【魔を滅する転生○】シリーズ外伝噺集   作:月乃杜

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ありふれた職業で世界最強【魔を滅する転生業】っぽい噺――ありふれた吸血姫と仮面騎士

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 目を覚ました三人が見たのは、いつの間にか封印が解かれて色々な液体に塗れた金髪少女の姿。

 

 ユートの腕に組み付いて寝ており、端から視たなら明らかに事案であった。

 

「ちょ、あんた!」

 

「流石にこれは拙いよ!」

 

「せ、先生では満足出来ませんでしたか!?」

 

 一二歳にしか見えない、そんな少女すらも毒牙に掛けたユートに、雫も香織も愛子も非難轟々である。

 

「リアルで一二歳なら手は出さないが、封印されたのが二十歳過ぎで封印自体は約三〇〇年前、つまりユエはロリBBAなんだよ」

 

「「「な、何だってぇぇぇぇぇぇぇっっ!?」」」

 

 戦慄を覚えた三人。

 

「……む、私はババァじゃない。肉体的には若い侭」

 

「起きたのか」

 

「……気持ち良く寝てたのにソコの三人が煩いから」

 

 不満顔なユエにバツの悪い表情となるのは、三人もユートとの激しい行為に疲れ果てて気絶した為だ。

 

「三〇〇歳……」

 

「ロリBBA」

 

「……む、ババァ違う!」

 

 復唱する香織と雫の言葉に膨れっ面なユエ。

 

「さて、どうやらお客さんらしいな」

 

 まさか終わるまで待っていたのか?

 

 律儀な魔物が天井から降ってくるが如く現れた。

 

 体長は約五m、四本もの長い腕には巨大なる鋏を持っており、八本もある脚をシャカシャカと動かす。

 

 二本の尻尾には鋭い針が付いていた。

 

「でかい蠍モドキか?」

 

「……まさか、あんな魔物が居た?」

 

 ユートが見た感覚で似た存在を考える中で、自分が封印されていた部屋にあの蠍みたいな化物が居た事に戦慄してしまう。

 

「……となると、恐らくだが君の封印を解いたら現れる守護者かな?」

 

「……え?」

 

「それが封印の守護者か、若しくは君の守護者なのかは判らないがね」

 

 ユートはディケイドライバーを腰に装着する。

 

「兎に角、斃してしまえばそれで終わりだ」

 

 どうせ話し合いが出来る相手ではないのだから。

 

 バックルを開いて……

 

《KAMEN RIDE》

 

 カードを装填。

 

「変身っ!」

 

《DECADE!》

 

 叫びながら閉じると幻影の姿が浮かび、ユートへと収束されて顔にバーコードみたいな線、緑の複眼を持つマゼンタカラーのアーマーな仮面ライダーディケイドに変身した。

 

「全てを破壊し全てを繋ぐ通りすがりの仮面ライダーディケイド、覚えておけ」

 

 名前を訊ねるなんて真似が出来ない蠍擬きに対し、自ら名乗ってやるユート。

 

「ユエ、使え!」

 

「……ん?」

 

 ユートがユエに何かを投げて渡す。

 

「……蝙蝠モドキ?」

 

 敵が蠍モドキなら此方は蝙蝠モドキなのか?

 

『私は蝙蝠擬きではない。我が名はキバット、キバットバット二世だ。お前が求めるなら力を貸してやる』

 

「……ん、私に力を!」

 

『良かろう、ガブリ!』

 

 キバットバット二世が、ユエに噛み付くと腰に鎖が顕れて巻き付き、ベルトへと形を変えた。

 

 笛の音の様な待機音が、辺り全体に鳴り響く。

 

 何と無くだがユエに使い方が理解出来ていた。

 

「……ん、変身っ!」

 

 ベルトの止まり木となる部位にキバットバット二世を装着、全身が銀色煌めきながら銀色のアーマーに、紅のレッグやアームやショルダーを持つ緑の複眼……仮面ライダーダークキバ。

 

「折角だからWキバといこうかな?」

 

 ベルトを展開してから再びカードを装填。

 

《KAMEN RIDE KIVA!》

 

 それはダークキバに似て黄色の複眼を持ち、ベルトは相も変わらずなディケイドライバーではあったが、仮面ライダーキバの姿へと変わるユート。

 

 ディケイドキバである。

 

《FORM RIDE KIVA……GARULU!》

 

 更にユートは、フォームライドのカードでガルルフォームに。

 

 アーマーや左腕や複眼が青に染まり、その手に青い狼の彫像らしき鍔を持ったセイバーが握られる。

 

 ガルルセイバーだ。

 

「征くぞ、ユエ」

 

「……ん、殺る!」

 

 ディケイドキバとダークキバ、二人のキバが一斉に蠍モドキへと駆け出す。

 

 手に武器を持っていないダークキバは格闘を駆使、ディケイドキバはガルルセイバーで斬り付けた。

 

「はっ!」

 

 斬っ!

 

「……せいっ!」

 

 ドカッ!

 

 この部屋の守護者なのか何なのかは知り得ないが、ユートのスペックが上乗せされた仮面ライダーディケイドキバと、仮面ライダーダークキバのW攻撃に晒されては堪らなかった様で、端から見ると単なる魔物の虐待である。

 

 堪らず尻尾の針から紫色の液体を飛ばしてきた。

 

「避けろ!」

 

「……了解!」

 

 ジュワッ! 地面に落ちた飛沫で床が溶ける。

 

「溶解液か、毒より厄介かも知れないな」

 

 流石に仮面ライダーとはいえ、まともに受けたならダメージが入るだろう。

 

 尤も、公式設定に於いて核爆弾にすら耐える【黄金のキバの鎧】の三倍も頑丈とされるダークキバならばダメージを受けない筈なのだが……

 

 仮面ライダーのスペックは政治家の言葉並であり、果たしてどれだけ当てになるかユートも知らない。

 

「また、違う攻撃か!? ユエは僕の後ろに!」

 

「……ん!」

 

 指示通りに下がってからユートを盾に。

 

 蠍モドキの尻尾の針が、ユートへ照準を合わせた。

 

「来る!」

 

 尻尾の先端が肥大化したかと思うと、凄まじい速度で針が撃ち出された上に、針は途中で爆散したかと思えば散弾銃の弾丸の如く、幾つにも分裂し襲いきた。

 

「ちっ!」

 

 ガルルセイバーを高速で振り回し、散弾針を次々と叩き落としていく。

 

「今だ!」

 

「……んっ!」

 

 腰のフエッスルを取り出すと、それをキバットバット二世に咥えさせる。

 

『ウェイクアップⅠ!』

 

 キバの紋章が足下に顕れると、それが蠍モドキへと移動して動きを拘束。

 

「……やっ!」

 

 ジャンプして下降の勢いをも加えた右ストレート、六五tにも達するダークネスヘルクラッシュが極る。

 

『ギャァァァッ!』

 

 ドガァァァンッ!

 

「え、今の何で爆発したんだろう?」

 

「さ、さぁ?」

 

 謎の爆発に香織も雫も首を傾げてしまう。

 

「存外と硬かったな」

 

「……だけど、魔法を使わなくても勝てるなんて」

 

 元々、腕力なんて無いに等しいユエなだけに腕力で斃せるとは思えなかった。

 

 とはいえ、ダークキバのスペックは普通に高いからユエはその恩恵を受けて、魔法など使わずとも充分に戦えるだけの戦闘力を得ていたのである。

 

「す、凄い……ですねぇ。魔物自体は八重樫さんでも手も足も出なかった迷宮内のより強そうだったのに、あんな小さな女の子が斃してしまえるなんて」

 

 愛子が感嘆を洩らす。

 

「確かに……若しかしたら緒方って他人にあんな力を与えられるの?」

 

「え、緒方君の天職ってばそういうのなのかな?」

 

「天魔真王とかっての? それは判らないけど」

 

 当たり前だが天職とかは関係無く、これはユートが別世界で得た力の応用。

 

 ユートとユエは、変身を解除して取り敢えず夜営の準備をする。

 

 ユエもいつまでも封印の部屋に居たくはないのだろうが、一泊だけならば……と納得して貰った。

 

「成程な。つまりは此所はその反逆者の造った迷宮という訳か」

 

「……ん、そう。反逆者、神代に神へと挑んだとされる神の眷属の事。彼ら七人は世界を滅ぼそうとしたと伝わってる」

 

「で、失敗して追い詰められた先が七大迷宮なのか。このオルクス大迷宮もその内の一つ……と」

 

「……この遥か底に反逆者の住まう地が有るらしい」

 

「なら、やっぱり降りてきて正解だったな。地上との連絡口くらいは用意しているだろうし」

 

 まぁ、無くても出るくらいならどうとでも出来るのだし、更なる下を目指すのは悪い選択でもない。

 

「……そういえば訊いてなかったけど、ユートはどうしてこんな地の底に?」

 

「ああ、それは割かし簡単な話だよ。エヒトとかいう神が地球から僕らを拉致、そのエヒトに仕える教皇が『お前らは魔人族との戦争の為の戦力だ。還し方なぞ知らんが戦争に勝ったら神が戻してくれたら良いな』とか言ってハイリヒ王国で強制訓練。実戦訓練だと言ってオルクス大迷宮に挑まされたは良いが、莫迦な奴が転移トラップに引っ掛かって僕と其処の三人が固まって真のオルクス大迷宮の入口とも云える場所に転移していたって訳だ」

 

 三人が微妙な表情になるのは何故だろうか?

 

 護りの対価にと肢体を求めたからか?

 

 それとも、まるで地球への帰還が確約されていない処か、帰れないみたいな言い方をしたからか?

 

「あの、さ」

 

「どうした? 八重樫」

 

「緒方はイシュタルさんが言ってた話を、信じてはいないって事なの?」

 

「あのおっさんが言っていたのはだ……『貴方方を召喚したのはエヒト様です。我々人間に異世界に干渉する様な魔法は使えませんのでな、貴方方が帰還出来るかどうかもエヒト様の御意思次第という事ですな』というもの。天之川の質問の答えも……『救世主の願いを無碍にはしますまい』という曖昧なものであって、必ずエヒトとやらが還すとは確約していない。つまり仮に戦争に勝利をしたとしても、帰れなかったなんてのは充分有り得る話だし、あのおっさんだって飽く迄も仮定の話をしただけだ。帰れなくても『それがエヒト様の御心です』と言って終わりだろうな」

 

「さ、詐欺じゃない!」

 

「ああ、詐欺じゃないな」

 

「……え?」

 

 憤る雫だったがユートは冷静に返した。

 

「八重樫が『詐欺じゃない』と言うから、それを肯定したんじゃないか」

 

「って、そういう意味じゃないわよ!」

 

「判ってるが? 神の御心と言えば済む宗教屋は気楽だよな。何でも神の所為にすれば良いんだから」

 

「どういう事よ?」

 

「良い事があれば神の加護だし、悪い事があれば神の試練とでも言えば良い」

 

「……」

 

「つまりは、空が青いのもポストが赤いのも全て神の加護なり試練なりだ」

 

 良い事も悪い事も全てが神の業、というか悪い事は寧ろ悪魔のというのが宗教屋の仕事だろう。

 

「緒方君のあの力は何なんですか?」

 

「ん? あの力ってのは、ディケイドライバー?」

 

「えっと、緒方君のベルトの事です」

 

「名前はさっきも言ったがディケイドライバー。正確にはネオ・ディケイドライバーというらしい」

 

「ネオ……新しいですか? それって?」

 

「本来のディケイドライバーはバックルの色が白で、ライダーズクレストも周囲に九つだったんだ」

 

 確かにそれは別物。

 

「あんたのはマゼンタね。ライダーズクレストっていうのは?」

 

「仮面ライダーと呼ばれる戦士を表す紋章。九つなのは仮面ライダーディケイドが一〇番目の仮面ライダーだったのと、自分以外……九人の仮面ライダーの力を持ち得るからだな」

 

「ああ、何か姿が変わっていたわね」

 

「仮面ライダーキバだな。ディケイドの前の九番目の仮面ライダーだよ」

 

 雫の言葉に説明をする。

 

「……私に渡してくれたのをダークキバと言ってた」

 

「仮面ライダーダークキバといって、本物の仮面ライダーキバより前に造られていた【闇のキバ】と呼ばれる鎧だね。本物のキバの方は【黄金のキバ】の鎧だ。僕が見せたのは初期形態、カテナにより封印をされた状態なんだよ」

 

「封印って事は本来はもっと強いって事?」

 

「ああ、ダークキバは封印が無いからフルスペックではあるけど、魔力の高い者が使えば更に強くなる」

 

「……なら、私にぴったりかも」

 

「そういう事」

 

 ユエは吸血種だからか、先祖返りだからか魔力値が可成り高い。

 

 実際にユートが感じているユエの魔力は、ユート程では勿論ないが少なくとも香織、雫、愛子の三人では合わせても足下にすら及ばないだろう。

 

「ねぇ、あれって誰かに渡せたりする物なの?」

 

「仮面ライダーの力?」

 

「そう」

 

 ユートの問いに頷く雫、その瞳には決意か?

 

「ディケイドライバーの力を与えるとか不可能だぞ。まぁ、力の半分をウォッチにしてとかなら出来るって聞いたけど、それに関してはジクウドライバーと別にライドウォッチが要る」

 

「ユエさんみたいなダークキバとかは?」

 

「そもそも、ユエに渡したキバットバット二世からして本物じゃない」

 

「――へ?」

 

「別の力で創造した聖魔獣という人造生命。一部を除いて仮面ライダーの力は、この聖魔獣を着込む事によって擬似的に得る」

 

「あんた、どんだけそんな力を持ってんのよ?」

 

「さて、どれだけかな?」

 

 誤魔化したというより、数が多くていちいち挙げていられなかった。

 

 尚、仮面ライダーディケイド以外だと、仮面ライダーウィザード、仮面ライダーエボル、仮面ライダーシンオウの四種である。

 

 仮面ライダーアルビオンも有るには有るのだけど、あれは元々がブレイド系の仮面ライダーだったモノ、しかも【白龍皇の光翼】が力の源だから除外。

 

 仮面ライダーウィザードは【カンピオーネ!】世界でDVDを手に入れた為、試しに造った草薙護堂用に【カンピオーネドライバー】や、エリカ・ブランデッリ用に【ビーストドライバー】を造り、リリアナ・クラニチャールとカレン・ヤンコロフスキやアリアンナ・ハヤマ・アリアルディに【メイジドライバー】を造ったりしたが、自分用にとウィザードライバーも造っておいた。

 

 ディケイドライバーを得た頃は、仮面ライダーフォーゼまでしか識らなかったから、仮面ライダーウィザードのカードは無かったのも理由だった。

 

 識っていたフォーゼまではカードも手に入った為、他のライダーズクレストが気になってはいたのだ。

 

「ユエさんにダークキバ? 上げたみたいに、私にも欲しいと言ったらくれたりするの?」

 

「何で?」

 

「いや、何でって真顔で訊かれるとは思わなかったんだけど……」

 

「ユエと君らでは立場から違うんだ。渡す筈が無いだろうに」

 

「立場?」

 

「ユエは【閃姫】だ。君らが寝てる間に契約も交わしているからな」

 

「……ん。私、ユートのお嫁さん」

 

「お!」

 

「嫁!」

 

「さん!?」

 

 香織も雫も愛子も吃驚して開いた口が塞がらない。

 

 一方のユエは頬を朱に染めつつ、同性すら魅了する満面の笑顔ではにかむ。

 

「【閃姫】というのは僕風に【使徒】とか【眷属】を言い換えたもんで、ユエのお嫁さんは穿ち過ぎだな。間違ってはいないけどね、実際は側室や側女ってのがニュアンスとしては近い」

 

「側室って、あんたは嫁が何人も居るっての?」

 

「そうだ。そもそも先生にも僕は童貞じゃないと言っておいたぞ八重樫」

 

 愛子が目を見開く。

 

「そうですね、確かに……緒方君は言っていました」

 

「勿論、契約前にユエには教えてある」

 

「ん、聞いた。ユートにはお嫁さんが沢山居るって。下手すると百人や二百人じゃ利かないくらい」

 

「なっ!?」

 

 雫は驚きが天元突破したらしく、白目を剥いてしまう程に凄まじい形相だ。

 

「浮気や不倫とか言われても困るぞ? 【閃姫】契約前には必ず教えているし、相手もちゃんと納得をした上で契約するんだからな」

 

「そ、そうなんだ……」

 

「因みに正式に婚儀をした相手、若しくは緒方の名前を与えた相手は【閃妃】と呼んでいる。此方は少ないけどね」

 

「【閃妃】……ね。つまり正室みたいなもの?」

 

「まぁね。さっきも言った通り、各世界で正式に婚儀を挙げた相手が主に呼ばれる称号だ。まぁ、【閃姫】と【閃妃】に上下関係とかは無いんだがな」

 

 飽く迄も呼び方の違いが出るだけ、相手によっては結婚に拘るのだから。

 

 本人より寧ろ家族が……

 

 王候貴族の令嬢や大商人の息女だと、やはり家族が拘ってくるのである。

 

「明確な上下関係がでるのは【萌衣奴】からだ」

 

「メイド?」

 

「メイドさん?」

 

 雫と香織が想像したのはリリアーナ姫の専属侍女、ヘリーナ辺りであろうか?

 

 彼女はリリアーナと一緒にぱっくんちょをされて、現在は王宮でスパイ活動の真っ最中だったり。

 

「君らが考えたのとは少し違う。萌える衣服の性奴隷を略して萌衣奴だ」

 

「せ、性奴隷って! 先生はそんなの許しません!」

 

「どうして先生の許しが要るのかな?」

 

「だ、だって! 奴隷……しかもせ、性奴隷って! えちぃ事をさせる為だけの奴隷じゃないですか!」

 

「違うな。僕の身の周りの世話をするのが仕事だよ。それは全般に及ぶ。極端な話をすれば、朝に起きたら朝勃ち処理から始まって、起こして着替えさせて朝餉を食べさせる。昼間は普通に炊事洗濯をして夜中には夕餉に風呂の世話に性欲の処理にその侭、添い寝をして朝になったら朝勃ち処理して起こすサイクルを繰り返すんだよ」

 

「なっ、なななっ!?」

 

 愛子の脳内処理が最早、オーバーヒートを起こす。

 

 因みにだが、人数的には驚く程に少なかった。

 

 【ゼロの使い魔】世界から元素の兄弟ジャネット、【ハイスクールD×D】の世界から堕天使ミッテルトという二人に、割かし最近の世界で【ドラゴンボール】はヘラー一族のザンギャが加わった程度。

 

「で、君らは一番下になる単なる性欲処理係」

 

「ちょっ!?」

 

「それは酷くないかな?」

 

「そうですよ! まさかの奴隷より下っ端ですか?」

 

 雫も香織も愛子も憤慨をしてしまう。

 

「危険から護る対価で僕の性欲を鎮める役目。奴隷ですらないだろうに」

 

「そうだけどさ……」

 

 ヤっておいて余りに淡白に過ぎるであろうと云う、雫としてはやはり不満を隠せなかった。

 

 実際、雫はちょっとだけだがトキメキを感じていたから、もう少し対応を良くして欲しいと思う。

 

 基本的にポニーテールで吊り目がち、身長は一七二と少し高めで【八重樫流】なんて道場の娘。

 

 そして好みのタイプは、ずばり護ってくれる頼もしい男……である。

 

 対価を取られるとはいってみても、実質的に普通の女の子みたいに護られている立場は心地が好かった。

 

「だいたい、君に渡したらクラスメイトの連中も寄越せと騒ぐに決まっている。君らは萌衣奴より下だが、権利が無い分義務も無い。奴らと合流したらさっさと抜ける事が許されるんだ。代わりに一切の物を与えられる権利が無いだけでね」

 

 本来は護る代わりに抱かれるのだから、ぶっちゃけ食事を与える義務すら無かったりするが、流石にそれでは自分も困るから与えているに過ぎない。

 

「まぁ、武器が無かったら困るよな。ユエの封印を斬ろうとして折っていたし」

 

「グフッ!」

 

 ナニかが突き刺さった。

 

「仕方がないな」

 

 ユートは遂先程に斃した蠍モドキの殻を掴む。

 

「どうすんのよ?」

 

「【創成】!」

 

 ギュンッ! 殻は瞬間的にモーフィングしたかと思ったら、太刀へと姿を変えてしまっていた。

 

「は?」

 

「無銘の魔導剣だ」

 

「へ、え?」

 

 刀身が九〇cm程の太刀であり、使用をした鉱石は【シュタル鉱石】だ。

 

 蠍モドキの外殻をユートが【鑑定】をしてみたら、【シュタル鉱石――魔力との親和性が高く、魔力を込めた分だけ硬度を増す特殊な鉱石――】と出た。

 

「そいつに魔力を込めれば刀身が硬度を増す。くれてやるから、連中と合流したら使うと良い」

 

「う、うん。やっぱり戻る気は無いんだ?」

 

「無いな。リリアーナとかメルド団長は信用もしてはいるが、他は余り信じていないからな。特に宗教屋は好きになれなくてね」

 

「イシュタルさん?」

 

「狂信者は厄介だからな。知っているのか? 先生が戦争に対して反対した時、イシュタルの眼のギラつきは凄まじかったぞ?」

 

「……そうなんですか?」

 

「奴らからしたら神エヒトに選ばれ、戦争をするのは至上の悦びなんだろうな」

 

 ブルリッ、狂信者という地球にも有り得そうな存在を考えて、三人は背筋が凍る思いであったと云う。

 

「そ、それにしてもさっきのって南雲の錬成みたいな術だったよね? 創成って言っていたっけ?」

 

「みたいなというよりは、ハジ……南雲の錬成の謂わば上位互換的な技だよ」

 

「へぇ?」

 

「莫迦共はアイツの錬成をありふれた職業と言って、無能呼ばわりをしていたけどな。アイツがその気になれば刀をこうして造る事も可能だし、時間は掛かるかも知れないが近代兵器だって造れる筈だよ」

 

「マ、マジに?」

 

「僕の【創成】は【錬金】から【錬成】にと進化して今に至る。南雲の錬成と同じとは言わないが、似ているから出来る筈さ」

 

 尤も、今のユートみたいな事は派生技能が出るなり熟練度を上げるなりして、兎に角レベルアップしないと無理だろうけど。

 

(ハジメがオタクだったのもこの際、プラスになっているだろうし……な)

 

 ユートは南雲ハジメとは実は割と仲が良く、学校では本人がシャットアウトしているから話し掛けられなかったが、休みの日などに特撮やアニメの映画を観たりと、オタク的な趣味へと没頭をしている。

 

 この世界での地球には、【仮面ライダー】など放映されており、劇場版なんかも一緒に観に行く仲だ。

 

(生きているか……ね?)

 

 心配をする程度には南雲ハジメを気に掛けていた。

 

 

.

 




 う〜ん、ダークキバの能力はどうしようか?

 最低限、ノイントを斃せる程度にはなれるけど魔力次第で強くなる設定だし、初期値はそこまで強くする必要も無いかな……


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