相変わらずの注意事項ですが、出てくるアイドルの話かたや呼び方が違うかもしれませんが細かいことは気にしない精神でお願いします。
「正気ですか?」
いつものように幼馴染を筆頭にしたキチガイ達の試練を受けた周子はプロデューサーであり、上司である美城専務に呼び出された。「どれがバレたんかなぁ」と考えながら、どうやって同級生達に罪をなすりつけようか考えながら美城専務の部屋に行くと信じられない発言を聞いた。
「すみません、専務。もう一回言ってもらえますか?」
「む。そう、何度も同じことを言わせないで欲しいが……まぁ、いいだろう」
長身でスタイル抜群の黒髪をアップに束ねている美人女性。ドMの同級生曰く「踏みながら罵倒して欲しい」女性No.1が周子のプロデューサーである美城専務である。
美城専務は書類に目を通しながら再度告げた。
「今度の鷺沢くんの番組である『鷺沢訪方』で塩見くんの故郷を使うことになった」
『鷺沢訪方』は周子と同じプロジェクトに所属している鷺沢文香が色々な場所を訪れる一種の旅番組だ。本の虫で世間知らずな文香が色々な場所に行って様々な体験をして成長していく。純粋な文香が読書だけではわからないことを知り、番組の最後に文香が感じたことを文字にする。特に一緒に出ることが多いのは同じプロジェクトで文香に懐いている橘ありすだ。
そんな純粋培養の2人をあのキチガイの巣窟に放り込む?
それはダメだ。あの2人がキチったらアイドル界の損失であり、2人のファンからガチ切れされてしまう。
だからここは断固として拒否すべきだろう。これで自分が仕事を干されることになっても仕方ない。何せ2人のためなのだ。
だからこそ周子は力強い口調で口を開く。
「面白そうですね、是非やりましょう!!(それはダメです、純粋な文香を汚れにするわけにはいきません!!)」
いけない、本音と建前が逆になってしまった。えぇい! これも全て『面白そうなことはとりあえずやらせる』という同級生達の悪しき習慣に染まってしまったせいだ。
周子が否定する前に美城専務に台本を渡されて専務室から追い出されてしまう。
仕方ないがこれも仕事だ。仕事を放り出すわけにもいかない。だから仕方なく純粋培養の2人をキチの巣窟に放り込むのだ。決して周子が面白そうだからという理由ではない。
周子はそう自分に言い聞かせながら台本に目を通す。
「なんやこれ。超普通やん」
こんな面白くない内容は周子ちゃん的にNGである。
とりあえず台本は廊下にあったゴミ箱にシュートしてスマホを取り出してある番号に電話をかける。
「あ、司令? ちょっと面白いネタがあるんやけど一口のらん?」
故郷以外の小学生にはちょっと刺激が強いので文香の共演者は別の人に変えてもらわないといけないな、と周子は考えながら司令に電話をするのであった。
「みなさん、こんにちは……鷺沢文香です……今日の『鷺沢訪方』は京都府のある街に来ています……今日、私と一緒にこの街を探索するのは速水奏さんです……」
「速水奏よ。よろしくね」
周子は文香と奏のオープニングトークを眺める。周子の生まれ故郷ということで案内人として周子が紹介されるのだ。
ちなみに文香の相方が奏になったのは主に司令のせいである。幼馴染を含めた周子の同級生達は全員が自覚のあるキチガイなのでツッコミ役が欲しかったのだ。そこで目をつけられたのが周子と同じグループで活動する奏だった。フレちゃんと志希にゃんはキチとまではいかないが非常識側の人間だ。そして常識人枠の美嘉にすると美嘉の胃がバーストする。だからグループ内でニュートラルな奏に白羽の矢が立った。
決して周子が焦る奏の姿を見たかったせいではない。断じてない(大事なことなので2回言いました)
「さて……この街は……私達と…同じプロダクションに所属する…アイドルさんの…出身地です……」
「346プロで京都出身者は小早川紗枝、佐城雪美、塩見周子、相馬夏美の4人よ。ふふ、誰だかわかるかしら?」
ちなみに他の3人に言わせれば周子の出身地は京都であって京都ではないらしい。失礼な話である。
「それでは……さっそくご登場して…いただきましょう……どうぞ……」
ここまでは渡されている台本通りの進行である。
だが残念。ここはキチの街なのだ。
文香の言葉と共に鳴り響くのはスターなウォーズに出てくるベイダー卿のテーマ。そして出てくるベイダー卿のコスプレイヤー。呼吸音からボイスチェンジャーも使っての完全コピーである。
『フォースを学んだようだな、若きアイドルよ。だがまだジェダイではない』
突然の出来事に対応できずに混乱している文香。フリーダムな面々のおかげで少しの動揺で呆れたようにため息を吐く奏。
「何をやってるのよ。さっさとその仮面を取りなさい」
『この仮面は外せない。これはオビ・◯ンに敗れたことによって失った体の代わりなのだ』
「名前を出すんじゃないわよ。あぁ、もう! みなさんももうわかったわね、こんなアホなことをするのは塩見周子だけ。つまり今回の案内人は塩見周子よ! ほら、だから早くベイダー卿のコスプレを外しなさい!!」
もうちょっと引っ張るつもりだったが、答えをバラされたら仕方ない。周子もついに表に出る。
「ベイダー卿の中だと思った? 残念!! ダンボールの中でした!!!」
「「きゃぁ!?」」
周子が勢いよく2人の足元に自然に置かれていたダンボールの中から飛び出ると、2人から可愛らしい悲鳴がでた。
「え? え!? ちょっと待ちなさい周子!! どういうことよ!?」
「奏ちゃんは変なこと言うなぁ。私は出てこいって言ったから出てきただけやで?」
「違うでしょ!? 流れ的にこっちの中にいるべきでしょ!? こっちの中は誰よ!?」
「ベイダー卿やろ?」
「アメリカの映画会社にも怒られるからいい加減にしなさいよ!?」
奏の疑問に答えたら怒られた周子。実に不満である。
「は〜い、そんなわけでこの街は周子ちゃんの故郷やで!!」
「無視しないの!! MCの文香も未だにフリーズ中なのよ!?」
騒いでいる奏はスルーする。
「視聴者さんの中には『大チャレンジシリーズ』と『塩見周子英雄ロードシリーズ』を見てくれている人もいると思うけど、あの連中が育った街が普通の街なわけないのは理解してもらえると思う」
「話を聞きなさい!!」
聞かない。
「そこでこの街を知ってもらってふみふみにも現実を知ってもらうために、今回の企画は私の同級生達で考えさせてもらったんよ!!」
「あ、あの……この台本は……?」
文香が持っていた台本を出してくる。移動の合間にも台本を確認するマジメちゃんな文香は持っているバッグの中に常に台本を用意しているのだ。
周子もそれを知っているので優しく頷く。
「わかっとる。わかっとるよ。ふみふみ的に台本通りにやらないと心配なんやろ?」
「は、はい……」
「うん、うん。だからこうやね」
周子が指を鳴らすと同時にベイダーが持っていたライトセーバーを一閃!! 哀れ文香が持っていた台本は燃えて灰になってしまった!! 南無阿弥陀仏!!
「なんで燃えるのよ!? おもちゃじゃなかったの!?」
「ああ、これな。このライトセーバーはこの街に住む開発お爺ちゃん、通称『Drワイリー』が開発した特殊な剣やねん」
「なんでライトセーバーを開発できるのよ!? フォースの力があるの!?」
「いやいや、流石にフォースはあらへんよ」
周子の幼馴染なら持っていそうだが。
「とりあえずここは市民体育館。街の中心部にあって、しょっちゅう『プロレス大会』、『大相撲』、『天下一武道会』が開かれとる場所やね」
「普通に続けるの!? 待ちなさい他のスタッフだって……え? 行って大丈夫? 行かないとダメ? 行かないとスタッフの家族が大変なことになる? 周子!! 貴女は何したの!!」
「私『は』何もやってへんよ」
嘘は言ってない。周子は何もしてない。したのは頭のおかしい同級生達である。
「とりあえず中に入ってみよか。何かイベント用意してるみたいやし」
「は、はぁ……」
「はぁ。わかったわよ」
周子の言葉に文香が困ったように、奏は呆れたように同意した。
周子はそれを確認すると、ベイダー卿に扮している同級生と頷き合って市民体育館の扉を開く。
「それでは『Welcome to Underground』」
「やめなさい」
おやおや、すでに奏が疲れ切っている。これではこの先のキチの洗礼についていけるのだろうか。
市民体育館の長い廊下を歩きながら、ようやく落ち着きを取り戻した文香が口を開く。
「あの……先ほどはこの体育館が……武道館として……よく使われると仰っていましたが……」
『その通り。ここは新たなジェダイを育てる場所っ!?』
とりあえず余計なことを言って場を掻き乱そうとした同級生に対してローリングソバットを叩き込んで気絶させる。
2人がわりとドン引きしているが周子は気にしない。
「ちょっとこいつらを自由にさせすぎるとテレビ放送できないことあるかもしれへんからな。ほら、特別ドラマみたいに」
「……だからって容赦なく気絶させる?」
「大事なのは躊躇わないことやで」
「あの……あの方は?」
「放置でええよ。そのうち誰か回収に来るやろ」
放置されてても死ぬことはないだろう。周子も誰が入っているかは知らないが、少なくともあの程度で死ぬ人間はこの街で生き残ることはできない。
「それで? ここで何が行われているの?」
「うん? 私も知らんよ?」
「「……は?」」
唖然とした表情がこの街にはよく似合う。
「いやぁ、この先の流れは聞いとるけどここで何をやるかは私も聞いてないんよ」
「ちょ、ちょっと待ちなさい!? 進行役の周子が聞いてないですって!?」
「大丈夫やって。今回は司令も『放送できるレベルに抑える』って太鼓判を押しとるから」
「同じことを特別ドラマの時も聞いたわよ!?」
「奏、過去を振り返ってばかりではダメやで?」
「貴女達は少し振り返りなさい!!」
振り返らないことが若さだって宇宙刑事が言っていた。周子達は若いから振り返る必要はないのだ。
「まぁ、そんなこと言っている間にアリーナの入り口に着いたわけやけど」
不安がる文香と文句を言ってくる奏を軽くいなしながら大きな扉の前に連れてくる。周子は司令から受けた指示は『3人でアリーナに入ってくる』ことだ。
「それじゃあ、MCの文香ちゃんに扉を開けてもらおか」
「あ……はい」
「素直に開けちゃダメよ文香!!」
奏の制止も間に合わずに文香が扉を開ける。
コンサート会場のように盛り上がるアリーナ会場。そして中央に用意されたリングの上で獣のように咆哮を挙げる周子の幼馴染。
「こうきたかぁ……」
「ちょ!? 周子? どういうことよ!? なんでこんなプロレス会場みたいになっているのよ!? あ、文香!! 起きなさい!! 気絶しちゃダメ!!」
確かにこの街では喧嘩は日常茶飯事で、それが大きくなって大乱闘になって全員が警察署のブタ箱にぶち込まれるのも珍しくない。それのガス抜きのためにこういう騒ぎを起こすのもまた珍しくない。
「確かにこの街を知ってもらうにはこれが1番かもねん」
『つよぉぉぉぉぉ!!!! 強すぎるぞこの漢!! これで42人抜きだぁぁぁぁぁぁ!!!!』
周子の呟きと同時に実況役の同級生が叫ぶ。どうやら幼馴染がこの街のイカれた強さをもつ連中を42人抜きしたらしい。
とりあえず2人に見学させればいいだろうと思って客席に案内しようとすると、ある音楽が流れる。プロ野球珍プレー・好プレーの乱闘の時に流れる音楽だ。周子は条件反射でリングに向かって走る。正気に戻った奏が何か言っているが全て無視だ。
『こ、この音楽はまさかァァァァァァァ!!!!!』
実況役の言葉と同時に周子はロープを潜らずに飛び越えてリングインする。
そして突然の乱入に驚いたフリをする幼馴染に流れるようにシャイニングウィザード!!
『やはり両儀を止めるにはこの女しかいない!! 空中殺法の使い手・塩見周子ぉぉぉぉぉぉぉ!!!!』
実況役の煽りに盛り上がる観客。普段だったらこのまま華麗なる空中殺法を見せる周子だが、今回はこの街素人の文香と奏がいるのだ。なので大人の対応としてここはさっさと終わらせて街の紹介に入るべきである。何せこの番組の主旨はこの街の紹介なのだから。
そこで周子がフォールをしようとすると、観客から大きなコールが起きる。
『Get the table!!』
なんと。観客からまさかのテーブルコールである。スタッフ(同級生)も手慣れた様子でリングにテーブルを投げ入れてくる。
アイドルは観客に喜んでもらうためのエンターテイメントである。ここで周子は観客に幼馴染を使ってテーブルを割って欲しいと願われてしまった。アイドル的に観客の期待には答えなきゃいけない。つまり幼馴染でテーブルを割ることはプロレスではなく、アイドル活動略してアイ活である。
そんなジャンヌ・ダルク・オルタ・サンタ・リリィも思わずニッコリな完璧な理論武装をしたらあとは技をかけるだけである。
テーブルを用意し、気絶している(フリをしている)幼馴染をテーブルの上に寝かせ、自分もテーブルの上に登る。
観客のボルテージも最高潮だ。やっぱり周子ちゃんはテーブルを割らないといけないのだろう。
非力な周子ちゃんにはマッスル肉ダルマの幼馴染を持ち上げることはできないが、そこは超人幼馴染である。奇跡的な体重移動で周子に一切の負荷をかけずに周子がテーブルを割れるように体重移動する。
そして周子もテーブル時には全力で幼馴染を叩きつける。
結果的に見事にテーブルは粉々に砕けた。これで観客も満足だろうと思って周子も幼馴染をフォールしようとする。
『Get the table!!』
まさかのお代わりである。しかも今度はスタッフ(同級生達)はテーブル2枚にラダーを用意している。これはあれか。中学3年の時に一度だけやった大技をやれということであろうか。
思わずロープにしがみつきながら起き上がるという演技をしてしまった幼馴染をアイコンタクトを行う。
(どないする周子。しばらくやってへんかったけどできるか?)
(多分、大丈夫やろ。フォロー頼むわ)
(了解)
幼馴染とのアイコンタクトを終了して大技の準備に入る。まずはロープに捕まって立ち上がっていた幼馴染に向かってコーナーポスト最上段からドロップキックを食らわせて場外に弾き飛ばす。そして周子はスタッフ(同級生達)からテーブル2枚を奪い取り、二段に重ね、その一番上に幼馴染を寝かせる。そして周子はラダーを奪い取ってリングに上がってそれを設置して一番上に上がる。
『これはぁぁあっぁぁ!! まさか過去に一度しか見せたことがない大技が出るのか!! しかし危険すぎる大技だぞぉぉぉぉ!!』
実況役のナイスな煽りである。中学時代にこれをやった時は幼馴染のお陰で軽傷で済んだ。だが、やらなければならない。これもアイ活なのだ。
『ラダーの最上段に上がって両手を大きく広げる塩見!! これはあの技を期待してもいいのか!!』
さぁ、今が飛び立つ時!!
『スワントーンボム!! リング上でラダーの最上段からテーブル二枚抜きというオマケ付きだぁ!!!! これは強烈ぅぅぅぅぅ!!!! 流れるように塩見は両儀をリングに戻してフォール!! 審判がカウント1・2・スリィィィィィ!!!! やはり両儀を止めるにはこの女しかいなかった!!! 塩見周子ぉぉぉぉぉぉ!!!!!』
コーナーポストに乗りながら観客を煽りながら文香と奏の様子を見るが、見事に唖然としていた。
まぁ、仕方ないことである。むしろこの程度で戸惑っていたらこの先のロケが大丈夫か心配してしまうレベルである。
塩見周子
得意技はテーブルを利用した技と空中技。神話の世界からも出禁を喰らいそうな幼馴染がいるんだからこのくらい余裕ですよね!!
両儀
周子の幼馴染。ヘラクレさん。ついに名字がついたよ!! 名字の由来は主に空の境界のせい。きっと根元接続者で刀の収集が趣味の姉がいる。名前? まだ決まってないよ。
鷺沢文香
今回の犠牲者。番組名も適当なので深いことは気にしないでください。最初は日本文化を知るという名目でアーニャを起用する予定だったのですが、ロシア語がわからないので作者の趣味でふみふみに。これからキチの洗礼を受けることを考えるとかわいそうな気もする。
速水奏
最初の予定ではありすでしたが、本文中の理由でバトンタッチ。キャラ崩壊するので奏Pは覚悟を決めていただけるとありがたいです。
Get the table!!
ダッドリー・ボーイズ好きな作者の完全なる趣味。ディーボン・テーボォ!!
スワントーンボム
ジェフ・ハーディ好きな作者の完全なる趣味。
1話に纏めるつもりが文字数が増えたのぜ前後に分けました。後編はまたしばらくお待ちください。そしてふみふみの口調がわからない……後先考えないで書き始めた結果がこれである。そしてプロレス描写が甘いのも見逃してください。作者がプロレスを見ていたのは中学から高校にかけてのWWEだけというニワカです。細かいことは気にしない方向で。
これを書くと脱線に脱線を繰り広げるから困る。
そういえば感想にて『同級生何人おるん?』(意訳)みたいな質問が来たのですが、作者的に1学年全員が同級生とカウントしているので1クラス30人が4クラスで合計120人。120人のキチガイ集団……この国は大丈夫か……