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それは極めて近く……そして限り無く遠い世界と呼ばれている所謂、平行して存在しているであろう別の世界線がこの世には幾つも在る。
選択肢の数だけ世界線は綴られ、中には統合や淘汰や剪定を受けて数自体は減らされながらも、然しながらそれは正に無限に見えながらも有限と無限-1の可能性に満ちているのだとも云えた。
例えば似た世界ながらそこはかとなく違和感を感じる世界、それは即ち影鏡の様なものだと考えると良いのだろうか?
緒方優斗――この世界でならユート・オガタと称されるだろう、何故ならばこの世界は日本人でも欧米などと同じ形式と成っているから。
伊達隆聖がリュウセイ・ダテな世界観であり、ならばユートもそれに倣うまでであろう。
此処は【スーパーロボット大戦OG】世界で、主体となる戦力は機動兵器の類いとなる。
しかもシャドウミラーが存在する事になるであろう彼方側の世界、どちらかと云えばウィンキーソフト発の【第二次スーパーロボット大戦】から【第四次スーパーロボット大戦】の世界をベースに【スーパーロボット大戦A】と【スーパーロボット大戦COMPACT】の設定をある程度レベルで混ぜたのがこの世界。
DC戦争に端を発して“監査官”を名乗る異星人による侵略は正しくその流れ、当然ながら公式や非公式に拘わらず“客人”も居たのだから。
そんな中で結成されたのが、シャドウミラー隊であり連邦軍特殊鎮圧部隊ベーオウルブズだったりする訳だが、謎の怪物が突如として顕れる様になったりベーオウルブズの隊長キョウスケ・ナンブが暴走したりと様々な出来事が起きる。
そんな未来の無い世界だが取り敢えずユートは財団法人【OGATA】を設立、設定的には祖父が一代で築き上げた財団を受け継ぐ三代目として機動兵器のみならず、様々な分野で商品展開をしている複合企業という体だ。
当然ながら連邦軍もDCも放ってはおかなかったのだが、抑々にして本拠地が判らないから捜す事すら出来ずにいる。
何よりも地球に仇成す者では無く、寧ろ護る守護者の如くであるからには適当にでっち上げての捕縛は難しかったし、本拠地が判らない侭でそれをやった場合には地球連邦もDCも滅せられる。
ユートの本拠地は木星圏、しかも木星の位相が異なる別空間に設置をされた星帝ユニクロン。
【スーパーロボット大戦α】世界の第三次以降にGGGの大河長官からの命令で、木星圏を調べたユート率いる後のOG勢力が発見した存在こそヘッドを喪失して死滅したユニクロン。
ユートはユニクロンを識っていたが故に頭を抱えてしまうが、大河長官の判断で地球連邦政府には秘匿してユートが手に入れてしまえとされた。
大河長官としても世界を揺るがす邪神の骸など百害有って一利無しと思ったらしい。
その後、ユートはユーキやその他の科学者達を集めてユニクロンに新たなヘッドを、更にユートが意の侭に操れる様に改造して惑星モードにての運用をしつつも、内部の空間を太陽系にも等しいサイズに湾曲させると惑星を創造して設置。
現在の海洋惑星や冒険惑星や美食惑星や食材惑星などが広がる小宇宙に置かれた。
現在は超 鈴音や葉加瀬聡美が手を尽くした惑星マギ・テクノスも存在し、機動兵器は元より様々な分野の代物が開発されたり造られたりしていて割かしと賑やかに成っていた。
その礎と成ったのはトランスフォーマーの遺骸であり、調べ尽くした後は惑星マギ・テクノスの大地に埋めて冥福を祈り続けている。
ユニクロンの護りにはこの世界の守護神やその守護者を置き、【第二次スーパーロボット大戦α】~【第三次スーパーロボット大戦α】で仲間と成ったイルイ・ガンエデンに管理を任せていた。
実際、この世界線ではいつの間にかイルイが消されてしまっていたらしく、その他の守護者達も動く事無く朽ち果てるに任されていたので必要な物だけは拾い上げている。
ガンエデン本体とクストゥース、四神の超機人の四機、そして四霊の超機人もだ。
この世界が百邪により痛々しい事に成っていた背景、それは最初の方でイルイを喪失してしまったが故の事だったらしい。
αの世界でも重要人物として存在していたイルイとは孫 光龍でさえ重要視していたガンエデンの巫女であり、ナシム・ガンエデンにいずれは取り込まれる運命の少女、予定よりも早く目覚めたは良いが未だにハガネやヒリュウ改の部隊すら立ち上がらぬ時期であった為に敵対者に潰された。
より正確には此方側には鋼とヒリュウ改の部隊は立ち上がる事すら無かった。
ユートが連れるイルイ・ガンエデンがその喪われた肉体から抜け出た魂魄を吸収して魂の格を上げた後、肉体をリセットしてしまうと小さなイルイに戻って『もう一度、初めから愉しみましょう』と幼い姿ながらも妖艶な笑みを浮かべたものである。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
ユートはでっかいベッドの上で少女にしか見えない緑の髪の毛の娘と、真夜中の運動を激しく愉しんでいる真っ最中であった。
見た目には中学生くらいだけど、実年齢としては三十路にも近い筈だ。
本来の名前はカトライア・F・ブランシュタインと云い、ブランシュタイン家に嫁として入った
女性ではあるがエルピス事件の際に本来の歴史でなら遺体すら遺さず死亡していた女性。
勿論、ユートがNTRなんて云う無粋な事を仕出かして奪った訳では決して無い。
エルピス事件は起きたし、あの事件でブランシュタイン家は殆んどが全滅してしまっている。
マイヤー・V・ブランシュタインもエルザム・V・ブランシュタインも……カトライアもだ。
此方側と彼方側では結果も異なる、それが即ち極めて近く限り無く遠い世界という事だった。
勿論ながらユートもエルピス事件を防ごうとは思ったものの、実の処がエルピス事件に於ける詳しい情報を持っていないから起きた事がニュースに成って初めて行動した為に時間的にはどうにもならず、大きなダメージを負って宇宙に投げ出されたカトライアを拾うので精一杯。
宇宙空間で窒息をしていたカトライアは脳にもダメージを受け、結果としてそれこそ女子中学生くらいにまで記憶を喪ってしまい、壊れた身体を治す為に足りない分は諦めて残された部分だけで再生治療をした為に、カトライアは見た目的にも精神的にも一四歳か其処らの少女と成る。
過去は於か名前すら忘れていたので取り敢えずカトライアの名前だけ教えた。
意味記憶は中学生レベル、エピソード記憶に関してはほぼ無いに等しく、手続き記憶に関しては取り敢えず手料理は作れるし馬には乗れるのが判っている。
カトライアの事をユートが養っている状態だった訳だが、当人からしたら記憶も無くて何も出来ないから申し訳なく思っていたらしい。
だからか高校生~大学生が習うであろう勉強をしてみたり、ユートが商人的な存在だと聴かされてからは商売系の勉強を並行して行ってみたり、機動兵器に乗れる事を知ると自分も試しに乗ってみたいと言ったりもした。
役に立ちたいという事らしいが、ユートからしたらブランシュタイン家を救う事もカトライアを完全に救う事も出来ず、最低限で丸ごと救えたのはギリギリ被害が小さかったレオナ・ガーシュタインくらいでしかない。
恐らくは彼女だけは最終的に大怪我を負っていながらも助かったと思われるが最早、ブランシュタインもガーシュタインも滅亡したに等しい状態で捨て置く事も出来ないから序でに助けた。
因みに、見た目には若返っているけど実年齢が二九歳なので肉体的な成長をする事は無い。
尚、家族の集まりにライディース・V・ブランシュタインだけは仕事により居なかったらしく、後になってから家族が全滅したのを知って涙を流しながら泣き崩れていたと云う。
まだこの頃は、アイスマンと呼ばれる程に徹底した冷徹さは持ち合わせていなかった様である。
ブランシュタインの生き残りライディースと、ガーシュタインの生き残りのレオナ。
娶せればブランシュタイン家の復興は成りそうだけど、どうせこの世界は数年後にはアインストとベーオウルフにより滅ぶ。
ならばいっそ放っておくか?
親戚として別に仲は悪くない二人だったみたいだが、婚姻ともなると首を傾げてしまうであろう事は彼方側での二人をゲームで識るから解る。
とはいえ二人は貴族、御家復興の為に政略結婚くらいは受け止めるかも知れないのだが、如何せんこの世界がもうすぐ滅ぶからには意味が無い。
それにガーシュタインの滅亡を知らされたからだろうか大分、精神的にキて弱り切ってしまっているらしく食事も最小限にしか摂らなかった。
まぁ、今だけならダイエットくらいの影響程度で済むだろうが……
取り敢えずカトライアを抱きながらレオナの事を考えるのを止め、そろそろ彼女が気を遣りそうな雰囲気を醸し出したから一気呵成にキメる。
寝室にて前○ 愛にも似た嬌声が響くのと共に、弓形に肢体を反らし全身を痙攣させながら悦びの表情を浮かべ、カトライアは意識を失って汗だくの侭に眠りへと就くのだった。
ユートはクスリと笑うと頬へ口付けを落としてシャワーを浴び、カトライアの匂いを完全に落とすくらいにボディウォッシュで洗う。
これから会うのも女性――というか少女な上、潔癖なきらいが有るから他の女の香りを漂わせるのも良くないと考えた。
なら会いに行く前に抱くなよという話だけど、ユートがユートであるからには有り得ない選択。
レオナ・ガーシュタインは端から視ると性格がキツめで、自分に合わない存在に対しては苦言を呈するくらい普通であり、機動兵器の操縦に関しては流石にブランシュタインの分家と云えるくらいに巧みで、正史ではトロイエ隊という女性のみで構成されたコロニー統合軍の部隊に所属した。
だが今の彼女は見る影も無い。
憔悴し切った表情で絶望をしているのが丸判りであり、実に通常のレオナ・ガーシュタインらしくない状態だ。
否、誰だって心が沈む時は在ろう。
レオナ・ガーシュタインにとって一族が全滅した今がその時に過ぎない。
「余り食べていないみたいだな」
「ユート……だったわね」
「ああ、ユート・オガタ。財団法人【OGATA】の現代表――CEOだな」
「助けて頂いて有り難う、改めて御礼を言わせて頂くわ」
薄く笑うが力無い笑顔は見た目がキツい美少女なだけあってか余計に儚い。
「それなりにお腹は空くのだけど、未だ心の整理を付けられないのよ」
「まぁ、一族が殆んど全滅した訳だからな」
「殆んど……ね」
「エルピスに居なかったライディース・V・ブランシュタインと奇跡的に助かった君、それと部位欠損や顔の損傷が激しく宇宙に投げ出されていた女性、現在でブランシュタインやガーシュタインの家に所縁の者はこの三人だけだ」
コロニー統合軍の総司令マイヤー・V・ブランシュタインも死亡した為、DC戦争は文字通りにDCのみで行われる事になる訳だけど、連邦軍もハガネは兎も角としてヒリュウ改は存在しない。
【第二次スーパーロボット大戦】を版権無しで行う形、未だにロールアウトをしている訳では無いがゲシュペンストMkーⅢが開発される世界。
連邦軍特殊鎮圧部隊ベーオウルブズに恐らくはブルックリン・ラックフィールドも所属してて、カチーナ・タラスク達も全く関係無い部隊へ回されているのだろう。
シャドウミラーのW16を鑑みればゼンガー・ゾンボルトも居る筈だが、果たして今も生きているのかユートには判断が出来ない。
「レオナ・ガーシュタイン、君には幾つか選択肢を与える事が出来る」
「選択肢?」
「先ずは此処を出てブランシュタイン家の再興に着手する。ライディース・V・ブランシュタインが生きているから彼と婚姻をすれば血族を増やしていく事も出来るだろう。とはいえ、僕に無関係となるから特に此方からどうこうはしない」
御家再興の資金など出る訳も無いのだ。
「第二に連邦軍に入る。御家再興とかどうとかを後回しにして軍人に成るのも有りだろう。給金を貯めていけば小さく再興は叶うだろうしな」
「もっと直接的に仰有られても宜しくてよ」
「ふむ……そういうのは嫌うと思ったから敢えて選択肢から外したんだけどな」
「こう見えて容姿には自信有りますもの。そして現在のオガタ家の当主は随分と好色な方だと聴いておりますわよ」
「そうだな、そういう選択肢も出せる。だけど……それは無意味だ」
「無意味?」
「君が此処を出るなら無関係として放置一択だったけど、若しも万が一に君が僕の下に来る選択をするなら教えておくが……どうする?」
「……」
「流石にあっさり受け容れるとは言い難いわね、少し御時間を頂けると嬉しいのだけど……」
「別にすぐ答えろとは言わんよ。取り敢えず君には仕事を振るけど」
「御仕事ですの?」
「人型機動兵器の操縦、得意だろ?」
「一応は。コロニー統合軍に入る予定でしたから人型機動兵器の操縦にも習知していますわ」
「レオナ・ガーシュタインにはTーLINKシステムを使った機体に慣れて貰いたい」
「TーLINKシステムですか?」
「そう、念動力感知増幅装置だ。人間が持っている“テレキネシスαパルス”を受信し増幅させる事で機体に反映させるコントロールシステムだよ。機体の制動や武装の制御などに使えるから可成りの高度な動きをさせたり、武装を自在に動かしたり攻撃力や防御力を上げたり様々な事が可能だ」
レオナ・ガーシュタインとしても引きニートな状態なのは精神的に宜しくないと考えたらしく、再び頤に指を当てて思案をしたけど結論はすぐに出たのか笑顔を浮かべた。
「いつまでも無償で御世話にもなれませんから、やらさせて貰いますわ。ですがTーLINKシステムでしたか? これ、安全面などは?」
実際のDC戦争から役二年前の今現在は彼方側でも未だにまともなシステムでは無く、此方側もそれは全く変わらないから……
「連邦軍で開発されていたTーLINKシステムだったら無意味に起動失敗やシステムのブラックアウトは当たり前、下手をしたら念動力の逆流によってパイロットが廃人コースも有り得るな」
「欠陥品じゃない!」
単なる欠陥品であったと云う。
「心配しなくてもウチ――【OGATA】で開発したTーLINKシステムは完璧に仕上がっているよ。
そして移動する二人。
其処は機動兵器の開発や修理を行う為の施設であり、ユートの搭乗するドラゴンアストレイという【機動戦士ガンダムSEED】の世界にて手に入れたガンダムアストレイ・シルバーフレーム改式も此処に置かれていて、他にも基本的には実験で使われている【機動戦士ガンダムSEED】世界に於けるジム――ストライクダガーも在った。
そしてレオナ・ガーシュタインが暫く乗る事になる機体こそが、ストライクダガー改式・TーLINKシステムTypeである。
全体的に蒼塗装されているのは原典とも云えるゲーム――【スーパーロボット大戦OGs】で、レオナ・ガーシュタインが搭乗した機体である処のズィーガーリオンのイメージから。
タスク・シングウジに負けた気がしないでもないけれど、此方側のタスク・シングウジはどうやら死亡してしまっているらしい。
実の処、早い内に【スーパーロボット大戦α】に於ける八人の主人公がどうなったのかを調べておいたのだが、レオナ・ガーシュタインはエルピスに向かうのが判っていたので、相棒となっていたタスク・シングウジの方も同時期に調べてみたらヒリュウ改に乗る事にはならなかったからか、量産型ゲシュペンストMkーⅡに乗る為の資質不足だった為にどさ回りをさせられた挙げ句の果て、事故か何かに巻き込まれて死亡したのだと云う。
ブルックリン・ラックフィールドもベーオウルブズでアインストに感染するし、ひょっとしたら男は皆が皆碌でもない死に方をしたのか? などと疑いたくなってしまった程だ。
尚、ユウキ・ジェグナンは今の時期だと単なる一般人だったからか普通に暮らしているのが確認されているし、リョウト・ヒカワも現時点で云えば一般人のゲーマーに過ぎないので生きている。
相棒に関してはリルカーラ・ボーグナンは現在だと矢張り一般人だから普通に暮らしていたし、
リオ・メイロンはマオ社で専務という幹部の父を持った御令嬢的な存在として高校生をしていた。
原典開始のDC戦争が始まるまでにどうなるかは未知数だが、少なくともユウキとリルカーラは彼方側でのバルマーとの戦闘が激化するまでは、一般人として普通に生きているのではなかろうか? という予想が成されている。
まぁ、何らかの不幸が起きる前か起きた後にでも接触をしてリルカーラとリオをレオナと同様に
確保……も有りといえば有りだが、流石にそれはちょっと最低な考え方であろうと自粛していた。
因みに、クスハ・ミズハは相棒たるブルックリン・ラックフィールドがアインストに感染する事を鑑みて既に確保済みであり、志望の職業である看護師見習いをさせつつ、レオナにやらせるのと同じTーLINKシステムの稼働試験をさせている。
ストライクダガーは幾らでも在るから。
クスハ用のストライクダガーは若干ながら薄い蒼という、彼方側での龍王機を思わせる色合いで塗装をされた機体と成っている。
TーLINKシステムによる駆動や武装を使っているけど、動力は普通にストライクダガーの本来の物よりは高性能ながらバッテリーだ。
流石にストライクダガーなんて低性能な量産機程度に、核融合炉やプラズマジェネレータを使うとか無駄遣いでしかない。
因みに、ストライクダガーのオリジナルであるデュエルガンダム……もとい、ストライクガンダム(笑)の或る意味で後継機フリーダムガンダムのエンジンは核分裂炉であり、核融合炉の一世代前に当たるのだろうか? ユートが行ったガンダムの世界では核融合炉が当たり前で、この世界に於けるパーソナルトルーパーは核融合ジェネレータだったから、核分裂型のエンジンは珍しい物でしかない古い技術だ。
況んや、バッテリーなど最早枯れた技術でしかない物なのだろうけれど、西暦の世界ではバッテリーでも充分過ぎる動力源と成るから機動兵器を動かせるレベルのバッテリーは売れた。
それ故にバッテリー技術は更にブラッシュアップが成されている。
より高度に、より精度も上がったバッテリーは確かな技術として受け容れられたのである。
なので、ストライクダガーも当時の物に比べれば割と性能も上がっていた。
「君や君の同僚になる者が乗るゲシュペンストは普通に核融合ジェネレータだから」
「そうですか……」
マオ社とはそれなりに近しい関係を築き上げていたから、量産型ゲシュペンストMkーⅡを一二機程だけど受け取っているユートは彼方側に於いてリュウセイやブリットやアヤが初期に乗っていたゲシュペンストMkーⅡ・タイプTTに似た機体をとして、“ゲシュペンストMkーⅡブレイカー”というカスタム機に改造をしている。
暫く話をしていると其処へストライクダガーが戻ってきた。
「何でしょう? 何故だかあの二機には違和感を感じますわね。いえ……正確には蒼い機体に感じる某かを翠の機体には感じない?」
蒼と翠のストライクダガー、レオナ・ガーシュタインは蒼い方にナニかを感じたらしい。
「流石に判るか」
「え?」
「蒼い機体にはTーLINKシステムを積んでいるな。そして翠の機体は完全にノーマルな機体だ」
言われてみればと気付く。
「わたくしをTーLINKシステムとやらの試験機に乗せる理由は詰まる話が、わたくしにはTーLINKシステムを扱うに足るナニかが在るのですわね?」
「そう、その通り。蒼いストライクダガーに乗っているのはクスハ・ミズハ。彼女も君と同じ能力を持っている。即ち“念動力”と呼ばれる力だ」
「念動力……」
「中々に得難い能力ではあるんだが、連邦軍では如何わしい実験から残虐非道な実験まで或る意味でR18指定されそうな事をやらかしている」
レオナ・ガーシュタインの表情が嫌悪感丸出しなものへと染まる。
「実際、クスハも念動力の持ち主だと知られてしまって拉致され掛けたんだ」
更にクスハは16歳の時点で結構な肉付きの良い肢体、本当の意味でのRー18な展開も間違いなく免れなかったであろう。
正しく、ユートが向かう予定の世界線に比べると腐り果てた連邦だったと云う。
「貴方は違うと?」
「念動力の全ては“仮想世界構築装置”でシミュレーションによる再現が出来る。態々、現実の人間を切り刻む必要性は感じないな。仮想現実の世界でエミュレートされたモノだけで充分だからね」
「それは逆に云えばエミュレートされた人間を切り刻んでいるのでは?」
「現実の人間にヤるか、仮想現実の模倣されている人間にヤるかの違いは果たしてどちらが外道かってね? どちらも外道の極みさ」
苦笑いを浮かべるユート。
「まぁ、とはいえ……だ。機体に備えたマン・マシン・インターフェースは実際に動かしてみない事には始まらない。だからこうして実機を使っての演習をして貰っているのさ」
「演習……」
レオナ・ガーシュタインは当然の事ではあるが財団法人【OGATA】の事は知っているけど、
然しながら人型機動兵器を造っている事実こそは知るものの、その機体を何処で試験しているのかなど全く情報が流れて来ない。
「連邦にもコロニー統合軍にも知られずいったい何処で大規模な演習を?」
「木星」
「……は?」
「此処は木星の位相が違う空間に設置されている惑星型トランスフォーマー、星帝ユニクロン内部に創った特殊なインナースペース内の惑星の1つである惑星マギ・テクノスだ」
星帝ユニクロンは惑星モードと人型の姿を取るトランスフォーマー、その正体は前述した通りで邪神――カオス・ブリンガーの類いだった。
対となる善神と闘いを続けながらも惑星を喰らってきたユニクロン、その対なる善神こそ同じく惑星の中枢として存在するプライマス。
セイバートロン星である。
セイバートロン星に住まうのは超機械生命体、トランスフォーマーと呼ばれる種族で派閥としては大きく二つに分かれ、一つは融和を主としているサイバトロン――若しくはオートボット派閥、今一つは破壊と支配を心情とするデストロン――或いはディセプティコン派閥。
サイバトロンはコンボイ――オートボットだった場合はオプティマスプライム――をリーダー格の総司令官に置き、デストロンは破壊大帝を名乗る者をリーダーとして争いを続けてきた。
G1とされるシリーズの最初の噺、コンボイが率いるサイバトロンと破壊大帝メガトロンが率いるデストロンは争いをしながらも地球へと辿り着くものの、結果として互いに地表へと落下してしまい璽来の四〇〇万年間眠り続ける事になる。
尚、可成り未来のコンボイ達が何らかの原因で眠りに就く初代コンボイの居る地球に墜ちてしまっており、乗り物が無い時代故に動物をスキャンしてビーストモードに成って活動していた。
それは兎も角、初代コンボイもユニクロンとの闘いに関与をしている。
ユートが手に入れたユニクロンがどの世界線から流れて来たのか窺い知れないが、ヘッドを持たない状態で漂っていたのを見付けたので内部にまで突入、其処には可成りの数のトランスフォーマーの遺体が遺棄されていた。
中にはコンボイタイプも。
大河長官に言われて自分のモノとしてからは、新たなヘッドを造ってからは自由にユートが操れる星帝ユニクロンとなり、惑星モードにしてから内部を空間湾曲技術で太陽系にも等しい巨大なる空間を創り上げ、インナースペースとした其処へ幾つもの惑星を創造していく。
或る意味で創造神であったと云う。
それが食糧を作る惑星ユニウスセブンだったり美食の限りを詰め込む惑星トリコ、九割が海である惑星オーシャン、冒険者の為のあらゆるモノが詰め込まれた惑星アドベンチャー、今ユート達が居る魔法や科学の研究開発に勤しむ惑星マギ・テクノス、主にユートの【閃姫】達が使う慰労の為の惑星テラなどであった。
惑星テラは【勇者王ガオガイガー】に出てきたパスキューマシンで造った、レプリ地球みたいに誰も居ない地球と全く同じ惑星。
そんなユニクロンをユートは元々が木星の位相が違う空間に在った事から、ユートが移動をしても同じく木星の位相が違う空間に付いて来れる様にしてあり、【スーパーロボット大戦OG】世界のシャドウミラーが組織される世界線たる此処でも当然の様に裏木星とも呼べる立ち位置だ。
大概の地球で木星は於ろか火星ですら到達困難だったから、木星を本拠地とするにはとても都合が良かったのだと云える。
まぁ、偶に【機動戦艦ナデシコ】の世界みたいな木星に人類が居たりするケースも有るが……
「まさか、貴方の本拠地が木星だなんて思いもしませんでしたわ」
「人類が到達するには難しいからね。ヒリュウみたいに冥王星まで到達したケースもあったけど、結局は艦内で生活をするしか無い訳だからね」
それにこの世界線でヒリュウは墜ちて地球へは帰還が叶わなかった。
ユートはこのシャドウミラーが組織されるであろう世界線に来て、『此方の世界かよ』と思った後に『ならば折角だから優秀な人間を自陣営に引き込もう』と考える。
例えば目の前のレオナ・ガーシュタインだって念動力持ちだし、機動兵器のパイロットとしても
可成り優秀な腕前なのが判っていたから助けた。
クスハ・ミズハを引き込んだのもそれが理由だったし、向こう側でヒリュウ改の艦長として抜擢されたレフィーナ・エンフィールドも此方側では出る杭は打つとばかりに余りに扱いが非道かったので引き込んだ。
ヒリュウ改は於ろか前身たる改修前のヒリュウすら無くなった世界な為、別に戦艦を用意をしてその艦長として就任をして貰う予定である。
何ならスペースノア級万能戦闘母艦をパクって来ても良いかも知れない。
因みに云うと、そういった居場所が判明している人物の一部とは財団法人【OGATA】の人間として可成り前から接触をしている。
レフィーナ・エンフィールドも出逢い自体は、彼女が未だ年齢的にはロリな頃からだった。
「わたくしが実際に乗るのはあのストライクダガーという機体ではなく、ゲシュペンストという事で宜しいのかしら?」
「まぁ、ストライクダガーは性能が低いからな。飽く迄もあれはシステムや機構の実験機だよ」
ストライクダガーは於ろか、そのオリジナルとも云える五機のGも量産型ゲシュペンストMkーⅡに劣る為、初めからレオナ・ガーシュタインが乗る機体には考えていない。
単純に開発されたばかりの技術的蓄積が無い状態だったからこそであり、更には原動力となるのがバッテリーなものだから出力面やバッテリー切れというマイナスが有る。
事実、主役機たるストライクガンダムもバッテリー切れによく悩まされていた。
何しろ五機のGは新装甲としてPS装甲が開発され、物理攻撃に対して絶大な防御力を誇っている反面で常にバッテリーを消耗するからエネルギーが直ぐに枯渇、PS装甲に供給されていたのが途切れてフェイズシフトダウンに陥る。
そうなれば動きは緩慢になるし装甲は物理的には神装甲だった物から紙装甲と化す。
まぁ、量産機に過ぎないストライクダガーにはPS装甲なんて高コストな装甲は使わないが……
ユートがオーブのコロニーたるヘリオポリスにて開発された物を、勝手に組み立てて使っている
五機のアストレイの内の一機であるシルバーフレームは発泡金属を装甲としていた。
蒼い光を放つ光翼に白い装甲を持ち、元々からの銀色のフレームな竜型への変形機能を追加されたドラゴンアストレイは、VPS装甲に近い特性のPS装甲を使われているけどプラズマリアクターを小型化改良したハイパープラズマリアクターを採用した為、フェイズシフトダウンに悩まされる事は一切無かったりする。
それにドラゴンアストレイに改修する際にはTDS――トライ・ドライブ・システムによって、
ハイパープラズマリアクターに換わる五行器とハイパークロノスドライブとハイパーグラビトロンドライブを使ったエンジンを採用していたから、出力などがこの時点でコズミック・イラ世界での未来まで越えてくる事は無かったのだ。
武装には刀型のムラマサ・ブレイドや思考誘導兵器ドラゴンファング、元から頭に装備をされていたイーゲルシュテルンやストライクガンダムが初期で持っていたアーマーシュナイダー、一応のビームサーベルとビームライフル、盾は宇宙世紀な世界のビームシールド――ドラゴンスケイルを装備、また次元収納を利用した宇宙規模に長い鎖を使った星雲鎖みたいなドラゴンテイルを採用、ハイパーグラビトロンドライブを用いた竜皇の息吹き――ブラックホール・ブラスターも実装し、更にはTDSのフルドライブによる竜神皇の逆鱗という最大最強の一撃は時空間破壊兵器だ。
はっきり云えばドラゴンアストレイは下手をしたら、【スーパーロボット大戦】のラスボス系とも闘う事が可能。
尚、レオナ・ガーシュタインではドラゴンアストレイを操縦するのは不可能である、それはよく解らないネオグランゾンに今すぐに乗れと云うにも等しい行為だろう。
「取り敢えずストライクダガーで頑張って演習をしてくれ。単なるシミュレータでやるんじゃなくてエネミーエミュレータでエミュレートをされた標的だからそれなりには愉しめるだろうからね。基礎的な武器はゲシュペンストが持っているのと其処まで変わらないし、君が乗るゲシュペンストの改修をする為にもギリギリまでストライクダガーを苛めるレベルで乗り倒してくれ」
「判りましたわ」
レオナは腕組みをして瞑目しつつ頷いた。
「あの、そろそろ良いですか?」
蒼いストライクダガーから降りてきた青髪を短めに切り揃えた、年齢が一六歳の割には大きめな胸をパイロットスーツがビッチリしているからこそ主張する美少女が、遠慮がちな苦笑いを浮かべた表情でユートに向かって話し掛けて来た。
「クスハ。向こうさんは?」
「もう少しやってから来るそうです」
「判った」
クスハからの答えに頷くと……
「レオナ・ガーシュタイン」
再びレオナ・ガーシュタインに向き直る。
「ちょっと待って下さる?」
「うん?」
「その前にフルネームは止めて下さいな」
其処には呆れを含んでいた。
「そろそろフルネーム呼びは止めて下さるかしら? レオナと呼んで下されば構いませんわ」
「了解した、レオナ」
レオナが満足げに頷く。
「改めてレオナ、彼女は現在はテストパイロットを熟してくれてる看護師見習いクスハ・ミズハ。クスハ、此方は君の同僚になるレオナ・ガーシュタインだ。年齢は同じ筈だから仲良くしてくれ」
仲介してやると……
「レオナ・ガーシュタインですわ。クスハさんでしたわね、宜しく御願い致しますわ」
「クスハ・ミズハです、此方こそ宜しく」
改めて自己紹介をして握手をした。
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リオだとかタカクラチーフだとかもスカウトに行くかな?