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焼き尽くされた似非アルラウネ、その背後に居るのは緋色の鎧兜に身を包んだ騎士――仮面ライダーゼロワンであった。
バックルに装填されていたプログライズキーを抜いてしまい、変身解除をしたユートはアイテムストレージ内にゼロワンドライバーを仕舞い、溜息を吐きながらユエ達の方を向く。
丁度、皆が変身解除して元の美少女然とした姿に戻っており、あの気色の悪い似非アルラウネを見た後では良い目の保養となった。
「あれって何なのよ?」
「うん?」
「仮面ライダーディケイドじゃないわよね?」
「名乗ったろ? 仮面ライダーゼロワンだって」
「仮面ライダーゼロワン。仮面ライダーってそもそもどれだけ在る訳? てか、仮面ライダーっていったい何なの?」
「特撮ヒーローだ」
「はぁ?」
特撮その物を識り得ないユエ以外は、余りにも余りな答えに驚愕してしまう。
「毎週日曜日の午前から、変身美少女系アニメの次に放映している。因みに言うと更に次は戦隊系特撮だ」
「あ、ハジメ君が好きだっていうのに有った気が!」
思い出したと言わんばかりに気が付く香織。
「特撮ヒーローを造った? どういうオーバーテクノロジーよ!」
「魔法と聖書の神が遺した神器、そして妄想力の賜物ってやつだね」
「も、妄想力って……」
その言い方に雫は呆れ返っていた。
「あの……セ、セイクリッド・ギアというのは何なんでしょうか? 聖書の神と言うからにはこのトータスの神様のエヒト神ではありませんよね?」
「先生、聖書の神ってのは地球の主を敬う宗教の神の事だよ。十字教とでも言えば解り易いかな?」
「その神様が“残した”、それがセイクリッド・ギア……ですか?」
「そ、“遺した”ね」
微妙に認識が擦れているのだけど、敢えてユートは指摘したりはしなかった。
「セイクリッド・ギアとはどんな物ですか?」
「様々だ。役立つ物ばかりではあるけど、力の大小は可成りバラつきがあるね。因みに人間の血筋にしか宿らない」
「といいますと?」
「神器は君らが生きてきた地球じゃなく、平行異世界の地球に存在した物だよ。そしてその地球には悪魔や天使、果ては神という存在が当たり前に存在してた。妖怪とかもね」
「悪魔? 天使……」
愛子は呆然となる。
自分の識らない知識で、しかも平行異世界の地球という、自分達の世界で立証されていない事実。
しかもユートがそんなのを識っている事、果たしてユートは何者なのか? という今更な疑問を持った。
「僕が持つ神器は二〇個を越えている。だけど本来、一人の人間に宿る神器というのは一つだけだ。後付けするには誰かから奪うしか無いんだが、当然だが僕の神器は奪った物だね」
「奪った……ですか?」
「魂に直結しているから、下手に奪うと死んでしまうんだが、僕はある程度なら魂の修復が出来たからね」
「死っ!?」
「言っておくが僕から襲って奪った訳じゃないから、向こうから襲ってきたから斃して奪取しただけだぞ」
「な、何でそんな?」
悲し気なのは、ユートが強盗でもしたのかと考えたからであろう。
「【禍の団】というテロリストの【英雄派】と名乗る人間だけで構成された派閥が在ってね、連中は強い敵に
「た、魂を引っ張り出す……ですか?」
その言葉だけでも不吉な事を想像してしまう愛子。
「そんな神器の中でも極めたなら神さえも殺す
当初は一三種類であり、その内の上位四種に関しては
また、後に神滅具は五種が確認された上、上位だとされたのが内の二種も存在している。
「全部を教える意味は無いから、僕が所持しているのを教えよう」
教えたとしても香織達にどうこうは出来ないから。
「【魔獣創造】、想像した魔獣を現実に創造する為の神器。【白龍皇の光翼】、触れた相手の力を一〇秒間に一回半減させる能力だ。【赤龍帝の籠手】、これは逆に自分の力を一〇秒間に一回増幅させる。【幽世の聖杯】、生命の理すら狂わせる能力があるけど使い過ぎると精神が汚染される。この四種類だね」
勿論、その全てが奪った物である上に【魔獣創造】の元の持ち主のレオナルドに関しては、ユートが後に【幽世の聖杯】を手に入れるまで、ずっと寝た切りな生活になっていた。
【白龍皇の光翼】と【赤龍帝の籠手】は、闘神都市で動いていた際に転生者から奪取した物で、後者に関して云えば狼摩優世と最終決戦の後で、いつの間にか手に入れていた物である。
【幽世の聖杯】は持ち主が完全体を得て、それを譲って貰った形だった。
また、ユート自身は持っていないが新しい神滅具、【
ユートはギャスパー・ヴラディを女性足らしめた、自身の【
「仮面ライダーを造ったのは【魔獣創造】の禁手で、【至高と究極の聖魔獣】という。仮面ライダーという名前の聖魔獣って訳だね。それを着込む為のデバイスが変身アイテム、その多くはベルトの形をしている」
因みに、ファイズ系にてドライバーの名前は付いていたが、正式に変身ベルトがドライバーと呼ばれる様になったのは、ディケイドライバー以降である。
聖魔獣を着込む。
この発想はガンガンなる少年誌及び、Gファンタジーに連載された【妖獣武装ブライオー】と【妖獣戦線ブライオー】が元だ。
この噺のブライオーとは人型の妖獣であり、主人公はそれを纏う形で戦う。
聖魔獣の仮面ライダーをベルトなど、変身アイテムに量子化し内蔵しておき、必要なアクションを取ると身に着込む形で実体化する仕組みとなっていた。
幾つか聖魔獣じゃあない仮面ライダーも在るけど、仮面ライダーゼロワンなどは基本的に聖魔獣である。
「私達が借りたライドトルーパーは量産型と聞いていますが、これって量産が利くものなんですか?」
「聖魔獣にせよデバイスにせよ、一回でも造れば情報が記録される。後は幾らでも増産が可能なんだよ」
「それは……」
その気になればオルクス大迷宮の奈落の底である、真のオルクス大迷宮の魔物すら屠る存在を、幾らでも増やせてしまうという事。
実際、ユートは量産型の茶々丸に黒影トルーパーを与えており、某・劇場版みたいな一万人とはいかないが千人規模のライダー部隊を作っている。
基本的には【魔法少女リリカルなのは】世界に創設した聖域、其処の守備部隊という位置付けであるが、各国首脳の護衛なども仕事の領分となっていた。
女性型だから秘書として普段は侍るが、いざとなったら黒影トルーパーに変身して護る訳だ。
尚、茶々丸のナンバーズは兎も角として、量産型の方はセクサドールとして使えない造りである。
「緒方君はそれでハイリヒ王国、いえ……人間の世界を護ろうとは思えないのですか?」
「戦争をしろ……とか? 天之川の莫迦みたいに?」
「戦争は駄目だと思いますけど、緒方君の考えはどうなのかな……と」
「言ったろ? 召喚をして戦争しろとか、そんな連中がまともな訳がないんだ。だから僕は先ず世界の情勢を掴みたかったんだけど、勇者様(笑)が勝手に戦争を決めるは、腰巾着の取り巻きが追従するは、それに流されて殆んどの連中が首を突っ込むは、本当に『バカばっか』と言いたいね」
「うっ!」
「ぐふっ!」
勇者様(笑)の腰巾着呼ばわりされた二人が、何やらグッサリと突き刺さったらしくて胸を押さえていた。
「あの勇者様(笑)は戦争の意味を、他者を死なせるという意味を知らないんだ。自分が殺される覚悟だってある筈がない。はっきりと云えば奴はいざ魔人族と戦ったら、何だかんだ言って殺さないだろう。その結果として多くの犠牲が出たら御都合解釈でもして逃避をするんだろうな」
いつものパターンで。
「有り得そうで恐いわね」
雫は首肯するしかなく、香織もやはり頷いた。
「さて、ユエ」
「……ん?」
「今晩は頼むな」
「……了解」
嬉しそうに頷きながら、ユートに付いていく。
それを複雑そうな表情で見送る三人。
「はぁ……」
「八重樫さん、突然どうしました?」
「うん。緒方ってやっぱりえちぃのが好きだよね」
「男の子ですから」
「私らの事は飽く迄も性欲処理の奴隷……かな?」
「う〜ん、それを決めたのは私達ですけどね」
雫と愛子の話に、香織は自分の首に填まった翠色のチョーカーに触れた。
あの転移トラップに使われていたグランツ鉱石を、素材として使って即興にて造られた首輪。
グランツ鉱石は綺麗で、希少性もあるから貴族なんかが婚約、結婚指輪として贈る物に最適らしい。
それがまさかの奴隷の証であり、しかも意味合いとしては相手を縛るという事で同じだから皮肉が利く。
「だけど優しいですよ」
「そりゃ、ヤってる時ならそうなんだけどさ」
愛子の科白に雫は実際の情景を思い出し、顔を真っ赤に染めながら言った。
香織も思い出したらしく俯いているが、顔はきっと雫と同じくらい真っ赤。
「お菓子とかジュースも、こうして出してくれます」
確かにと思った。
ペットボトルのジュースにスナック菓子、これらはユートがアイテムストレージから出してくれた物。
何だかんだ言いながら、美味しいご飯が食べられるのもユートが食材を出してくれているからで、魔物の肉を貪らずに済むのは正直な話が有り難い。
魔物の肉は人間が食べると死ぬと聞くし。
三人はユートとユエが向かった先を視た。
遮蔽と遮音が成されて、ヤっている姿は見えたりしないし、声や音も聞こえてくるなんて事はない。
だけど確実に今彼処で、ユートが小さなユエと始めてしまっている。
本当に複雑な心境になりながらも、ガールズトークに花咲かせる三人だった。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
安全な領域を作っては、えちぃをユエ、香織、雫、愛子と代わる代わるしながらも先へと進む。
どれくらいの時間が経ったのか最早、よく判らなくなるくらいオルクス大迷宮を彷徨っている気がした。
偶には香織と雫で3P、或いはユエと愛子で3Pをしてみたり、四人を同時に5Pで決めてみたりする。
もうすっかり慣れたか、好きな男が明確に居た香織もユートの分身を口にするくらいしておりもう何度、絶頂に至ったか数えるのも億劫となった程だ。
更に数日後……
「ふむ、百階層か」
恐らくは真のオルクス大迷宮の最終階層に着く。
その進んだ先は、無数の強大な柱に支えられた広大な空間で、柱の一本一本が直径にして五m程度の太さがあって、螺旋の模様と木の蔓が巻き付いている様な彫刻が彫られている。
柱の並びは規則正しく、一定間隔で並んでいた。
天井までは約三〇mだといった処か、地面も荒れてなどいない平ら慣らされた綺麗なもので、何だか荘厳な雰囲気を感じさせる空間であったと云う。
ユートがユエ達を待機させて、辺りを警戒しながらも歩を進めると全ての柱が淡く輝き始めた。
「チッ、何だ?」
柱はユートの立つ場所を起点とし、奥の方へと順繰りに輝いきを放つ。
警戒をしていたものの、特に何も起こらない。
更に警戒しつつ先に進むユートは、自身の持っているスキルを以て感覚を研ぎ澄ませていった。
どれだけ進んだろうか、前の方に行き止まり。
正確には行き止まりではなくて巨大な扉、全長にして約一〇mはあろうかという両開きの扉だった。
美しいものだと素直に言えそうな彫刻が彫られて、七角形の頂点に描かれた何らかの文様が目に留まる。
「扉……か。若しやこれは反逆者とやらの住処か?」
「……かも知れない」
「ユエ、待っていろって言っただろうに」
「……少なくともユートが進んだ場所は安全」
「こういう場所だ。きっとラスボスとか出てくるぞ」
「……望む処」
脅かした心算であるが、逆にユエはニヤリと口角を吊り上げ、不敵な表情となって見上げてきた。
こんな如何にもラスボスの部屋な感じ、ユートには情報を総合的に無意識領域で統合計算する未来予測があるが、正しく本能レベルで警鐘を鳴らしている。
「フッ、上等だよ」
「……んっ!」
ユートもユエも扉を睨み付けると、二人は足並みを揃えて扉の前まで行こうと柱の間を越えたる。
「なにぃ!?」
扉までは三〇m程か? ユート達と扉までの空間に巨大な、見覚えが全く無い赤黒い魔法陣が顕れた。
ユートは知らないけど、これは勇者(笑)達を窮地に追い込んだ魔法陣であり、直径が一〇m程度だったのに対し、目の前の魔法陣は三倍にも亘る大きさ上に、構築された術式もより複雑で精密なものである。
「ラスボス……か」
「……大丈夫、私達は……絶対に負けないから」
「そうだな、その通りだ」
今度はユートがニヤリ、口角を吊り上げて笑う。
魔法陣は更に輝きを強めると、弾ける様に赤黒い光を放った。
目を腕で遮りながら先を見据え、光が収まった時に魔法陣が有った場所に顕れた存在とは……
『『『『『『グギャァァァアアアッ!』』』』』』
体長約三〇mで六つもの赤青黄白黒緑とカラフルな頭に長い首、赤黒い眼をして鋭い牙を持つ怪獣。
多頭を持つ大蛇となると神話のヒュドラか。
常人では耐えられそうにもない殺気を放ちながら、ヒュドラの六対一二の眼がユートとユエを睨み付けてきていた。
ネオディケイドライバーが装着され、ライドブッカーが左腰に佩かれる。
ユートはライドブッカーを開き、ディケイドの絵柄が描かれたカードを出す。
「変身っ!」
《KAMEN RIDE》
バックルにカードを装填してやり、開いたドライバーを閉じた。
《DECADE!》
幾多のディケイドの幻影が顕れ、ユートへと収束がされていく。
黒いインナーにマゼンタ主体のアーマー、緑の複眼を持つ仮面ライダーディケイドに変身をした。
「……蝙蝠モドキ、力を貸して!」
「良かろう、ガブリッ!」
本来は噛む立場な吸血姫だが、この時ばかりは噛まれて魔皇力を受け容れる。
笛の音にも似た待機音、ユエはキバットバット二世を止まり木に。
「変身っ!」
【闇のキバ】と称される仮面ライダーダークキバ、元来ならファンガイア一族のキングが成る威容。
「絶滅タイムだ、喜べ!」
キバットバット二世が、不敵な科白を宣った。
「まずは一発だ!」
《ATTACK RIDE BLAST!》
カードを装填して引き金を引いてやり……
BANG! BANG! BANG! BANG! BANG! BANG! BANG! BANG! BANG! BANG! BANG! BANG!
一発処か分身した銃身、その銃口からは一二発もの弾丸を撃ち放つ。
だが、黄色い頭が狙われた赤い頭を護る様に前へと進み出て、その身を以て庇ってしまう。
「盾役か、どうやら頭の色で役割が分担されているみたいだな」
「……ん、そうみたい」
頭は六本もあり、黄色が盾という防御役なのは此方でも理解をした。
然しだ、それならそれでやり様はあるもの。
「ユエ、同時に狙うぞ! 僕は赤を狙うから!」
「……ん、判った。それなら私は青を!」
同時に狙えば防御が可能なのは片方だけの筈。
《FINAL ATTACK RIDE DE DE DE DECADE!》
「ウェイクアップⅠだ!」
ユートはファイナルアタックのカードを装填して、ユエはキバットバット二世にウェイクアップフェッスルを吹かせる。
「はぁぁぁっ!」
「……やぁぁぁぁっ!」
顕れた数枚のエナジーフィールド、ディケイドのライダーズクレストが描かれたそれを、潜り抜けながら蹴りを放つディメンションキックと、キバの紋章によりヒュドラを拘束しつつ、ジャンプして急降下しながら拳を叩き込むダークネスヘルクラッシュ、宣言通り赤と青の頭へ同時に必殺技をぶつけに往った。
思った通りに黄色の頭が防御をしてくるが、赤の頭しか護れず青の頭は普通に必殺技を喰らって砕ける。
そして一番防御が高いのだろう黄色の頭も砕けた。
「む?」
「……白いの!」
白の頭が光りを放ったかと思うと、砕けた筈の黄色と青色の頭が復元した。
「チッ、有るよなそれは」
修復だか回復だかを担当する頭なのだろう。
「ユエ、一気にやるぞ」
「……一気に?」
「こういうのは回復役を残すのは面倒だ。ダメージを入れても逐一回復をされるからな! 回復役も盾役も含めて全ての頭を吹っ飛ばすから、ユエは胴体に対してトドメをくれてやれ!」
「……ん、了解した」
ユートはライドブッカーを開き中から新たなカードを取り出す。
カードの絵は何処と無く機械っぽい外見、眼の色が黄色な仮面ライダー。
名前の欄は【FAIZ】と書かれてあった。
《KAMEN RIDE FAIZ!》
ディケイドファイズへと再変身したユート。
《FORM RIDE FAIZ……ACCEL!》
更にフォームライドを使って強化形態、ファイズ・アクセルフォームに成る。
「殺るぞ、ユエ!」
「……殺る!」
ヒュドラからの炎や氷や風という攻撃を躱しつつ、お互いに頷き合い物騒な事を言い放つ。
左手首に装着されているファイズアクセル、それのボタンを押してやる。
《START UP》
これにより一〇秒間というカウントが始まった。
「はっ!」
ユート……ファイズの姿は掻き消え、目にも留まらぬ疾さで駆け抜けヒュドラに攻撃を繰り返す。
そして更にカード装填。
《FINAL ATTACK RIDE F F F FAIZ!》
赤い円錐形のポインターが六つ、ヒュドラの頭全てに狙いを付けて並ぶ。
「はぁぁぁぁぁああっ! アクセルクリムゾンスマァァァァッシュッ!」
一度に六つの頭が砕け散るヒュドラ。
「……征く!」
ウェイクアップフェッスルを二度吹かせる。
「ウェイクアップⅡだ!」
再びキバの紋章が顕れ、ヒュドラの身体を拘束。
「……たぁぁぁぁっ!」
ドロップキックの要領でユエ、ダークキバがヒュドラへと蹴りを放った。
けたたましい轟音を響かせながら、キングスバーストエンドをぶちかます。
それは一八〇tにも及ぶ破壊を齎らし、ヒュドラの肉体を消し飛ばす程に大きな爆発を起こした。
《3、2、1……TIME OUT》
ファイズからディケイドに戻るユート。
反対側にはユエが立つ。
「ふむ、やっぱりだった」
「……どういう事?」
変身解除してトタトタと走り寄り、呟いたユートに訊ねてくるユエ。
「あの状態でも即死してはいなかった。イタチの最後っ屁か下手したら第二形態に移行していたな」
「……しぶとい?」
「蛇……僕が行った世界の一つで竜蛇は女神であり、再生の象徴でもあったよ」
「……再生の象徴、だから起き上がると?」
「可能性の一つとしてね。それで不意を突かれてしまってダメージを受けるとか無いからな」
だからこそ、最後の〆としてユエにトドメを刺させたという訳だ。
「さぁ、蛇は出たんだし? 今度は鬼でも出るか?」
扉を開いたその先は……
「館……だと?」
大迷宮の奈落より更なる底の地獄の奥、ジュデッカでも在るのかと思ったが、其処に存在していたのは寧ろエリュシオンの如く。
一瞬、地上かと錯覚する様な景色であったと云う。
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