【魔を滅する転生○】シリーズ外伝噺集   作:月乃杜

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 最近、マチを出したので途中まで書いて放ったらかしにしていた噺を完成させてみました。





HUNTER×HUNTER【魔を滅する転生狩】っぽい噺――【練】? をしてみよう

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 【グリードアイランド】――通称はG・Iと呼ばれているゲーム、一つが五八億ゼニーと大金で売られたそれはジョイステーションなるハードに対応したソフトであり、製作本数は実に一〇〇本ながら注文は一万人を越えたと云う。

 

 事実としてあっという間に捌けてしまった訳ではあるが、ユートはそんなソフトを入手していた上にプレイもしていた。

 

 クリアはしていない。

 

 というより、クリア目的で買った訳では無かったから初めからする必要性が無かったのだ。

 

 とはいえ目的はクリアと大差無い。

 

 何故ならG・Iのゲーム目的はカードの入手にあるのだが、そのカード――(バインダー)の指定ポケットに入れる物を全て入手する事がクリア条件となっている。

 

 その枚数は百枚。

 

 その枚数を百枚もと視るか百枚程度と視るかはプレイヤー次第だろうが、入手難度が高くなれば当然ながら入手条件も酷しいものとなるのだ。

 

 原典に於けるG・Iも発売から約一〇年が経過しても誰一人としてクリアをしておらず、主人公でありゲーム製作者たるジン・フリークスの息子でもあるゴン・フリークスが漸くクリアした。

 

 ではユートの目的とは?

 

 即ち、ゲームの指定ポケットカードを全入手という割かし偉業である。

 

 普通ならソロプレイヤーでは不可能であるが、ユートにはちょっとした裏技みたいな能力が在るから【一坪の海岸線】というカードだって入手の当てがあったからこそのプレイ。

 

 そして人知れずカードを入手していき、手に入ったカードはその場で『ゲイン』して使ってしまう。

 

 G・Iで最初から使える一種の魔法、それがつまりは『ブック』と『ゲイン』だ。

 

 『ブック』はプレイヤー全員がプレイ時に持たされた本を喚び出す呪文、『ゲイン』はカード化されたモノを開放する為の呪文である。

 

 因みにスペルカードの場合は『魔法名+使用(オン)』と叫ぶ事で発動する仕組みだ。

 

 始まったばかりのG・Iには嵌め組やPKも未だに存在せず、取り敢えずは自由気儘にプレイヤーがゲインのプレイをしているという感じ。

 

 だからこそ未来では『引換券』しか手に入らないなんて事になる入手難度SSでカード化限度枚数が三枚の『大天使の息吹』も、ユートは簡単に手に入れてしまったのである。

 

 入手方法は原典を識るが故に判るから。

 

 流石に原典で識られてないカードの入手方法は自分で捜すしかないが、判っている分だけに限定されていても可成りのアドバンテージ。

 

 他のプレイヤー達がまごついている間にソロで次々とカードをGET! していく訳だ。

 

 当たり前だけどユートのやっていた事を流石にGMも看過が出来なくなり、未だに始めたばかりだから基本的に居たジンと更にイータとエレナとレイザーとドゥーンの五人が対応した。

 

 可成り特異な対応であろう。

 

 カードの力の模倣など余りにも有り得ないという事態、本来なら多少の事は想定内として放置をするのがGMなのだから。

 

 例えばPK――プレイヤーキルも大前提としてはアリと見られる。

 

 未来で『ボマー』辺りが殺しまくってもGMが動かなかったのがその証左、なればこそユートのやらかしは赦されないと判断したのであろう。

 

 その後の話し合い? 殺し合い? にて様々にやった結果、ユートはイータとエレナを抱く事を性行――ではなく成功したし、二人を【閃姫】とする事も叶った。

 

 カードに関しては外で扱う事は許可をするが、ユートの念能力たる『修得之切札(インストール・カード)』を以て誰かしらに修得させない、グリードアイランド内で使う事も許可は出来ないと約束をする。

 

 また、ゲームの多少のヒントを与えるくらいなら未だしもカード集めの答えをまんま他プレイヤーに教えない事も……だ。

 

 それから一〇年を越える歳月が流れる。

 

 くじら島はフリークス家、ユートが住む場所はこの家に間借り――とはいえそんなに広くは無いのだが――しており、ミトやこの世界の主人公に当たるゴン・フリークスや老婆と暮らしていた。

 

 元々の切っ掛けは何故か浜に打ち上げられていたユートをミトが見付けた事、そして気が付いたユートが血迷ってミトの手を取り告白染みた事をやらかしてフラれたのだが、何故か数時間後には赤ん坊(ゴン)を抱きながら『さっきの告白を受けるわ、代わりに私と一緒にこの子が自立するまで育てるのを手伝って』と言われて思わず首肯した。

 

 お陰でミトの肌を堪能させて貰う事が出来て、ジン・フリークスは最高のタイミングでGJ!

 

 その御礼がまさかのG・I荒しだったが……

 

 ゴンが数えで一二歳になった年、ちょっと早い自立の刻が来てしまう。

 

 ハンター試験を受験するのだというゴンに対してミトは、ユートへと最後の指令を出してゴンとハンター試験を受験してある程度のサポートをして欲しいと言ってきた。

 

 今までは肢体こそ赦してきたけどゴンの仮初めの父でミトの仮初めの夫としてユートを扱ってきたのだが、ミトはゴンの父親役は兎も角としても自分自身の夫役は認めるとしたのである。

 

 この一〇年ばかりはイベントも有った。

 

 G・Iの事もそうだが、原典にて言及をされていたクルタ族――クラピカの属する少数民族の幻影旅団による虐殺事件、それ自体は止めるに止められなかったのだが【緋の目】を幾つか確保に成功したのである。

 

 幻影旅団の団長クロロ・ルシルフルは御宝を盗んだら一頻り愛でて売却すると、ヒソカ・モロウが原典に於いて話していたのを覚えていたから、それを手に入れるべく動いて全てとはいかずとも四個まで【緋の目】を入手した。

 

 資金は【天空闘技場】を活用して稼ぎながら、ヨークシンで御宝のオークションをして荒稼ぎをしており、一部はフリークス家の生活の足しにと送金しつつお金を貯めていったのだ。

 

 余談ではあるけどユートのG・Iはプロハンターであるジェイトサリが所有する筈だった七本の内の一本で、故に原典の時間軸でサザンピークオークションで出品されたのは六本だけである。

 

 ハンター試験は無事に合格。

 

 ポックル君は可哀想な事になったけど死ぬよりはマシと諦めて貰う。

 

 キルアの居るゾルディック家への御宅訪問に、くじら島での一時帰郷を果たしてユートは契約が満了した事を報告、ハンター試験を受ける為にもくじら島出てから久し振りにミトの肌を堪能してからヨークシン編に移行、ゴンはG・Iを求める為に資金繰りへと動き始めていた。

 

 まぁ、【天空闘技場】での一悶着や幻影旅団とのあれやこれやは有ったけど、クロロ・ルシルフルを追い込んでマチと死後契約を果たせたのだから概ねは良しとする。

 

 クラピカの精神状態もユートの持つ【緋の目】を譲った事で落ち着き、ネオンに関しても上手く手に入れられたので彼女の死は現実的に無くなったと云っても良い。

 

 対外的には死亡が確認されるが……

 

 サザンピークオークションは普通に開催され、プロハンターのジェイトサリが六本のG・Iを出品、本人は仲間と共に今でもグリードアイランドにてプレイ中となっている。

 

 その全てをバッテラ氏が三〇五億と費やし購入したのを確認して、ゴンとキルアに着いて行く形で購入者たるバッテラ氏と会う事になった。

 

 尚、三〇五億程度ならユートの資産でも充分に落札は可能だったけど、バッテラ氏は最終目的の為にも自分の私財を叩いて入手する心算だったから無駄な事はしない。

 

 何なら今はプレイしてないソフトを三〇〇億でなら売却しても構わなかった。

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

「三〇五億ゼニーですか、最後の五〇億はちょっとばかり勿体無かったですな。恐らくは七一番もあれ以上にはアップしてきませんでしたよ?」

 

「あれで良いのだよ。これで私が幾ら掛けてでもG・Iを買うというアピールになるからね」

 

 バッテラ氏が護衛兼プレイヤーのツェヅゲラと会話している処に乱入する。

 

「あの、俺達はハンターなをですけど。G・Iのゲームクリアに協力をしますよ」

 

「こらこら、坊主達」

 

 ゴンの科白を聴いてすぐに額の広い金髪頭や、スキンヘッドの黒色人種の強面がバッテラ氏の前に進み出て……

 

「バッテラ様は忙しい方なんだぞ、こんな場所で巫座戯るのはよしなさい」

 

 金髪グラサンが注意をしてきた。

 

「巫座戯てないよ、俺はこれでもプロハンターなんだ!」

 

「何を莫迦な!」

 

 スキンヘッドグラサンが言うが、バッテラ氏は興味を惹いたらしい。

 

「ライセンスは有るのかね?」

 

 ゴンが自信満々に答えようとするのをユートが口を塞いで止める。

 

「これで」

 

 キルアはアマチュア、ゴンはライセンスを質に入れて一億ゼニーを稼がないと取り戻せない為、ユートが代わりにハンターライセンスを見せた。

 

「ツェヅゲラ?」

 

「ふ~む、本物……今年の合格者ならひよっこではあるのでしょうが、どうやら裏ハンター試験にも合格をしている様ですな」

 

「ふむ?」

 

 裏ハンター試験はバッテラ氏に判らない事ではあるものの、この『サザンピークオークション』会場に入れただけでも特別と理解している。

 

「私がハンターを雇いゲームクリアを目指しているのは事実だが、依頼対象は厳選していて今現在は募集の段階なのだよ」

 

「プレイ人数はどうしても限られてくるからな。百本のゲームの一本に付き周辺機器マルチタップを使用して八名、つまりは総人口にして八百名こそがプレイヤーの限界だと云えるからな」

 

「ほう、よく知っているね」

 

「しかも今回、バッテラ氏が購入したのは謂わばプレイ中のジョイシテーションだった。つまりは既に抜けないメモリーカードが差した状態だったからマルチタップを使っても、追加のプレイヤーは四名しか不可能となっている筈だし厳選せざるを得ない」

 

「その通りだ。残りの五本を無事に購入が出来ても追加プレイヤーはマルチタップの四名×ゲームソフト六本分で二四名。否、二本はプレイヤーが死亡しているらしいから更に八名で三二名だな」

 

 指差し確認しながらバッテラ氏は言う。

 

 初めから判っていたのをゴンに解り易く説明をしてくれたのだろう。

 

「今年の合格者な僕は元より、ゴンも今は金策でライセンスを質屋に出しているだけで今年の合格者だし、キルアだって運悪く兄と当たったらしくて不合格になっただけ。上手く――ポックルを――やれば合格していたくらいには実力もある」

 

 とはいえ、誰に当たったとか上手くやればとかは関係なんて無くて、バッテラ氏は力を持っているプレイヤーを捜しているだけだ。

 

「兎に角だ、一つのメモリーカードには一人分しかセーブが出来ないのだよ。セーブ前提であるからには一つのハードで八名が上限となるのはとうにも変え様が無い」

 

「そういえばメモリーカードの三〇ブロック全部がG・Iで埋まっていたよね」

 

 ゴンの科白にピクリと眉を動かす。

 

「君達、それをどうして知ってるのかね?」

 

「あ、俺達はG・Iのセーブデータをメモリーカードだけは持っているんです」

 

「っ! ま、まさか君達はG・Iをプレイした事があるのか!?」

 

「いえ、データだけ手に入れたんですけど」

 

 思案するバッテラ氏。

 

「ゴンは指輪も持っているよ」

 

「本当かね?」

 

「指輪はゲーム内のデータとは連動しているし、メモリーカードを抜くには必須アイテムであるからには持ってるさ。僕も……な」

 

 指にはキラリと光る指輪。

 

「それは!」

 

 バッテラ氏が叫ぶけど、驚いたのは知らなかったゴンとキルア、それに現在のプレイヤーでもあるプロハンターのツェヅゲラもだ。

 

「フフ、どうやら審査対象としての資格は持っている様だね」

 

 ツェヅゲラを見ながら人差し指をクイッと動かして呼ぶ。

 

「念は使えるのだろう? ちょっと【練】を見せて貰おうか」

 

「「はい!」」

 

 ゴンとキルアは顔を見合わせて返事をした。

 

 そしてすぐに【纒】から【練】に移行。

 

「どうだ? ツェヅゲラ」

 

「駄目ですね、この二人ではプレイしても死ぬだけでしょう」

 

「な、何で!?」

 

 ゴンは【練】を見ただけでツェヅゲラがはっきり言い切ったのに驚愕しかない。

 

「君はやらないのかね?」

 

 そんなゴンを無視して唯一、何もしていなかったユートに声を掛けてきた。

 

「勿論、やるさ。ゴンとキルアの勘違いも正さないといけないからな」

 

 ユートは目を閉じて喚ぶ……

 

「ファントムガオーッッ!」

 

 それはファントムガオーと呼ばれる戦闘飛行機であり、グレーとモスグリーンにより彩られている鮮やかとはいかない機体。

 

 本来のよりサイズが遥かに小さい。

 

「フュージョン!」

 

 静かに宣言するとユートがファントムガオーと融合をして、その瞬間にガキンガキンとパーツが形を変えていき遂には人型に変形をした。

 

「ガオファー!」

 

「具現化系の能力者か!?」

 

 室内だったから凄まじい風が吹き荒れていて、ツェヅゲラはバッテラ氏が吹き飛ばされてしまわない様に守る。

 

「ドリルガオーⅡ! ライナーガオーⅡ! そしてステルスガオーⅢ!」

 

 今度は広いとはいえそれでも常識の範囲内である室内に、黒い飛行機と黒いドリル機とモスグリーンの新幹線が飛び回った。

 

勇者王新生(ファイナルフュージョォォォォン)ッッ!」

 

 ガオファーの腰が一八〇度回転してレッグ部が変形しドリルガオーⅡとドッキング、ライナーガオーⅡがガオファーの腕が肩から背中に回って出来た穴に向けて滑り込んでドッキングする。

 

 最後に背中へステルスガオーⅢがドッキング、腕がライナーガオーⅡから出た二の腕に合体するとヘルメットがガオファーの顔に被さった。

 

 額に緑に煌めくGストーンが芹り出す。

 

「ガオッファイッガーッッ!」

 

 それは新生した新たな勇者王、ファイティングメカノイド――ガオファイガー!

 

「具現化系だけではない? まさか操作系に強化系に放出系に……下手したら変化系もか?」

 

 ツェヅゲラはこれを念能力に当て嵌める系統を考えるが思い付かない。

 

「特質……系か?」

 

()()だよ」

 

「莫迦な、念能力の六相図の関係上有り得ん! 

一種のゴーレムみたいな物や動物性の存在を具現化する念能力者は確かに居るが、この様なマシン張りの物を具現化して強化や放出や変化や操作まで組み込んだなどと!」

 

「余り自分の情報を教えたくは無いんだけどな、僕は全系統適性持ちの特質系念能力者だよ」

 

「っ!? 有り得ん、全く以て有り得ん……が! 目の前に莫迦げた念能力を披露している者が居るからには全否定も出来ん!」

 

 ユートの場合はこの世界以外でも様々な力を視てきたし、身に付けてきたからそれこそ特質系は兎も角兎も角としても、他の系統は色々とやってきていて念能力に応用が利いていた。

 

「それと知っての通り、念は死ねば消えるとは限らない」

 

「死者の念は却って強くなるからな」

 

 場合にもよりけりだが、例えばヒソカが天空闘技場でクロロと試合をした際に死ぬのを前提で念を使って蘇生に成功している。

 

「そして僕は一度、死んだ経験があるんだ」

 

「っ! まさか、それで君の念が強くなったとでも言うのかね? だが然し……」

 

「普通の人間でも稀にだが死んで蘇生すると変に強化される、ならば念能力者なら言わずもがなというやつさ。何ならツェヅゲラさんも試しに死んで蘇生してみると新しい地平が拓けるかもよ?」

 

「止めておこう、私の年齢でそんな冒険は冒せないよ」

 

「ま、それも道だろうね」

 

 ユートの場合は【錬成】という創造系の魔法を主に使うし、錬金術士として錬金術にも手を出しているからそれらを扱う系統が強化もされた。

 

 ユートの人生の全てを注ぎ込んだ念がそこら辺の凡百な念能力な筈が無い。

 

「っていうかさ、何でユートは【練】を見せろって言われて【発】してんの? それって間違いなく【発】だよね?」

 

 キルアがジト目で訊ねてきた。

 

 そんなキルアをツェヅゲラが憐れむかの様な目で見つめている。

 

「キルア、ハンター的な用語で【練】を見せろってのは『鍛練の成果を見せろ』という意味でね、強さの程を問う言葉だ。バカ正直に只の【練】を見せられたツェヅゲラさんの呆れたい気持ちも少しは考えろよ」

 

「なっ!?」

 

「つまり、寧ろ【発】の一つも見せて度胆を抜くのが正解なんだよ」

 

 実際、キルアの電気ビリビリ程度でも合格した辺りユートのは過剰が過ぎるというもの。

 

 まさか彼もこんな莫迦げた【発】を見せ付けられるとは思うまい。

 

「だったら教えとけよな!」

 

「莫迦を言うな。こんな常識を識らないド素人である事は間違い無いだろうが。一回くらい痛い目を見て覚えるしかないんだよ……ゴンは」

 

「俺!?」

 

「【天空闘技場】でも莫迦をやらかしてウイングさんを怒らせたろ? お前はもう少し直情的なのを治せよ」

 

 まぁ、無理だろうけど……とまでは言わないけど間違いなく無理であろうと思っている。

 

「うぐぐっ!」

 

 ぐうの音しか出ないらしい。

 

 フッとガオファイガーが消えて生身のユートが普通に現れた。

 

「【隠】かね?」

 

「正解」

 

 【絶】の応用技である【隠】はオーラを見辛くさせる技術、これで一般人にすら見えてしまっている具現化されたモノも見えなくなる。

 

 ツェヅゲラは【凝】で未だにガオファイガーが具現化されているのが見えていた。

 

「ブロークンファントムの一発でもタングステン合金の鎧をぶち抜く。当然だけど合格な訳だ」

 

「そうだな。ブロークンファントムとやらが何かは俺も知らないが、君ならばソロでも相当に往けると思われる。だが残念ながら矢張り君ら二人は不合格と言わざるを得ない」

 

「くっ、何でだよ? 確かにハンター用語なんて知らなかったけど……」

 

「G・Iは途中でゲームを止める為には必要不可欠なアイテムが在るが、それは入手難易度を一〇段階にして四段階程度の代物だ。今の君達ではそれを手に入れる途上で死ぬ」

 

「うっ!?」

 

 そんな事は無いと叫びたいゴンではあったが、遂先程もちょっとしたハンター用語すら知らないド素人と言われたばかり、直情的なゴンにしては珍しく自重したのだと云えるだろう。

 

 【天空闘技場】ではユートに言われた言葉などガン無視して闘い、挙げ句の果てに原典の通りに四ヶ月の重傷を負ってしまった。

 

 ユートはゴンが嫌いではない。

 

 寧ろミトや彼女の祖母と共にゴンを育ててきて憚りながら兄みたいに考えている。

 

 幸いにしてゴンにとって父親は飽く迄もジン・フリークスで、ユートは兄とは呼ばれないものの弟分に収まっているのは確かだ。

 

 だけどゴンにも嫌いな部分が有る。

 

 頑なで自分で決めたら仮に師匠であると仰ぐべき人間の言葉すら無視して突っ走る、それは最終的にゴンを破滅にさえ追い込んだ性格だった。

 

 アルカをキルアが連れて来なければ、ゴンは念の反動で暗黒大陸編でも危篤の侭であっただろう事は想像に難くない。

 

「G・Iのスペルカードで【離脱】というのが在る。それは金で買える程度の代物でしかないが金を獲るには何かをしないといけない。仮にバッテラ氏から援助に一億ジェニーを獲てもゲーム内では単なる紙屑に過ぎないんでね」

 

「っ! どうしてそれを?」

 

「僕は抑々、嘗てプレイヤーだったんだ」

 

「ならば何故、プレイを辞めた?」

 

「厭きたから。当時はバッテラ氏の懸賞金の話も無い頃だったからな。それにゴンの育成に関わって欲しいと言われたからな」

 

「ゴン? 確か黒髪の少年の名前だな」

 

「ゴンの父親は育ての親の従妹、僕はその彼女と婚約をしていたんだから当然の義務だよ」

 

「そ、そうか……」

 

 婚約――は言い過ぎである、ジン・フリークスから親権を奪ったミトはユートから受けた告白染みた言葉に乗る代わりに、父親に近い……兄的な立場になって欲しいと頼まれたのだ。

 

 正式な結婚は疎か、恋人ですらない身体だけの爛れた関係でしかなかった。

 

 とはいえど情は湧くもので、ミトも身体を毎晩求められて応え続けてきたからか好意は懐いてくれたらしいが……

 

「嘗てのプレイヤーなら情報も持っていそうだ。俺達のチームは八割方のカードを集めているが、君はどの程度を集めていたのかね?」

 

「情報だけスッ羽抜くのは感心しない。情報とは――智とは力だ。無償で獲られるとは思って欲しくはないな」

 

「それもそうか……」

 

「ま、大した情報でもないからサービスしよう。

発売直後に入手してだいたい二年くらいプレイをして九割九分だな」

 

「まさか!? だとしたらすぐにもクリアが出来た筈じゃないか?」

 

「否、僕は手にしたカードは全部を使っていた。だから情報的には九割九分だったけどカード自体は〇枚なのさ」

 

 それを聞いたバッテラ氏は凄い表情に。

 

「ゴン、キルア」

 

「何?」

 

「何だよ?」

 

「不合格と判ったからには用は無い、二人は戻って本来の審査会に向けて修業しろ。具体的にどうしたら良いか判らないならウイングさんを頼れ。

だらしない処は有れ、あれでも心源流拳法師範代で裏ハンター試験の試験官だからアドバイスくらいはくれるだろう」

 

「判った」

 

「チッ、しゃーねーか」

 

 八割は上手くいくと思っていたのが空振りで、必要な技能が足りないと言われたからには修業しかないのも解るから。

 

 流石の二人も引き下がる。

 

「さてと」

 

 ユートはガオファイガーの解除をすると改めて

バッテラ氏な向き直った。

 

「此処からは商談となる」

 

「商談?」

 

「貴方がG・Iを独占する勢いで買い求める理由は、クリア報酬となるカードが欲しいからだな?」

 

「っ! その情報を知るのか」

 

 原典の知識だけど。

 

「クリア特典は『ダブらない三枚の指定ポケットカードのゲーム外への持ち出し権利』だ。貴方は数千億ジェニーもの大金を叩いても欲するカードが在るんだ。それは財力ではどうにもならない程の効果を持つカードだろう?」

 

「そうか、君は全ての指定ポケットカードを識るのだったな……私が一番欲するのはあらゆる怪我も病も癒やすとされるカードだ」

 

 バッテラの恋人を救う為のカード。

 

「カードNo.017【大天使の息吹】。入手難度SSでカード化限度枚数は三枚……【離脱】なんて問題にならないくらいの可成りのレアカードになるな」

 

「暗記しているのか」

 

 驚くバッテラ氏を他所にユートは指輪を填めてその魔法を使う。

 

「ブック!」

 

「「なにぃっ!?」」

 

 ユートの左手には間違いなくG・Iで使われている(バインダー)が顕れ、ページを捲ると其処には確かな指定ポケットカードが入っている

 

「指定ポケットカード【大天使の息吹】は此処に持っている訳だが?」

 

「ど、どういう事だ!?」

 

「僕の念能力――【強欲成島(THE GREED ISLAND)】。グリードアイランドの念空間を創造する能力だが、派生能力として外部で本を出してカードを使う事も出来る」

 

「ば、莫迦な……」

 

 驚愕のツェヅゲラ。

 

「僕がG・Iを辞めた理由は厭きたからではあるが、抑々がこの能力を創る為にプレイをしてきたから不要になったのもある。まぁ、僕がやらかした事はGM的にちょっと赦せなかったらしくて囲まれたんだが、僕が個人的にカードを使うだけならと許可もされている。当然、安易にカード集めの答えを教えたりG・I内でカードを使ったりは許可が出来ないと言われたけどな」

 

 至極尤もな話しではあるし、ユートもカードを誰彼構わず渡したり使わせたりはしない。

 

「五〇〇億ジェニーでバッテラ氏に譲るのは吝かではないけど、そうなると貴方が雇った者やこれから雇う者が割を喰う事になる」

 

「う、ううっ!?」

 

 これにはバッテラ氏もツェヅゲラも動揺をするしかない事実である。

 

 バッテラ氏が早期に確実なユートの手を取れば数年間を掛けてきたツェヅゲラ達を切り捨てる事になるし、だからといっていつ死んでもおかしくない彼女の延命がいつまでも出来ると思えない。

 

「これからもG・Iの購入をする予定だった筈だし、なら手に入れるべきカードを変えて懸賞金を掛けた侭にするのも手だ。これならツェヅゲラさん達も数年間を無駄にする事は無くなる」

 

「む、成程」

 

 ツェヅゲラは知らされているクリア報酬だが、一般に流布されているのは『ゲーム内から持ち帰ったモノは全てバッテラ氏に権利がある』という内容、つまり【大天使の息吹】をクリア報酬とする必要性は必ずしも有る訳ではない。

 

「言っちゃあ何だけど、下手したら懸賞金が取り下げられたら暴れる輩も出るかもしれないから」

 

「確かに危険ではあるか」

 

 この事からバッテラ氏はユートの手を取りつつ懸賞金の取り下げもせず、余分に五〇〇億ジェニーを用意する羽目にはなったがG・Iの購入だけの為に二〇〇〇億とか普通に使う気満々なバッテラ氏からしたら些細なものだった。

 

「ツェヅゲラさん」

 

「何かね?」

 

「バッテラ氏の懸賞金に関しては今年中に終わると考えられる。誰が懸賞金を獲るにしても……ね。その後の仕事は何を?」

 

「特に決まってないな。バッテラ氏の依頼に何年も掛けるからには他の仕事など受けられん」

 

「なら、ウチで働かないか?」

 

「ふむ……ウチとは?」

 

「【OGATA】」

 

「それはまさか、一〇年くらい前に興業をしたという複合企業体(コングロマリット)の?」

 

「そう、プロハンターなツェヅゲラさん達を雇う理由だけど……さっきも言った僕の念能力によって

創られた念空間はG・Iのコピーに近いが、念修業を念頭には置かないから魔物は普通のを予定しているんだよ。そのテスターをして貰いたい」

 

「年単位の仕事になりそうだな」

 

「報酬は五〇〇億ジェニー、一ヶ月に付き給金として五〇万ジェニーを支払うけど?」

 

「……五〇〇億ジェニーとは先程確約された?」

 

「あれをまんま、報酬とする」

 

「フッ、飯のタネに困らない様だ。バッテラ氏の仕事が終われば正式に話をしたい」

 

 ユートはこれでテストプレイヤーを手に入れた事になる。

 

 一応は大丈夫だと思うも、念能力なだけに変なバグが有ったら事だから年単位で【強欲成島(THE GREED ISLAND)】で活動してくれるであろうハンターを欲していたのだ。

 

 こうしてユートは必要な事は全て終わらせて、後顧の憂い無く再びG・Iへと向かうのだった。

 

 

.

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




 本当はもっと短くする筈が、一から書いている訳じゃないからある程度の説明が……


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