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オルクス大迷宮。
ハイリヒ王国に於いては冒険者達が稼ぐべく入り、生計を立てている百階層の巨大な迷宮であり、現在はトータス最強のパーティでさえ、六五階層に顕れるというベヒモスに潰滅させられてしまっていると云う。
ユート達が真のオルクス大迷宮に挑み始めた頃に、漸く転移が終わったクラスメイトや騎士団、ユートによる介入から転移に多少の不具合が出た様だ。
「くっ、此処は?」
騎士団長メルドは現状の把握に務める。
「香織? 雫? 何処だ、何処に居る!?」
天之川光輝が叫びながら二人を捜す。
転移後に居なかった為、泡を喰っているのだ。
「団長! アイコ殿が居ません!」
「なにぃ!?」
現在、天之川光輝が捜す白崎香織と八重樫 雫。
そして畑山愛子が転移後は行方不明と判明した。
「莫迦な、いったいどうしてその三人が……待て! 三人だけか?」
「あれ? 緒方君も居ないみたいだ」
南雲ハジメの言葉にハッとなるメルド団長。
「四人も行方不明……か。しかも一人は作農師で食糧事情を改善出来たのに! やはり、連れて来るべきではなかったか!」
畑山愛子の必死の叫びに遂々、連れて来てしまった悔恨に苛まれる。
「香織、雫!」
焦る天之川光輝にとってみれば、教師の畑山愛子の行方不明など些事らしく、果てはユートなんて知った事ではなかった。
まぁ、所詮は偽善者であり似非勇者の本領である。
そんな混乱の最中に二つの魔法陣が。
「魔法陣……だと? あれはまさか! ベヒモス……なのか!?」
メルド団長が青褪める。
橋の両側に突如として顕れた赤黒い光を放っている魔法陣、通路側の方の陣は一〇m近くあり、階段側の陣は一m程度の大きさではあるが、その数が余りにも過剰で夥しかった。
そして小さいが無数に顕れた魔法陣から、骨格だけの躯躰に鉄剣を携えている魔物トラウムソルジャーが溢れるように出現をする。
空洞の眼窩――目玉の無い窪みからは、魔法陣の色と同じ赤黒い光が煌々と輝きを放ち、本物の目玉の様にギョロギョロと左右上下に辺りを見回していた。
その数は既に百体近くに増えて、それでも途絶える事無く増え続けている。
然しながら、数百体もの骸骨戦士より反対の通路側の方が何よりヤバかった、それはメルド団長もよく識っていたからだ。
一〇mもの魔法陣から、体長からして同じく一〇mの四足で、頭部には兜の様な硬い何かを取り付けている魔物が出現したのだ。
天之川光輝などの地球組が確り見たら、中生代後期白亜紀マーストリヒチアン期……現在の北米大陸に生息した白亜紀最後期の恐竜の一つ
とはいえ、コイツは瞳がやっぱり赤黒い光を放ち、鋭い爪と牙を打ち鳴らしながら、頭部の兜から生える角から炎を放ってくるとか余計な付加要素が付く。
メルド団長が先程呟いた“ベヒモス”という魔物、ソレは大きく息を吸うと凄まじい咆哮を上げた。
『グルァァァァァァァァァァァアアアアアッッ!』
「ぐッ!?」
その咆哮で正気に戻ったのだろうか、メルド団長が矢継ぎ早に指示を飛ばす。
「ア、アラン! 生徒達を率いてトラウムソルジャーを突破しろぉ! カイル、イヴァン、ベイルは全力で障壁を張れ! 奴を食い止めるぞ! 光輝、お前達は早く階段へと向かえ!」
「香織ぃ……雫ぅ……何処に? いったい何処に?」
「ば、馬鹿野郎! あれがベヒモスなら今のお前達は簡単に全滅だだ! 今は、早く他の者の指揮をしろ! あれは六五階層の魔物、嘗て“最強”と言わしめた冒険者をして歯が立たなかった化け物だ! さっさと指揮をし直して行けぇっ! 私はお前達を死なせる訳にはいかないんだっっ!」
メルド団長の鬼気迫る、凄まじい形相での叫びだったけど、幼馴染みが居なくなった衝撃から覚め遣らぬ現状、全く以て役に立っていない勇者(笑)光輝。
「ま、拙い!」
撤退させようとして再度メルド団長が光輝に話そうとした瞬間に、ベヒモスが咆哮を上げながら突進してきたのだ。
この侭では撤退中の生徒達を、悉く全員轢き殺してしまう事であろう。
ハイリヒ王国最高戦力、メルド団長の部下が全力の多重障壁を張る。
「「「全ての敵意と悪意を拒絶する、神の子らに絶対の護りを、此処は聖域なりて神敵を通さず――【聖絶】っっ!」」」
二m四方の最高品質の紙に描かれた魔法陣と四節からなる詠唱、更に三人同時による発動だった。
一回だけ一分間しか保たないの防御ではあるけど、何物にも破らせない絶対の守護が顕現する。
純白に輝く半球状の障壁がベヒモスの突進を防ぐ。
衝突した瞬間に凄まじい衝撃波が発生し、ベヒモスの足元が粉砕された。
橋全体が石造りにも拘わらず大きく揺れ、生徒達から悲鳴が上がって転倒する者が相次いでいる。
「おい、光輝! メルドさんが言う通りだぞ! 今は体勢を立て直さないと!」
「香織と雫が居なくなっているんだぞ! 早く、早く捜してやらないと……今頃は香織なんて心細くなって俺の事を呼んでる!」
その頃の香織はとっくにユートのモノになると決めており、天之川光輝の事なんて考える余裕は無い。
「いい加減にしろ!」
「お前は二人が心配じゃあ無いのか!?」
「んなこたぁ言ってねぇだろうがよ! 居なくなった二人は心配だが、今現在は俺らがヤベェんだ!」
「二人を捜すんだ!」
「てめぇ……」
喧嘩をしている場合では無いのに、勇者(笑)天之川光輝は現実を見なかった。
ユートが此処に今居れば流石は勇者(笑)、そんな風に嘲笑っていただろう。
優先順位を間違えた愚者……善意を押し付けるだけの偽善者にして、無自覚に南雲ハジメを虐待する筆頭の虐めっ子。
はっきり言えばユートはこの世界の人間が大嫌い、だからあの三人を攫ったりしたし、マッチポンプ的に恩着せがましく護って欲しければ肢体で払えなどと、普段なら言わない様な事を平然と宣った。
その後は、坂上龍太郎が天之川光輝を気絶させて、背負い運ぶ事でオルクス大迷宮を脱出する。
この悲惨な出来事にて、騎士団の畑山愛子を護っていた騎士四名、檜山大介などクラスメイトの過半数が迷宮で死亡が確認された。
姑息にも立ち回り生き延びた清水幸利、坂上龍太郎に気絶させられて運ばれた天之川光輝、何とか生き延びた南雲ハジメなど運良く生き残ったものの、クラスメイトが死亡したり行方不明になったり、しかも後で判ったが畑山愛子も行方不明という大惨事に、ポッキリと折れた天之川光輝。
何人もが行方不明になったと知って、自分の錬成の腕を磨きだす南雲ハジメ、仲が良かった人物も行方が知れないと聞き、約束を果たす為にも……だ。
その傍らには眼鏡を掛けた少女が居たと云う。
清水幸利は暗く澱んだ目でブツブツと言っており、割と仲が良かった白崎香織と八重樫 雫が居なくなったと知って、谷口 鈴の口数も減っていた。
因みにだけど園部優花、玉井淳史、宮崎奈々、菅原妙子という、本来の世界線に於ける【愛ちゃん親衛隊】も生き残る事に成功していたりする。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
真のオルクス大迷宮……ハーフポイント五〇階層。
二体の
然し、それを見た香織や雫や愛子が憤る中でユートは至極冷静に、彼女らへの支払いの取り立てを告げるのであった。
「ちょっ、助けないの?」
「何で? 封印されてる。ならば見た目通りの年齢じゃないな。恐らく吸血種、しかも封印されているなら真っ当な生き方をしたのかどうかも怪しい」
「そ、それは……」
「ちが、う……わたし……うら、ぎられた……だけ」
「とか言ってるけど」
ユートと雫の会話を聞いていた少女が、自分は単に裏切られたのだと釈明。
「前にも言っただろうに、一方の言い分だけを聞いて解った気になるなと」
「う……」
「だいたい、遺跡なんかに封印が施してあるんなら、妄りに解くべきじゃない。それで最低最悪の魔王復活とかになって、責任とかを取れるのか?」
「取れない……」
「天之川光輝なら考えもせずに封印を解くんだろう、偽善者だからな。解いた後に疫災とかあっても言い訳するだけだろう。目に浮かぶ様だよ」
一応、幼馴染みとしては何とも言えない香織と雫。
「ま、助けたけりゃ勝手にやれば良いけど……取り敢えず順番を決めて身体の空いた者が行くんだね」
バサリと何故か布団を敷き始めるユートに、三人はこれから抱かれるのだと、強く意識をしてしまったらしく頬を朱に染める。
「せ、先生から逝きます」
「先生!」
「愛ちゃん!」
香織は兎も角、雫は思わず愛ちゃん呼びしていた。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
ガキン! ガキン!
「な、何よこれ! ちっとも壊れやしないじゃない」
バキンッ!
「折れたぁ!?」
使っていた武器が折れ、刃の半分が地面に落ちる。
(まぁ、そうだろうとも。簡単に破壊出来たら封印にならんからな)
高が通常金属の剣だし、それで破壊が叶う程度ならユートが封印を解いた。
理由は簡単。
その程度の封印で出られないなら、封印された少女も高が知れるからだ。
「あの……」
「何かな? 愛ちゃん」
ボッと赤くなる。
まだ脱がされてすらいないけど、既に始まっていてキスをされてしまった。
しかも普段は先生としか呼ばないユートに、行き成り明らかに親しみの篭った声で『愛ちゃん』と呼ばれて照れてしまったのだ。
愛子も既に二五歳だし、普通ならば結婚していてもおかしくなく、それでなくとも婚約していたり最悪、彼氏が居るなりする年齢。
当然ながらそれなりには男との付き合いはあったのだが、本格的な交際にまでは及ばなかった。
況んや、『御突き愛』をする処かキスすらもない。
最近では二五歳で処女も珍しいかもだが、ファーストキスすらしてなかったのは最早、天然記念物並ではなかろうか?
勿論、必ずしもそうではないのだろうが……
畑山愛子は可愛い。
小さくて顔立ちも幼く、胸も絶壁ではないけど大きいとは御世辞にも云えない程度、二五歳で既に成長の余地も無くなった年齢で、身長が一五〇cmしかない上に童顔だ。
高校生処か中学生と思われても仕方がない。
学生からは人柄と容姿、それにちょっとした愛嬌から人気な愛子“先生”ではあるけど、同じ年頃の男とちゃんとした交際が出来なかった理由でもあった。
見た目が中学生の女性、成人男性が愛子との交際なんてのは、端から視たなら□リコンでしかない。
仮に二五歳の男だったとして、愛子とホテルに行くのは躊躇うだろう。
主に中学生をホテルへと連れ込んだ援交犯扱いか、未成年者略取とか言われて両手が後ろに回りかねないのだから。
果たして『同い年だ』が信用されるか?
最終的には嘘を言ってはいないから解放されるにしても、再び愛子と交際しようと思えるものか? という問題もある。
そんな訳で畑山愛子は、今から起きる出来事に恐怖もあるし、相手が生徒だから背徳感も感じているが、ドキドキと心臓が高鳴ってもいた。
勿論、そういうおかしな性癖がある訳では無いし、脅される形で最終的に自分から頷いた『合意』であるにせよ、好きな相手という訳でも無いのだから普通は嫌で嫌で堪らない筈。
だけど、いざヤり始めると優しく触れられており、まるで恋人がする様なキスをされ、ハッキリと云えば若者故のがっつく感じとかが無く、寧ろ触られて安堵している自分に驚く程。
「あ、あの……緒方君って初めて……ではないんです……よね?」
「まぁ、童貞ではないな」
「ですよねぇ」
初めてではないから焦りやがっつく感じが無くて、寧ろ大人の余裕すら見せられている訳だ。
「男の初めてなんて無様だからね、とても見られたもんじゃないよ?」
「そうなんですか?」
こういう会話を愉しむという余裕もあった。
行き成り『感じさせる』とかで、おかしな部分を触りまくったりするでなく、軽くキスをしながらソフトタッチ程度に触れ、会話で緊張感を解してくるのも、ユートが童貞ではないのだと感じた理由である。
その内に『もっと触って欲しい』と思ったら堕ちた証拠、愛子はユートの唇が近付いたら自分から唇を重ねて、舌を自ら絡ませる様にディープなのを極めた。
潤んだ瞳が雄弁に語る。
『もっとシて……」
ソコまできて漸く本格的な御触りが始まった。
「欲しくなった?」
抗えない。
若し、畑山愛子が処女でなければまだ抵抗したかも知れないが、初めて味わった甘美な感覚に最早抗う事は不可能だった。
故に愛子は頷いた。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
さっきまでは少女(仮)を救出しようと頑張っていた筈の香織と雫、然し突然の甘い嬌声に吃驚して振り返ってみれば、あの可愛らしい先生が何処か淫靡さを醸し出して喘いでいる。
それからたっぷりと凡そ二時間にも亘る『生徒と先生……いけないの、貴方は私の教え子なのよ』とか、古いアダルトビデオみたいなタイトルの動画を見せられている気分を味わう。
だけどアダルトビデオと違うのは、AV男優やAV女優の演技による白々しいセ○クスなんかではなく、生々しい本当の性交を見せ付けられている処だ。
ペタンと女の子座りをしながら、二人は顔を熟れた林檎の如く真っ赤に染め、あの可愛らしくマスコット扱いな『愛ちゃん』の痴態に見入ってしまう。
本物の喘ぎと本物の絶叫を上げる『愛ちゃん先生』の姿は、同じ形をした別のナニかしか見えない。
初めての後も三回くらい行われたプレイに、香織も雫もいつの間にかすっかりデキ上がった肢体を、知らず知らずの内に慰める。
尚、痩せこけて弱っていた少女(仮)もガン見していたりするが、流石に二人はそこまで気付いていない。
初めに愛子にしたのは、見た目は兎も角として年齢は大人だったからであり、二五歳にもなれば心の奥底はどうあれ、対外的に整理も付けているが故。
まだ一七歳な小娘に過ぎない二人は、やはり理想という名の妄想に縋るきらいもあるから、取り敢えずは恩師の性交を見せ付けて、肉体だけでもヤる気にさせる狙いがあった。
それは上手くいったみたいで、二人は見事に股間を洪水で潤している。
次は八重樫 雫だ。
これも好みとかでは決して無く、一応は好きな相手が居る香織に親友の痴態を見せるのが目的。
只でさえ恩師の痴態に濡れているのに加え、親友の痴態まで見せられては心はまだしも、肉体は反応してしまうだろうから。
それに、八重樫 雫という少女には外キャラとは別に内キャラが激しいタイプだと感じていた。
そんな雫を抱いた後は、目論見の通りに香織もデキ上がり、頭の中では『イヤ』と連呼しながら好きな男――南雲ハジメの顔を思い浮かべていたが、ユートのソレは通常とは違う所為で数分もすれば嬌声を上げて喘いでいた。
初めての貫通に初めての絶頂、その後は自ら上になって腰を振る大盤振る舞いだったと云う。
四時間後、すっかり終わってスッキリしたユート、ふと見遣ったら少女(仮)が潤んだ瞳で視ていた。
「助けて欲しいのか?」
コクリと頷くも視線自体はユートの分身に釘付け、ゴクリと固唾を呑んでしまう辺り、やはり見た目通りの年齢ではあるまい。
封印も恐らく彼女がそれなりの年齢で行われた。
見た目だけは一二歳で、封印された時期は日本的な成人年齢くらいか?
封印期間は長そうだ。
何故ならユートの目に、彼女にはユートがよく知っている存在と似た特徴が映っており、それが故に見た目も寿命も通常の人間とは違うと考えた。
エルザ。
ダルシニとアミアス。
ギャスパー・ヴラディとヴァレリー・ツェペシェ。
アーデルハイト。
エヴァンジェリン・A・K・マクダウェル。
月村すずか。
即ち、吸血種として血液を何らかの糧とする存在。
「君は吸血種だな?」
「ん、そう……」
どうせバレているなら、嘘を吐く意味なんか更々無かったし、下手に嘘を吐いて心証を悪くしたくない。
「名前は?」
「……あれーてぃあ」
何故かとても嫌そうな顔で言い放つ。
「自分の名前に嫌な思い出でもあるのか?」
アレーティアは決して悪くない名前だが……
少なくとも変なキラキラネームを付けられるより、遥か彼方にマシだとユートは某・勇者(笑)を思い出しながら言う。
尚、顔は既に忘れた。
「わたし、おじ……さま……に、うらぎ……られた、むかしのなまえ、もう……いらない……」
辿々しいのは力が入らないからか、だけど憎しみより哀しみが強い気がした。
(愛が哀に変換された……という訳か)
憎むより哀しかったと、そういう事なのだろう。
おじさまとやらが血の繋がりのある伯父や叔父か、血の繋がりは無いが家族みたいに仲良くしていた小父なのか判らないが、よっぽど親しかったのは間違いない事実であろう。
「そうか……そういえば、君と同じ吸血姫は月と関わるな。エヴァンジェリンも封印中は月の満ち欠けとかで魔力が変わるし」
【腐食の月光】だとか、月という名前自体に何らかの関わりがある場合も。
「それなら、月(ユエ)ってのはどうだろうな?」
「ゆえ?」
「アレーティアとは呼ばれたくないんだろ?」
「ん」
「だから、ユエ。夜空に浮かぶ月を意味している」
「わかった、ゆえ。わたしはゆえ」
「さて、ユエ。君は封印を解いて欲しがってたな」
「むし……されて、じょうじにふけられる、とは……おもわなかった……けど」
ジト目で言われる。
「で、封印解除の対価には何を支払う?」
「たい……か?」
「そう、対価だ。例えば、さっき僕に抱かれていた娘らは、この迷宮での生命の保証に肢体を対価に支払った訳だな」
今はマッパでナニやら変な液体でドロドロな三人、力尽きて気絶をしている訳だが、遂先頃まではユートの下で腰を振っていた。
「なんでも……する!」
「何でも?」
「ほんとに……たすけ、てくれる……なら……あなたのものにだって……なる」
「自分自身を懸けると?」
「ん、わたしはにじゅっさい……すぎてふういん……された……からだ、は……ちっちゃい。だけど、なにをするのははわかる」
どうやら本気らしいし、ユートが三人を抱いていた事から、それが報酬になると理解した科白である。
成程、見た目は幼くても瞳には確かな理性の光。
本気だし正気らしい。
「それじゃあ、先ず前金を貰おうか」
「まえ、きん……?」
それは今現在でのユエがユートを性的に良くする、そんな方法をヤれという話であったと云う。
一〇分後、漸く目的を果たしたユエの顔はユートの迸るパトスで汚れていた。
されはもう、合法なれど一般的には案件になりそうな状態である。
見た目が見た目だけに。
取り敢えず、汚れてしまった顔は水をぶっ掛けて清めてやる。
「じゃ、約束通りに」
バキンッ!
何かが破壊された音が鳴り響いて、ガラガラと次の瞬間にはユエを捕らえていた封印が砕け落ちた。
「え、うそ……」
平成ライダーの力を集め切った頃から、本来であれば仮面ライダーディケイドに成らねば使えない筈の、【破壊概念】が生身でも少し使える様になった為にか余りにも呆気なく……だ。
「【神水】だ。飲むと快復する筈」
「え、うん」
試験管らさき瓶を受け取ったユエは、何が何だか解らない侭に中身を煽った。
(助けた相手とはいえさ、もう少し疑えよ)
とても裏切りを受けた娘の所業ではない。
「治った? 本当に」
「部位欠損までは無理だろうが、大概のダメージにせよ精神力にせよ疲労にせよ快復させる水だからな」
正に何処ぞの豆も斯くやの効果。
「約束は果たした。ユエも約束は果たして貰うぞ」
「ん、私は貴方のモノ……貴方の名前を教えて」
「ユート。ユート・オガタ・スプリングフィールド」
「ん、宜しくユート。私はユエ……貴方のユエ」
それはとても嬉しそうに言ったものだった。
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