【魔を滅する転生○】シリーズ外伝噺集   作:月乃杜

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 今回は裂け目に呑まれた二人がメイン。





ペルソナシリーズ【魔を滅する転生仮】っぽい噺――貴女に与える幾つかの選択肢

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 黛ゆきのは姉御と呼ばれる事もあるくらいには姉御肌な少女、勝ち気で世が世ならスケバンを張っていてもおかしくはない。

 

 というか、彼女の武器は正にスケバン。

 

 だけど彼女も普通の女の子であり、この状況で内心に不安を覚えていない訳が無かった。

 

 現に今の黛ゆきのは焦燥感に駆られてか視線を彼方此方に彷徨わせているし、右足をパタパタと小さく足踏みして中々に忙しない。

 

 落ち着かないのだろう事は想像するに難くないけど、それを指摘しても恐らくは強がりを言うだけで全く意味を成さないと思われる。

 

「どうしてこんな……」

 

「さっきの赤い裂け目が空間その物が裂けた証だったんだろうが、僕らはまんまとその裂けた空間に落ちてしまったんだ。あの地震は単なる地揺れって訳じゃ無かったんだろうな」

 

「地震が地揺れじゃないって何なんだ?」

 

「さてね、どちらにしても僕らはこの病室に閉じ込められた形になる」

 

「む……」

 

 黛ゆきのにとってユートは単なる顔見知りといった程度、エリーやマキみたいな恋愛に近いであろう感情は持ち合わせていなかった。

 

 だから男とベッドの有る個室で二人切りというシチュエーションにちょっと赤くなりはしても、それ以上の爛れた妄想が爆発をしたりはしないである程度は冷静に話をする事が出来る。

 

「問題はどうやって出るか……だね」

 

「というより、出口が無いんなら出ようも無い。まさか此処で一生を暮らすのかい?」

 

「なら僕と黛はこの小さな病室のアダムとイヴにでもなるか?」

 

「ぶふっ! な、何言ってるんだよ!」

 

 フラッパーな性格をしていても黛ゆきのという少女は矢張り女の子に違いなく、アダムとイヴという言葉の意味に瞬時に気付いて赤らめる。

 

 はっきり云えばユートからイヤらしい目つきで自身を視られていないのは理解もしてはいるが、それでも男性からその手のジョークを聴かされると意識を否が応でもしてしまうものだ。

 

「まぁ、冗談は扨置き……問題の一点目に関してはどうとでもなる。閉じた空間だというなら無理矢理にでもこじ開ければ良いのさ」

 

「そんな事が出来るのかい?」

 

「無論、容易い」

 

 単に開くだけなら幾つか手段が有る。

 

 例えば【Wizardry】世界で狂王トレボーの試練場とされる噺の約千年前、トレボーが持っていてワードナが盗んだ護符を持ったリルガミン王国の君主の少女がヒロインな噺、その主人公となるのは侍のショウで鳳龍の剣技を扱う家の出だけど、彼が扱う『鳳龍虚空斬』なら空間さえ斬り開く事が可能だった。

 

 それに、ユートは双子座の黄金聖闘士なのだから空間に干渉する技術は当然ながら持っている。

 

 手段は確かに存在するのだ。

 

「こじ開けるだけなら簡単なんだ。問題点が無ければすぐにもやってやるさ」

 

「問題点?」

 

「そう、二点目だ。それは座標軸」

 

「ざ、座標軸?」

 

「この部屋から空間をこじ開けたとしても、元の場所に戻れないんだよ」

 

「は?」

 

 黛ゆきのは訳が解らないといった風情な表情でユートに詰め寄る。

 

「ど、どういう事なのさ!?」

 

「この病室に僕らは居るけど実際空間の裂け目は別の場所に開いていた筈だ」

 

「何故、それが判るんだい?」

 

「この病室に僕の魔力残滓が無いからな」

 

「ま、魔力ときたか……」

 

 行き成りファンタジー過ぎて付いて来れていないのか、黛ゆきのは頭を抱えたくなったらしくてやれやれなポーズに。

 

「空間が断絶をしているから彼方側から魔力を感じないのは仕方が無いとしても、此処に来てから然程に時が経っていないにも拘わらずこの病室に魔力残滓が無い、つまり僕らが顕れた地点は別の場所って事になるんだ。そしてこの病室で空間をこじ開けたとして、最上は御影町の何処かに出る事だけど……良くて日本の何処か、もう少し下がって海外ならまだマシな方。悪けりゃ『石の中に居る』とか、マグマや深海や空の上や宇宙空間、火星や木星ならそれでも何とかなるけど太陽に突っ込むとか……な」

 

「判った、理解したから!」

 

 確かにそんな場所に出たら即死だ。

 

「火星や木星なら何とかなるって?」

 

「ああ、火星なら地球から観測が出来ない場所にちょっとした基地を設置している。木星には本拠地とも云える惑星型トランスフォーマーのユニクロンを置いてるからな」

 

「???」

 

 基地を設置とかトランスフォーマーとか意味が判らなくなったらしい。

 

 ユートにとって火星はそれなりに縁がある為、地球からは見えない謂わば火星の裏側とでも呼べる位置に、機動基地型トランスフォーマーであるフォートレスを設置していざという時の仮拠点として機能、更にいざという時はトランスフォームして闘える正に機動基地。

 

 元ネタはトランスフォーマー『ザ☆ヘッドマスターズ』で登場をしたサイバトロンの三代目総司令官――フォートレスマキシマス、同じくトランスフォーマー『カーロボット』で登場をしているブレイブマキシマスである。

 

 因みに、グランドマキシマスなるトランスフォーマーも存在していて、基本的にリカラーをされた同一の商品として玩具展開された。

 

 ユニクロンとは混沌の眷属となる存在であり、サイバトロンとデストロンの双方にとって敵ではあるが、物語上でデストロン側が利用しようとしたりして痛い目に遭う事も。

 

 星帝ユニクロン――惑星モードで四万Kmもの巨大さを持ち、ロボットモードにトランスフォームをしたら九万Kmにも達する。

 

 何故か首を破壊されて死亡した何処かの世界のユニクロンの本体が、【スパロボα】世界の木星に流れ着いていてユートが接収した物を後に改造して本拠地化し、その能力を応用する形でユートの居る世界――地球に限る――では木星の裏時空に隠されていた。

 

 内部にはトランスフォーマーの遺体らしき物が幾つも転がっていて、紋章はサイバトロンとデストロンの双方が有った事から呉越同舟でユニクロンと闘ったものと思われる。

 

 ユートが識るユニクロンはG1とアルマダで、恐らくそのどちらでも無い別時空のユニクロンであると推察されるが、コンボイ――或いはオプティマス・プライムらしき遺体も有った事から可成り壮絶な闘いだったのだろう。

 

 尚、彼らの遺体は回収されてロボットを造る為の参考としてデータを得た後、ユートはユーキと共に『混沌を齎す存在(カオス・ブリンガー)』たるユニクロンとの闘いに散った彼らを手厚く葬った。

 

 コンボイのデータからギャラクシーコンボイに似せた機体を造り、『オプティマス・プライム』と名付け場合によっては移動基地としての流用をしている。

 

 

 閑話休題……

 

 

 別空間に閉じ込められたから空間を破壊して外に出たら、閉じ込められたのが地球だった筈なのに宇宙であった――というのがユートの識らないウルトラマンでも普通に在った。

 

 つまり根拠の無い俗説では無いのだ。

 

「兎に角、元居た御影総合病院に戻るには入ってきた場所まで移動しなけりゃならないんだけど、此処で更に問題の三点目が挙げられる」

 

「それは?」

 

「抑々にして次元空間に生身で出るのが自殺行為だっていう事なんだ」

 

「じ、自殺行為?」

 

「神々の超空間は言わずもがな、通常の次元空間でさえ凪いでいるなら兎も角としてうねりがあれば人間など木っ端微塵。何よりも異次元というのは基本的に混沌の海に近しい、人間が長い時間を入っていたらいずれ同化消滅すら有り得る」

 

「なっ!?」

 

 驚愕に目を見開く黛ゆきの。

 

 人為的に造られた異界なら未だそんな事になったりしないが、真なる異界は人間にとってというより生命体にとってというべきか、決して入ってはならない禁忌にも似た場所であると云う。

 

「闇よりなお暗き存在、夜よりもなお深き存在、混沌の海よ、揺蕩いし存在、金色なりし闇の王。我ここに汝に願う、我ここに汝に誓う、我が前に立ち塞がりし全ての愚かなるモノに、我と汝が力以て、等しく滅びを与えん事を……」

 

「それは……?」

 

 魔力を介してない言葉だけの詠唱、然しながら黛ゆきのは言霊として某かを感じ取れたらしく、冷や汗をぶわっと噴き出して腰すら抜かしそうな程に恐怖を感じていた。

 

「全ての世界を創り全ての存在を創った混沌の海の一柱にして揺蕩う金色の女王――『ロード・オブ・ナイトメア』の二つ名で呼ばれる存在を讃えた詩だよ」

 

「『ロード・オブ・ナイトメア』? ……『悪夢の王』? それは随分とまた……」

 

「冗談抜きでこの力を使ったら存在ごと滅びるからな? 混沌の海たる存在に近しいという事は、即ち存在を滅ぼす力も有るって話だ」

 

「そ、そっか……つまり人間である私達は次元の裂け目を捜しにこの病室から出られない?」

 

「少し違う」

 

 ユートが首を横に振り否定。

 

「え?」

 

 故に黛ゆきのは訝しい表情となる。

 

「黛は確かに出られないけど僕は違うんだよね、手段さえ確立されていれば出られるのさ」

 

「は? 待て、それは私を置いていくとかそういう話なのか? 幾ら何でもこんな閉所で救援とかも期待が出来ないのに、独りきりにされてしまったら流石に狂う自信があるんだが?」

 

 人間に限らず精神負荷――ストレスは大敵であるが故に、ちょっとしたトラウマから閉所恐怖症だったり暗所恐怖症だったり異性恐怖症だったり簡単に患うし、【ジョジョの奇妙な冒険】という作品でも不老不死を謳う究極生命体カーズとて、鉱物と生物の中間生命体となり永遠に宇宙空間を彷徨う結果――考えるのを止めたくらいだ。

 

 幾ら勝ち気な性格をしていようが精神的に視れば未成熟な人間の少女、孤独な中で助けが期待出来ない状況では確かに黛ゆきのとて狂気に堕ちるしかなかった。

 

 当然ながらそんな選択肢は無い。

 

「勿論、こんな場所に黛を置いてきぼりにしたりはしないさね」

 

「そ、そうか……」

 

 黛ゆきのが胸を撫で下ろす姿は普段から魅せる姉御肌が嘘の様に儚く見えた。

 

 恐らくは既に不安感から弱気が鎌首をもたげているのだろうし、確かに置いてきぼりにしてしまえば狂っているか自決していそうだ。

 

「それで、当然ながら手段は有ると思っても良いんだよね?」

 

「取り敢えず幾つか有るけど」

 

「複数有るのかい?」

 

「有るけどね……基本的にはどれもこれもが碌でもない手段ばかりだぞ」

 

「ろ、碌でもない……ね」

 

「ま、内緒にしても意味は無いからな。取り敢えず最悪なやつから話そうか」

 

「さ、最悪?」

 

 流石に身を拒ませる。

 

「先ずは黛の息の根を止める」

 

「待て待て待て待て待て! 死んじゃうだろうが息の根を止めたら!」

 

 当たり前の事を当たり前に言うけど、彼女からしたら息の根を止められるかも知れない話だったから慌てるしかあるまい。

 

「前提条件として、僕には普通の人間に存在しない能力が有る。その一つが亜空間ポケット」

 

「亜空間ポケットォ?」

 

「特殊な亜空間に時間停止と無制限な収納性を持たせたポケット、但しそれだけの機能を持たせる為に幾らかの制約も有る。それが『生命体を容れる事が出来ない』というものだ」

 

「生命体を……つまり死んだ人間は生命体じゃ無いから容れられる訳か」

 

「そうだ。一旦は君の息の根を止めて亜空間ポケットのアイテムストレージフォルダに容れてから運び、向こう側に着いたら蘇生を行うって事なんだけど……飽く迄も仮死状態にするだけだ」

 

「イヤイヤイヤ、それでも死ぬとか!」

 

「ま、これは最悪で他の手段が駄目ならって話だと思ってくれ」

 

「あ、ああ……」

 

「二つ目は僕の【閃姫】となる」

 

「せ、せんき?」

 

 矢張り意味が解らないと首を傾げているけど、彼女がそこはかとなく可愛らしく見えた。

 

「意味合いとしては、恋人でも側室でも側女でも愛人でも何でも構わない。要するに僕の女に成れって話だよ」

 

「お、女ぁ?」

 

 恐らくだけど男とのその手の付き合いが無かったからか、黛ゆきのが頬を仄かに染めている辺り中々に初々しさを感じる。

 

「そうする事で僕に近い能力を獲る。その能力の一端が『空間適応力』だ」

 

「く、うかん……え?」

 

「『空間適応力』、勿論だけど生まれ持っていた能力じゃない。とあるあらゆる願いを叶えてくれる伝説の宝珠により授かった宇宙最強を謳う生物の持つ能力を獲たんだが、多少の劣化こそ有るけどそれを付与出来るから次元空間くらいであれば渡れる筈だね」

 

「は、はぁ……」

 

 生返事になるのも仕方が無い、自分の女になれ宣言から一転してファンタジーな物言いをされてしまっては、普通の感性を持っていたら喜んだり誉めたりする以前にドン引きする。

 

 ユートのこれは【ドラゴンボール】世界に行った際に、ブルマからドラゴンレーダーを借りてまで地球のドラゴンボールを手に入れ、神龍から願いを叶えて貰った結果として手に入れた能力で、『フリーザの身体機能を付与して欲しい』という割と贅沢ながら、実現が可能なレベルにまで落とし込んだ願い事として処理されていた。

 

 神龍への願いは『どんな願いでも叶える』とされてきたが、実際には『どんな願いでも()()()()()叶える』という事であり、神龍ですら叶える事が不可能な願いは叶え様が無い。

 

 例えば神龍の力を遥かに超越した存在に干渉をする事は出来ない……とか。

 

 或いは、代償を以て限定的に願いを叶えるくらいなら不可能ではない。

 

 『宇宙最強に成りたい』という願いは当人から寿命の殆んどを搾り取り、願ったその時点に於ける限定条件付きで宇宙最強にして貰える。

 

 一応、潜在能力も加味されているからか多少のパワーアップには対応も可能、それだけに闘えば闘う程にその寿命を損耗するのだから始末に負えないであろう。

 

 フリーザの能力その物を獲た訳では無いというのが肝、まぁ……あんな肌になったり尻尾が生えたりは御免だったからというのもあったけど。

 

「黛がそうなってくれたら嬉しいのと同時に諸問題は一気に解決する。一時的にせよ空間適応力の付与が出来れば神々の超空間でさえなければされこそ、次元空間だろうが深海だろうが宇宙空間だろうが連れて行けるからな」

 

「そうなのか……」

 

 兎にも角にも必要な行為らしいのは理解した黛ゆきのだったが、矢張り乙女らしい気持ちも有るから逡巡してしまうのも道理だった。

 

「次善策として今この時だけ僕に抱かれて小宇宙を肉体に巡らし、僕が持つとある道具を使う事で次元空間に出るってのもあるな」

 

「だ、抱かれるのには変わらないのか」

 

「これは抱く事で全身隈無く触れ合い、小宇宙と呼ばれるエネルギーを互いに循環させる必要性が有るからだ。それによって一時的に小宇宙を溜め込めるからそれで聖衣――鎧を着込める」

 

 ユートが持つ聖衣は双子座の黄金聖衣と麒麟星座の青銅聖衣、杯座の白銀聖衣は現在は別の人間に渡していて持ち合わせていなかったし、何よりもアテナの血の加護を受けていないから今回では意味を持たない。

 

 取り敢えず、黛ゆきのからしたらどちらを選んでも処女喪失する事自体は変わらないらしいのだと溜息が出る。

 

 違いは今回だけの肉体関係か、永続的な関係を築くかという事。

 

 黛ゆきのは一七〇cmとそれなりに長身だが、ユートの偽装した一七六cmより僅かに低い。

 

 僅かに顔を上げると気恥ずかしくなったのか、すぐに顔を明後日の方向へと逸らす。

 

 因みに、偽装しない一九〇cmの長身は教師二人とのセ○クスライフに活用している訳だ。

 

「此処に来て我が身を鎧え、我が聖衣よ!」

 

 徐に右腕を天に掲げて唱えると、双子座の並びの星が投影されて黄金に煌めく二面四臂の彫像がユートの頭上に顕れ、カシャーンッ! と軽快な音と共に分解されるとパーツが脚へ腰へ胸へ腕へ肩へと装着されていく。

 

 最後の頭パーツは脇に持って完成。

 

「な、何だよそれ……」

 

「これが聖衣。嘗て聖戦の度に傷付き倒れて逝く聖闘士と呼ばれる防人達を見て悲しんだギリシアの技芸と戦の女神アテナは、敵であり伯父に当たる海皇ポセイドンの海闘士が纏う鱗衣を参考に、神の技術をムウ大陸の鍛冶師に伝えて造らせたのが聖闘士の身体を守る防具――聖衣だ。聖衣には階級が有り、下級に青銅聖衣、中級に白銀聖衣、上級に黄金聖衣が存在している。僕の身に鎧っているのが黄道一二星座を象る黄金聖衣の一つたる双子座って訳だよ」

 

「そ、そうなんだ」

 

 確かな証拠を突き付けられては妄想だ嘘だとは断言が難しい、然りとて鵜呑みにするにはちょっと話が壮大に過ぎていた。

 

「これとは別に麒麟星座の青銅聖衣が有ってね、小宇宙さえ有ればそれを纏えるんだ。聖衣ってのは小宇宙を発現していないと纏っても機能が働かないし、単なる重たいだけの鉛の如くプロテクターに過ぎなくなるからね」

 

「だから私を抱いて小宇宙を循環させる事により一時的に纏える様にと?」

 

「可能なのは判っているからな」

 

 当然ながら別の人間で試した結果。

 

 更に云えば自らの生体エネルギーを性行為によって循環させる手法は、『ナコト写本』の精霊たるエセルドレーダを満足させるだけの性技を身に付けようと頑張った副産物。

 

 ユートが聖衣を解除すると再びオブジェに成った双子座が、ユートの右手首に着いた銀色の腕輪の中の金色の宝玉へと吸い込まれた。

 

 三つの宝玉の一つは力を喪ったかの様に色を持たず、残りの二つは金色と闇翠色の宝玉と成っていて聖衣を収納している。

 

 宝玉の名は聖衣石(クロストーン)

 

 【聖闘士星矢Ω】の世界線でも同じ名前の石が存在したが、この宝玉は聖衣匣を背負うのは目立つからと錬金術で精製した宝玉だ。

 

「さて、どちらにせよ僕と黛との性行為が一発は必要な訳だけどな? 最後のはお金で解決が出来る手段なんだが……」

 

「なんだが?」

 

「一番の安いやつでも数千万円、最上級の代物であれば数十億円は下らないと思って欲しい」

 

 黛ゆきのが息を呑む。

 

「聖剣創造!」

 

 ユートが叫ぶと一振りの剣が顕れた。

 

「は? それは?」

 

「これは神器(セイクリッド・ギア)と呼ばれる。聖書の神が人間の為にバラ撒いた人間の血を持つ者の魂に癒着して能力という形で顕れるチカラ」

 

 尤も、ユートが嘗て敵を斃し奪って身に宿した神器――『聖剣創造(ブレード・ブラックスミス)』は、神殺しの魔王(カンピオーネ)に成った時点で神器システムから切り離され、ユート自身にシステムを移す形で明確に別物と成っていた。

 

 その証拠に神器システムを無効化する事により任じた超越者――リゼヴィム・リヴァン・ルシファーの能力を、それこそ無効化してしまいダメージを与える事が出来たのである。

 

「これは『聖剣創造』という、聖なる力を宿した剣を自在に創る神器だ。これを宿した上で鎧化を促し纏えば次元空間のうねりや消滅化も怖くは無いだろうね」

 

 正確にはユートが所持する主に『禍の団』から奪った神器を宿す……だ。

 

 鎧化させれば確かにある程度は身を守れるし、より難しいであろう強大な魔力などを纏うという手法に比べて遣り易い。

 

 但し、鎧化は力を纏うという形で禁手に至らねばならないからこれはこれで難しいもの。

 

「それで、黛はどれを選ぶ?」

 

 提示はしたのだと、ユートは黛ゆきのに対して答えを求めるのであった。

 

 

.




 一応、次がっぽい噺としてはラスト。


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