【魔を滅する転生○】シリーズ外伝噺集   作:月乃杜

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ありふれた職業で世界最強【魔を滅する転生業】っぽい噺――ありふれた炎虎で植物炎上

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 ありふれた職業。

 

 鍛冶師の中でも一〇人中一人は持つ天職。

 

 世界最強なぞ夢のまた夢でしかない存在、オルクス大迷宮でも無様に逃げ回る事しか出来なかった。

 

 あのベヒモスに対して。

 

 最初のオルクス大迷宮での実戦訓練、初日だけという約束で畑山愛子先生まで付いてきたあの日、錬成師の南雲ハジメは友人を見失ってしまった。

 

 ハジメは所謂、オタクというやつでアニメや特撮を観賞したり、漫画や小説を読むのが大好きだ。

 

 というのも、家庭環境に問題というのもおかしな話なのだけど、両親の職業に影響されたのは間違いないと云えるだろう。

 

 南雲 愁……職業はゲーム会社の社長。

 

 南雲 菫……人気の少女漫画家。

 

 性格は二人共が愉快で、特に南雲 愁の教えた知識がハジメに大いなる影響を与えており、一時期は気の迷いから中二病を患っていた事もあった。

 

 ハジメは仮面ライダーも好きで、毎年新たなベルトを買っては『変身』などとポーズを極めている。

 

 中二病は卒業したけど、こればかりは止められない趣味であった。

 

 とはいえ、オタクである事を両親は職業柄から肯定してくれるが、周囲までが認めてなどくれない。

 

 要するにハジメは虐めを受けていたのだ。

 

 そんなハジメの清涼剤となったのが、女の子ではなくあろう事かユート。

 

 共にアニメや特撮を鑑賞する仲になり、学校以外では確実に友人として歩んでいたと思う。

 

 そして異世界トータスへクラス全員に社会科の畑山愛子先生まで召喚されて、ステータスプレートにより自分の与えられた能力というものが明らかになった。

 

 

南雲ハジメ

レベル:1

17歳 男

天職:錬成師

筋力:10

体力:10

耐性:10

敏捷:10

魔力:10

魔耐:10

 

技能:錬成 言語理解

 

 

 自分は錬成師という天職を持ち、技能に錬成が在るのが判った。

 

 言語理解は恐らくクラス全員が持っていて、此方の世界の言語を理解出来る様にしてくれているのだ。

 

 ハジメは父親の南雲 愁からの薫陶を受けてる為、異世界転移に関する知識も普通に持っている。

 

 だから少し期待したが、そんなものはあっさりと打ち砕かれた。

 

 先ずステータス値だが、トータスの一般平均が10らしく、ハジメはつまる処が平均でしかないと云う。

 

 次に天職、錬成師というのは非戦闘職だと初めから判っていたけど、レア度で云うなら鍛冶師の一〇人に一人が持つ程度でコモンといった処であろう。

 

 畑山愛子先生も魔力以外は平凡だったが、天職的には作農師だという伝説的なもので、勇者と殆んど変わらないレア度らしく所謂、ウルトラレアという処か。

 

 ボッキリ心が折れる。

 

 当然ながら檜山大介率いる連中から莫迦にされて、ユートにまで見放されたらと怖かった。

 

 怖く話せない侭でいて、夜中にユートが来訪してくれなければ、直に話そうとはしなかっただろう。

 

 心配は杞憂に終わる。

 

「僕も魔法に【錬成】というのを持っていた」

 

「持っていたって過去形? 今は無いの?」

 

「無くなったんじゃなく、【創成】ってのに進化しただけだよ。ちょっと切っ掛けがあってね」

 

「そうなんだ……」

 

 ユートの説明によれば、この技能は使えるものだからハズレでは決して無く、熟練度と魔力や精神力を高めていけば、いずれ精密な部品を造り出せる用になる筈だから、その気になればそれこそ強力な武器防具、更には近代兵器すらも製作が可能となる筈だ……と。

 

 事実、ユートは最初こそ宝石の原石をカッティングしたり、大雑把に山を削ったりが精々だった魔法が、慣れてくれば時間の短縮も出来たし、精密な操作なども出来る様になっていき、魔導車や魔導単車といった乗り物の開発、果ては零戦なんて戦闘機だって製作してしまったらしい。

 

 見本にと単なる鉄から鋼の短剣を【創成】、それを御守り代わりにくれた。

 

 理想的な力を見せてくれたユート、だからハジメは魔力を上げるべく訓練には参加しつつ、休みの日には様々な勉強をする傍ら教わった修業法で錬成の腕を磨く事を優先した。

 

 何度か檜山大介一派に絡まれたり、天之川光輝からはまるでサボっているみたいに言われたり散々な目には遭ったものの、その度にユートが庇ってくれる。

 

「訓練の休みに自分の技能を磨くのがサボりだとか、頭は大丈夫か? 天之川」

 

「だ、だけど!」

 

「勘違い野郎がいつまでも勘違いしてるな。ハジ……南雲は錬成師、非戦闘職なんだから本来は戦いに参加をする必要は無い。訓練も最低限の自衛が出来れば良いんだよ! 必要なのは、天職の錬成師として錬成の技能を高める事だ。それをしてないなら成程、サボりと言わざるを得ないよな。だが、南雲は自分の技能を磨いている。やるべき事をやっている南雲がサボっている? お前、リーダーには向いてないわ。視るべき処も視れず虐めを看過し、本当に努力をして結果を出している者を罵倒するんだからな!」

 

「ぐっ!」

 

「寧ろお前は檜山達の虐めを肯定したな? 正にお前はリーダーというより勇者失格だ!」

 

「なっ!?」

 

 実際にハジメはきちんと結果を出していた。

 

 教わった通りに錬成を磨いていき、僅か一週間程度でハイリヒ王国騎士団が使う一般的な剣や槍と同程度の武具を錬成している。

 

 それを騎士団に卸す事もやっていたのだから。

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

 ダンジョンアタックから約二ヶ月が経つ。

 

 あのトラップの悪夢で、行方不明となったその中にユートの名が有った。

 

 他にも先生や白崎香織や八重樫 雫の名前も。

 

 だけど一連の悪夢をつくった檜山大介は死亡して、更にはリーダー役をしていた天乃川光輝が引き籠り、他に騎士団やクラスメイトの明確な死者、天乃川光輝だけでなく他のクラス連中も殆んどが意気消沈。

 

「ハジメ君……」

 

「ああ、中村さん」

 

 ノックして入ってきたのは中村恵里、クラスメイトの中でも生き残った一人であり、ベヒモスに弾き飛ばされて奈落に落ちそうになった彼女をハジメが救って以来、こうして日参で部屋に通って来る様になった。

 

 仲が良かった白崎香織が行方不明で、親友でもある谷口 鈴も持ち前の明るさに翳りがあり、居たたまれない状況だったらしい。

 

「また食事を持ってきてくれたんだ」

 

「ハジメ君、そうしなかったら食べもせず頑張っているから」

 

「うん、御免ね」

 

「謝らないで、私がやりたいからやってるだけ」

 

 甲斐甲斐しい通い妻……中村恵里はそんな感じに、南雲ハジメの世話を焼く。

 

「完成しそう?」

 

「何とか精密な部品が完成出来る様になってきてね、少しずつだけど全体完成の目処も立ったよ」

 

「凄い! ねぇ、完成したらハジメ君はまた私を護ってくれる?」

 

「うん、護るよ」

 

「嬉しい!」

 

 頬を朱に染めながら抱き付く中村恵里に、柔らかな感触と女の子の香りというコンボを受けて、ハジメは自分の男の子がムクムクと勃ち上がるのを感じた。

 

 心頭滅却と唱えながら、ハジメが見つめる部品……青と銀を主体とした人の形を模したそれはユートとの約束の証でもある。

 

「ひゃっ!?」

 

「ハジメ君、おっきいよ」

 

「な、中村さん……だから駄目だよこんなの」

 

 サワサワとハジメの中のハジメが撫でられる。

 

「ねぇ、恵里って呼んで」

 

「え、恵里さん?」

 

「呼・び・捨・て……で」

 

 見た目には幼い部分がある中村恵里だが、その様は艶やかで淫靡な雰囲気を醸し出していた。

 

 さて、中村恵里。

 

 彼女はユートの識り得ない本来の世界線に於いて、最悪の裏切者となり天乃川光輝を洗脳してエヒト側に行ってしまう。

 

 理由は天乃川光輝を独り占めにしたいが故。

 

 彼を独占するのは性質上で不可能、そん判断をした中村恵里は日本でさえ他者を蹴落としたがっていた。

 

 この異世界トータスでなら叶うと悦び、日本に帰る心算も更々無かった様だ。

 

 だが、この世界線に於いて天乃川光輝は香織香織と叫びながら失態を演じて、中村恵里など見向きもしないで危うく死ぬ処。

 

 それを唯一、見付けてくれて救ってくれたのが正に南雲ハジメである。

 

 一時に見てしまった好きな男の失態と、見もしなかった筈の男の活躍。

 

 死の淵に立たされた経験と救われた熱、吊り橋効果もあるのかも知れないが、単純過ぎるかもだけど……いつの間にか目で追う様になってしまう。

 

 だから日参して興味を惹こうと頑張っていた。

 

 幸いな事に天乃川光輝とは違い、ハジメの良さには誰も気が付いていないか、唯一気付いていた白崎香織は行方不明。

 

 自分がアタックしていても誰も何も言わない。

 

 ハジメの側に居る事で、満たされていた中村恵里。

 

 此処に『綺麗な中村恵里』が爆誕したのである。

 

 数日後、互いに裸身を晒した状態で朝のベッドの上にて、陽の光を浴びているハジメと恵里が居た。

 

 白いシーツには赤い染みが点々としていたと云う。

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

 話し合いを終えたユート達は、明日も早いのだからと寝る事になった。

 

 その際、ユートに抱かれたのは愛子である。

 

 万が一にも妊娠したら、そう考えると学生の香織と雫を早々と抱かせる訳にもいかないと、自分から抱かれるのを買って出た。

 

 

「まぁ、まず妊娠はしないと思うけどな」

 

 デキ難い体質であるし、それこそ一ヶ月間を寝食も忘れヤリ続けるのだとか、そのくらいはしないと妊娠したりしない。

 

 また、ユートはアーティファクトであるステータスプレートを【創成】で造り出し、それをまだ持っていないユエに渡してやる。

 

 ステータスプレートとは身分証にもなるし、真実はユートがヒソカ・モロウからコピった【薄っぺらな嘘(ドッキリテクスチャー)】で隠すが、取り敢えずユエの能力も見られる。

 

 

ユエ・オガタ

レベル:73

323歳 女

天職:神子

筋力:300

体力:340

耐性:100

敏捷:220

魔力:10000

魔耐:12000

 

技能:自動再生[+痛覚操作] 全属性適性 複合魔法 魔力操作[+魔力放射][+魔力圧縮][+遠隔操作][+効率上昇][+魔素吸収] 想像構成[+イメージ補強力上昇][+複数同時構成][+遅延発動] 血力変換[+身体強化][+魔力変換][+体力変換][+魔力強化][+血盟契約] 高速魔力回復 状態異常耐性 闇之魔法

 

 

 やはり魔力が凄まじく、付随して魔耐も高かった。

 

 因みに、ユートに抱かれて潜在能力の覚醒が成されたからか、元の数値よりは高くなっている筈らしく、状態異常耐性というのも知らない技能だとか。

 

 毒耐性や麻痺耐性や石化耐性や混乱耐性など、状態異常に対する完全耐性だ。

 

 また、変わった事といえば香織と雫と愛子の首には翠色のチョーカーが填められており、三人は頻りに首のそれを気にしていた。

 

 これは【隸属の首輪】、ファンタジーではよく有るアイテムであり、御主人様の奴隷という証である。

 

 どうしても諦め切れない雫に、完全に奴隷となって服従するなら貸与すると、割かし外道な事を条件として付けたが、それに頷いてきたから着けた。

 

 青爪邪核呪詛(アキューズド)という隸属魔法と似た効果を持ち、ユートに対して敵意を懐いたら内部から針が飛び出し、死ぬよりも苦しい毒に苛まれる他、それでも敵意を捨てなければ最終的に肉体が木端微塵となり、ヒキガエルへと変えられてしまう魔導具。

 

 しかも記憶は残り続け、死んでもヒキガエルに転生する輪廻付き。

 

 そう教えたら引き攣った表情になった。

 

 当然、ユートが不利になる行動や言動を取っても、同じ事になるだけである。

 

 ライドプレイヤー型クロニクルガシャットを渡し、雫に渡した刀以外で香織には杖を、愛子にはメイスを武器として渡してやった。

 

 飽く迄も貸与に過ぎず、ユエみたいにはいかない。

 

 まぁ、スペック上だけなら奈落の魔物と戦えない訳ではない程度に上がる。

 

 勿論、ライフゲージが無くなれば消滅なんてリスクは一切無い。

 

 変身は解除されるが……

 

 早速、第五一階層からの使用を試みる。

 

 クロニクルガシャットのスイッチオン。

 

《KAMENRIDER CHRONICLE》

 

「変身!」

 

《ENTER THE GAME! RIDING THE END!》

 

 土気色とでも云おうか、量産型“らしく”シンプルなデザインとカラー。

 

 一応、分類上では仮面ライダーとされるコイツは、ライドプレイヤーだった。

 

 究極のゲームと称された【仮面ライダークロニクル】のプレイヤー、然しながらバグスターからしたなら単なる雑魚キャラ、マリオで云えばクリボー扱い。

 

 そういえば色は似ているかも知れないが、取り敢えずレベル2までなら徒党を組んでゲーマライダーと戦える戦闘力は有していた。

 

「のっぺりしてるね」

 

「色がちょっと……アレかもしれません」

 

 見ていた香織と愛子には不評らしく、微妙な表情で自分の渡されたガシャットを見つめる。

 

「量産型ライダーだから、デザインもカラーも画一的でシンプルなんだよ」

 

 南雲ハジメが好きな香織は一応だが、彼の好みとするモノを調べてはいたが、仮面ライダーに関して知識は余り無い様だ。

 

「ま、まぁ良いわよ。これで戦えるのよね?」

 

「一応だけどな」

 

「なら、試すまでよ!」

 

 こうして第五一階層にまで降りた訳だ。

 

「はっ! たぁっ!」

 

 武器もシュタル鉱を用いユートが造り出した一級品であり、ライドプレイヤーとなってパワーもスピードもディフェンスも生身に比べ大幅にアップした。

 

「戦える!」

 

 斬っ! 斬っ!

 

「これなら充分に!」

 

 現れる魔物は斬り斃し、高揚する気分を口にする。

 

 本人のステータスに+してライドプレイヤーの能力だからか、上手くこの階層の魔物を屠る雫。

 

 クロニクルガシャットを右手に、そしてあのトラップに使われていたグランツ鉱石を用いたチョーカーを左手に触りつつ、ちょっと哀し気な表情になりながら香織はスイッチを押す。

 

《KAMENRIDER CHRONICLE》

 

「変身っ!」

 

《ENTER THE GAME! RIDING THE END!》

 

 雫と全く変わらない音声が響き、その姿も代わり映えしないライドプレイヤーへと変身し、香織も自分の戦いを始める。

 

「先生も戦います!」

 

《KAMENRIDER CHRONICLE》

 

「変、身!」

 

《ENTER THE GAME! RIDING THE END!》

 

 愛子の低い身長からか、ライドプレイヤーも低めな身長となっていた。

 

「な、何で先生はちみっこいんですかぁぁっ!」

 

 叫んでも変わらない現実というのが伸し掛かる。

 

「ふえぇぇぇん!」

 

 メイスを振り回しつつ、涙目な愛子による魔物への八つ当たりだ。

 

 バコン! ドカンッ! と魔物を撲殺していく。

 

「ん、蝙蝠モドキ……力を貸して!」

 

「良かろう、ガブリッ!」

 

 魔皇力の注入行為の噛み付き、ユエの両頬にステンドグラスの様な紋様が浮かび上がった。

 

「変身っ!」

 

 笛の音みたいな待機音が鳴り響く中、ベルトの止まり木へキバットバット二世をセットする。

 

 その姿は蝙蝠を模した、ファンガイア一族のキングが纏うべき【闇のキバ】、仮面ライダーダークキバであった。

 

「緋槍っ!」

 

 ユートの造り上げた仮面ライダー、それは本物ではなく模造品であり真実は、【魔獣創造(アイアレイション・メーカー)】という神器の禁手――【至高と究極の聖魔獣】によって創造をした聖魔獣、各能力値は変わらないがオリジナルには無い機能が追加されている。

 

 即ち、本人の素の能力のパワーアップ。

 

 ユエならこの姿で魔法を放てるし、その威力は上がりながらも消耗は少なくなるという。

 

 ユエの手元に現れた炎は渦を巻き、円錐状の槍の形を取ると、一直線に幾多の魔物へと飛翔して、あっさりと突き刺さり貫通した。

 

「ん、絶好調」

 

 四人の経験値稼ぎを兼ねた戦闘な為、ユートは取り敢えず変身しないで見ているだけのスタンス。

 

 まぁ、背後から魔物が襲ってくれば拳でぶっとばしているが、基本的には四人のライダー任せである。

 

 暫くは上手く進めていたのだが、白いティラノサウルスみたいな魔物が何故か次から次へと襲って来た。

 

「ちょっ、何なのよ!」

 

 雫が叫ぶ。

 

「どうして花を咲かせてるんだろう?」

 

 ティラノサウルスみたいな魔物は、何故だか全ての個体が向日葵みたいな花を一輪、飾っていて香織としては疑問で一杯だ。

 

「みんなが咲かせてるし、何かの流行りですかね?」

 

 愛子も首を傾げる。

 

 とはいえ、可成りの数が矢継ぎ早に押し寄せてくるから結構キツい。

 

「今度はチューリップを咲かせたラプトル?」

 

 体長が二m強の爬虫類、確かにラプトルと呼べそうな恐竜っぽい魔物。

 

「花……ねぇ……」

 

 まるで示し合わせたかの如く、何故か花を一輪咲かせた魔物が現れる。

 

「偶然も続けば必然か」

 

 恐らく花には意味が有るのだろうと推察、それを確かめるべく花へ向けて……

 

閃熱呪文(ギラ)!」

 

 まるでレーザー光線みたいなギラを放った。

 

 ピチュン! 根元から花が落ちたラプトルモドキ。

 

「グルッ……グガァァァァァァァァッッ!」

 

 すると丸っきり親の仇と言わんばかりに、ラプトルが花を踏み潰し始めた。

 

「な、何よ突然?」

 

 ラプトルの行き成り過ぎる凶行に、雫は呆然となりながら見守る。

 

「やっぱりな」

 

「……どういう事?」

 

「奴らは操られていたんだろうな。しかもこの様子からして、操られていた間の意識も確りとある」

 

 ユエからの質問に答え、更に呪文の準備を始めた。

 

「喰らえ、氷獄呪文(マヒャデドス)ッッ!」

 

 巨大な氷の刃が雨霰と、容赦無くラプトルモドキへと降り注ぎ、やはり爬虫類だったのか敢えなく全滅をしてしまう。

 

「……ユート、魔法も割と凄い?」

 

「これでも異世界で魔法使いが貴族をやってる場所で子爵位だったし、別の世界では賢者……と言っても判らないかな? 魔法使いと僧侶の呪文全般を扱う事をやっていたからね」

 

「い、異世界?」

 

 愛子が震える声を出す。

 

「そ、異世界。僕にとって地球以外の世界とか珍しくも無いんだよ」

 

 異世界転移は何度も経験しており、それ処か異世界転生すらしていた。

 

「それで、どうするの?」

 

「今の内に黒幕の処まで、一気に駆け抜ける!」

 

 既に場所は掴んだ。

 

 余計な戦いはせず中ボスが居るだろう場所へ。

 

 幸い仮面ライダーなら、脚の疾さの値も当然高い。

 

 魔物を操る黒幕が只で行かせる訳も無く、ラプトルだけでなくティラノサウルスも嗾けてきた。

 

「凍獄っ!」

 

極大閃熱呪文(ベギラゴン)ッ!」

 

 それらは露払いとばかりにユートとユエ、魔法使いコンビの火力でぶっ飛ばして始末する。

 

 尚、ユートが斃した魔物は自動的に魔石が手に入っており、剥ぎ取りは現状では面倒だからやらない。

 

「此処が黒幕の本拠地か。ああ、変身は解除するな。恐らく魔物みたいに花を咲かせて操られるぞ」

 

「変身してたら操られないって事?」

 

「八重樫、正解だ。本物は兎も角として、此方は僕の想像した通りに創造する事が可能だ。状態異常なんて当たり前なデバフに対処をするのは寧ろ常識」

 

「常識とまで……」

 

 毒に麻痺に石化に混乱、傀儡化なんてのも経験している身としては、デバフに対抗処置をする必要性を感じるのは当然の話。

 

「ふん、この緑の球が操る為の某か……か。無駄だ、僕にこんなもん効かんよ」

 

 ユートは敵を嘲笑いながら黒を主体に、中央部には黄色の輪が填まる機器を腰へと据える。

 

 ヒデンリンカーが伸長、腰に確り装備された。

 

《ZERO ONE DRIVER!》

 

 プログライズキーを右手に持ち、ライズスターターを親指で押してやる。

 

《FIRE!》

 

 右側に有るオーソライザーへ読み込ませ……

 

《AUTHORIZE》

 

 認証された。

 

 トランスロックシリンダーのロックが解除されて、フレイミングタイガープログライズキーを展開、キーモードとなったそれを手にした侭でポーズを取る。

 

「変身っ!」

 

 ライズスロットへ装填。

 

《PROGRIZE!》

 

 左側のライズリベレーターが展開され、プログライズリアクタを解放。

 

《GIGANT FLARE FLAMING TIGER!》

 

 巨大な黄色のバッタと、同時に緋色の虎が合着。

 

《EXPLOSIVE POWER OF ONE HUNDRED BOMBS!》

 

 黒いアンダースーツに、緋色のアーマーで仮面すら緋色の青い複眼を持った、虎がモチーフの炎の戦士……仮面ライダーゼロワン・フレイミングタイガー。

 

「仮面ライダーゼロワン、それが僕の名だ!」

 

 ゼロワンドライバーは、ユートが闘神都市で動いていた頃、狼摩白夜の記憶から聖魔獣ゼロワンと共に、装着用デバイスとして造った代物だ。

 

 当然、スペックは再現が成されていて強い。

 

 況してや、相手は長々と戦う程の強敵という訳ではなかった。

 

「アルラウネっぽい魔物、似非アルラウネか」

 

 操るのに花を使った辺り植物系の魔物だと当たりを付けたが、まんまアルラウネみたいな緑色の人っぽい身体をして、頭に赤い花を咲かせた感じである。

 

 猫……というか虎の様な掌からは炎を噴き出す。

 

「お前を止められるのは、唯一人……僕だ!」

 

 ゼロワンドライバーに刺さる、フレイミングタイガープログライズキーを押し必殺技を放つ体勢を取る。

 

《FLAMING IMPACT!》

 

「はぁぁぁっ!」

 

 炎の輪が生み出されて、ユート……仮面ライダーゼロワンがそれを潜り抜け、炎を纏った爪を振り被ると似非アルラウネに対し振り下ろした。

 

「だりゃぁぁぁっ!」

 

『ギャァァァァアアアアアアアアアッッ!』

 

 火に強い訳ではないからには、似非アルラウネは炎に巻かれて燃え尽きた。

 

 魔石はちゃんと有ったらしく、アイテムストレージに入っているらしい。

 

「よし、変身解除しつ構わないぞ」

 

 原典ではヒロインが操られて多少、面倒な魔物という印象もあったのだけど、ユートはそれを識らないが故に適当な感じで屠る。

 

 尤も、ずっと先の真なる敵に相対するのに、こんな程度で苦戦するなどあってはならないのだが……

 

 

.




 中村恵里は生き残らせ、本来の主人公とくっ付ける事にしました。

 口調はまだ猫を被っていますが所謂、『綺麗な中村恵里』と化しています。


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