【魔を滅する転生○】シリーズ外伝噺集   作:月乃杜

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ありふれた職業で世界最強【魔を滅する転生業】っぽい噺――ありふれた錬成と神代魔法〈中編〉

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「へぇ、悪くない環境だ。反逆者の住処とか云うからどんな場所かと思ったが、随分と良い暮らしじゃないのかこれは?」

 

「……でも、私が封印されていた場所の管理者」

 

「まぁね」

 

 まるで太陽が照っているみたいな環境で、円錐状の物体が天井高く浮いてて、底面に煌々と輝く球体が浮いていた。

 

 緑に溢れて小川が流れ、せせらぎが耳に心地良い。

 

 というか、この何処かしら野球場くらいの広さを持つ空間の奥、その壁からは何故か滝が流れている。

 

 しかも魚が生息している辺り、あの滝は何処かに繋がっているのだろうか?

 

 端の辺りにはどういう訳かベッドルームが、御丁寧な事にそこそこの大きさがあるから、五人で使うにも便利は良さそうだった。

 

 何も植えられてないし、何も飼われていないとはいっても、畑や家畜小屋なども完備されている。

 

 確かに此処で生活をするのは可能そうだ。

 

 まぁ、迷宮の最奥というのは間違い無さそうだし、ユートは取り敢えずこの場の探索を考える。

 

「三人は此処で待機でもしてれば良い」

 

「緒方君は?」

 

「ユエと館を探索するさ。館にまでトラップは無いと思うけど、万が一に侵入者絶対殺すトラップとか有ったら、先生達は生き残れないかも知れないしね」

 

「再生力の高いユエさんは兎も角、緒方君は大丈夫なんですか?」

 

「問題無いね」

 

 その気になればトラップを捜して解除も、別に出来ないという事もないから。

 

「退屈なら三人でレズってても構わない」

 

「「「ヤりません!」」」

 

「さよけ」

 

 一斉に突っ込まれた。

 

 館には容易く入れたし、入口にはトラップも無い。

 

「まぁ、此処で反逆者とやらが暮らしていたんなら、入口にトラップを仕掛けて自分が入れない、何て莫迦な話にしかならないか」

 

 とはいえ、魔力波形なんかでマスターは入れるとか仕掛けなら、問題無く入口にトラップを作れるが……

 

「殆んどの部屋にプロテクトが掛かっているのか? キーになる何かを見付けない限り、入れない様になっているんだろうか」

 

 工房らしき部屋も封印がなされていた。

 

 無理矢理に破壊をする事も不可能ではないのだが、若し変な仕掛けがしてあって館全体が崩れたら? と思うとやるのは頂けない。

 

「まぁ、広いとはいっても所詮は限定空間なんだし、いずれはキーも見付かるとは思うけど……な」

 

「……残りは三階」

 

「二階は現状でどうにもならないし、こりゃあ三階に期待するしかないか」

 

 二階から上がる階段を見付けたし早速、ユエと共に三階へと上っていく。

 

「三階はこの大部屋だけみたいだな……」

 

 一階にはでかい風呂が有ったし、魔力を注げば普通にライオンの口から湯が溢れ出た。

 

 封印もそうなのだけど、施設自体は生きている。

 

 扉は普通に開いた。

 

「魔法陣……か。しかも、今まで見たより精緻なものだな。より大容量な情報を扱っているのか?」

 

「……骨」

 

「誰の骸かは知らないが、服飾は随分と立派だ」

 

 黒地に金の刺繍がされた綺麗なローブを身に纏い、豪奢な椅子に座っている様はあの状態で亡くなったのが判る。

 

 恐らく死期を覚って静かに眠ったのだろう。

 

「部屋にはいっても起動しない辺り、踏まないといけないみたいだね」

 

「……大丈夫?」

 

「罠って線は低いだろう。はっきり言って此処は別荘と聞かされても違和感とかないし、この骸が反逆者とやらなら某か伝えたい遺言でもあるんじゃないか?」

 

 少なくとも、外で顕れたヒュドラみたいな話にはならないだろうと考えた。

 

 部屋としてはそれなりの広さだが、戦闘をやらかすには流石に狭過ぎる。

 

「まぁ、何かあったら頼むぞユエ」

 

「……ん、任せて」

 

 二人は唇を重ね合わせ、暫く堪能してからユートは魔法陣へ一歩を踏み出す。

 

 魔法陣の中央まで来ると純白の光が爆ぜ、某か入り込む様な感覚に襲われる。

 

(勘としては受け容れるべきと云う事か)

 

 感覚的にそう感じ取り、それを自ら取り込んだ。

 

 光が収まったのを期に、ユートが目を開くと其処には黒髪、そして骸が纏った黒衣の青年が立っている。

 

『試練を乗り越えよく辿り着いた。私の名はオスカー・オルクス。この迷宮を創った者だ。反逆者と言えば判るかな?』

 

「オスカー・オルクス……成程、オルクス大迷宮ってのは本人の姓から取った名だった訳か」

 

 名前の由来を知らなかったから納得したユート。

 

『ああ、悪いのだが質問は許して欲しい。これは只の記録映像の様なものでね、生憎と君の質問には答えられない。だが、この場所に辿り着いた者に世界の真実を知る者として、我々が何の為に戦ったのかと……メッセージを残したくてね。この様な形を取らせて貰った。どうか聞いて欲しい。……我々は反逆者であって反逆者では無い……という事をね』

 

「リドルって訳じゃ無さそうだけど……」

 

 其処から先は正に真実、この世界に起きている愚かな戦いの歴史。

 

 ユエから聞いていた話、聖教教会から聞いた歴史。

 

 オスカー・オルクスの語る歴史が真実であるなら、その全てが全く覆ってしまう事になる。

 

「狂った神々とその子孫、地上で起きた人間に魔人に亜人の戦争とそれを裏から操る神。だけどその戦争は基本的に神託によるもの。神代から続く神々の子孫が七人の先祖返りを中心に、“解放者”となって争いに終止符を……か。だけど、洗脳により解放者の計画は破綻した。最後に残ったのが大迷宮の創造主の解放者であり、神の遊戯盤を破壊しようとした反逆者か」

 

 オスカー・オルクスは、最後に到達者へ言葉を餞として贈ってきた。

 

『君のこれからが、自由な意志の下にあらん事を』

 

 そうして消えるオスカー・オルクスの映像。

 

 同時にユートの中に入り込むのは、オスカー・オルクスが使った神代魔法。

 

「【生成魔法】か……僕と相性の良い魔法だ。上手く使えば個人スキル【創成】のパワーアップになるな」

 

 それに今一つ。

 

「……ユート、大丈夫?」

 

「問題無いよ。面白い歴史の裏を聞いたってだけだ」

 

「……ん、こんなの私も知らなかった」

 

「オルクス大迷宮はユエの時代、三百年前には有ったんだから普通にそれよりも前の時代、下手したらそれこそ千年は前かもだから。ユエが知らないのは無理も無いだろうね」

 

「……ユートはどうする? この話を聞いて」

 

 それはユエの行動の指針にもなるのだ。

 

 依存と云われても仕方がないが、だけど今のユエは浦島太郎みたいなもので、三百年が経っていると自覚して若さを保っていても、外に知り合いなんて一人も居ないのだ。

 

 吸血鬼の王国も既に存在しないし、縦しんば存続していても自分を騙して封印した連中でしかない。

 

 行き場が無い。

 

 生き場が無い。

 

 ユートに捨てられたら、ユエには縋るべき縁が全く無かった。

 

 元より原典でも同じ事、その対象がハジメかユートかの差違があるだけ。

 

「ふむ。どっち道、神を名乗るエヒトは殺す必要が出てきたかもね」

 

「……どういう事?」

 

「僕らを召喚したのが奴、エヒトだというなら還った処で再び召喚される。僕らじゃなくても別の地球人が召喚されかねない。何より奴は地球の存在を知った。下手したら地球でトータスと同じ事をやらかす」

 

「……確かに」

 

「フッ、僕は門矢 士じゃないけどディケイドの力を持った世界の破壊者だし、奴の秩序(せかい)を破壊してやるまでだ。自らが招いたのが世界の猛毒(プロヴィデンス・ブレイカー)だとは、全くツイていないな偽神エヒト。クックック」

 

 この物語(せかい)を破壊する……門矢 士風に言えばそういう事だった。

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

「ち、違うの!」

 

「遂ね、ホントに魔が差したと言うかね!」

 

「そんな心算じゃなかったんです! し、信じて下さい緒方く〜ん!」

 

 館の二階、書斎や工房でオスカー・オルクスの遺産として、めぼしい物を頂戴してからベッドルームまで戻って来たら、本当にレズっていた三人がイチャイチャと慰め合っていたり。

 

「まぁ、何だ。取り敢えずは混ぜて貰おうか。ユエもお出で」

 

「……ん」

 

「ちょっ!」

 

 脱ぎ始めたユートとユエに驚く雫。

 

「前にも5Pはヤったろ」

 

「ヒッ!」

 

「あわわっ!」

 

 既にカチンコチンな分身を視て、香織も愛子も今更ながら恐怖に戦慄する。

 

 もう何度も受け容れているモノとはいえ、やっぱりまだまだ慣れてはいない。

 

「戴きます」

 

「……戴きます」

 

 こうして三人はユートとユエに、美味しく性的に戴かれてしまうのだった。

 

 その際の寝物語に召喚をされた真実を聞かされて、喘ぎながら天之川光輝が犯した短慮に乗った自分達を情けなく思う。

 

 愛子も或いは引っ張叩いても止めるべきだったと、生徒達を戦場へ向かわせる事になったのを悔いた。

 

 とはいえ、すぐに頭の中が真っ白になったけど。

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

 数時間後……

 

 折角のでかい風呂だし、気絶している三人はベッドに放っておき、ユエと共に入浴を愉しんでいる。

 

「……ユートはエヒトと戦うと言った」

 

「ああ、世界を救う為なんかじゃないけどな」

 

「……世界を破壊する?」

 

「ああ。言ったろ? 僕が使う仮面ライダーの力ってのは、とどのつまり特撮の【仮面ライダー】シリーズから来ている……と」

 

「……ん、特撮が何なのかは解らないけど。要するに舞台劇みたいなもの?」

 

「まぁ、そうだね。そして仮面ライダーディケイドの原典の主人公、門矢 士は記憶を喪い力を持たない侭で光写真館に住んでいた。仮面ライダーキバである、紅 渡に導かれ九つの世界を巡る旅に出た。最終的に『仮面ライダーを斃さないといけないのに仲間にしてしまった』と非難をされた挙げ句の果てに、九人もの仮面ライダーに襲われて戦う羽目になった。そんな噺だったんだが、最後は旅を続ける選択に落ち着いたんだろう、僕の知り合いにはその果てを観た娘が居て、平成仮面ライダーと呼ばれる世界を巡ったらしくて、僕が使うネオディケイドライバーは、謂わばその証。実際にライダーズクレストも本来は、ディケイドを除く九個だったのが、ジオウとディケイドを除く一八個に増えていたからね」

 

「……それがユートの力、仮面ライダーディケイド」

 

 ユートも這い寄る混沌の力を喚起して、仮面ライダーディケイドのネオディケイドライバーに変わった、その理由はよく解らないというのが正しい。

 

 だけど相性はバッチリ、何故なら【仮面ライダー】は仮面ライダーフォーゼまでなら視ていたし、ユートは自身を【模倣者(イミテイター)】と呼んで憚らない程であり、仮面ライダーディケイドとは成程確かに他の仮面ライダーの姿と力を模倣する存在だからだ。

 

「ユエはどうしたい?」

 

「……私には帰る場所も、待っている人も居ない……だからユートに付いてく。私をユートの“旅”に連れて行ってくれる?」

 

「他の【閃姫】と扱い的には変わらんぞ?」

 

「……ん、構わない。欲しいんならいつでも良いし、招喚もしてくれて構わないから。他の【閃姫】とだって仲好くしてみせる」

 

「良い子だ。ならこの世界からユエを攫ってやるさ」

 

「……ん、ありがとう」

 

 その後はユエが血を吸ったり精を吸ったり、風呂でイチャイチャを繰り返す。

 

 ユートはオスカー・オルクスの館から、ほぼ全ての遺産を受け継い(ぬすん)だ形になるが、折角だからと骨休めも含んでオルクス大迷宮に留まる事にする。

 

 理由の一つはそもそもがクラスメイトと『勇者ごっこ』に興じる気は無くて、他の大迷宮を巡って全ての神代魔法を得る下拵えという意味で、連れ歩く事になる香織と雫と愛子を鍛えるのが目的だった。

 

 ライドプレイヤーに変身すれば、確かにオルクス大迷宮の深層でも戦える程度に強化はされるが、魔人族との戦いは疎か場合によれば人間とも戦う事になり、いちいち三人が止まっていては話にならないから。

 

 相手の命を奪う意味を、逆に命を奪われる覚悟を促さねばなるまい。

 

 それに能力値だけ上がっても、使い熟せないのでは却って害悪になる。

 

 これは必要な措置だ。

 

 尚、ユート以外はオスカーの【生成魔法】との相性が良くなかったらしくて、全員が覚えはしたが使い物にはならないらしい。

 

「インストール・カードにして、約束を守っていたらハジメにやるか」

 

 ダンジョンアタックの前にした約束、ハジメが果たしているなら彼の錬成魔法を遥かに強化してくれるであろう【生成魔法】を与える価値があるであろう。

 

 そして、ハジメは確かに約束を守っていた。

 

「っと、その前に僕は一人で王都に戻らないとな」

 

 一応、話は通しておかないといけないし、リリアーナとヘリーナを味わうのも久し振りにヤっておきたかったのと、ハジメに魔法を渡す為でもあったから。

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

 クラスメイトの実に半数が死亡、教師を含めて四名が行方不明となってからも彼らはダンジョンの攻略をさせられている。

 

 勇者 天之川光輝。

 

 拳士 坂上龍太郎。

 

 結界師 谷口 鈴。

 

 降霊術師 中村恵里。

 

 土術師 野村健太郎。

 

 重格闘家 永山重吾。

 

 暗殺者 遠藤浩介。

 

 治癒師 辻 綾子。

 

 付与術士 吉野真央。

 

 曲刀師 玉井淳史。

 

 操鞭師 菅原妙子。

 

 氷術師 宮崎奈々。

 

 投術師 園部優花。

 

 闇術師 清水幸利。

 

 錬成師 南雲ハジメ。

 

 これが現状に於いての、彼らクラスメイト達。

 

 問題なのは士気が決して高いとはいえない事。

 

 特に勇者(笑)として皆を引っ張る筈の天之川光輝、彼が沈み込んで碌に機能していないのがヤバい。

 

 それでもメルド団長による指揮があるから、何とかこれ以上は死なずに進む事が出来ていた。

 

 ハジメもなし崩しとはいえ恋人になった中村恵里を守りつつ、自分の造り上げた剣と錬成そのものを武器に戦い抜く。

 

 天職が降霊術師な恵里ではあるが、別に他の魔法が使えない訳ではないから、ハジメが錬成して造り上げた杖で、ハジメと共に戦いを続けている。

 

 そんな親友に感化されているからか、結界師として腕を磨く谷口 鈴も仲間を護る仕事を頑張っていた。

 

 勇者(笑)も『香織香織』と呟きつつ、聖剣を揮って取り敢えず一兵卒的な戦いはやっている。

 

 その背中を護る形なのが坂上龍太郎だった。

 

 また、何人か死んでいるが本来なら愛ちゃん親衛隊となっていた者も、頑張って動いていたし、サブ的な永山パーティも戦いに慣れてきているらしい。

 

 その甲斐あって六五層、トラップで強制的に跳ばされてしまい、クラスメイトを幾人も失った場所に再びやって来たのである。

 

 だが、顕れたベヒモスはやはり強かったし、帰り道を塞ぐトラウムソルジャーにより逃げるのも不可能。

 

 ハジメは遂に封印を解除するのであった。

 

「自信はまだ無い。だけど……それでも、やるしか無いならやってやる!」

 

 ハジメがユートに与えられた力、ステイタス・ウィンドウを発動する。

 

 ステイタス・ウィンドウLV:1。

 

 

南雲ハジメ

17歳 男 

レベル:65

天職:錬成師

筋力:75

体力:62

耐性:53

敏捷:110

魔力:280

魔耐:105

 

技能:錬成[+鉱物系鑑定][+精密錬成][+鉱物系探査][+鉱物分離][+鉱物融合][+複製錬成]  雷撃 能力把握 ??? 言語理解

 

 

 錬成系派生技能をユートの教えに従って勉強してきたハジメは、相当な数を得る事に成功しているが故に造り上げた傑作。

 

 それはユートとの約束の形でもあった。

 

 アイテム・ストレージを操作して装備品の装備を。

 

「なっ!? 南雲か?」

 

 坂上龍太郎が驚く。

 

「GM-01スコーピオン……アクティブ!」

 

 黒いアンダースーツに、銀と青の装甲と赤い眼を持ったパワードスーツ。

 

 その名前は仮面ライダーG3であったと云う。

 

 スコーピオンは突撃銃に類する物、装弾数は七二発と多いのかも知れないが、割とすぐに撃ち尽くす。

 

 威力はそれなりにあるのだが、やはりベヒモスに対しては威力が不足しているらしく、牽制程度の役にしか立ってはいない。

 

「くっ! アンノウンにもそうだったけど!」

 

 あっさり撃ち尽くしてしまい、ハジメはスコーピオンを手にした侭で次の武装を再び手にした。

 

「GG-02サラマンダー……アクティブ!」

 

 スコーピオンと連結し、サラマンダーを放つ。

 

 重低音の銃撃が響いて、三発の弾丸が発射された。

 

 威力は約二〇t。

 

 グレネードランチャーと呼ばれる武装だ。

 

 装弾数は三発でしかないのだが、ハジメがユートから与えられた今一つの力、雷撃を用いて加速させる。

 

 威力はライダーキック宛らの破壊力を秘める程。

 

『グギャァァァアアッ!』

 

 三発目がクリティカル、ベヒモスは死んでこそないものの、堪らず倒れ伏してしまっていた。

 

「今だ! GS-03デストロイヤー、アクティブ!」

 

 近接戦闘用武装で所謂、超高周波振動剣という種類のものである。

 

 バイブレーションソードと云うと解り易いか?

 

 刃の部分に超高周波を流し振動を起こす事により、端的に云ってしまえば切れ味を増すという事。

 

「パワーMAX!」

 

 斬っ!

 

 トドメとばかりにハジメはベヒモスの首を落とす。

 

「やった! 流石はハジメ君ね!」

 

 本当の喋り方を封印中な恵里は、女の子らしい話し方をして手放しに誉めた。

 

 当然、行き成り仮面ライダーになったハジメに一同が呆然となる。

 

 恵里は知っていたから特に驚きなど無いが……

 

「南雲、お前……?」

 

 脳筋な坂上龍太郎もこれには驚くしかなかった。

 

「ふわぁ、仮面ライダー」

 

 谷口 鈴は普通に知っていたらしく、やはりハジメを見て驚いている。

 

 捕縛用GA-04アンタレスは使わずに終わった。

 

 驚嘆はメルド団長も……ではあるが、今はダンジョンの中に居るのだから惚けてばかりは居られない。

 

「よし、取り敢えず脱出をするぞ!」

 

 騎士団でトラウムソルジャーを何とか片付けたし、急ぎオルクス大迷宮からの脱出を試みた。

 

 その戦いの中心となったのは、仮面ライダーG3を装着したハジメである。

 

 オルクス大迷宮から脱出した勇者(笑)一行、メルド団長は勿論だがクラスメイトもG3を解除したハジメを視ていた。

 

「ハジメ……だったか?」

 

「はい?」

 

「お前のあれは錬成で造った物なのか?」

 

「そうですよ」

 

 メルド団長との会話を聞いていたクラスメイトは、そんなハジメの答えに対してざわめいている。

 

「相当な時間が掛かりましたし、集中力も可成り必要で食事すら侭なりませんでしたけどね」

 

 暗に仮面ライダーG3を造るのは簡単じゃないと、メルド団長に釘を刺しているのだった。

 

「そもそも、G3システムだって漸く運用可能なくらいになった訳ですし」

 

 細かな部品とかシステムの動きなど、本当にミスれば自分が危険だから半端無い集中力を要したのだ。

 

 中村恵里のちょっと危ないくらいの献身が無くば、完成はもう少し遅れていたかも知れない。

 

 まぁ、ヤンデレというのはこういうもの? なのかもだけど。

 

「ならば王国や彼らに造って欲しいと依頼しても?」

 

「難しいですね。自分の命を護る装備だから集中力も途絶えませんでしたけど、普段から無能と蔑ろにされてきて今更、彼らの為にとか思えませんし。天之川君が曰く僕がG3システムを造る勉強はサボっている……という事らしいし」

 

「ぐっ!」

 

 余りにもベヒモスに有効な武装、それを造っていたハジメを無能と嘲笑っていたクラスメイト。

 

 勿論、基本的には檜山の一派がやってきた事だが、ハジメにはそんな分け方なんてどうでも良い。

 

 何より、天之川光輝などハジメはサボっているから檜山が訓練をした……などと嘯き、虐めを看過する処か肯定していたのである。

 

 そんな連中にありふれた職業と莫迦にされてきて、真面目に連中の為の武器を造るなど、どんな聖人君子かM野郎だという話。

 

 因みに、恵里が身に付けている装備品の金属部品に関しては、ハジメが錬成で造り出した物だ。

 

 恋人になったし、ハジメがG3システムを造るのに異常なレベルで献身してくれた為、命を護る防具をと思うのは寧ろ当然。

 

 果たしてクラスメイト、況してや天之川光輝というのは、ハジメが介護レベルの献身を受けてまで漸く造った武装を受け取る資格があるものか?

 

 クラスメイトだから同郷だからという、薄っぺらい理由で? 有り得ない。

 

 ハジメにとって恋人である恵里と、向こうに居た頃からの友人であるユート、そして故郷の家族以外は等しく価値が無い。

 

 否、天之川光輝レベルが価値無しのレベルであり、メルドや愛子の方ならまだ恩師とか呼べるだろう。

 

 仮面ライダーG3システム……それは帝国の皇帝が訪れる日、ハジメが新たに手にした力で更なる能力の向上が成される。

 

 仮面ライダーG3ーXとして……だ。

 

 説明も終わったとして、ハジメは恵里と部屋に。

 

 メルド団長は人格者であるが故に、勇者(笑)は自らの行いのダメ出しを不意討ちで喰らった上、白崎香織と八重樫 雫が行方不明であるショックが抜け切らない為にか、これ以上の問答は出来ずに終わった。

 

 大物狩り(ジャイアントキリング)の初快挙に興奮していたからだろうか? 今晩のハジメは恵里が何度も絶頂に至る程に激しかったらしい。

 

 そして、情報収集に動いていたリリアーナ専属侍女のヘリーナが、ユート謹製の姿を隠せる魔導具により部屋でバッチリ視ていた事は知り様が無い。

 

 況んや、ヘリーナがそれを視ながらユートに抱かれた幻想を懐きつつ、自身を慰めていたなんて知覚などしている筈も無かった。

 

 帝国からの使者が来た日の前日、リリアーナの部屋に忍び込んだユートだが、色々とやってくれた御褒美を上げた為、翌日のあれやこれやに間に合わなくなり掛けたのは余談であろう。

 

 

.




 終わらなかった……

 一応、オルクス大迷宮を抜けるまでを書く予定で、つまりシアやティオやミュウやレミアは現状、出てくる予定がありません。

 飽く迄もっぽい噺だし。

 行方不明以外の生き残りを本文内に出しましたが、果たして間違いが無いかが心配だったり……


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