル』という新ジャンルを開拓したいと思った。周子の同級生達に連れていかれるシーンは電波少年を思い出していただければよいかと。水場があるとヘラクレさんに投げ込まれる。尚、投擲『者』ではなく投擲『物』である。間違えないように。

高垣楓
唐突な楓さん。周子を喫茶店に連れくるだけの役割なので誰でも良かったのですが、作者の趣味で楓さんに。そしてヘラクレさんの血族にしてしまった。待て……ということは楓さんもこの作品では超人の可能性が…?

成層圏から地上へダイブ
ラヴィ!!

ビースト達がウォーズする3DアニメのOP
歌:下町兄弟

塩見周子英雄ロードシリーズ
もしかしなくても放送事故頻発


最初は346カフェで周子が奏とありすから同級生達の奇行に対して冷静なツッコミを入れられるだけの予定が、作者が幸子ちゃんを思い出した結果、周子が英雄を(強制的に)目指す話になってしまった。
文中で周子の同級生が長々と何か言っていますが『オリ主にやらせることなくなったから周子に何かやらせようぜ』ということです。アイマス小説の筈なのにアイドルより出張ってくるオリキャラ達……これでいいのか。
これを書いていて思いついたのは周子と愉快な同級生達の育った街についてです。こんなキチガイが育ったんだから普通なはずがない。書くかは未定ですが。

ちなみにうちの事務所に所属する周子はノーマルです。SSでもSでもなくNです。ノーマルです(憤怒)。

幸子? さぁ? 多分いるんじゃね?

追記:『ウサミンの年齢が17歳では?』とご指摘を受けましたので修正しました。永遠とつく年齢になると18歳にしてしまうのは三国志のプレイ動画のせい。おのれ曹操
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