【魔を滅する転生○】シリーズ外伝噺集   作:月乃杜

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 タイトル通りのif……とはいえ、本編でもそうなるから大した違いは無いかと思われます。





if……若し冥界に行った時点でユートとセラフォルーが恋人なら?

.

 それはきっと有り得たかも知れない噺……

 

 所謂、ifストーリー。

 

 尤も、最終的には同じ所に落ち着く訳なのだから、それが少し早まっただけとも云えるのだが……

 

 ユートはセラフォルー・レヴィアタンと出逢って、冥界へと向かった。

 

 其処で色々とあり、冥界を治める四大魔王と仲良くなっていたのである。

 

 紅髪の魔王サーゼクス・ルシファー。

 

 魔王少女セラフォルー・レヴィアタン。

 

 妖しき発明家アジュカ・ベルゼブブ。

 

 怠惰なるファルビウム・アスモデウス。

 

 彼ら魔王と意気投合し、ユートは冥界で愉しい一時を過ごしたのだった。

 

 それから暫く時が経ち、駒王学園に通う様になったユートは、エロ三人衆たる一誠、松田、元浜とつるむ様になる。

 

 だが、終ぞユートがエロの一人として数えられる事は無かったという。

 

 ユートも立派にエロいのだが、普段の行いというやつかも知れない。

 

 そんな日常の中で一誠が堕天使に殺されてしまい、リアス・クレモリーが自らの【悪魔の駒(イーヴィル・ピース)】を与え悪魔として転生した。

 

 その後のアーシアとの出逢いと、フリードとの戦闘を経て堕天使レイナーレとの決戦を行いユートは勝利を得る。

 

 レイナーレは一誠からの助命嘆願に応え、生命だけは助けてやる事にした。

 

 ミッテルトも生命を助けてやるが、萌衣奴(メイド)として囲われる。

 

 堕天使のカラワーナは、魂魄を抜き出された肉体を回収して、義妹(ユーキ)の依代とすべく持ち帰った。

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

「さて、始めるかな」

 

 ユートが何事かを呟くとカラワーナの死体の置いてある床に魔方陣が展開し、淡く光を放ち始める。

 

 そしてユートは、招喚の咒を唱えた。

 

「汝、我が仮初めたる使徒に名を列ねし存在。造りたる者、虚無の担い手、永遠なる連理の枝・比翼の鳥よ……我が言之葉に応えて来よっ!」

 

 激しく回転しながら発光は益々強くなっていく。

 

 ともすれば、悪魔では目も開けていられない程に。

 

「汝が名は祐希!」

 

 輝きは最高潮にまで達し漸く光も治まりつつある。

 

「な、何が?」

 

 ゆっくりとリアスが眩んだ目を開くと、其処にはまるで別人の様な人物が漆黒の翼を広げて、欠伸をしながら起き上がっていた。

 

 背が高く、胸も大きかったカラワーナの肉体だが、すっかりと縮んでいる。

 

 青い髪の毛を腰近くまで伸ばして、空色(スカイブルー)の瞳で辺りを見回していた。

 

「久しぶりだね、ユーキ」

 

「ああ、兄貴か。確かに、久しぶりだね」

 

 ポーッとした表情の侭にユートを見つめ、薄ら笑いでを浮かべながら手を挙げて挨拶を交わす。

 

 まだ、寝惚け眼らしい。

 

 自分が素っ裸なのも気付かないで、大事な部位を隠しもせずに立ち上がった。

 

 寧ろ、慌てたのはリアスとソーナだ。

 

 直ぐ生徒会室に備え付けてあったタオルケットを、ユーキの肩から羽織らせてやる。

 

「ああ、ありがとう」

 

「いえ……」

 

「あれ? 貴女はソーナ・シトリー?」

 

「? そうですが……」

 

 シパシパと瞬きをして、もう一度ソーナを見る。

 

「ハイスクールD×Dか」

 

 生徒会室に居た者達は、ユーキの言葉の意味を理解出来ず一様に戸惑う。

 

 特に初顔合わせにも拘わらず名前を言い当てられ、ソーナは首を傾げた。

 

「何故、私の名前を?」

 

「ああ、まあ。ちょっと」

 

 頬を掻きながらユーキは曖昧に誤魔化す。

 

「会長、仕事がおわ……」

 

 匙がノックもせずに入って来て、タオルケットだけを一枚羽織っている素っ裸のユーキを見て固まった。

 

 青く長い髪はサラサラとして且つ、艶やかな光沢を放っている。

 

 背は低めで胸もお世話にも大きいとは言えないが、プックリとささやかながらも慎ましい膨らみがあり、肌の色は細雪が降り積もる地面の如く白い。

 

 一つ一つは好みの問題もあるし一概に云えないが、全体的に視れば間違いなく美少女にカテゴライズされるユーキ。

 

 既に魂もジョゼットの姿に固定され、カラワーナの肉体は魂と同化している。

 

 故に、ハルケギニアでの姿が今のユーキの姿。

 

 それがタオルケット一枚の姿で立っているのだ。

 

 女体に慣れてない匙は、鼻血を噴いてしまう。

 

 そして意識すら女性となっているユーキは、ユートならまだしも他の男に裸体を視られて喜びはしない、寧ろ嫌悪感を催す。

 

 それ故に、ユーキは……

 

「死ね、変態! 爆発(エクスプロージョン)ッ!」

 

 チュドーン!

 

「のわぁぁぁぁぁっ!」

 

 詠唱もしていないけど、爆発(エクスプロージョン)で匙をブッ飛ばした。

 

 胸を左腕で隠し、内股になって秘部を隠した上で右腕を掲げて、爆発(エクスプロージョン)を一小節のみで放ったのだ。

 

 だから威力自体は大した事なかったものの、突然の衝撃に匙はすっかり目を回してしまっていた。

 

「ハァ、ハァ、ハァ……」

 

 ユーキの表情は匙に対する怒りに染まっている。

 

「待て、ユーキ!」

 

「兄貴、どいて! ソイツ……殺せない!」

 

「ネタに走ってまで殺そうとするな!」

 

 スパカーン!

 

 何処からともなく取り出したハリセンでどつく。

 

「痛いよ、兄貴……」

 

 涙目になり、恨めしそうな声で訴える。

 

「ったく、これでも羽織ってろ。このおバカ」

 

ユート自身が羽織っていたマントをタオルケットの上から掛けてやり、匙に復活(リザレクション)の魔法を使ってやる。

 

 取り敢えずダメージは抜けたのだが、未だに意識が無い匙を運ぶとソファーに寝かせてやった。

 

「さてと、ユーキの招喚も上手くいったし、次だね」

 

「次? 緒方君、また誰か喚ぶのですか?」

 

 ユーキの招喚だけでは終わらず、ユートが次なる招喚をしようとするのに疑問を持つソーナ。

 

「まあね。実は此方に来て早々、恋人が出来てね」

 

「「「恋人っっ!?」」」

 

 その場の三人の少女──リアス、ソーナ、ユーキが声を揃えて叫ぶ。

 

「珍しいね、兄貴がこんなに早々と女の子と付き合ったりするなんてさ。いつもはもっと慎重だろうに」

 

 ちょっとばかり不貞た感じで言う。

 

 嘗てカトレアと本格的に付き合う様になったのは、ユートが学院に通う様になってからだったし、前回では既に奥さんレベルだったとはいえ本当の意味で彼女を受け容れたのは、魔法世界へと向かってからだ。

 

「いやあ、随分とノリが良くってね。何か懐かれちゃってもいたし。つい、こう……魔が差したというか、ちょっと良い雰囲気になったから、彼女の唇を奪っちゃったんだよ」

 

「あ、兄貴らしいっちゃ、兄貴らしいのかな?」

 

「「ええ!?」」

 

 アホな告白をするユートの話を聞き、何故だか納得してしまうユーキの言葉にハモりながら叫ぶリアスとソーナ。

 

「で、喚んでも良い?」

 

「危険は無いのですね?」

 

「勿論……」

 

「それでは何故、目を逸らすのですか?」

 

 ユートはソーナから目を逸らし、明後日の方向へ向いていた。

 

「危険は無いよ、危険は……ね」

 

「ハァ、判りました。許可をしましょう」

 

 溜息を吐きながら許可を出すソーナは、四大魔王からの信任が厚いユートを信じる事にする。

 

「それが間違いだったと、そんな事も露知らず……」

 

「えーっと、緒方祐希さんでしたか? 変なモノローグを入れないで下さい」

 

 何だか色々と不安に襲われてしまうし。

 

 そんな二人の様子を見遣りながら、ユートは招喚の言霊を紡ぎ始める。

 

「我は金色の一欠片にして千の闇……汝、我が絆と縁を求み得る存在(もの)よ。海より生まれ、水を操りて渦巻く者、嫉妬を源とする名を受け継ぐ者よ……我が言之葉に応えて来よ!」

 

 ユート専用の招喚陣が、複雑な立体で展開されていって、黄金と漆黒のラインが荒れ狂う。

 

「どうしたの、ソーナ?」

 

「いえ、今の咒言に不安が犇々(ひしひし)と身に染みて……」

 

「? そうなの?」

 

 何故か汗をダラダラと流しながら、不安そうな表情になるソーナをリアスが気遣うが、いまいち理解は出来なかった。

 

「汝が御名は、セラフォルー・レヴィアタン!」

 

「「って、ちょっと待ってぇぇぇええっっっ!」」

 

 その紡がれた名を聞き、リアスとソーナの二人は殆んど同時に突っ込んだ。

 

 今、この青年は招喚する相手の名を何と呼んだ?

 

 ソーナは脱力感に襲われてしまい、一人では立っても居られなくなってリアスに支えられる。

 

「ソーナ、大丈夫?」

 

「だ、大丈夫……とは言い難いですね」

 

 招喚が完了したのか陣の中央に人の形が結実され、虚は実へと移行する。

 

 噴き上げるのは、強大で強壮ただ在るだけで周囲に影響を及ぼす魔力の塊。

 

 だがどんな空恐ろしい者が顕現するのかと思えば、其処に居たのは装飾華美な衣装に身を包み、何やら杖らしき物を手に持った可愛らしい少女であった。

 

 その姿を見てもソーナは安心する処か、寧ろそこに貼り付いていたのは絶望の表情だ。

 

 信じたくはなかった……そんな顔である。

 

「呼ばれて来ましたっ☆ 魔法少女マジカル☆レヴィアたん! キラッと煌めき大活躍よ☆」

 

 杖をクルクル振り回し、黒髪に赤紫の瞳を持つ少女はポーズをキャル〜ン☆ と決めた。

 

 ソーナは涙を瞳に浮かべ羞恥から顔を真っ赤にしながらイヤイヤと、首を横に振って後退る。

 

 そんなソーナ・シトリーの髪も黒、瞳は赤紫だ。

 

 喚び出した張本人であるユートはと云えば、パチパチと手を叩いていた。

 

「あ、ユウく〜ん☆」

 

 ユートの姿を見付けて、素早く飛び付く少女──とはいえソーナより胸が大きい──魔王セラフォルー・レヴィアタン。

 

「ふにゃぁ〜、会いたかったよ〜☆」

 

 自分の匂いを擦り付け、自己主張するかの様に固く抱き付いている。

 

 そんな様子を見ながら……否、虚ろな瞳は空のみ映してブツブツ呟くソーナ。

 

「うふふ、セラフォルー様が一人〜☆ セラフォルー様が二人〜☆ セラフォルー様が三人〜☆」

 

「戻って来なさいソーナ、セラフォルー様はそんなに沢山、居ないわよ!?」

 

「心を持って逝かれた?」

 

 ユーキが驚く。

 

「大きな星が点いたり消えたりしている、彗星かな? いや、違う。もっとバーッってなるもんな。ここ暑いな、出られないのかな? おーい、出してくださいよ〜! ウフフ、ウフフフフフ……」

 

「いやぁぁぁっ! ソーナが精神崩壊したぁっ!?」

 

 まあ、実際には現実逃避をしただけではあろうが、随分と古いネタに走る。

 

「うわ、何かなこのカオスな空間……こんな時、どんな顔をすれば良いのか判らないよ」

 

 笑えば良いと思います。

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

 ややあって、漸く沈静化されると自己紹介タイムと相成った。

 

「セラフォルー・レヴィアタンまでが出て来たので、改めて……緒方祐希。緒方優斗の義妹です」

 

 

「ソーたん達は知っているだろうけど、ユウ君の彼女で冥界の魔王の1人をやってるセラフォルー・レヴィアタン☆ レヴィアたんって呼んでくれると私、嬉しいかな☆」

 

「うう……お姉様、いえ、レヴィアタン様。ソーたんはおやめ下さいと何度も言ってますのに」

 

 嘆くソーナだが、セラフォルーは悲し気に……

 

「もう、ソーたんったら。今は私達しか居ないんだからお姉様で良いのに☆」

 

 否、寧ろ愉しげだった。

 

「け、けじめは大切です」

 

「ええ、ソーたんってば〜つーれーなーイー☆」

 

「うう、もう耐えられませんっ!」

 

 余りにも余りなセラフォルーに対し、ついに走り去ってしまうソーナ。

 

「あ、待ってソーたん! お姉ちゃんを見捨てないで〜っ!」

 

 セラフォルーも追い掛けて行ってしまう。

 

 残された面々……

 

「兄貴、そもそもどうしてセラフォルーと恋人に?」

 

「いや、セラが此方で迷子になってて、旧魔王派とか云う連中からの追手が掛かっていてね。それを──必要無かったが──助けたら『魔法少女にはマスコットとナイト様は鉄板よね☆』とか言われて、冥界に連れて行かれたんだよ」

 

「旧魔王派の追手って……要するに刺客?」

 

「まあね。冥界では多少の一悶着はあったけど、四大魔王には概ね好意的に受け容れられたよ」

 

 一悶着が魔王サーゼクスとのバトルとは言わない。

 

「んで、セラとはその後にちょっと良い雰囲気になってね。こう……あれだよ、『少しずつ近付く二人の顔……そして月が雲の影に消えて、ソッと唇を重ね合わせていた』……みたいな」

 

それは何処の三文恋愛小説なのだろうか?

 

「何で気に惚れられたかは知らないけどね……いや、若しかして【魔法少女マジカル☆レヴィアたん】を軌道に乗せたのが原因か?」

 

 ユーキはそれを聞いて、頭を抱えてしまう。

 

 一〇分くらいして、追い駆けっこを終えた2人が漸く戻ってきた。

 

「ねえ、ねえ☆ ソーナちゃん。今日はユウ君のお家に泊まろうよ☆」

 

「な、何を仰有っておられるのですか! そんな事、出来る訳がありません! お、男の方の家に御泊まりだなんて……」

 

 セラフォルーの提案に、いつものクールビューティさが崩れ、真っ赤に頬を染めて反対する。

 

「エーッ! だって折角、彼女になれたのにぃ、全然一緒に居られないんだよ」

 

「別に私が御一緒する必要は無いでしょう?」

 

「ソーナちゃんとも一緒に居たいんだもん☆」

 

「もう、お姉様〜! 勘弁して下さい!」

 

 我が道を行くセラフォルーに、ソーナは遂に泣きながら叫ぶのであった。

 

 この後は、結局はソーナも連れ立ってユートの家に宿泊をしたのは、最早言うまでもあるまい。

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

「そう言えば、何か忘れている様な?」

 

 三人で川の字になって、ユートを中心として右側をソーナ、左側をセラフォルーが占有して眠りに就こうとするが、ソーナはユートの服の袖を掴みながらふと気が付いた。

 

「まあ、忘れているなら大した事でもないでしょう」

 

 とはいっても、すぐに思い直すとちょっと躊躇い勝ちにユートの腕に抱き付いて目を閉じる。

 

 その頃、真っ暗になった生徒会室では……

 

「俺、何でこんな所に?」

 

 匙 元士朗が暗闇の中で置き去りになっていた。

 

 

 

.

 




 どの様にセラフォルーと仲好くなったか、どうやってソーナを説得したのか、その後の物語の影響は? 

 そこら辺は抜いて書いていた為、少し解り難い部分が在ったかと思われます。


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