【魔を滅する転生○】シリーズ外伝噺集   作:月乃杜

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 もう少し書いてみようかと。

 まぁ、精々がタルタロスの前でペルソナ坂を登る感じになるんじゃないかと。






ペルソナシリーズ【魔を滅する転生仮】っぽい噺――ペルソナ3 目覚めたワイルドな娘

.

 暫くすると真田明彦→桐条美鶴という順番にて一階のラウンジまで戻ってくる。

 

「済まない、御父様に少し連絡をしていたので遅くなってしまった」

 

「影時間も終わった深夜だからな。今更、少しばかり遅れても大した違いは無いさ」

 

 今日の事でも報告していたのだろう。

 

「とはいえ今日、四月一〇日は金曜日だからな。学校があるんだし余り時間は掛けられない筈」

 

「む、そうだな」

 

 はっきりきっぱり平日である。

 

 真面目な生徒会長が平日に学校を、しかも謂わば自分の家が経営母体となる月光館学園を病気や怪我でもあるまいし、無為に休みを取るなど出来る性格をしてはいなかった。

 

 それは真田明彦も……だ。

 

「まぁ、どうしても時間が掛かるから僅か一時間で一日を過ごせる部屋で休ませよう」

 

「っ! まさか、まほネットで売っているアレの事なのか!?」

 

「へ? まほネット?」

 

 すぐに反応したのは流石の桐条美鶴、反応が遅れたのは知らなかったのか岳羽ゆかりだ。

 

 まほネット――【魔法先生ネギま!】に於ける一種のインターネット、様々な情報が交換されるのと同時に魔法アイテムの販売もされている。

 

 カモが『年齢詐称薬』を買ったのもまほネットを通じた通信販売。

 

 ユートが……というか緒方優也がというべきなのだが、インターネットの黎明期からコツコツと整備をしていたシステムの一環であり、当然ながら様々な情報が載せられていたり通信販売なんかも普通にされていた。

 

 まほネットショップ【OGATA】から販売されているのは、名前からして怪しさ満点な品物ばかりで高額な物も多々有るのだが、一般人でも買えそうな低価格帯の品物も売られている。

 

 そして、擬似的な時間操作や空間湾曲にも手を出しているこの“品物”は高価格帯だ。

 

 一番の安い物でも一基が八千四百万円(税込)ともなれば、それなりの金持ち程度では気軽に買える物でも無い上に説明文からして怪しくては、桐条家の財力に任せて買うにも値段が高い。

 

 尚、西暦二〇〇九年の現在に於ける消費税率は五%となっている。

 

 八%や一〇%、そして旧来の三%では無いので税抜きだと八千万円だった。

 

「えっと、確かまほネットってサイトの名前でしたよね? 総合情報室って部屋の有る」

 

「うむ。他にもネットショップも営んでいてな、怪しさ満点な名前の道具からまともな道具までと幅広く販売している」

 

「あ、怪しさ満点って……」

 

 呆れるしかない情報。

 

「俺も特製プロテインやボクシングのグローブやパンツ、他にもサンドバックやダンベルの類いもまほネットで買ったぞ。どれも悪くない品物ばかりでな、生半(なまなか)な店で買うとすぐに駄目になる様なグローブやサンドバックも長持ちするんだ。それにプロテインは味が可成り良くてだな」

 

「明彦、少し抑えろ。流石に岳羽が引いている。まったく、口にすれば二言目にはプロテインプロテインと困った奴だ」

 

 嬉々としてプロテイン道だか愛だかを語ろうとする真田明彦に対して、溜息を吐きながら頭を抱えてしまう桐条美鶴もきっと語られたのだろう、それこそ忍耐強そうな彼女からして『ウザい』と言いたくなるくらいには。

 

(真田明彦って確かに地頭の方は悪くないんだろうけど御莫迦な脳禁だからな)

 

 確かにこれは……と言いたくなる。

 

「取り敢えず、お客様……当店の御利用を毎度、有り難う御座います」

 

「あ、いや……どうも?」

 

 突然の営業スマイルに毒気を抜けられたかの如く表情で頷く真田明彦。

 

 一応、味に関しては可成り手を加えてちょっとした御菓子か珈琲やチョコレートみたいな感じには整えてあるし、そこら辺は割と力を入れていて○○味というレベルは越えている。

 

(この分じゃ、ひょっとすると飯に振り掛けの如く使っていたりしないか?)

 

 となると、その手の味を少し増やすべきか? なんて考えてしまう辺りは職業病だろう。

 

「それで先輩、一時間が一日に成るって言うのは本当なんですか? それって影時間みたいに一日が二四時間じゃない……なんてレベルじゃありませんよね?」

 

「ああ、私も詳しくは無いのだがな。説明文によると“ダイオラマ魔法球”という商品は球の中へと入り、その内部では空間そのものが湾曲技術によって広大で、時間も内部で一日を過ごしたのだとしても外部では一時間しか経過しないのだとか」

 

「それってつまり、内部の時間が加速をしているって事ですよね? 有り得るんですかソレ」

 

「商品として八千四百万円で販売しているんだ、ジョーク商品だとしてもそんな物をそんな値段で売れば詐欺として捕まるさ。とはいえ、最低限で八千四百万円だからな。如何な桐条とはいえど、おいそれと買える物でも無いだろ? 商品を確り見て買える訳ではないのだからな」

 

「ああ、確かに……」

 

 ネットショップによる通販であるからには写真を観て、性能に関しても説明文章を読んで判断をするしかないから『魔法で一時間が一日に』とか煽り文で『よし買った!』とは往くまい。

 

 況してや、一万や二万という程度なら未だしもん千万円なんてカードでポンと往けるレベルを遥かに超越している。

 

「それ、買い手が付くんですかね?」

 

「流石に判らんがな……抑々、インターネットの黎明期から続いていて潰れていない。少なくとも黒字経営ではある筈なんだ。南条家も最初の出資以外はしていないみたいだからな」

 

「マジですか?」

 

「らしい……」

 

 とはいえ、本気でインターネットの黎明期ではネットショップなんて赤字にしかならない。

 

 使用者が少ないのだから。

 

 実際には金持ちを相手に便利グッズを売り出して黒字を出し、少なくとも“密林”とかが幅を利かせ始める少し前からだ……ネットショップで黒字経営をしていたのは。

 

「今の【OGATA】は言ってみれば“産着から墓石まで”という、複合企業の体で経営しているから欲しいなら人型機動兵器だって造る。とは言っても死の商人じゃあるまいし、本当に兵器を造ってバラ撒いたりはしないんだけどね」

 

「……人型……兵器……」

 

 珍しく? 真面目な表情で幾月修司が呟いているのは、桐条家の闇の一つたる対シャドウ特別制圧兵装七式アイギスを思い出すからか?

 

 ある意味で唯一の完成型、実際には五式以外の六体が完成していたけどシャドウの上位存在とも云える“デス”との闘いにて、七式アイギス以外の姉妹機は機能停止させられてしまったのだ。

 

 尤も、アイギス自体も現在は機能停止をしているから使えないけど。

 

「それに簡単な魔導具なら桐条家でも手に入れているだろう?」

 

「何故、そう思う?」

 

「“死を撒く破滅招く塔”が影時間になると月光館学園に顕れる。影時間に適性が在って気付いていない訳も、況してや曲がり形にもペルソナ使いが居るんだから調査しない筈も無いよな?」

 

「! タルタロスの事か!?」

 

「否、“きゅーきょくせいめいたい”じゃなくって塔の話なんだけど?」

 

「きゅーきょく? そうでは無く、君が言っている塔を我々はタルタロスと呼んでいる」

 

「ああ、『我はきゅーきょくせいめいたい・アブソリューティアンの戦士アブソリュート・タルタロス!』なんて事かと」

 

「それこそ何を言っている!?」

 

「それは扨置き、塔――タルタロスで良いかな。タルタロスでは何故か宝箱が置かれていて中身は消費型のアイテム、装備品、そして幾らかの現金と成っている」

 

「扨置きとは……まぁ、良い。つまり君は毎夜に(あらわ)るタルタロスに入っていると?」

 

「月光館学園の敷地内とはいえ、完全に別物だったから許可は要らないと思ったんだが? それに学園に許可申請しても首を傾げそうだし……否、理事長が居るなら寧ろ接触してきたかな?」

 

 幾月修司を見遣ると……

 

「確かにねぇ。ウチは人手不足だからどうしても人材確保はしたいかな。死体は要らないけど」

 

 ブラックジョーク付きで返答。

 

 ユートはブラックジョークを無視し桐条美鶴に視線を戻して話を続ける。

 

「そうやって僕は幾許かの現金と薬とマジックアイテムを手に入れた。当然ながら桐条でも手に入れて研究くらいはしてるんだろ?」

 

「あ、ああ」

 

 思えばおかしな事もあって、桐条麾下とも云える土地にマジックアイテムを売る店が有ったり、普通にスキルカードを売っていたりとか。

 

 それを鑑みれば桐条が再現したマジックアイテムを、タルタロス攻略の為とかに販売をしていても不思議ではあるまい。

 

「然しそうか……本物なら手に入れてみるというのを御父様に提案してみるか?」

 

 ユートは桐条美鶴がファザコン気味なのは識っているが、事ある毎に『御父様』と聴くのは流石にうんざりしてしまう。

 

 とはいえ、何処ぞのマジックガンナーみたいに『パパのお嫁さん』なんて夢は持つまいが……

 

「で、余り使い過ぎるのも薦めないけど今だけに限れば充分に使える代物だ。使いたいなら出しても構わないぞ」

 

 ユートがアイテムストレージの中に格納してあるのは、内部の三〇日が外部での一日な魔法世界の帝国皇女から贈られた物と、一般的な内部時間での一日が外部で一時間という物だ。

 

「使い過ぎるのを薦めない?」

 

「そうだ。何しろ時間を余分に使うから他よりも年を重ねてしまうからな。特に女性には薦め難いのは理解して貰えるんじゃないか?」

 

「うむ、確かにな」

 

 桐条美鶴だけでなく岳羽ゆかりも普通に頷いている辺り、矢っ張り若さを保ちたいという欲求は二人にもあるのかも知れない。

 

「色々と訊きたい事もあるから今回はダイオラマ魔法球だったか? 是非出して貰いたい」

 

「判ったよ、ならすぐにも出そうか。それとだ、ダイオラマ魔法球を出すからには今宵はこっちに部屋が欲しいけど」

 

「問題は無い」

 

 あっさり頷いた。

 

「部屋に空きも有るし、其方に今夜は寝てくれて構わない」

 

「いやいや、僕も普通にダイオラマ魔法球に入るんだが? 魔法球の置き場として部屋を提供して欲しいんだよ」

 

「あ、ああ! そういう事か!」

 

 てっきりこの寮に寝床を用意して欲しいと思ったらしいが、生憎と寮内の至る所に監視カメラが設置された場所で寝たいとは思わない。

 

「で、君は起きて大丈夫か?」

 

「あ、気付いてたんだ」

 

 ユートの後ろに癖っ毛な茶髪をポニーテールに結わい付けた少女――汐見琴音が立っていた。

 

「うん、私は平気だよ。だけど兄さんはちょっと駄目って言われていた」

 

「言われていた? 誰に?」

 

 岳羽ゆかりが小首を傾げる。

 

「え~っと……」

 

 口篭もるのは矢張りアレだからか。

 

「イゴールかエリザベスだろ?」

 

「あ、うん! そうだよ。イゴールって鼻の長い人が私は早めに戻る様にって」

 

「汐見兄の方は少々特殊だったから負担が君より大きかったんだろう」

 

「そう……みたいだね」

 

 初召喚だったからか、或いは喚べるレベルでは無いのに無理矢理に顕れたからなのか、それともまた別の理由かは判らないにしてもオルフェウスを召喚しただけの汐見琴音より、タナトスが顕れてしまった汐見朔也の方の負担が大きかったのは間違いの無い事実だ。

 

「あ、そうだ! 倒れ込んだ私を抱えてくれたのは君だよね? 有り難う!」

 

「ああ、未だ意識が有ったんだな」

 

 キタローは離れていたから無理だったにしても彼女は抱えられた、だから躊躇いも無く抱えてやったのだけど場合によればセクハラである。

 

 助けたユートだったけど、相手次第では後日に『この変質者!』とビンタされてもおかしくないのだから困った世の中だ。

 

「うん、本当に君のお陰。あの怪物からも助けてくれたんだよね?」

 

「シャドウな。確かに助けた形になる」

 

「本当に感謝だよ!」

 

 何と云うか、キタローに比べて可成りコミュニケーションが上手い娘だった。

 

 兄の方は『面倒臭い』とか言いそうな感じだったけど、彼女は普通にコミュニケーションを取れている辺りが凄まじい。

 

「どうしたの?」

 

「いや、コミュ力が凄いなと思ってね」

 

「ああ、兄さんがちょっとコミュ障気味だから。可成りの面倒臭がり屋で余り会話もしてこない、自然と私がコミュ力をアップしないといけなかったんだよ。とは言え私と同じくヘッドホンを提げているので判る通り、それなりに色々と聴いたりはしているんだよ……話し方講座とかね」

 

 確かに色違いのヘッドホンを提げていたのは、原典たる【ペルソナ3】でも確認が出来る。

 

(何でそんなんを聴いていて彼はコミュ障気味なんだろうな?)

 

 まったくの謎だった。

 

「それで、桐条先輩」

 

「何だ? 汐見」

 

「今は何の話をされていたんですか?」

 

「ああ、今日も平日だから話し合う時間が無いなといった話だな」

 

「確かに今日は金曜日ですね……って、若しかしてダイオラマ魔法球を使うんですか!?」

 

 全員――ユートを含む――が目を見開いてバッと汐見琴音を見遣る。

 

「どうして判った?」

 

「だって、時間が足りない時にそれを埋める為のアイテムなんてダイオラマ魔法球くらいじゃないですか! それに桐条先輩なら買えますし」

 

 とんでも理論だったけど間違いでも無い処か、ある意味に於いては的確なツッコミ付き。

 

「汐見妹は……」

 

「ストップ!」

 

「どうした?」

 

「その汐見妹って呼ばれ方はちょっと嬉しくないかな? 私は汐見琴音、汐見だと兄さんもそうだから混乱するし琴音で良いよ」

 

「まぁ、君がそれで構わないなら琴音と呼ばせて貰おうか。僕は緒方優斗だ」

 

「緒方……優斗……さん……?」

 

 何故か名乗ったら琴音が右手の人差し指を下唇のすぐ下に当てつつ小首を傾げる。

 

「あれ? 緒方って財団法人【OGATA】の人だよねぇ……優斗って名前は現当主の緒方優也氏の息子さんの筈で、年齢は確か一二年前に御影町の聖エルミン学園を卒業していたから今は三十路なんだけどな」

 

「間違いじゃない。僕は戸籍上だと三〇歳って事になっているからね」

 

「三〇歳には見えないけど……あ! まさかとは思うけど“魔女の若返り薬”を飲んだの?」

 

 同席している桐条美鶴、岳羽ゆかり、真田明彦は怪しさ満点な名前に縦線が入る勢いだったが、何故か幾月修司は納得でもしたかの表情。

 

「ほほう、“魔女の若返り薬”ですか。確か一粒飲めば一歳若返るという、然しながら一粒が驚愕の五千万円ですからねぇ」

 

「ご、五千万円!? 若返りには興味あるけど、五千万円なんてとても手が出ないわね。桐条先輩なら買えそうですけど」

 

 幾月修司から値段を聴いて仰天の岳羽ゆかり、桐条美鶴が話を振られても首を横に振る。

 

「無茶を言うな無茶を。確かに桐条グループの資産ならば買えるのだろうが、そんな怪しげなアイテムに巨額の資金を出せるものか! いや待て、そういえば数年前に御父様が行き成り若々しく成られて……だがまさか……いや然し……」

 

 何やら葛藤する桐条美鶴。

 

「そういえば……桐条武治って名前のオッサンが数年前に一〇粒ばかり買っていったな」

 

「お、御父様ぁぁぁっ!?」

 

 若さを求めた父親に頭を抱えてしまう。

 

「まぁ、本当はこんな情報を漏らすのは良くないんだけどね。娘である桐条にならば問題は無い……か?」

 

「ハハ……」

 

 ユートの言に苦笑いの琴音。

 

「それじゃ、御託は措いといてダイオラマ魔法球へ実際に入ってみるか?」

 

「確かに時間は有限、一時間を一日に出来るなら其方で話をした方が良いだろう」

 

 桐条美鶴も賛成らしくて先ずは空き部屋を準備して、ユートがアイテムストレージから取り出したダイオラマ魔法球を設置。

 

「っと、入る前にこれはどうする?」

 

 銀色をベース色としていて銃身に[S.E.E.S]と刻印をされた拳銃……の形をした召喚器。

 

「あ、それ私の」

 

「岳羽の?」

 

「うん、私が吹っ飛ばされた時に汐見朔也君が拾ったのを琴音が引ったくったやつ」

 

「じゃあ、返しとこう」

 

「うん……」

 

 手渡された召喚器を太股のホルスターへと仕舞う岳羽ゆかり、チラッと見えてた肌色にユートは取り敢えず見なかった振りをしておく。

 

 入り方は教授してあるから次々と魔法陣に乗って魔法球内へと転移していき、ラストのユートの前に幾月修司が居たけど可成り興味深く観察をしている辺りが研究者っぽい。

 

 先に訪れた者達はキョロキョロと辺りを興味津々とばかりに見回している。

 

「これがダイオラマ魔法球か」

 

「凄いなこれは」

 

「初めて中を見ちゃったけど、あんな小さな球の中が本当に広いんだ」

 

「興味深いねまったく」

 

 まだ魔法陣から碌に離れていないにも拘わらず既に目は釘付け、琴音は一般人として生きてきたからまほネットで商品は見ても触れる機会なんて錚々にはあるまい。

 

(そういや、『毎日がお客様感謝デー、来て見て触れて下さい』ってのをキャッチコピーにしているデパートが在るよな)

 

 ジュネスと言ったか? 可成り支店も出している大型デパートだった筈だ……と、徒然なる侭に考えるけど取り敢えずは首を横に振って彼らの元へと歩を進める。

 

「時間は二四時間に増えたけど、やりたい事は後にして話を続けたいから邸に案内をしよう」

 

「あ、ああ」

 

 ユートはダイオラマ魔法球内に拠点となる邸を築いており、そして内部邸にはそれを維持する為の修復機能と邸内での生活を支える量産型茶々丸が何体かメイドとして動いていた。

 

 茶々丸本人は既にロボットの躯体ですら無く、一種のエボリュダーに近い機械生体の持ち主として生活しており、元々備わっていた“食べる”という行為も形だけでは無くなっているし、生身として全感覚が人間と酷似していて生体エネルギーの氣力や精神エネルギーの魔力や霊力や念力すらも用いる事を可能とし、それらを融合昇華させる事で源流となる小宇宙の発現にも至る。

 

 しかもガイノイドであったからか歳を重ねても見た目に反映されず、嘗ての美少女な姿を維持した侭でユートの秘書官の一人に名を連ねていた。

 

 量産型茶々丸は見た目自体は茶々丸……といっても既に名前は少し違うが、取り敢えず茶々丸の姿に似せていながら用途によって年齢にバラ付きが在り、喩えば幼女の護衛に大人の姿では無くて同じ幼女の姿で混ざる方法を取る、それこそ要人の護衛ならば二十代後半くらいの姿でというのも有りだし、何なら現在の茶々丸はベースとなったのが高校生の見た目ながら破壊された影響から、少しだけ幼い……女子中学生でも普通に通用しそうな見た目をしていた。

 

 此処の量産型茶々丸は個性を出す為にか髪型や目の色、それこそ体型も弄っていたから多少見た目がバラバラながら、それでも姉妹メイドで通用しそうなものと成っている。

 

「御茶と御茶請けをお持ちしました」

 

「有り難う」

 

 主から礼を言われて嬉しそうに柔らかな表情で微笑む彼女の正体をその実ガイノイドと知れば、アイギスを識っている桐条美鶴や幾月修司は少し混乱をするかも知れない。

 

「それじゃ、簡単に話し合いをしようか」

 

 ユートは全員が席に着いたのを見届け、量産型茶々丸が持ってきてくれた御茶で喉を湿らせるとにこやかに話を始めた。

 

 

.




 殆んど話し合って無いな……


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